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第3章
彩音、魔法使いに会う
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ストラディゴスの持ってきた薬のおかげで、だいぶ体調がマシになった彩芽は、城の大食堂に来ていた。
日は傾き始めているが、外はまだ明るい。
「あの、ストラディゴスさん。なんだか視線を感じるんですけど」
「……気になるなら、部屋で食べるか?」
大食堂の出入口で横に並び立ち止まる二人。
ストラディゴスは彩芽の顔の前に手を広げ、大食堂に並ぶ長テーブルをまばらに埋める兵士の視線を遮る。
「あ、いえ、なんでみんなこっちの方を見てるんだろって」
「俺の客人が珍しいからかもな」
「それなら、良いんですけど」
これまでの人生で注目に晒される事など無かった彩芽は、好奇の視線に慣れていない。
だが、あの後も結局ストラディゴスに二日酔いの看病までさせてしまい、これ以上の迷惑はかけられないと我慢する事にする。
ストラディゴスの視線に対する予想は、半分当たりだが半分は外れであった。
確かに彼への客人は珍しかったが、それ以上に周囲の興味をそそっている事は、客人が来た事で急にめかしこんでいる巨人の方である。
城内随一の女好きが、必死に自分を繕ってまで、守り、もてなそうとする女がいる。
巨人を知っていればいる程に、いったい女が何者なのだと皆が気になっても仕方がない。
兵士達の彩芽への感想は「なるほど、美人と言えば美人だが、副長が頻繁に通うブルローネの姫の中には、もっと正統派の美人が幾らでもいたのに、なにが違うんだ?」である。
あのストラディゴスを手懐けたと噂の女は、一体何者なのか?
そんな疑問が、視線の元には必ずと言っていい程あるのだ。
ちなみに、城の兵士達の間で広まる彩芽の正体は、「猛獣使いか調教師」で無ければ「魅了の魔法使い」と冗談半分ながらも、半分本気で思われていた。
「それよりも、今日はまだ何も食べれてないだろ? 何か食べたい物はあるか?」
ストラディゴスが自分専用らしき大きな椅子を軽々と運ぶ。
誘導されるままに誰もいない長テーブルの席につく彩芽。
大食堂には、巨人サイズのテーブルは無いが、巨人サイズの椅子が他に三つあり、彩芽は他にも巨人がいるのだとぼんやり思う。
「メニューとかってありますか?」
彩芽の座る椅子を引き、座らせるストラディゴス。
巨人は、その向かい側に小さな椅子を横にどけて自分の椅子を置いてテーブルを占有する。
「メニュー? いや、無いが、簡単な物なら厨房に頼めば作ってくれる。それに、もう少しで夕食の時間だからな、ある物で良いならすぐに出せる筈だ」
そこに一人の男が悪い笑みを隠してやってくる。
大食堂の一角に巨体を見つけると、男は大声で話しかけながら近づいてきた。
「よう、部屋に行ったらいないからだいぶ探したぞ。君がこいつのお客人だな」
「エルム、お前わざわざ何しに来た」
「ふん、わざわざこっちから会いに来てやったんだ。何でも俺に聞きたい事があるそうじゃないか」
尊大だが馴れ馴れしい態度をとるローブにマントを羽織った細身の男。
無精髭を撫でながら、鋭い目つきで彩芽を舐める様に観察する。
そんな視線を送るエルムに対する彩芽の最初に受けた印象は、口の悪そうな不良中年である。
「あの、あなたが魔法使いさんですか?」
そこには、魔法学校の校長を期待していたのに、裏切られた感があった。
「そのとおり。君の目の前にいるのが、ネヴェルに三人いる魔法使いの一人。はじめまして、話はこいつから聞いている。キジョウ・アヤメ。俺だけ君を知っていては不公平だ、名乗らせてくれ。俺の名はエルム・コルカル。そこにいる身体の大きな友の数少ない友人だ。さて、二日酔いの方は、もう大丈夫かね?」
