【完結】貧乏男爵家のガリ勉令嬢が幸せをつかむまでー平凡顔ですが勉強だけは負けませんー

華抹茶

文字の大きさ
6 / 17

6

しおりを挟む
 
 そして翌日、教室へ行けばブランディス様は私の机の前で待っていた。私の机の前で。なぜ?

「おはようございます、アルタマン嬢。元気になられたようでよかったです。
 ……これを。貴女が休んでいた間の授業のノートです。私が作ったのでお気に召さないところもあるかとは思いますが、ないよりは良いかと」

「おはようございます。あ、あの…とても助かります。ありがとうございます。それと部屋の贈り物ありがとうございました。びっくりしました。あんな高価な物本当に受け取っていいんでしょうか」

「気にしないでください。むしろあの程度で申し訳ないほどです。ですが貴女の好みもわからなかったので適当に選んでしまいました。申し訳ありません」

 は? あの程度ですって!? 十分すぎますから! それにセンスが良すぎて適当だなんて思えない。

「い、いえ。本当に素晴らしいお品で驚きました。本当にありがとうございます」

「良かった。そう言っていただけて安心しました」

 ひえぇっ! またそんな満面の笑顔やめてください!! 心臓に、私の心臓に悪いので!!
 周りの方たちも、ブランディス様の美しすぎる笑顔にやられてますから。本当に顔面偏差値の高い人の笑顔は心臓に悪いわ。


 それからの毎日はブランディス様と更に関わるようになってしまった。放課後図書室で勉強していると、時間がある時はブランディス様もいらっしゃって2人であれこれ相談しながら勉強するようになった。いつも1人で勉強していたからわからないところや疑問に思っていることを相談しながら進めていけるのですごく捗る。
 しかも相手は秀才のブランディス様。こちらがわからないところを聞いてもさらっと答えてくれる。なんでこんなにすごい人が私をライバルにしたんだろうか……。次は全力で試験を受けたとしても勝てそうにない。


 そして迎えた3回目の試験で私は2位になった。1位はもちろんブランディス様。
 今回は全力で試験に挑んだけど僅差で負けてしまった。やっぱりね、と思いながらも悔しいと思ってしまう。

「おめでとうございます、ブランディス様。今回は完敗です」

「ありがとうございます。1位を取ることが出来ましたがかなり危なかったですね。ですが今回勝ちは勝ちです」

「はい。次は私が勝ちますから! 覚悟してくださいね!」

「それは楽しみです。私も負けませんから」

 今ではすっかり打ち解けてしまって、家格がどうとか気にしなくなっている。それにこうやってお互い切磋琢磨出来るこの関係がとても心地よくて楽しい。


「あ、そうです。日頃の感謝を込めて今度の週末にでもどこか出かけませんか? この前いろいろとお贈りさせていただきましたが、貴女の好みを聞かずに送ってしまったので。貴女の好きなものを贈らせてください」

「え!? そ、それは恐れ多いです。気にしないでください! 前にいただいたもので十分です! 
 それに週末は家に帰らなければならないので申し訳ないのですが…」


 はぁびっくりしたぁ……。どこか出かけようなんて誘われるとは思わなかった。
 危ない危ない。勘違いしそうになるわ。もしかして私のことを? なんて。

 こんな平凡顔の貧乏貴族の娘を好きになる人なんているわけないのに。あれだけ縁談で断られてきた結果が全てを物語っている。
 ベティーナ、現実を見るのよ。


 そして週末家に帰った。

「ヨアヒムー--!! ただいまー! 会いたかったわ!」

「姉上! お帰りなさい! 僕も会いたかったです!」

 かぁー----! 可愛い! いつ見ても可愛い! ここには可愛いが溢れているわ!!

 会えなかった1週間の出来事を聞きながら一緒に庭の家庭菜園で畑仕事をする。今日もしっかり野菜が収穫出来ていい感じ。今日はたっぷり野菜のごろごろシチューでも作ろうかしら。ヨアヒムの大好物だし。

 そしてキッチンで夕食の準備をしているとヨアヒムがやってきた。

「姉上! 姉上にお客様がいらっしゃってます。今は父上が対応してますが、姉上も早く向かってください!」

 え? お客様? 私を訪ねてくるお客様なんて誰もいないはずだけど?

