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第2章 もふもふ鳥の抱える苦悩
13話 束の間の休息
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ううん、なんかふわふわする。
寝心地が最高だ。
あれ? 僕って、昨日何してたっけ?
「そうだ、誘拐されたんだ!!」
「あ、起きたのね」
僕の目の前には、平民の服を着たリリアナがいる。
僕のすぐ横には、寛いでいるマグナリアもいる。
「リリアナ、ここって何処だっけ?」
「寝ぼけてるの? ここは、ノアニーレ村の村長の家よ。アキトったら、家に到着した途端、寝ちゃったのよ」
そういえば、家に到着してからの記憶がない。
「人のことを言えない、リリアナも似たようなもの。アキトが家の前で力尽きた後、君も家に入った瞬間に力尽きたのだから。おまけに、さっき起きた時の一言がおもしろ…」
「ちょっと~余計な事を言わないで下さい!!」
「むが」
リリアナが急に慌て出して、マグナリアの口を塞いだ。
「僕の寝ている間に、何かあったの?」
「大丈夫、何もないから!!」
その割に、顔が赤いけど? マグナリア、心の声でいいから教えて。
『リリアナがソファーで寝てしまった後、村長たちは起こさないよう、一旦彼女を寝ているアキトの横にそっと置いた。その後、隣室の部屋を片付け、そこのベッドへ移動させる予定だったけど、リリアナはアキトの右手を握り締め、絶対に離そうとしなかった。村長も困り果てていたため、私の責任で同じベッドに寝かせることにした。そして今から20分前、彼女が起きて……事情については説明しているから、何も言わないあげて』
そうするよ、なんか怒られそうだもん。
あれ? 僕の服が寝巻きになっていて、何故か身体がスッキリしているし、全然汚れていない。
「僕たちの服は?」
「メイドたちが寝ているリリアナとアキトの服を脱がして、お湯を染み込ませたタオルで身体を綺麗に拭いてから、寝巻きを着せて、今いるベッドに寝かした。服に関しては洗濯中だから、乾くまでそこに置かれている服を着てほしいと言ってた」
道理で、身体がすっきりしているわけだ。テーブルの上に、綺麗に折り畳まれた服があるから、それに着替えればいいのか。僕は起き上がり、着替えていく。
「襟が変な方向に曲がってる。服を着たら、鏡で整えないとだめよ」
「あ、本当だ。これでいい?」
鏡で確認したら、左後ろ付近が変に折り曲がってたから、僕は自分で整える。
「ええ、似合ってるわ」
「リリアナも、自分でお着替え出来るの? メイドが服を用意して、着替えさせるって聞いたことあるけど?」
以前、お母さんが言ってた。
「服を着る作業に関しては自分でやるけど、服選びや着た後の身嗜みを整える作業に関しては、メイドに手伝ってもらうわ」
ああ、服のセンスって、人で違うもんね。貴族がダサい格好をしていたら、みんなに笑われてしまい、その人の評価だって低下する。それに男の子と違って、女の子はお化粧をするから、準備にも時間がかかるって、お母さんが言ってた。
「こうして2人を見ると、姉弟に見える」
「僕は1人っ子だから、そういうのわかんないけど、リリアナがお姉ちゃんだったら、毎日がもっと楽しくなるかもね」
「私には兄がいるけど、弟はいないわ。確かに、アキトのような弟がいたら、今まで以上に楽しい生活が待っているかもね」
僕たちは笑っていると、2人のお腹がほぼ同時にキュ~っと音が鳴る。その途端、リリアナが顔を真っ赤にする。
「着替え終わったし、ご飯を食べたいところだけど……あるのかな?」
ここは村長様の家だし、お金だって払っていないから心配だよ。
「勿論、あるわ。時間的にそろそろだから、リビングに行きましょう」
「やった!!」
昨日と違い、僕たちは足取りを軽くして、部屋を出ていく。
○○○
リビングに行くと、50歳くらいの女性がいた。リリアナは既に挨拶を終え打ち解けていたようで、女性に対して平民口調で話している。僕も自己紹介すると、女性はダリアと名乗り、村長様の奥さんだった。僕たちはダリアさんに勧められ、テーブル席に座り、用意してくれたハムエッグや少し固いパン、サラダ、果物類を食べていく。
「アキト君やリリアナ様を見ていると、結婚して街へ引っ越した息子や娘たちの子供の頃を思い出すわ。どんどん、食べてね」
「はい」「ありがとうございます」
精霊マグナリアの場合、人と同じものを食する必要はないらしいけど、今は果物類をガツガツと食べている。全てを食べ終え一息付くと、ダリアさんが僕たちに話しかけてくる。
「この村の名物は、温泉なの。入ってみない?」
「温泉があるんですか!?」
僕の住む領都ミントスにも、温泉があって、お父さんとよく入りにいってる。
僕は、温泉が大好きなんだ!!