「はい。だいぶ良くなりました」
エルムはストラディゴスを手招きし移動すると、彩芽に聞こえないように食堂の隅でコソコソと話し出す。
「なんだ、お前、ああいうのが好みだったのか?」
「何が言いたい」
「お前を骨抜きにするんだから、どんな女かと期待してきたんだろうが。俺はてっきり、どこぞのハーレムにいた妖艶な美女を想像していたんだが」
「何言ってるんだお前」
エルムは彩芽の所に戻り、彩芽の横の席にドカリと座る。
「それで、聞きたい事が何かあるんだって? あいつの説明が分かりにくくてな、答えを用意してくる事は出来なかった。分かる範囲でお答えしようじゃあないか。だが、その前に大事な事だから先に言っておく。俺を使うのは高くつくぞ。だが、あんたは運が良い、身体の大きな友に免じて、料金は友情価格にしといてやる」
「料金……あ、あの、言いにくいんですけど……お金持ってないんですが」
彩芽は、スマホの財布機能で普段からまかなっていた事もあり、元の世界の金さえ持ち歩いてはいなかった。
ストラディゴスがエルムを睨むと、気にする素振りも見せずに楽しそうに話し始める。
「はははははっ! おいおい、冗談だよ冗談。あんたから金をとる気はさらっさら無い。ここが俺の執務室なら、まあ話は、別だがね。俺は今のところそこで俺を睨む友人を訪ねてここに来たんだ。そのついでに、友人の連れと話をしているだけ、なあ、そうだろ?」
ストラディゴスは、エルムの言葉を聞いて、正体不明の悪寒に襲われた。
順番は逆だが、エルムは悪寒を感じる巨人の顔をチラリと見て、心底意地の悪そうな嫌な笑いを浮かべる。
挑発的な顔をストラディゴスだけに見えるようにわざと見せ、エルムは明らかにろくでもない何かを企んでいた。
「でも、ただ話を聞くだけって言うのも面白くない。そうだろ? そこでだ、俺とゲームをしてあんたが勝てたら、なんでも質問に答えよう。逆に、あんたが負けたら、話は執務室で改めて聞く事にする。その時は、もちろん有料だ。順番だけは一番にしてやるが、それでいかがかな?」
「ゲ、ゲームですか?」
「ああ、アヤメ。あんたは負ける事を心配する必要は無い。相談料は、優しい優しい、こいつにつけるから」
エルムの魂胆が分かり、ストラディゴスは素が出る。
「エルムてめぇ! 俺にたかる気か!」
「借金の取り立てだと思え。それに、リスクが無いと何も面白くないだろ。俺は、この俺を無料で使えるビッグチャンスまで提供してるんだぞ? その点では、身体の大きな友に身体と同じぐらいの大きな感謝こそされても、たかりなんて罵られる言われは無いね。なんなら酔い覚ましの料金もここに含んでやろうか?」
「ストラディゴスさん、あの酔い覚ましって買ってたんですか!?」
「確かにこいつから買ったが、あれは俺が酒を飲ませたのが悪かったから、って、ええい! 気にするな! エルムてめぇ! 何バラシてやがる!」
「さあ、ゲームに乗るか乗らないか? こういう事は、お互い同意の上で進めないと面白くないからな」
彩芽は、エルムの提案について考えた。
何のゲームかによって話は変わってくるが、無一文の自分にとって悪い話では無いのかもしれない。
それでも、やはり一つ気になる事があった。
「あの……もし負けてもストラディゴスさんには、請求しないで欲しいんですけど。それならやります」
「いやいやいやいや、こんな奴を相手にするなアヤメ」
「……ほぅ、なぜだ?」
エルムはストラディゴスを無視して興味深そうに聞いた。
「ずっとお世話になりっぱなしなんです。もうこれ以上迷惑は……」
「待ってくれ、迷惑だなんて思っていない! もっと頼ってくれて良い!」
「え、でも」
「だってさ、聞いただろ? 長い付き合いの友人同士の悪ふざけだ。あんたが気に病む必要はこれっぽっちも無い。あんたがゲームに負けても、こいつは親友に借金を返すだけだ。それでも嫌なのか?」