 不思議に思い、応接間に向かうとそこにはありえない人物がいた。

「え!? ブランディス様!? なぜここに!?」

「ああ、アルタマン嬢。事前に連絡もなく突然お邪魔して申し訳ない。どうぞこちらを」

 そう言って手渡されたのは色とりどりの綺麗な花束。こんな綺麗な花束なんて貰ったの初めて。
 飾り気のない我が家が一気に華やかになった気がする。

「あ、ありがとうございます。花束なんて初めて貰ったのでとても嬉しいです。ですが、なぜ突然こちらに?」

「いえ、近くに来たものですから貴女にお会いしようと思って。お出かけを断られてしまいましたのでせめて花束だけでも、と」

 え? え? え? 嘘なんでどうして。こんなことされて私は間違いなく真っ赤になってる。平凡顔の赤面なんて需要ないのに。

「なんだか今日はとてもいい匂いがしますね。美味しそうな……。もしかして夕食の準備でも?」

「あ、は、はい! うちは貧乏なので、食事は私が作っているのですが…。
 その匂いが付いていたのですね、申し訳ありません」

 ううう…恥ずかしい…。普通のご令嬢は料理なんてしないから、体からご飯の匂いなんてさせないよね。むしろ香水のいい香りがするはずだもの。

「もしよろしければご一緒にどうですか?」

「ちょ! お父様!? ブランディス様にそんな粗末なもの食べさせられるわけないでしょう!?」

 何を言っているんだこの人は!? 信じられない! ブランディス様だって迷惑に決まってる!

「おや、いいのですか? それは嬉しいですね。ぜひご相伴にあずからせてください」

 はぁ!? 嘘でしょう!? なんで!? なんでそんなに嬉しそうなのー-!?

「あ、あの! ブランディス侯爵家では食べられないほど粗末な物しか出せません! そんな恥ずかしい物をお出しするわけにはっ……」

「それはさぞかし素朴な家庭料理なのでしょうね。私も一度そのような家庭料理を味わってみたいと思っていたのです。楽しみですね」

 ……待って。意味が分からない。侯爵家のご令息がそんな家庭料理食べてみたいとかどういうこと!? うちで食べてるのは貴族とは思えないほど質素な食事なんですけど!?
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

腹違いの妹にすべてを奪われた薄幸の令嬢が、義理の母に殴られた瞬間、前世のインテリヤクザなおっさんがぶちギレた場合。

灯乃
ファンタジー
十二歳のときに母が病で亡くなった途端、父は後妻と一歳年下の妹を新たな『家族』として迎え入れた。 彼らの築く『家族』の輪から弾き出されたアニエスは、ある日義母の私室に呼び出され――。 タイトル通りのおっさんコメディーです。

麗しの王子殿下は今日も私を睨みつける。

スズキアカネ
恋愛
「王子殿下の運命の相手を占いで決めるそうだから、レオーネ、あなたが選ばれるかもしれないわよ」 伯母の一声で連れて行かれた王宮広場にはたくさんの若い女の子たちで溢れかえっていた。 そしてバルコニーに立つのは麗しい王子様。 ──あの、王子様……何故睨むんですか? 人違いに決まってるからそんなに怒らないでよぉ! ◇◆◇ 無断転載・転用禁止。 Do not repost.

妹の身代わりに殺戮の王太子に嫁がされた忌み子王女、実は妖精の愛し子でした。嫁ぎ先でじゃがいもを育てていたら、殿下の溺愛が始まりました・長編版

まほりろ
恋愛
 国王の愛人の娘であるアリアベルタは、母親の死後、王宮内で放置されていた。  食事は一日に一回、カビたパンやまふ腐った果物、生のじゃがいもなどが届くだけだった。  しかしアリアベルタはそれでもなんとか暮らしていた。  アリアベルタの母親は妖精の村の出身で、彼女には妖精がついていたのだ。  その妖精はアリアベルタに引き継がれ、彼女に加護の力を与えてくれていた。  ある日、数年ぶりに国王に呼び出されたアリアベルタは、異母妹の代わりに殺戮の王子と二つ名のある隣国の王太子に嫁ぐことになり……。 「Copyright(C)2023-まほりろ/若松咲良」 ※無断転載を禁止します。 ※朗読動画の無断配信も禁止します。 ※小説家になろうとカクヨムにも投稿しています。 ※中編を大幅に改稿し、長編化しました。2025年1月20日 ※長編版と差し替えました。2025年7月2日 ※コミカライズ化が決定しました。商業化した際はアルファポリス版は非公開に致します。

【完結】うちの悪役令嬢はヒロインよりも愛らしい

らんか
恋愛
前世の記憶を思い出した今なら分かる。  ヒロインだからって、簡単に王子様を手に入れていいの?  婚約者である悪役令嬢は、幼い頃から王子妃になる為に、厳しい淑女教育を受けて、頑張ってきたのに。  そりゃ、高圧的な態度を取る悪役令嬢も悪いけど、断罪するほどの事はしていないでしょ。  しかも、孤独な悪役令嬢である彼女を誰も助けようとしない。    だから私は悪役令嬢の味方なると決めた。  ゲームのあらすじ無視ちゃいますが、問題ないよね?