「あるわよ~。しかも、あなたたちの住むミントスと、泉質がかなり違うの。温泉施設として開放されているから、昨日の疲労を回復させるためにも入ってきなさい。今日のお昼頃には領主様も来られるから、のんびり浸れるのは、お昼までよ。はい、これは入浴料ね」
そう言うと、ダリアさんは僕たちに鉄貨6枚をくれた。
お風呂代は、1人鉄貨3枚-300ゴルドなのか。
「ダリアさん、ありがとうございます!!」
「私も、ミントスとは違う泉質に興味があります。ありがたく、使わせて頂きます」
僕たちはダリアさんの子供たちのお古の着替えを貰い、タオルとバスタオルを持って、教えてもらった温泉施設へと向かう。紙に書かれた通りに歩いていくと、少し大きな建物が見えてきた。
「看板がある。これが温泉施設なんだ」
看板には、泉質の説明や施設に配備されている物の名称が記載されている。ダリアさんから話を聞いた限り、設置されている器具類に関しては、辺境伯領領都ミントスにもある器具類と同タイプらしいから、扱い方もわかるはずだ。
「建物の作りが、ミントスと少し違うわ。山一つ隔たることで、どんな違いが出るのか楽しみね。さあ、入りましょう」
僕たちが温泉施設の中に入ると、奥には入口が2つあった。《男湯》と《女湯》と書かれてる。
「僕は、左の男湯だね」
左の扉へ向かおうとしたとき、リリアナが服の裾を掴んだ。
「あなたもこっちよ。せっかくだから、3人で一緒に入りましょう」
「え?」
リリアナもマグナリアも女の子だから女湯でいいけど、僕は男の子だから男湯に入らないとダメだよ。
僕が拒否の言葉を告げようとした時、服を掴むリリアナの手が震えているのに気づく。誘拐犯たちから逃げることに成功したのに、どうして震えているの?
寝心地が最高だ。
あれ? 僕って、昨日何してたっけ?
「そうだ、誘拐されたんだ!!」
「あ、起きたのね」
僕の目の前には、平民の服を着たリリアナがいる。
僕のすぐ横には、寛いでいるマグナリアもいる。
「リリアナ、ここって何処だっけ?」
「寝ぼけてるの? ここは、ノアニーレ村の村長の家よ。アキトったら、家に到着した途端、寝ちゃったのよ」
そういえば、家に到着してからの記憶がない。
「人のことを言えない、リリアナも似たようなもの。アキトが家の前で力尽きた後、君も家に入った瞬間に力尽きたのだから。おまけに、さっき起きた時の一言がおもしろ…」
「ちょっと~余計な事を言わないで下さい!!」
「むが」
リリアナが急に慌て出して、マグナリアの口を塞いだ。
「僕の寝ている間に、何かあったの?」
「大丈夫、何もないから!!」
その割に、顔が赤いけど? マグナリア、心の声でいいから教えて。
『リリアナがソファーで寝てしまった後、村長たちは起こさないよう、一旦彼女を寝ているアキトの横にそっと置いた。その後、隣室の部屋を片付け、そこのベッドへ移動させる予定だったけど、リリアナはアキトの右手を握り締め、絶対に離そうとしなかった。村長も困り果てていたため、私の責任で同じベッドに寝かせることにした。そして今から20分前、彼女が起きて……事情については説明しているから、何も言わないあげて』
そうするよ、なんか怒られそうだもん。
あれ? 僕の服が寝巻きになっていて、何故か身体がスッキリしているし、全然汚れていない。
「僕たちの服は?」
「メイドたちが寝ているリリアナとアキトの服を脱がして、お湯を染み込ませたタオルで身体を綺麗に拭いてから、寝巻きを着せて、今いるベッドに寝かした。服に関しては洗濯中だから、乾くまでそこに置かれている服を着てほしいと言ってた」
道理で、身体がすっきりしているわけだ。テーブルの上に、綺麗に折り畳まれた服があるから、それに着替えればいいのか。僕は起き上がり、着替えていく。
「襟が変な方向に曲がってる。服を着たら、鏡で整えないとだめよ」
「あ、本当だ。これでいい?」
鏡で確認したら、左後ろ付近が変に折り曲がってたから、僕は自分で整える。
「ええ、似合ってるわ」
「リリアナも、自分でお着替え出来るの? メイドが服を用意して、着替えさせるって聞いたことあるけど?」
