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第7章 月の女神と光の乙女
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「色持ちの娘を売る…」
宰相の言葉にユークは絶句した。
室内にいた他の者も皆一様に驚きの様子を隠せなかった。
ロゼの魔力の暴発の衝撃は王宮にいたユークたちの元へも伝わっていた。
急いでノワール家へ向かおうとしたランドに、ユークとオリエンスも同行したのだ。
回復した侍女ハンナから事情を聞いた宰相は、それを集まった五家の青年たちに伝えた。
「———これまで色持ちの娘が生まれた事はなかったそうだからこういった事は起きなかったが…」
宰相は深く息を吐いた。
「今回取引しようとしていた相手はこれから調べるが、それ以外でも狙われているのかもしれない。…このような可能性がある事を予測していなかったのはこちらの落度だ」
「情報収集や警備…色々考え直さないとなりませんね」
「外交問題にも関わるからな」
オリエンスの言葉に宰相は頷いた。
「…まさか…ルーチェも狙われるのか?」
ユークは隣にいたルーチェを抱き寄せた。
「その可能性も考えた方が良いでしょう」
ルーチェが魔力を持つ事はごく一部の者しか知らない事だが、どこから外へ漏れるかも分からないのだ。
「この件については至急会議を行いますが、とり急ぎ警備の強化はいたしますので」
「…ああ、頼む」
ユークはルーチェを強く抱きしめた。
「ロゼが目を覚ましそうだ」
ロゼを診ていたランドの声に一同ははっとしてベッドを見た。
長い睫毛が震えると、ゆっくりと天青石色の瞳が現れた。
「ロゼ」
数回瞬きをすると、ロゼは自分の周囲に集まる人々を見渡した。
「ロゼ…大丈夫か?分かるか?」
「…おにいさま…」
掠れているけれどはっきりと答えた声に安堵の笑みを浮かべて、フェールはロゼの頭を撫でた。
「ロゼ…まだ起きるな」
「いいえ…」
起き上がろうとするのをフェールが制しようとするのを遮り上体を起こすと、ロゼは改めて集まった者たちを見渡した。
「皆さま…殿下までどうして…」
「もの凄い衝撃があったのだ。気にもなるだろう」
「———それは…ご迷惑をおかけいたしました」
「ロゼ」
頭を下げたロゼの側にヴァイスが膝をついた。
「君が謝る必要はない。全てあの男が悪いのだ…すまない」
「…では…ヴァイス様も謝らないで下さい」
ヴァイスを見つめてロゼは言った。
「———無事で良かった」
ヴァイスはロゼを抱きしめた。
「本当に…君にもしもの事があったらと思うと…」
「ヴァイス様…」
ひとしきりヴァイスの腕の中でその温もりを感じると、ロゼは頭を巡らせルーチェを見た。
ロゼと目があったルーチェは泣きそうな顔をしていた。
「ルーチェ…ありがとう、ずっと魔力を注いでいてくれたでしょう」
セレネと話をしている間、ルーチェの魔力を感じていた。
ロゼには外の様子は見えなかったが、ルーチェがロゼを回復させようとしているのだとセレネが教えてくれたのだ。
「ロゼ」
ロゼが伸ばした手に縋るようにルーチェは親友に抱きついた。
「良かった…あのまま目を覚さなかったらと思ったら…」
「…ルーチェ。あなたに話があるの」
ロゼはルーチェの顔を覗き込んだ。
「話?」
「私じゃなくて…セレネが」
「え?」
「今代わるわね」
ルーチェから身体を離したロゼの身体を光が包み込んだ。
光が消えると、銀色の髪をしたロゼが現れた。
「…ロゼ…?」
『ひかり』
それはロゼとは異なる声だった。
『私の願いを受けてくれて、この世界でロゼの側にいてくれてありがとう』
「…あの時の…やっぱりあなたがセレネだったの…?」
驚く一同を見渡して、銀髪のロゼ———セレネは頷いた。
『私はロゼが生まれてからずっと、彼女の中にいたの。ここでロゼを通して外の世界を見ていたわ』
セレネは自分の胸に手を当てた。
『そして向こうの世界でひかりに会って、この子の力が必要だと思ったの。それであなたをこの世界に転生させた…でもそのせいであなたを向こうの世界や家族から引き離してしまったわ』
セレネはルーチェを見上げた。
