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5章 猫の恩返し
58話 ミケーネによる奇想天外な除去方法
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私は、フリード様に敬愛の念を抱いている。人と違い、私たち猫や犬といった小型動物は、これまでスキルだけで、この世界を生きてきた。人のように、魔法を使いたいと思ったけど、どんなに努力しても使えなかった。これまでに出会った飼い猫や野良猫たちに聞いても、魔法を使える者はいない。私のような飼い猫はいいけど、野良猫たちにとって、これは死活問題なのよ。だから、私たちはフリード様に相談すると、想定外な言葉が返ってきた。
『魔法を使いたい? 猫などの野生動物は、元々の魔力量が低いので、攻撃魔法なんて行使できませんよ。仮に使えるようになれたとしても、2、3発が限界でしょう』
それを言われた時は、ショックで倒れそうになったけど、フリード様はすぐに私たちをフォローしてくれた。
『ですが、大気中に漂う魔素を基に構築された[法術]であれば使用可能です。ここから遥か離れた東方地域では野生動物も法術を使っていますが、こちらの地域は人も魔法を主体にしていますから、法術を使える野生動物たちも少ない。いいでしょう、これを機に、私があなたたちに法術を教えてあげます』
あの言葉を貰って以降、私たち猫は法術を教わり、身体の中に眠るスキルも呼び覚ましてくれたおかげで、劇的に強くなった。そんな街内にいる猫たちの中でも、私はレアスキルの影響で、猫たちからも強さも認められ、縄張りを広めることに成功した。
私の入手したスキルは、[液体操作]だ。液体を自在に操作できるので、周囲に存在する液体をあちこちに飛び散らしたりできるし、液体内部の分子運動を操作することで、内部の温度も自在に変化できるし、やろうと思えば、生物の中にある液体だって操作できる。それをシロに伝えたら…
『ミケーネ、すげ~~~。僕もフリード様から教わっているけど、そんなスキルを持ってない。使いこなせたら、世界最強になれるんじゃないの?』
『大袈裟よ。液体を自在に動かせるのは事実だけど、生物は魔力を持っているから、体内の液体を操作したい場合は、相手の抵抗力を上回る力で操作しないといけないの。私は、まだまだひよっこレベルだから、今は弱い生物にしか通用しないのよ』
まだ、生物に対しては満足な力を振るえないけど、周囲に存在する無垢の液体や魔力を失った生物、つまり討伐された魔物内に存在する液体なら操作可能よ。
『あ‼︎ このヌメリだって液体に属するから、操作できるってこと?』
『ふふ、その通りよ。こんなのちょちょいのちょいよ』
操作対象をこのヌメリにセットして、む…この…えい‼︎
これ何なの?
肉に纏わり付き弾力もあって、全然引き剥がせないわ。まるで、肉を守っている天然の鎧ね。でも、肉自体への接着力はそこまで強くない。それなら、剥がす方法はアレしかないわ。
『シロは風の法術を得意としていたわよね?』
『ああ、そうだよ』
『それなら、風であの肉を浮かせてちょうだい。それから、肉を中心とする半径50センチの風壁を作ってちょうだい。これからぬ肉に対して回転をかけていくから、その回転に合わせて、風壁も回転させて』
シロは首を傾げ、私の意図を掴めていない。
『それくらい良いけど、どうするのさ?』
『こうするのよ』
こういうのは、見た方が早い。私はヌメリだけを再度指定して、肉を中心に回転をかけていく。ふふふ、肉も回転しちゃうけど、回転の中心に指定しているから問題ないわ。ここで重要なのは、回転で発生する遠心力よ。外へ外へと押し出されていく力によって、肉にくっつくヌメリが、どんどんと剥がれていく仕組みよ。あとは、回転数を上昇していけば……
『すげ~~~、ヌメリが肉から引き剥がされていく‼︎』
ふふふ、ヌメリ自体が透明だから、肉眼でも確認できる。回転数をどんどん上昇させていくと、今度はヌメリ同士がプチプチと千切れていき、最後には回転によって生じた円形のヌメリが破裂して風壁にぶつかったので、回転を止める。シロも風壁解除すると、千切れたヌメリだけボトボトと床に落下したけど、距離が近いせいなのか、バラバラになっていたのが互いに引かれ合い、一つの大きなヌメリを形成させた。つくづく、気持ち悪い物体よね。
