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15話 リノアの選択
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貴族の邸には、主人を迎えるための表玄関があり、そこは他の貴族や大切なお客様方を迎えるための場所でもあるので、正門から中庭まで庭師により綺麗に整備されている。使用人たちは、基本この正門を通らず、裏門を使用している。そこの整備も行き届いているものの、目立たないよう配慮がなされている。
僕たちはその裏門へと到着し、物影に隠れる。2人の刺客が生き残った場合の迎撃にも気を使わないといけないから、目立たないこの場所で話し合おう。
生まれたばかりのタルパは、力も弱く、死んだ地に縛られる傾向がある。ある程度力を制御出来るようになったら、その呪縛を自分で解き放つこともできるけど、その話をする前に、リノア自身から事情を聞いておきたい。
「改めて聞くけど、リノアはマクレミーサに囮にされ、タルパに殺されたのかな?」
僕が気を遣いながら問いかけると、リノアは悲しげな表情を浮かべる。
「はい。私はマクレミーサ…に殺されたようなものです。巫女として尊敬していたのに…あいつは、私たちを風魔法でタルパごと庭へ吹き飛ばした後、こっちを見てニヤついてた。必死に戦ったけど、魔力が尽きて気絶して、気づいたらタルパになってました」
次期聖女最有力候補マクレミーサ、囮にするならもう少し違うやり方があったろうに。相当切羽詰まっていたとはいえ、後になってその行為は自分の評価を相当下げると思い、責任の大部分をルティナに負わせたわけか。
「自分の遺体が目の前にあり、今の身体が半透明、すぐに状況を察せたけど、悲しくて涙が止まらず、深い恨みも湧いてきた。マクレミーサを殺したいっていう殺意が、今でも消えない。私…このままだと、殺意でおかしくなっちゃうよ。どうしたらいいの?」
魔力と感情が乱れつつあるせいか、リノアから黒い怨念が見え始める。ルティナはどう答えればいいのかわからないのか、悔恨の表情を浮かべながら考えている。言い方次第で、彼女の恨みを更に深める可能性があるから、迂闊なことを言えないようだ。
ここは、僕の方から助け舟を出そう。
「リノア、タルパとなった以上、君には3つの選択肢がある」
「3つですか?」
「そうだよ。【成仏】【討伐】【使役】の3つだ」
「「え?」」
2人は最後の使役という言葉に対して、戸惑いを抱いている。
「討伐は論外として、君自身がこの土地との繋がりを切断し、マクレミーサへの恨みを断つことができれば成仏可能だけど、それは困難だろう?」
僕がリノアに問いかけると、彼女は神妙な顔で頷く。殺されて間もないから、すぐには恨みを断つことなんて大人でも無理だ。
「残された方法は、使役しかない」
善人のタルパの場合であっても、その日の話し合いだけで解決しない時がある。そういった時は、話し合った人物がタルパの望みを叶えてあげれば成仏可能だけど、自分自身の力で成し遂げたいと拘る者もいるので、使役はそういった時に利用される。
ただ、浄化魔法を使える冒険者パーティーと違い、神殿のような大きな組織が関わっている場合、1体のタルパのためにそこまで労力をかけると非効率的であるため、この方法を行使することが禁じられている。これらは、女神様に世界観を教わった際に知った内容だから、各国の共通事項だろう。
「ルティナ、使役のこと知ってた?」
「ううん、タルパを使役できるなんて教わってない。お兄ちゃん、リノアは使役されたらどうなるの?」
「自身の力が弱くても、主人となる人物が、君を土地の呪縛から解放させてくれる。ただ、その使役者とは何処にいようとも繋がっているから、突然召喚されたり、話しかけられたりする場合がある。使役者の性格が最悪だった場合は、魔物の都合に関係なく、奴隷のように扱われるから、魔物側も簡単に使役には応じない。まあ、ルティナと契約すれば、あまり意味を為さない縛りだね。一応聞くけど、リノアは誰に使役されたい?」
僕かルティナ、君はどちらを選ぶ?