婚約破棄で悪役令嬢を辞めたので、今日から素で生きます。

黒猫かの
恋愛
「エリー・オルブライト! 貴様との婚約を破棄する!」 豪華絢爛な夜会で、ウィルフレッド王子から突きつけられた非情な宣告。 しかし、公爵令嬢エリーの心境は……「よっしゃあ! やっと喋れるわ!!」だった。

悲報!地味系令嬢、学園一のモテ男に「嘘の告白」をされる。

恋せよ恋
恋愛
「君のひたむきさに心打たれた」 学園の王子様、マーロン侯爵令息から突然の告白。 けれどそれは、退屈な優等生である彼が仕掛けた「罰ゲーム」だった。 ターゲットにされたのは、地味で貧乏な子爵令嬢・サブリナ。 彼女は震える声で告白を受け入れるが――眼鏡の奥の瞳は、冷徹に利益を計算していた。 (侯爵家の独占契約……手に入れたも同然だわ!) 実は、サブリナの正体は王都で話題の「エアハート商会」を率いる敏腕マネージャー。 「嘘の告白」をした男と、「嘘の快諾」をした女。 互いに利用し合うつもりが、いつの間にか本気に……? お互いの本性を隠したまま進む、腹黒×腹黒の騙し合いラブコメディ! 🔶登場人物・設定は筆者の創作によるものです。 🔶不快に感じられる表現がありましたらお詫び申し上げます。 🔶誤字脱字・文の調整は、投稿後にも随時行います。 🔶今後もこの世界観で物語を続けてまいります。 🔶 『エール📣』『いいね❤️』励みになります!

絶望?いえいえ、余裕です! 10年にも及ぶ婚約を解消されても化物令嬢はモフモフに夢中ですので

ハートリオ
恋愛
伯爵令嬢ステラは6才の時に隣国の公爵令息ディングに見初められて婚約し、10才から婚約者ディングの公爵邸の別邸で暮らしていた。 しかし、ステラを呼び寄せてすぐにディングは婚約を後悔し、ステラを放置する事となる。 異様な姿で異臭を放つ『化物令嬢』となったステラを嫌った為だ。 異国の公爵邸の別邸で一人放置される事となった10才の少女ステラだが。 公爵邸別邸は森の中にあり、その森には白いモフモフがいたので。 『ツン』だけど優しい白クマさんがいたので耐えられた。 更にある事件をきっかけに自分を取り戻した後は、ディングの執事カロンと共に公爵家の仕事をこなすなどして暮らして来た。 だがステラが16才、王立高等学校卒業一ヶ月前にとうとう婚約解消され、ステラは公爵邸を出て行く。 ステラを厄介払い出来たはずの公爵令息ディングはなぜかモヤモヤする。 モヤモヤの理由が分からないまま、ステラが出て行った後の公爵邸では次々と不具合が起こり始めて―― 奇跡的に出会い、優しい時を過ごして愛を育んだ一人と一頭(?)の愛の物語です。 異世界、魔法のある世界です。 色々ゆるゆるです。

狂おしいほど愛しています、なのでよそへと嫁ぐことに致します

ちより
恋愛
 侯爵令嬢のカレンは分別のあるレディだ。頭の中では初恋のエル様のことでいっぱいになりながらも、一切そんな素振りは見せない徹底ぶりだ。  愛するエル様、神々しくも真面目で思いやりあふれるエル様、その残り香だけで胸いっぱいですわ。  頭の中は常にエル様一筋のカレンだが、家同士が決めた結婚で、公爵家に嫁ぐことになる。愛のない形だけの結婚と思っているのは自分だけで、実は誰よりも公爵様から愛されていることに気づかない。  公爵様からの溺愛に、不器用な恋心が反応したら大変で……両思いに慣れません。

処理中です...