『私の魔力も残り少ないし、時間もないの。でも今ならひかり、あなたを元の世界に戻せるわ』
「え…」
『ひかり、あなたは帰りたい?』
ロゼと同じ瞳がルーチェを見つめた。
宰相の言葉にユークは絶句した。
室内にいた他の者も皆一様に驚きの様子を隠せなかった。
ロゼの魔力の暴発の衝撃は王宮にいたユークたちの元へも伝わっていた。
急いでノワール家へ向かおうとしたランドに、ユークとオリエンスも同行したのだ。
回復した侍女ハンナから事情を聞いた宰相は、それを集まった五家の青年たちに伝えた。
「———これまで色持ちの娘が生まれた事はなかったそうだからこういった事は起きなかったが…」
宰相は深く息を吐いた。
「今回取引しようとしていた相手はこれから調べるが、それ以外でも狙われているのかもしれない。…このような可能性がある事を予測していなかったのはこちらの落度だ」
「情報収集や警備…色々考え直さないとなりませんね」
「外交問題にも関わるからな」
オリエンスの言葉に宰相は頷いた。
「…まさか…ルーチェも狙われるのか?」
ユークは隣にいたルーチェを抱き寄せた。
「その可能性も考えた方が良いでしょう」
ルーチェが魔力を持つ事はごく一部の者しか知らない事だが、どこから外へ漏れるかも分からないのだ。
「この件については至急会議を行いますが、とり急ぎ警備の強化はいたしますので」
「…ああ、頼む」
ユークはルーチェを強く抱きしめた。
「ロゼが目を覚ましそうだ」
ロゼを診ていたランドの声に一同ははっとしてベッドを見た。
長い睫毛が震えると、ゆっくりと天青石色の瞳が現れた。
「ロゼ」
数回瞬きをすると、ロゼは自分の周囲に集まる人々を見渡した。
「ロゼ…大丈夫か?分かるか?」
「…おにいさま…」
掠れているけれどはっきりと答えた声に安堵の笑みを浮かべて、フェールはロゼの頭を撫でた。
「ロゼ…まだ起きるな」
「いいえ…」
起き上がろうとするのをフェールが制しようとするのを遮り上体を起こすと、ロゼは改めて集まった者たちを見渡した。
「皆さま…殿下までどうして…」
「もの凄い衝撃があったのだ。気にもなるだろう」
「———それは…ご迷惑をおかけいたしました」
「ロゼ」
頭を下げたロゼの側にヴァイスが膝をついた。
「君が謝る必要はない。全てあの男が悪いのだ…すまない」
「…では…ヴァイス様も謝らないで下さい」
ヴァイスを見つめてロゼは言った。
「———無事で良かった」
ヴァイスはロゼを抱きしめた。
「本当に…君にもしもの事があったらと思うと…」
「ヴァイス様…」
ひとしきりヴァイスの腕の中でその温もりを感じると、ロゼは頭を巡らせルーチェを見た。
ロゼと目があったルーチェは泣きそうな顔をしていた。
「ルーチェ…ありがとう、ずっと魔力を注いでいてくれたでしょう」
セレネと話をしている間、ルーチェの魔力を感じていた。
ロゼには外の様子は見えなかったが、ルーチェがロゼを回復させようとしているのだとセレネが教えてくれたのだ。
「ロゼ」
ロゼが伸ばした手に縋るようにルーチェは親友に抱きついた。
「良かった…あのまま目を覚さなかったらと思ったら…」
「…ルーチェ。あなたに話があるの」
ロゼはルーチェの顔を覗き込んだ。
「話?」
「私じゃなくて…セレネが」
「え?」
「今代わるわね」
ルーチェから身体を離したロゼの身体を光が包み込んだ。
光が消えると、銀色の髪をしたロゼが現れた。
「…ロゼ…?」
『ひかり』
それはロゼとは異なる声だった。
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「…あの時の…やっぱりあなたがセレネだったの…?」
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セレネはルーチェを見上げた。
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「え…」
『ひかり、あなたは帰りたい?』
ロゼと同じ瞳がルーチェを見つめた。
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