「私は……リョウトさんに使役してほしいです!!」
「え!? 私じゃないの!!」
これは意外な答えだけど、なんだか様子がおかしい。僕を選んだのはいいけど、身体を震わせ、何かを我慢しているような印象を受ける。
僕たちはその裏門へと到着し、物影に隠れる。2人の刺客が生き残った場合の迎撃にも気を使わないといけないから、目立たないこの場所で話し合おう。
生まれたばかりのタルパは、力も弱く、死んだ地に縛られる傾向がある。ある程度力を制御出来るようになったら、その呪縛を自分で解き放つこともできるけど、その話をする前に、リノア自身から事情を聞いておきたい。
「改めて聞くけど、リノアはマクレミーサに囮にされ、タルパに殺されたのかな?」
僕が気を遣いながら問いかけると、リノアは悲しげな表情を浮かべる。
「はい。私はマクレミーサ…に殺されたようなものです。巫女として尊敬していたのに…あいつは、私たちを風魔法でタルパごと庭へ吹き飛ばした後、こっちを見てニヤついてた。必死に戦ったけど、魔力が尽きて気絶して、気づいたらタルパになってました」
次期聖女最有力候補マクレミーサ、囮にするならもう少し違うやり方があったろうに。相当切羽詰まっていたとはいえ、後になってその行為は自分の評価を相当下げると思い、責任の大部分をルティナに負わせたわけか。
「自分の遺体が目の前にあり、今の身体が半透明、すぐに状況を察せたけど、悲しくて涙が止まらず、深い恨みも湧いてきた。マクレミーサを殺したいっていう殺意が、今でも消えない。私…このままだと、殺意でおかしくなっちゃうよ。どうしたらいいの?」
魔力と感情が乱れつつあるせいか、リノアから黒い怨念が見え始める。ルティナはどう答えればいいのかわからないのか、悔恨の表情を浮かべながら考えている。言い方次第で、彼女の恨みを更に深める可能性があるから、迂闊なことを言えないようだ。
ここは、僕の方から助け舟を出そう。
「リノア、タルパとなった以上、君には3つの選択肢がある」
「3つですか?」
「そうだよ。【成仏】【討伐】【使役】の3つだ」
「「え?」」
2人は最後の使役という言葉に対して、戸惑いを抱いている。
「討伐は論外として、君自身がこの土地との繋がりを切断し、マクレミーサへの恨みを断つことができれば成仏可能だけど、それは困難だろう?」
僕がリノアに問いかけると、彼女は神妙な顔で頷く。殺されて間もないから、すぐには恨みを断つことなんて大人でも無理だ。
「残された方法は、使役しかない」
善人のタルパの場合であっても、その日の話し合いだけで解決しない時がある。そういった時は、話し合った人物がタルパの望みを叶えてあげれば成仏可能だけど、自分自身の力で成し遂げたいと拘る者もいるので、使役はそういった時に利用される。
ただ、浄化魔法を使える冒険者パーティーと違い、神殿のような大きな組織が関わっている場合、1体のタルパのためにそこまで労力をかけると非効率的であるため、この方法を行使することが禁じられている。これらは、女神様に世界観を教わった際に知った内容だから、各国の共通事項だろう。
「ルティナ、使役のこと知ってた?」
「ううん、タルパを使役できるなんて教わってない。お兄ちゃん、リノアは使役されたらどうなるの?」
「自身の力が弱くても、主人となる人物が、君を土地の呪縛から解放させてくれる。ただ、その使役者とは何処にいようとも繋がっているから、突然召喚されたり、話しかけられたりする場合がある。使役者の性格が最悪だった場合は、魔物の都合に関係なく、奴隷のように扱われるから、魔物側も簡単に使役には応じない。まあ、ルティナと契約すれば、あまり意味を為さない縛りだね。一応聞くけど、リノアは誰に使役されたい?」
僕かルティナ、君はどちらを選ぶ?
「私は……リョウトさんに使役してほしいです!!」
「え!? 私じゃないの!!」
これは意外な答えだけど、なんだか様子がおかしい。僕を選んだのはいいけど、身体を震わせ、何かを我慢しているような印象を受ける。
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