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第四章
切れないもの
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アベルに新しい剣を渡してから数日の間、冒険者ギルドで様々な依頼を受けた。
ゴブリン退治だけではなく、少し固めのゴーレム退治や、固い甲羅を持った亀の討伐なども行った。そしてその全てで、新しい剣が刃こぼれすることはなかった。
こうして剣の性能が本物であることを実感したアベルは、随分と機嫌を良くしていたようである。あの事件が起こるまでは。
その日、俺達はいつもの様に冒険者ギルドに向かった。この辺りでは、Bランク相当の依頼は滅多に来ない。そのため、いつも受けているのはCランクの依頼である。
そのため、Cランクの依頼が張り出されて言えるボードの前で、みんなでどの依頼にするかを決めていると、副ギルドマスターのミランダから声がかかった。
「ダナイさん、あなた方に依頼したいことがあるのですが」
「何でしょうか? 依頼内容にもよりますが……」
一応、このパーティーのリーダーは俺である。俺はアベルをリーダーにするべく、推しに推したのだが、三人からはまったく聞き入れてもらえなかった。解せぬ。
そのため、このように俺達のパーティーに話があるときは、俺が窓口になる必要があるのだ。超面倒くさい。それに最近では、アランがパーティー名を考えろとうるさいのだ。俺に名前のセンスがあると思うか? 俺は思わないね。誰か代わりに考えてくれ。え? チーム名「モフモフ、ナデナデ」だって? 却下だ、そんなもん。
「お願いしたい依頼というのはですね、街外れの墓地にゴーストタイプの魔物が目撃されているみたい何ですよ」
この言葉を聞いた途端、マリアが青い顔をして、「ヒュッ」と小さな声を上げた。そうだよな。マリアはお化けが苦手だもんな。
それに気がついているのか、いないのか、ミランダは話を続けた。
「初めはそのうちいなくなるだろうと思って放置していたのですが、どうも住み着いたみたいなんです」
うーん、ゴーストタイプの魔物を討伐するのは初めてだ。今の言い方だと、普通なら放置しておけば、そのうちどこかにいなくなるってことなのか? 良く分からん。怨念がこびりついていないと、この世界に存在し続けることが難しいのかも知れないな。
「それで、ミランダ。私達にわざわざ依頼するってことは、それなりに強力なゴーストになっているのよね?」
「さすがはリリア。鋭いですね。そうなのです。どうやら力をつけ始めているようで、魔法使いが複数いるパーティーでないと、討伐できないという判断になりました」
それを聞いたリリアは、俺とマリアを見た。マリアはビクッと震えると、アベルにしがみついた。
「そうね。私のパーティーには魔法が使えるのが三人もいるからね。他のパーティーよりかは適任ということね」
実は一つのパーティーに二人も魔法使いがいるのは珍しかった。俺の作った魔法銃によってマリアも魔法使いとしてカウントされているため、三人ということになっているが。
「え? わたしも? わたしはお留守番……」
「ダメよ、マリア。私達はパーティーでしょう。みんなで行くの」
どうやら本当はリリアもお化けが怖いようだ。お前だけ逃げるのは許さん、という強い意志を感じる。妹分に対して、なかなか酷いな。
「ダナイ、どうする?」
マリアを心配したアベルが聞いてきた。
「今なら俺達のパーティーで倒せるとミランダが判断したんだろ? それじゃ、やるしかないな。何だかどんどん強くなっているみたいだし、大きな被害が出る前に、倒してしまおう」
「さすがダナイさん! そう言ってくれると思ってましたわ」
ミランダは良い笑顔をしている。その笑顔が、何だが不気味に思えるのは俺の気のせいだろうか。
そんなわけで、俺達は墓場のゴーストタイプの魔物を退治しに向かった。
ゴーストタイプの魔物が出るのはもちろん夜だ。俺達は時間が来るまで、家でのんびりと待つことにした。だがしかし、レディー二人は気が気でない様子であり、リリアは俺にしがみついていた。