「それでも、私の事で私が負けて、それでストラディゴスさんが嫌な思いをするのは、嫌です! エルムさんと私の勝負なら、私が責任を取ります!」
「なら、負けた場合どうする? 金は無いんだろ? 他をあたるか? ウチのもう二人の魔法使いのサヘラとマーゴスなら今は王都だ。待つなら待つで大変だし、あいつらはストラディゴスとは仲が悪い。俺みたいなサービスは無いぞ? それとも別に魔法使いなんかに頼らなくても良い質問なのか?」
「負けたら、その時は私が払います」
「……俺は別に構わんが、どうやって払う?」
「必ず働いて返します」
「ほぉ、こいつに借りを作りたくない……だけでは無いのか。はぁ、はぁ、はぁ、と。なるほど、なるほど。会えば分かるか、面白い。『エルムさんと私の勝負』ね。よし、その条件を飲もう」
エルムは、彩芽に対して興味が湧いてきた。
リスクを自分の物にした事で、エルムと対等の対戦相手となったとエルムは受け取ったのだ。
これは、ゲームが好きだが、今回は完全にストラディゴスに意地悪をしに来ていたエルムにとって、予想外の事態であり、嬉しい誤算でもあった。
「あの、ちなみにいくら必要なんですか?」
「ん? そうか、相場を知らないなら先に金額を提示するのがフェアってもんだな。俺が城の魔法使いとして助言を与える相場は、質問に答えを与えられなくても一回一千フォルトだ」
「……一千フォルトって、どれぐらいの価値ですか?」
「あんた、本当にどこから来たんだ? まあ、そうだな。仮に、あんたが負けて俺の下で何でもすれば、一ヵ月で返せる。つまりひと月ただ働きして貰う事になる。住む場所と飯はぐらいは、最低限なら提供するがね……なあ、ストラディゴス、それは良い考えだと思わないか? アヤメが俺の使用人になる。(ストラディゴスの嫌がる姿を)想像するだけで楽しくなってきた」
「お前、俺がいつまでも我慢して聞いてると思うなよ」
「はっはっは、最後に決めるのは、お前じゃない。これは俺とアヤメの勝負だ。さっきまでは当事者だったが、今のお前は部外者だ。そこでアヤメ、提案だ。あんたが勝ったらすぐに質問には答えるし、更にあんたの要求を何でも一つ聞いてやる。あんたが負けた時は、一ヵ月間、俺の下で専属の使用人として働いてもらう。あんたが逃げ出さなければ、その時は質問に答える。この条件でどうだ?」
「わかりました……やります!」
「待て、エルム。なら、そのゲーム、俺も参加させろ」
日は傾き始めているが、外はまだ明るい。
「あの、ストラディゴスさん。なんだか視線を感じるんですけど」
「……気になるなら、部屋で食べるか?」
大食堂の出入口で横に並び立ち止まる二人。
ストラディゴスは彩芽の顔の前に手を広げ、大食堂に並ぶ長テーブルをまばらに埋める兵士の視線を遮る。
「あ、いえ、なんでみんなこっちの方を見てるんだろって」
「俺の客人が珍しいからかもな」
「それなら、良いんですけど」
これまでの人生で注目に晒される事など無かった彩芽は、好奇の視線に慣れていない。
だが、あの後も結局ストラディゴスに二日酔いの看病までさせてしまい、これ以上の迷惑はかけられないと我慢する事にする。
ストラディゴスの視線に対する予想は、半分当たりだが半分は外れであった。
確かに彼への客人は珍しかったが、それ以上に周囲の興味をそそっている事は、客人が来た事で急にめかしこんでいる巨人の方である。
城内随一の女好きが、必死に自分を繕ってまで、守り、もてなそうとする女がいる。
巨人を知っていればいる程に、いったい女が何者なのだと皆が気になっても仕方がない。
兵士達の彩芽への感想は「なるほど、美人と言えば美人だが、副長が頻繁に通うブルローネの姫の中には、もっと正統派の美人が幾らでもいたのに、なにが違うんだ?」である。
あのストラディゴスを手懐けたと噂の女は、一体何者なのか?