『ね、余裕で剥がせたでしょ?』
『ああ、すげ~~よ。このヌメリはいらないから、ゴミ箱行きかな?』
『一応、咲耶に聞いてからにしましょう』
咲耶とユウキ用のお土産-生肉なのだろうけど、テーブルの上に直に置いていく見学人なんて怪し過ぎる。一応、スキル[鑑定]をやっておきましょう。ふふふ、こんな便利なスキルを呼び起こしてくれたフリード様には感謝ね。
『テンタクルズオクトパス? これって、課題で出されていたものよね? なんで、そんな物を置いていくのよ。まあ、バッグだけを欲しがった窃盗犯ってとこかしら? へえ、領主様の言った通り、本当に食用可なのね。簡単に引き剥がせたけど、なんで人間は剥がすのに苦労しているのかしら? まあ、これなら食べても問題なさそうね。シロ、風魔法で切断して、みんなで半分ほど頂きましょう』
シロは弱気な性格だから、不安げな顔をしているわ。
『課題用の肉を食べてもいいの? 咲耶へのお土産でしょう?』
『大方、参加者の誰かが、咲耶に生肉だけを押し付けたのよ。まずは、私たちが毒見しましょう。食用可で毒もないけど、念の為の行為だから咲耶だって怒らないわよ』
『わかったよ。薄くスライスして、みんなで分け合おう』
シロが肉を二つに均等に切断して、うち1つを薄くスライスさせていく。人間ならここでお皿に乗せるのでしょうけど、私たち猫は地面の上でも構わないわ。シロも理解しているのか、スライスさせた肉を地面に落としていく。ここは芝生だから、地面に落ちても石ころとかも付きにくいから、楽に食べられるわ。
その光景を見ていた休憩中の猫たちがどんどん寄ってきて、皆が涎を垂らし、私の合図を待っている。
『よし、これでおっわり~~~~』
量としては500g程度だけど、11匹もいるから十分ね。
お腹も空いてきたし、近くに置かれている人数分のキャットフードと一緒に実食といきましょう‼︎
『魔法を使いたい? 猫などの野生動物は、元々の魔力量が低いので、攻撃魔法なんて行使できませんよ。仮に使えるようになれたとしても、2、3発が限界でしょう』
それを言われた時は、ショックで倒れそうになったけど、フリード様はすぐに私たちをフォローしてくれた。
『ですが、大気中に漂う魔素を基に構築された[法術]であれば使用可能です。ここから遥か離れた東方地域では野生動物も法術を使っていますが、こちらの地域は人も魔法を主体にしていますから、法術を使える野生動物たちも少ない。いいでしょう、これを機に、私があなたたちに法術を教えてあげます』
あの言葉を貰って以降、私たち猫は法術を教わり、身体の中に眠るスキルも呼び覚ましてくれたおかげで、劇的に強くなった。そんな街内にいる猫たちの中でも、私はレアスキルの影響で、猫たちからも強さも認められ、縄張りを広めることに成功した。
私の入手したスキルは、[液体操作]だ。液体を自在に操作できるので、周囲に存在する液体をあちこちに飛び散らしたりできるし、液体内部の分子運動を操作することで、内部の温度も自在に変化できるし、やろうと思えば、生物の中にある液体だって操作できる。それをシロに伝えたら…
『ミケーネ、すげ~~~。僕もフリード様から教わっているけど、そんなスキルを持ってない。使いこなせたら、世界最強になれるんじゃないの?』
『大袈裟よ。液体を自在に動かせるのは事実だけど、生物は魔力を持っているから、体内の液体を操作したい場合は、相手の抵抗力を上回る力で操作しないといけないの。私は、まだまだひよっこレベルだから、今は弱い生物にしか通用しないのよ』
まだ、生物に対しては満足な力を振るえないけど、周囲に存在する無垢の液体や魔力を失った生物、つまり討伐された魔物内に存在する液体なら操作可能よ。
『あ‼︎ このヌメリだって液体に属するから、操作できるってこと?』
『ふふ、その通りよ。こんなのちょちょいのちょいよ』
操作対象をこのヌメリにセットして、む…この…えい‼︎
これ何なの?