以前、お母さんが言ってた。
「服を着る作業に関しては自分でやるけど、服選びや着た後の身嗜みを整える作業に関しては、メイドに手伝ってもらうわ」
ああ、服のセンスって、人で違うもんね。貴族がダサい格好をしていたら、みんなに笑われてしまい、その人の評価だって低下する。それに男の子と違って、女の子はお化粧をするから、準備にも時間がかかるって、お母さんが言ってた。
「こうして2人を見ると、姉弟に見える」
「僕は1人っ子だから、そういうのわかんないけど、リリアナがお姉ちゃんだったら、毎日がもっと楽しくなるかもね」
「私には兄がいるけど、弟はいないわ。確かに、アキトのような弟がいたら、今まで以上に楽しい生活が待っているかもね」
僕たちは笑っていると、2人のお腹がほぼ同時にキュ~っと音が鳴る。その途端、リリアナが顔を真っ赤にする。
「着替え終わったし、ご飯を食べたいところだけど……あるのかな?」
ここは村長様の家だし、お金だって払っていないから心配だよ。
「勿論、あるわ。時間的にそろそろだから、リビングに行きましょう」
「やった!!」
昨日と違い、僕たちは足取りを軽くして、部屋を出ていく。
○○○
リビングに行くと、50歳くらいの女性がいた。リリアナは既に挨拶を終え打ち解けていたようで、女性に対して平民口調で話している。僕も自己紹介すると、女性はダリアと名乗り、村長様の奥さんだった。僕たちはダリアさんに勧められ、テーブル席に座り、用意してくれたハムエッグや少し固いパン、サラダ、果物類を食べていく。
「アキト君やリリアナ様を見ていると、結婚して街へ引っ越した息子や娘たちの子供の頃を思い出すわ。どんどん、食べてね」
「はい」「ありがとうございます」
精霊マグナリアの場合、人と同じものを食する必要はないらしいけど、今は果物類をガツガツと食べている。全てを食べ終え一息付くと、ダリアさんが僕たちに話しかけてくる。
「この村の名物は、温泉なの。入ってみない?」
「温泉があるんですか!?」
僕の住む領都ミントスにも、温泉があって、お父さんとよく入りにいってる。
僕は、温泉が大好きなんだ!!
「あるわよ~。しかも、あなたたちの住むミントスと、泉質がかなり違うの。温泉施設として開放されているから、昨日の疲労を回復させるためにも入ってきなさい。今日のお昼頃には領主様も来られるから、のんびり浸れるのは、お昼までよ。はい、これは入浴料ね」
そう言うと、ダリアさんは僕たちに鉄貨6枚をくれた。
お風呂代は、1人鉄貨3枚-300ゴルドなのか。
「ダリアさん、ありがとうございます!!」
「私も、ミントスとは違う泉質に興味があります。ありがたく、使わせて頂きます」
僕たちはダリアさんの子供たちのお古の着替えを貰い、タオルとバスタオルを持って、教えてもらった温泉施設へと向かう。紙に書かれた通りに歩いていくと、少し大きな建物が見えてきた。
「看板がある。これが温泉施設なんだ」
看板には、泉質の説明や施設に配備されている物の名称が記載されている。ダリアさんから話を聞いた限り、設置されている器具類に関しては、辺境伯領領都ミントスにもある器具類と同タイプらしいから、扱い方もわかるはずだ。
「建物の作りが、ミントスと少し違うわ。山一つ隔たることで、どんな違いが出るのか楽しみね。さあ、入りましょう」
僕たちが温泉施設の中に入ると、奥には入口が2つあった。《男湯》と《女湯》と書かれてる。
「僕は、左の男湯だね」
左の扉へ向かおうとしたとき、リリアナが服の裾を掴んだ。
「あなたもこっちよ。せっかくだから、3人で一緒に入りましょう」
「え?」
リリアナもマグナリアも女の子だから女湯でいいけど、僕は男の子だから男湯に入らないとダメだよ。
僕が拒否の言葉を告げようとした時、服を掴むリリアナの手が震えているのに気づく。誘拐犯たちから逃げることに成功したのに、どうして震えているの?
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