転生幼女のチートな悠々自適生活〜伝統魔法を使い続けていたら気づけば賢者になっていた〜

犬社護

文字の大きさ
37 / 83
本編

35話 目覚めたら暗闇

しおりを挟む
魔物ブラックパンサーのレパードが、アイリス様とメイリン様に続いて私を見つめてくる。うーん、何かを探られているかのような眼差しのせいで、全然触りたいと思わない。それを見透かされたのか、彼は少しだけ驚くような表情を私たちに見せる。

「お前は、私を見て何も感じないのか?」

彼は私を見て言ってるけど、どういう意味?

「強いていうなら、モフ度が足りない」
「モフ度?」

今思っていることをそのまま伝えたけど、わかってもらえなかった。

「気にしないで。私はユミル、あなたは14日間のレンタルを許可してくれますか?」

レパードは、私たちを交互に見ていく。

「少し予定と違うがいいだろう。14日間、私が責任を持って君たちを護衛しよう」

ふええ~、まるで人間の大人と会話を交わしているみたいだ。予定と違うと言っていたけど、何か別の用事でもあったのかな? 魔物との交渉だから、もっともたつくと思ったよ。

「レパード、宜しく。ユミル、メイリン、手続きが済み次第、帰るわよ」

あれ? なんか、アイリス様の口調が急にそっけなくなったような?
気のせいかな?

「そうですね」

メイリンさんも、さっきまでと違い、声に抑揚がない。
何かあったの?

私たちはすぐに先程の場所へと戻り、アイリス様がレンタル契約の手続きを進めていく。彼女の後方にいるメイリンさんも契約書に目を通しているので、私はレパードを見ると、何故か私の方に視線を向けていた。

「どうしたの?」
「いや…ユミルも、アイリスと共に王都へ行くのか?」
「街長様の許可さえ頂ければ、行くつもりだよ」

状況から考えて、行く可能性の方が高い。奴等の視線は、聖域とこの街に向けられているから、ここに留まる方がリスクも高くなる。ガルド様とリアテイル様の部下たちが接触できたことで、互いの連絡も容易になったから、トーイも私の護衛に復帰して一緒に王都へ来てくれると思う。

「そうか……」
「今、何か言った?」
「いいや、何も」

小声で何か言ったような気がしたけど?

「レパード、あなたは私の影に入って」
「了解した」

アイリス様がレパードに命令すると、彼はすんなりと命令を聞き、影へと入る。何だろう、この違和感は? アイリス様だって、こういった手続きはまだ不慣れなはずなのに、緊張感を感じ取れない。行きと帰りで、何か違う。この違和感が何かをわからないまま、私たちはカルバイン家専用の馬車に乗り、家路へと動き出す。

馬車の中では、何故かアイリス様もメイリン様も黙ったままだ。

「え? もしかして寝てるの?」

じ~っと見つめると、2人は寝息を立てている。
馬車に入って、まだ5分も経過していないのに、早過ぎない?

アイリス様は良いとして、メイドのメイリンさんが主人と一緒に寝たら駄目でしょう? 私が呼び掛けようとすると、不意に甘い匂いが部屋中に満たされていく。

「何、この匂い?」

なんか…眠くなって…きた…zzzzz。


○○○


「どういうこと? 余計な子供が付いているけど?」

何だろう…抑揚のない男性の声が聞こえる。

「昨日か今日になって、メイド見習いの幼女がアイリスに付いたんだ。あの幼女には、私のスキルが効かない。何かしらの耐性スキルを持っているから、お前から貰った眠り香を使わせてもらったぞ」

これは、レパードの声だ。

「まあ、いいか。依頼人の計画と少し違うけど、幼女だし問題ないよ」

なんだか、やる気のない声だ。
そもそも、何を話し合っているのだろう?
あれ? 身体を動かせない!!
あ、両手両足が縛られてる!!
両手は、背中側に縛られているんだ。
あれ? 目を開けているのに真っ暗だ!!