肉に纏わり付き弾力もあって、全然引き剥がせないわ。まるで、肉を守っている天然の鎧ね。でも、肉自体への接着力はそこまで強くない。それなら、剥がす方法はアレしかないわ。
『シロは風の法術を得意としていたわよね?』
『ああ、そうだよ』
『それなら、風であの肉を浮かせてちょうだい。それから、肉を中心とする半径50センチの風壁を作ってちょうだい。これからぬ肉に対して回転をかけていくから、その回転に合わせて、風壁も回転させて』
シロは首を傾げ、私の意図を掴めていない。
『それくらい良いけど、どうするのさ?』
『こうするのよ』
こういうのは、見た方が早い。私はヌメリだけを再度指定して、肉を中心に回転をかけていく。ふふふ、肉も回転しちゃうけど、回転の中心に指定しているから問題ないわ。ここで重要なのは、回転で発生する遠心力よ。外へ外へと押し出されていく力によって、肉にくっつくヌメリが、どんどんと剥がれていく仕組みよ。あとは、回転数を上昇していけば……
『すげ~~~、ヌメリが肉から引き剥がされていく‼︎』
ふふふ、ヌメリ自体が透明だから、肉眼でも確認できる。回転数をどんどん上昇させていくと、今度はヌメリ同士がプチプチと千切れていき、最後には回転によって生じた円形のヌメリが破裂して風壁にぶつかったので、回転を止める。シロも風壁解除すると、千切れたヌメリだけボトボトと床に落下したけど、距離が近いせいなのか、バラバラになっていたのが互いに引かれ合い、一つの大きなヌメリを形成させた。つくづく、気持ち悪い物体よね。
『ね、余裕で剥がせたでしょ?』
『ああ、すげ~~よ。このヌメリはいらないから、ゴミ箱行きかな?』
『一応、咲耶に聞いてからにしましょう』
咲耶とユウキ用のお土産-生肉なのだろうけど、テーブルの上に直に置いていく見学人なんて怪し過ぎる。一応、スキル[鑑定]をやっておきましょう。ふふふ、こんな便利なスキルを呼び起こしてくれたフリード様には感謝ね。
『テンタクルズオクトパス? これって、課題で出されていたものよね? なんで、そんな物を置いていくのよ。まあ、バッグだけを欲しがった窃盗犯ってとこかしら? へえ、領主様の言った通り、本当に食用可なのね。簡単に引き剥がせたけど、なんで人間は剥がすのに苦労しているのかしら? まあ、これなら食べても問題なさそうね。シロ、風魔法で切断して、みんなで半分ほど頂きましょう』
シロは弱気な性格だから、不安げな顔をしているわ。
『課題用の肉を食べてもいいの? 咲耶へのお土産でしょう?』
『大方、参加者の誰かが、咲耶に生肉だけを押し付けたのよ。まずは、私たちが毒見しましょう。食用可で毒もないけど、念の為の行為だから咲耶だって怒らないわよ』
『わかったよ。薄くスライスして、みんなで分け合おう』
シロが肉を二つに均等に切断して、うち1つを薄くスライスさせていく。人間ならここでお皿に乗せるのでしょうけど、私たち猫は地面の上でも構わないわ。シロも理解しているのか、スライスさせた肉を地面に落としていく。ここは芝生だから、地面に落ちても石ころとかも付きにくいから、楽に食べられるわ。
その光景を見ていた休憩中の猫たちがどんどん寄ってきて、皆が涎を垂らし、私の合図を待っている。
『よし、これでおっわり~~~~』
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