そんな疑問が、視線の元には必ずと言っていい程あるのだ。
ちなみに、城の兵士達の間で広まる彩芽の正体は、「猛獣使いか調教師」で無ければ「魅了の魔法使い」と冗談半分ながらも、半分本気で思われていた。
「それよりも、今日はまだ何も食べれてないだろ? 何か食べたい物はあるか?」
ストラディゴスが自分専用らしき大きな椅子を軽々と運ぶ。
誘導されるままに誰もいない長テーブルの席につく彩芽。
大食堂には、巨人サイズのテーブルは無いが、巨人サイズの椅子が他に三つあり、彩芽は他にも巨人がいるのだとぼんやり思う。
「メニューとかってありますか?」
彩芽の座る椅子を引き、座らせるストラディゴス。
巨人は、その向かい側に小さな椅子を横にどけて自分の椅子を置いてテーブルを占有する。
「メニュー? いや、無いが、簡単な物なら厨房に頼めば作ってくれる。それに、もう少しで夕食の時間だからな、ある物で良いならすぐに出せる筈だ」
そこに一人の男が悪い笑みを隠してやってくる。
大食堂の一角に巨体を見つけると、男は大声で話しかけながら近づいてきた。
「よう、部屋に行ったらいないからだいぶ探したぞ。君がこいつのお客人だな」
「エルム、お前わざわざ何しに来た」
「ふん、わざわざこっちから会いに来てやったんだ。何でも俺に聞きたい事があるそうじゃないか」
尊大だが馴れ馴れしい態度をとるローブにマントを羽織った細身の男。
無精髭を撫でながら、鋭い目つきで彩芽を舐める様に観察する。
そんな視線を送るエルムに対する彩芽の最初に受けた印象は、口の悪そうな不良中年である。
「あの、あなたが魔法使いさんですか?」
そこには、魔法学校の校長を期待していたのに、裏切られた感があった。
「そのとおり。君の目の前にいるのが、ネヴェルに三人いる魔法使いの一人。はじめまして、話はこいつから聞いている。キジョウ・アヤメ。俺だけ君を知っていては不公平だ、名乗らせてくれ。俺の名はエルム・コルカル。そこにいる身体の大きな友の数少ない友人だ。さて、二日酔いの方は、もう大丈夫かね?」
「はい。だいぶ良くなりました」
エルムはストラディゴスを手招きし移動すると、彩芽に聞こえないように食堂の隅でコソコソと話し出す。
「なんだ、お前、ああいうのが好みだったのか?」
「何が言いたい」
「お前を骨抜きにするんだから、どんな女かと期待してきたんだろうが。俺はてっきり、どこぞのハーレムにいた妖艶な美女を想像していたんだが」
「何言ってるんだお前」
エルムは彩芽の所に戻り、彩芽の横の席にドカリと座る。
「それで、聞きたい事が何かあるんだって? あいつの説明が分かりにくくてな、答えを用意してくる事は出来なかった。分かる範囲でお答えしようじゃあないか。だが、その前に大事な事だから先に言っておく。俺を使うのは高くつくぞ。だが、あんたは運が良い、身体の大きな友に免じて、料金は友情価格にしといてやる」
「料金……あ、あの、言いにくいんですけど……お金持ってないんですが」
彩芽は、スマホの財布機能で普段からまかなっていた事もあり、元の世界の金さえ持ち歩いてはいなかった。
ストラディゴスがエルムを睨むと、気にする素振りも見せずに楽しそうに話し始める。
「はははははっ! おいおい、冗談だよ冗談。あんたから金をとる気はさらっさら無い。ここが俺の執務室なら、まあ話は、別だがね。俺は今のところそこで俺を睨む友人を訪ねてここに来たんだ。そのついでに、友人の連れと話をしているだけ、なあ、そうだろ?」
ストラディゴスは、エルムの言葉を聞いて、正体不明の悪寒に襲われた。
順番は逆だが、エルムは悪寒を感じる巨人の顔をチラリと見て、心底意地の悪そうな嫌な笑いを浮かべる。
挑発的な顔をストラディゴスだけに見えるようにわざと見せ、エルムは明らかにろくでもない何かを企んでいた。
「でも、ただ話を聞くだけって言うのも面白くない。そうだろ? そこでだ、俺とゲームをしてあんたが勝てたら、なんでも質問に答えよう。逆に、あんたが負けたら、話は執務室で改めて聞く事にする。その時は、もちろん有料だ。順番だけは一番にしてやるが、それでいかがかな?」
「ゲ、ゲームですか?」
「ああ、アヤメ。あんたは負ける事を心配する必要は無い。相談料は、優しい優しい、こいつにつけるから」
