転生幼女のチートな悠々自適生活〜伝統魔法を使い続けていたら気づけば賢者になっていた〜

犬社護

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本編

48話 アイリスを信じろ

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ここはホテル1階のラウンジです。

結局、言葉通り、ケンイチロウさんとレパードは馬車から降りることなく、私たちと一緒にホテルへ入ってきちゃった。そして、ラウンジにいたアイリス様と遭遇してしまい、今はマーカス・カルバイン子爵様とアイリス様、テーブルの対面に位置するソファーに、ケンイチロウさんとレパードが座っていて、私とトーイは諍いを防ぐため、向かい合う2組の側面に位置するソファーに座っている。

「なるほど、事情は大凡掴めました。それで、あなた方は何のために、わざわざここまで来たのです? 馬車内で御礼を言ったのなら、そこで去るべきでは?」

ケンイチロウさんが私とアイリス様の誘拐を謝罪し、私の魔法で救われたことを明かしたことで、アイリス様とマーカス様の警戒心を若干低下させたものの、マーカス様が一番肝心なことを2人に質問する。

「恩返しですよ、マーカス様。あなた方が王都を去るまで、僕たちを目に見える護衛として雇ってくれませんか? ここに来るまで観察したけど、目に見えない範囲での護衛は問題ないけど、目に見える範囲での護衛が心細い。王都で護衛を雇う予定ならば、僕たちを雇ってほしい」

目に見えない護衛…2人は、そういった気配も読めるんだ。

今の所、目に見える護衛は、メイリンさんしかいない。今日中に冒険者ギルドで護衛を雇う予定だったけど、この人たちが護衛してくれるのなら心強い。

「ケンイチロウはランクA、王都でもかなり有名な冒険者だ。護衛に、うってつけだと思うが? ユミルへの恩返しで、今回はギルドを経由せず、無償でやる。どうだ?」

精霊が裏で守ってくれているとわかっているのに、自分たちから護衛を志願してくるのだから、ここは引き受けて良いのでは?

「良いでしょう。貴方方に、私たちの護衛を依頼しましょう。誰を護衛するかに関しては、状況に応じて変化させます。メイリン、君は2人と協力して、我々を護衛するように」

「承知しました」

メイリンさんも複雑な胸中だと思うけど、納得してくれて良かった。
どうなるかと不安だったけど、これでホテルの部屋に入って寛ぐ事ができる。

部屋割りは……

① マーカス様、ケンイチロウさん、レパード
② アイリス様、メイリン様
③ 私、トーイ

になった。


○○○


「わ~~、すっごく豪華で綺麗なお部屋だ~~~」

日本の建築様式と少し違うけど、大きく立派なホテル、部屋の内装も豪華でゆったりできるよ。私がソファーに寝転がると、人間形態のトーイが横に座る。

「ユミル。学会発表は2日後、今日と明日は自由行動。どうする?」

学会発表のスライドとかは完成しているし、ここからはマーカス様とメイリンさんでアイリス様をフォローするから、私は自由行動になるけど、下手に王都を彷徨いて、何か起きた場合、恥をかいてしまうのはマーカス様とアイリス様だ。

どうしよう?

「難しく考えずに、普通に観光すればいい」
「いいのかな?」
「いいの。念の為、ケンイチロウを連れていこう。今のレパードは目立つから、マーカスかアイリスの影の中で、2人を護衛させればいい」

「あはは、白黒は目立つもんね。それじゃあ、今日は会場周辺で買い食いしながら、会場を偵察しようかな」
「いいね」

私はマーカス様たちから許可を貰い、トーイとケンイチロウさんを連れて外へ出る。レパードは、自分を連れて行けない理由を把握してくれているので、『ケンイチロウ、きちんと護衛しろよ』といい、アイリス様の護衛についてくれた。このホテルは学会会場から徒歩15分圏内にあるから、幼児の体力でも十分に会場近くの露店へ行ける。今はおやつの時間のため、小腹が空いてくる頃合いだから丁度いい。

「美味しそうな匂いが、あちこちから漂ってくる!」
「驚きだね。ここへは100年以上来ていないから、どの程度発展しているのか気になってはいたけど、改めて見渡すと、凄い活気だ」

よ~し、いっぱい買い食いするぞ! 
じゃなくて、買い食いしながら、会場を視察しよう!

「評判の良い露店を、順に案内していくよ」
「は~い、お願いしま~す」

私とトーイはケンイチロウさんの案内で、露店巡りを始める。肉串、ホットドッグ、ハンバーガー、たこ焼き、タコス、地球からの転生者のおかげで、私の知る定番がいっぱいあり、どれも絶品だったけど、この世界のご当地飯がないのが残念だったかな。お腹を満たしたところで、私たちは学会の発表会場に到着する。そこは、大きな円形の巨大な建物だ。

「お…大きい。アイリス様は、こんな立派な場所で発表するんだ」
「10歳での発表か。僕もレパードも、彼女の成果を新聞記事で読んでいるけど、今頃は計り知れないプレッシャーを感じているだろうね」

私、前世でも、そんな経験ないよ。

「私にできることは、もうないのかな?」
「ユミルが、彼女の研究に何処まで関与しているのかわからないけど、自分から積極的に言わない方がいい」

ケンイチロウさんも元貴族だから、アイリス様の気持ちがわかるの?

「ここから先は、彼女自身の問題だ。彼女が君に助けを求めた時だけ、応えればいい」
「ケンイチロウの言う通りだね。緊急時にのみ、アイリスの手助けをすればいいよ。ユミルにとって大事なのは、アイリスを信じること」

トーイの言葉が、私の心に響く。
アイリス様を信じろ…か。
アイリス様…頑張れ。
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