伝説の鍛冶屋ダナイ~聖剣を作るように頼まれて転生したらガチムチドワーフでした~

えながゆうき

文字の大きさ
7 / 137
第一章

運命の出会い①

しおりを挟む
 風呂から上がり部屋に戻るとようやくリラックスすることができた。気がつかないうちに力が入っていたのだろう。肩の力が抜けて緊張感がほぐれたのを感じていた。ダナイは布団に仰向けになって寝るとこれからの方針を改めて考えた。

 聖剣を作るために、まずはイーゴリの街で一番の鍛冶屋に弟子入りしようと考えた。それじゃあ明日からは街一番の鍛冶屋を探すところから始めようかな、と思ったところで気がついた。

「そう言えばお金があと四百Gぐらいしかねぇな。弟子入りの前にある程度のお金を稼いでおくか。頼み込んで弟子入りする以上、金をもらうわけにはいかねぇ。明日からしばらくの間は冒険者ギルドに行って仕事を受けるとしようかな」

 明日の方針が決まり満足していると、急な眠気がダナイに襲いかかった。ダナイはそれに抗うことができずに、スヤスヤと眠りについた。


「旦那、ダナイの旦那! そろそろ起きてくれませんかね?」

 部屋のドアを叩く音で目を覚ました。これはいかんとすぐにダナイは扉を開けた。そこには女将が心配そうな顔で立っていた。

「良かった、生きていたかい。反応がなかったので何かあったんじゃないかとヤキモキしていたところだよ。部屋の掃除をしたいから、一度部屋を出てもらえないかい?」
「ああ、それは済まない。そう言えば朝食がまだ何だが、まだ残っているかい?」
「大丈夫だよ。多分クリスが食べている時間だろうから、クリスに朝食を頼んでおくれ」
「分かったよ。ありがとう」

 女将の返事を聞くと、すぐに食堂へと向かった。あの従業員の名前はクリスと言う名前なのか、と考えているうちに食堂についた。そこではクリスが一人で食事を食べている。すでに朝食の時間からは大分遅い時間になっており窓の外は随分と明るくなっていた。

「済まないが、俺にも朝食をもらえるかね? 俺の名前はダナイだ。お前さんはクリスという名前らしいな? さっき女将に聞いたよ」
「すぐに用意するわ」

 そう言うとすぐに朝食を用意してくれた。パンにサラダ、太いベーコンがついていた。お腹が空いていたダナイはそれをペロリと平らげた。まるで手品の様に無くなった朝食を見てクリスは目を白黒とさせていた。
 ダナイはクリスにお礼を言うとさっそくイーゴリの街へと繰り出して行った。

 街はそれなりに活気に満ちあふれているようだった。ダナイは昨日じっくりと見ることができなかった異世界の街並みを物珍しそうに見ながら大通りを歩いた。

 家の造りは石造りの土台の上に西洋風の木の家が建っている。大通り沿いの家では一階が商店になっているようであり、大きく突き出たひさしの下では様々な商品が並んでいる。ちょっと見ただけでも全く知らない物が多数並んでいるのが分かった。

 街はダナイが思った以上に大きかった。街並みを堪能しながら歩いていると冒険者ギルドの看板が見えて来た。

 冒険者ギルドにはそれほど多くの人はいなかった。はて、と思ったが、現在の時刻がお昼頃であったため、きっと冒険者諸君はすでに仕事をこなしているのだな、と納得した。そして自分がすでに出遅れていることを知った。

 ダナイは最初に昨日説明された依頼が張ってあるという掲示板の方へと向かった。

「おお、結構依頼が残っているじゃねえか。これはそんなに急ぐ必要はなさそうだな。えっと、魔石と薬草と魔法草の取り引きは常時行っている、か。昨日の感じだと、石ころを投げつけるだけで良いし、魔石を集めるのが楽かも知れないな」

 掲示板で目にしたFランク冒険者の仕事は、荷物持ち、農作業の手伝い、畑の害獣駆除などがほとんどを占めていた。この時間帯になっても残っていると言うことは、人気がない依頼なのだろう。結局、人気のある依頼が何なのかは分からないままだった。