エルムの魂胆が分かり、ストラディゴスは素が出る。
「エルムてめぇ! 俺にたかる気か!」
「借金の取り立てだと思え。それに、リスクが無いと何も面白くないだろ。俺は、この俺を無料で使えるビッグチャンスまで提供してるんだぞ? その点では、身体の大きな友に身体と同じぐらいの大きな感謝こそされても、たかりなんて罵られる言われは無いね。なんなら酔い覚ましの料金もここに含んでやろうか?」
「ストラディゴスさん、あの酔い覚ましって買ってたんですか!?」
「確かにこいつから買ったが、あれは俺が酒を飲ませたのが悪かったから、って、ええい! 気にするな! エルムてめぇ! 何バラシてやがる!」
「さあ、ゲームに乗るか乗らないか? こういう事は、お互い同意の上で進めないと面白くないからな」
彩芽は、エルムの提案について考えた。
何のゲームかによって話は変わってくるが、無一文の自分にとって悪い話では無いのかもしれない。
それでも、やはり一つ気になる事があった。
「あの……もし負けてもストラディゴスさんには、請求しないで欲しいんですけど。それならやります」
「いやいやいやいや、こんな奴を相手にするなアヤメ」
「……ほぅ、なぜだ?」
エルムはストラディゴスを無視して興味深そうに聞いた。
「ずっとお世話になりっぱなしなんです。もうこれ以上迷惑は……」
「待ってくれ、迷惑だなんて思っていない! もっと頼ってくれて良い!」
「え、でも」
「だってさ、聞いただろ? 長い付き合いの友人同士の悪ふざけだ。あんたが気に病む必要はこれっぽっちも無い。あんたがゲームに負けても、こいつは親友に借金を返すだけだ。それでも嫌なのか?」
「それでも、私の事で私が負けて、それでストラディゴスさんが嫌な思いをするのは、嫌です! エルムさんと私の勝負なら、私が責任を取ります!」
「なら、負けた場合どうする? 金は無いんだろ? 他をあたるか? ウチのもう二人の魔法使いのサヘラとマーゴスなら今は王都だ。待つなら待つで大変だし、あいつらはストラディゴスとは仲が悪い。俺みたいなサービスは無いぞ? それとも別に魔法使いなんかに頼らなくても良い質問なのか?」
「負けたら、その時は私が払います」
「……俺は別に構わんが、どうやって払う?」
「必ず働いて返します」
「ほぉ、こいつに借りを作りたくない……だけでは無いのか。はぁ、はぁ、はぁ、と。なるほど、なるほど。会えば分かるか、面白い。『エルムさんと私の勝負』ね。よし、その条件を飲もう」
エルムは、彩芽に対して興味が湧いてきた。
リスクを自分の物にした事で、エルムと対等の対戦相手となったとエルムは受け取ったのだ。
これは、ゲームが好きだが、今回は完全にストラディゴスに意地悪をしに来ていたエルムにとって、予想外の事態であり、嬉しい誤算でもあった。
「あの、ちなみにいくら必要なんですか?」
「ん? そうか、相場を知らないなら先に金額を提示するのがフェアってもんだな。俺が城の魔法使いとして助言を与える相場は、質問に答えを与えられなくても一回一千フォルトだ」
「……一千フォルトって、どれぐらいの価値ですか?」
「あんた、本当にどこから来たんだ? まあ、そうだな。仮に、あんたが負けて俺の下で何でもすれば、一ヵ月で返せる。つまりひと月ただ働きして貰う事になる。住む場所と飯はぐらいは、最低限なら提供するがね……なあ、ストラディゴス、それは良い考えだと思わないか? アヤメが俺の使用人になる。(ストラディゴスの嫌がる姿を)想像するだけで楽しくなってきた」
「お前、俺がいつまでも我慢して聞いてると思うなよ」
「はっはっは、最後に決めるのは、お前じゃない。これは俺とアヤメの勝負だ。さっきまでは当事者だったが、今のお前は部外者だ。そこでアヤメ、提案だ。あんたが勝ったらすぐに質問には答えるし、更にあんたの要求を何でも一つ聞いてやる。あんたが負けた時は、一ヵ月間、俺の下で専属の使用人として働いてもらう。あんたが逃げ出さなければ、その時は質問に答える。この条件でどうだ?」
「わかりました……やります!」
「待て、エルム。なら、そのゲーム、俺も参加させろ」
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