「はあ~あのな~今は任務遂行中なんだから、もう少しやる気を出せ」
「わかっているよ、五月蝿いな。引き渡しは……何時だっけ?」

ゆるい会話のおかげで、私の心も冷静になってきた。
誘拐…私たちは誘拐されたんだ。

「お前な……はあ~、今から1時間後だ。アイリスとメイドは俺の管理下にあるが、ユミルとかいう幼女は、そろそろ目覚める頃だ。どうする?」

「勿論、アイリスと一緒に渡すさ。彼女の処遇は、依頼人に任せよう……面倒臭いから」
「一言余計だ」

緊迫した状況のはずなのに…私の命が関わっているのに、何故かゆるい感じがするのは何故かな? 声も少し遠い感じがするし、もしかして私は別の部屋にいるの? アイリス様とメイリンさんも、周囲にいるのかな? 全然、気配を感じないよ。

レパードが、私たちを誘拐した。これは間違いない。
でも、どうやって? 

テイマーギルド付近は街の端っこに位置しているけど、人通りもそこそこある。しかも、私たちは馬車に乗っているし、馭者だっている。その状況下で、どうやって誘拐したの? 寝ちゃったせいで、全然わからない。騒ぎがあったら、寝ていても気づくはずなのに。

レパード達の目的は、アイリス様とメイリン様を誰かに引き渡すこと。このまま何もしなければ、私だけ殺されるの?

「扉の方を見てどうした?」
「どうやら気付いたようだ。こっちを見てる」

ふえ!? 何でわかるの!?

「心音が速くなった。間違いなく起きている……面倒いからレパード、宜しく」
「人…魔物任せかよ!!」

かなりまずい状況のはずなのに、あの男性のせいで調子が狂う。きいいっという音がなると、その方向から緩い風が吹く。どうやら、扉が開けられ、レパードが入ってきたようだ。

「ユミル、話を聞いていたな?」
「途中からだけど、聞いていたよ。ねえ、どうして私たちを誘拐したの?」

目隠しされているせいで、レパードの表情がわからない。

「お前も、災難だな。アイリスのメイド見習いに任命されなければ、今も自由に暮らせていただろうに」

ということは、私は巻き込まれただけ?
私の事情を知らないってこと?
色んな疑問が思い浮かぶけど、今は考えないでおこう

「悪いな、依頼主と主人からの命令で、私からは何も言えない。そうだな…アイリスとそのメイドの命に関しては保証されているが、お前の命に関しては依頼主次第とだけ言っておく。だから、もう少し危機感を持った方がいい。あの男のせいで、持てない理由もわかるがな」

……私だけ死ぬ可能性があるの? 
怖い…前世でも誘拐されたことなんてないから…すごく怖い。
心臓がドキドキする。

「ようやく、自分の置かれている状況を理解できたか」
「あ…アイリス様とメイリンさんは、周囲にいるの?」

トーイから気配察知とかも教わっているけど、さっきから殆ど気配を感じない。
何か、変だ。

「私の管理に置かれているから、あの2人は無事とだけ言っておこう。この家の中にもいる。あと、1時間ほどの辛抱だ。そこで、じっとしていろ」

それって、私の命はあと1時間と言われているのと同然じゃない!!

急に静かになり、扉が閉められた。私の置かれている状況も危険だけど、2人の状況の方がもっと危険かもしれない。アイリス様が、レパードを管理下に置いているはずなのに、何故逆になっているの?

早く…早く、トーイ達に連絡を取ろう!!
手遅れになる前に動かないと、本当に殺されちゃうよ!!
しおりを挟む
感想 41

あなたにおすすめの小説

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します

怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。 本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。 彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。 世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。 喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。

チートな転生幼女の無双生活 ~そこまで言うなら無双してあげようじゃないか~

ふゆ
ファンタジー
 私は死んだ。  はずだったんだけど、 「君は時空の帯から落ちてしまったんだ」  神様たちのミスでみんなと同じような輪廻転生ができなくなり、特別に記憶を持ったまま転生させてもらえることになった私、シエル。  なんと幼女になっちゃいました。  まだ転生もしないうちに神様と友達になるし、転生直後から神獣が付いたりと、チート万歳!  エーレスと呼ばれるこの世界で、シエルはどう生きるのか? *不定期更新になります *誤字脱字、ストーリー案があればぜひコメントしてください! *ところどころほのぼのしてます( ^ω^ ) *小説家になろう様にも投稿させていただいています