 ダナイも残った依頼の中に気になった依頼はなかったので、取りあえず街の外に出て薬草と魔法草を探し、ついでに魔石も手に入れるというシンプルな戦法をとることにした。

 手始めに『ワールドマニュアル(門外不出)』で薬草と魔法草についての情報を集めると、さっそく本日の仕事を開始した。まずは足下に転がっている石ころを拾い集めることからだ。
 
 適当な数をポケットに詰め込むと、一路森の中へと向かった。薬草も魔法草も主に生息しているのは森の中であり、草原ではほとんど見つからないと言うことだった。

 この世界のことを良く知らないダナイは、今のところはそれを信じるしかなかった。薬草は日の当たる場所、魔法草は魔物が死んだところ。

 薬草は見つけやすそうだが魔法草は運任せだな、と解釈し森の中を進んだ。途中で何度かゴブリンに遭遇したが、投石によって危なげなく倒すことができた。そして、倒した場所の木々に鉈で印をつけておいた。

「よしよし、これで今度来たときは魔法草が生えているかも知れないぞ」

 ダナイは取らぬ狸の皮算用をすると、意気揚々と森の中を進んだ。マニュアル通り、薬草は日の当たる場所で見つけることができ、良く日の当たる場所ほど多く見つけることができた。根っこの方が効果が高いと書いてあったので、丁寧に根っこの部分から採取した。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。

克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

独身貴族の異世界転生~ゲームの能力を引き継いで俺TUEEEチート生活

髙龍
ファンタジー
MMORPGで念願のアイテムを入手した次の瞬間大量の水に押し流され無念の中生涯を終えてしまう。 しかし神は彼を見捨てていなかった。 そんなにゲームが好きならと手にしたステータスとアイテムを持ったままゲームに似た世界に転生させてやろうと。 これは俺TUEEEしながら異世界に新しい風を巻き起こす一人の男の物語。

『冒険者をやめて田舎で隠居します 〜気づいたら最強の村になってました〜』

チャチャ
ファンタジー
> 世界には4つの大陸がある。東に魔神族、西に人族、北に獣人とドワーフ、南にエルフと妖精族——種族ごとの国が、それぞれの文化と価値観で生きていた。 その世界で唯一のSSランク冒険者・ジーク。英雄と呼ばれ続けることに疲れた彼は、突如冒険者を引退し、田舎へと姿を消した。 「もう戦いたくない、静かに暮らしたいんだ」 そう願ったはずなのに、彼の周りにはドラゴンやフェンリル、魔神族にエルフ、ドワーフ……あらゆる種族が集まり、最強の村が出来上がっていく!? のんびりしたいだけの元英雄の周囲が、どんどんカオスになっていく異世界ほのぼの(?)ファンタジー。

【最強モブの努力無双】~ゲームで名前も登場しないようなモブに転生したオレ、一途な努力とゲーム知識で最強になる~

くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
アベル・ヴィアラットは、五歳の時、ベッドから転げ落ちてその拍子に前世の記憶を思い出した。 大人気ゲーム『ヒーローズ・ジャーニー』の世界に転生したアベルは、ゲームの知識を使って全男の子の憧れである“最強”になることを決意する。 そのために努力を続け、順調に強くなっていくアベル。 しかしこの世界にはゲームには無かった知識ばかり。 戦闘もただスキルをブッパすればいいだけのゲームとはまったく違っていた。 「面白いじゃん?」 アベルはめげることなく、辺境最強の父と優しい母に見守られてすくすくと成長していくのだった。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

生贄にされた少年。故郷を離れてゆるりと暮らす。

水定ゆう
ファンタジー
 村の仕来りで生贄にされた少年、天月・オボロナ。魔物が蠢く危険な森で死を覚悟した天月は、三人の異形の者たちに命を救われる。  異形の者たちの弟子となった天月は、数年後故郷を離れ、魔物による被害と魔法の溢れる町でバイトをしながら冒険者活動を続けていた。  そこで待ち受けるのは数々の陰謀や危険な魔物たち。  生贄として魔物に捧げられた少年は、冒険者活動を続けながらゆるりと日常を満喫する!  ※とりあえず、一時完結いたしました。  今後は、短編や別タイトルで続けていくと思いますが、今回はここまで。  その際は、ぜひ読んでいただけると幸いです。

処理中です...