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第一章
運命の出会い②
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しばらく進み、ちょっと森の奥まで入りすぎたかな? と思っていると、遠くに悲鳴のような声が聞こえた。もしかして、またアベルとマリアが魔物に襲われているんじゃないかと気が気ではなくなったダナイは、声が聞こえた方向に一目散に走った。
辺りに風が空を切り裂く音が聞こえた。足下には片手で持てるほどの大きさの氷柱が転がっている。
何だこりゃ? と拾い上げたところで、何かが唸り声を上げた。ダナイは慎重に声のした方向へと向かった。
「な、何だ、あれは。でかくて黒い熊がいる」
ダナイはその光景に目を見開いた。次の瞬間、脳内に『ブラックベア』の文字が現れた。なるほど、そのまんまな名前だなと納得していると、熊が向かう方向に女性がいることに気がついた。
森に溶け込むかのような緑色の服を着ており、髪は青みがかったシルバーブロンド。目の色はサファイアのように青く、キラキラと輝いていた。特筆すべきはその耳だった。耳が長く尖っている。
「まさか、エルフってやつか? こうしちゃいられねぇ。あの熊公の注意をこちらに向けなきゃな!」
そう言うと、ダナイは手に持っていた氷柱を熊の背中に向かって投げつけた。
先端が尖っているとはいえ、所詮は氷柱。熊の分厚い毛皮に突き刺さることはなかったが、それでもダナイの方に注意を向けることはできた。
熊が「なにすんねん!」という表情でダナイの方へと振り返った。その後ろにいるエルフも驚愕の表情でダナイを見た。
ダナイに向かって猛然と走り出した熊に向かって石を投げつけた。石が肩に当たった衝撃で熊が怯んで上体を起こした。「え?」という表情を一瞬浮かべたが、それでも果敢にダナイの方に改めて突進してきた。
それをヒラリとドワーフらしからぬ身軽さで軽く回避したダナイは、空中三回転を決めながら熊の頭に向かって石を投げつけた。
投げた石は狙った通り頭に命中し、その衝撃で熊の動きがとまる。それを勝機と見たダナイは背中に背負っていた太い木の枝を、ありったけの力を込めて熊の頭に叩きつけた。
「きてはぁ!」
グシャリという嫌な手応えと共に、太い木の枝はボキリと音を立てて折れた。
これで立ち上がられるとまずいな、と思ったところで熊はフラフラと立ち上がった。しかしすぐに倒れ込み、光の粒へと変わっていった。後には大きな魔石だけが残された。
「ふう、脅かしやがって」
ダナイは額の汗を拭うと驚かせないようにゆっくりとエルフの元へと向かった。すでに両手は上げている。
「怪しい者じゃねぇ。俺はダナイってもんだ。ほら、これが俺の冒険者証明書だ」
そう言うと、少し離れた場所から冒険者証明書を彼女の足下へと投げた。それを手に取り確認した彼女は驚愕の声を上げた。
「え、Fランク!? 嘘でしょ」
それは玉を転がすような声であり「もし天女がいたのなら、こんな声をしているんだろうなぁ」としばしの間、ダナイを骨抜きにした。
「ちょっとダナイ、聞いているのかしら? 私の名前はリリアよ。あなたのお陰で命拾いしたわ。ありがとう」
美しい微笑みを向けるリリアにダナイは釘付けになった。一方のリリアもダナイのことをジッと見つめている。二人の視線はしばらくの間、交差していたが、そこに嫌悪感は微塵もなかった。
しかしダナイは、リリアの手が何かをモフモフしたそうに、ワキワキと動いていることに気がついた。
辺りに風が空を切り裂く音が聞こえた。足下には片手で持てるほどの大きさの氷柱が転がっている。
何だこりゃ? と拾い上げたところで、何かが唸り声を上げた。ダナイは慎重に声のした方向へと向かった。
「な、何だ、あれは。でかくて黒い熊がいる」
ダナイはその光景に目を見開いた。次の瞬間、脳内に『ブラックベア』の文字が現れた。なるほど、そのまんまな名前だなと納得していると、熊が向かう方向に女性がいることに気がついた。
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そう言うと、ダナイは手に持っていた氷柱を熊の背中に向かって投げつけた。
先端が尖っているとはいえ、所詮は氷柱。熊の分厚い毛皮に突き刺さることはなかったが、それでもダナイの方に注意を向けることはできた。
熊が「なにすんねん!」という表情でダナイの方へと振り返った。その後ろにいるエルフも驚愕の表情でダナイを見た。
ダナイに向かって猛然と走り出した熊に向かって石を投げつけた。石が肩に当たった衝撃で熊が怯んで上体を起こした。「え?」という表情を一瞬浮かべたが、それでも果敢にダナイの方に改めて突進してきた。
それをヒラリとドワーフらしからぬ身軽さで軽く回避したダナイは、空中三回転を決めながら熊の頭に向かって石を投げつけた。
投げた石は狙った通り頭に命中し、その衝撃で熊の動きがとまる。それを勝機と見たダナイは背中に背負っていた太い木の枝を、ありったけの力を込めて熊の頭に叩きつけた。
「きてはぁ!」
グシャリという嫌な手応えと共に、太い木の枝はボキリと音を立てて折れた。
これで立ち上がられるとまずいな、と思ったところで熊はフラフラと立ち上がった。しかしすぐに倒れ込み、光の粒へと変わっていった。後には大きな魔石だけが残された。
「ふう、脅かしやがって」
ダナイは額の汗を拭うと驚かせないようにゆっくりとエルフの元へと向かった。すでに両手は上げている。
「怪しい者じゃねぇ。俺はダナイってもんだ。ほら、これが俺の冒険者証明書だ」
そう言うと、少し離れた場所から冒険者証明書を彼女の足下へと投げた。それを手に取り確認した彼女は驚愕の声を上げた。
「え、Fランク!? 嘘でしょ」
それは玉を転がすような声であり「もし天女がいたのなら、こんな声をしているんだろうなぁ」としばしの間、ダナイを骨抜きにした。
「ちょっとダナイ、聞いているのかしら? 私の名前はリリアよ。あなたのお陰で命拾いしたわ。ありがとう」
美しい微笑みを向けるリリアにダナイは釘付けになった。一方のリリアもダナイのことをジッと見つめている。二人の視線はしばらくの間、交差していたが、そこに嫌悪感は微塵もなかった。
しかしダナイは、リリアの手が何かをモフモフしたそうに、ワキワキと動いていることに気がついた。
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