今さら言われても・・・私は趣味に生きてますので

sherry
ファンタジー
ある日森に置き去りにされた少女はひょんな事から自分が前世の記憶を持ち、この世界に生まれ変わったことを思い出す。 早々に今世の家族に見切りをつけた少女は色んな出会いもあり、周りに呆れられながらも成長していく。 なのに・・・今更そんなこと言われても・・・出来ればそのまま放置しといてくれません?私は私で気楽にやってますので。 ※魔法と剣の世界です。 ※所々ご都合設定かもしれません。初ジャンルなので、暖かく見守っていただけたら幸いです。

【完結】妖精を十年間放置していた為SSSランクになっていて、何でもあり状態で助かります

すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
 《ファンタジー小説大賞エントリー作品》五歳の時に両親を失い施設に預けられたスラゼは、十五歳の時に王国騎士団の魔導士によって、見えていた妖精の声が聞こえる様になった。  なんと十年間放置していたせいでSSSランクになった名をラスと言う妖精だった!  冒険者になったスラゼは、施設で一緒だった仲間レンカとサツナと共に冒険者協会で借りたミニリアカーを引いて旅立つ。  ラスは、リアカーやスラゼのナイフにも加護を与え、軽くしたりのこぎりとして使えるようにしてくれた。そこでスラゼは、得意なDIYでリアカーの改造、テーブルやイス、入れ物などを作って冒険を快適に変えていく。  そして何故か三人は、可愛いモモンガ風モンスターの加護まで貰うのだった。

おばさん冒険者、職場復帰する

神田柊子
ファンタジー
アリス(43)は『完全防御の魔女』と呼ばれたA級冒険者。 子育て(子どもの修行)のために母子ふたりで旅をしていたけれど、子どもが父親の元で暮らすことになった。 ひとりになったアリスは、拠点にしていた街に五年ぶりに帰ってくる。 さっそくギルドに顔を出すと昔馴染みのギルドマスターから、ギルド職員のリーナを弟子にしてほしいと頼まれる……。 生活力は低め、戦闘力は高めなアリスおばさんの冒険譚。 ----- 剣と魔法の西洋風異世界。転移・転生なし。三人称。 一話ごとで一区切りの、連作短編(の予定)。 ----- ※小説家になろう様にも掲載中。

公爵家三男に転生しましたが・・・

キルア犬
ファンタジー
前世は27歳の社会人でそこそこ恋愛なども経験済みの水嶋海が主人公ですが… 色々と本当に色々とありまして・・・ 転生しました。 前世は女性でしたが異世界では男! 記憶持ち葛藤をご覧下さい。 作者は初投稿で理系人間ですので誤字脱字には寛容頂きたいとお願いします。

余命半年のはずが?異世界生活始めます

ゆぃ♫
ファンタジー
静波杏花、本日病院で健康診断の結果を聞きに行き半年の余命と判明… 不運が重なり、途方に暮れていると… 確認はしていますが、拙い文章で誤字脱字もありますが読んでいただけると嬉しいです。

加工を極めし転生者、チート化した幼女たちとの自由気ままな冒険ライフ

犬社護
ファンタジー
交通事故で不慮の死を遂げてしまった僕-リョウトは、死後の世界で女神と出会い、異世界へ転生されることになった。事前に転生先の世界観について詳しく教えられ、その場でスキルやギフトを練習しても構わないと言われたので、僕は自分に与えられるギフトだけを極めるまで練習を重ねた。女神の目的は不明だけど、僕は全てを納得した上で、フランベル王国王都ベルンシュナイルに住む貴族の名門ヒライデン伯爵家の次男として転生すると、とある理由で魔法を一つも習得できないせいで、15年間軟禁生活を強いられ、15歳の誕生日に両親から追放処分を受けてしまう。ようやく自由を手に入れたけど、初日から幽霊に憑かれた幼女ルティナ、2日目には幽霊になってしまった幼女リノアと出会い、2人を仲間にしたことで、僕は様々な選択を迫られることになる。そしてその結果、子供たちが意図せず、どんどんチート化してしまう。 僕の夢は、自由気ままに世界中を冒険すること…なんだけど、いつの間にかチートな子供たちが主体となって、冒険が進んでいく。 僕の夢……どこいった?

処理中です...