「リリア、そんなに怯えることはないと思うんだけどな。お化けと言っても、魔物の一種だろう? いつもの何も変わらないさ」
「そそそ、そんなこと言われても、怖いものは怖いのよ」
その姿を想像したのか、ブルブルと震えるリリア。これは今晩のトイレには付き合わされるな。もしかしたら、トイレの中まで連れ込まれるかも知れん。チラリとアベルの方を見ると、そちらも以下同文であった。お互い苦労することになりそうだ。
「何でダナイは平気なのよ?」
「そりゃ俺は……伊達にあの世は見てないからな」
後半はリリアだけに聞こえるように言った。それを聞いたリリアは、どこか納得した表情をしていた。
「さて、そろそろ行くとするか」
「え? もう行くの? わたし、お留守番じゃ、ダメ?」
上目遣いでマリアが見てきたが、ここは心を鬼にするべきだろう。これから先、ゴーストタイプの魔物と戦うこともあるだろう。そのときに備えて、一度経験しておくことは必要だと判断した。
恐らくミランダはそれを見越して、俺達にこの依頼を持ち込んだのだろう。俺達はBランク冒険者で、魔法使いが三人もいる。今後もこのような依頼が来る可能性は非常に高い。Aランク冒険者にでもなれば、なおさらだ。
「そうかそうか。マリアだけ、一人で、留守番するか。この家もそれほど新しくもないからなぁ。ひょっとしたら、ひょっこりと出るかも知れないなぁ?」
にやりとマリアに笑いかける。すでにマリアの顔から血の気が引いていた。
「イヤー!」
隣にいたリリアが悲鳴を上げて、もの凄い力でしがみついてきた。
これは予想外。リリアを驚かせるつもりじゃなかったんだが……。
アベルを見ると、リリアの悲鳴に驚いたマリアが首元にガッチリとしがみついている。首が絞まっているのか、アベルが必死にマリアの腕をタップしているが、どうやら気がついていないようである。急いでマリアを引き剥がした。危なかった。一瞬アベルが白目を剥いていた。
街外れの墓地にたどり着いた。当然のことながら、周囲に街灯などはなく、真っ暗である。光っているのは、手に持っているランタンだけである。
「見た感じ、まだ魔物は現れてないみたいだね」
腕にマリアをひっつけて、歩きにくそうにしているアベルが状況を確認している。
「そうみたいだな。魔物が現れるまで、しばらく待つとするか」
腕にリリアをひっつけて、返事する。非常に歩きにくい。大きなマシュマロがひっついているので我慢はいくらでもできるのだが、あちらはどうなのだろうか? そう言えば、最近マリアの胸が若干大きくなっているような気がするのだが……今度、アベルに、こっそりと確認してみようと思う。
待つこと数時間。時刻は恐らく丑三つ時、といったところだろう。ようやくお目当ての魔物が現れたようである。周囲の空気が、異常なまでに冷えてきた。
「どうやらお出ましのようだな。いつでも魔法を使えるようにしておいてくれよ。二人とも、いいな?」
無言でコクコクと頷く二人。杖と魔法銃を構える。ゴーストタイプの魔物は、物理攻撃はまったく効果がないが、なぜか魔法攻撃は効果がある。
ざっと調べた感じでは、どうやらゴーストタイプの魔物は、魔力が可視化したような存在であるらしい。そのため、同じ魔力の塊である魔法を当てることによって、ダメージを与えられるようだった。
動き出した俺達に、すぐに魔物は気がついたようである。真っ白な煙のようなものが、布を被った人間のような姿を形作った。顔の部分には黒いシミのようなものが、目や口のようについている。
「ヒッ!」
それを見た女性陣は、武器を構えてはいるものの、腰が抜けたようである。ゆっくりとこちらに向かってくる魔物に、マリアを俺に預けたアベルが斬りかかった。
「グウ!?」
「お、ちょっと当たった?」
魔物がどこから発したのかも分からない奇妙な声を上げた。対してアベルは、少しダメージを与えられたようで、ちょっと嬉しげな声を上げていた。
「フム、魔法剣を使えばダメージを与えることができるみたいだな。だが、それでも有効打にはほど遠いみたいだな」
「みたいだね。ひょっとしら、と思ったんだけど、魔法剣でも無理かぁ~」
とても残念そうなアベル。そんなお化けに対してまったく恐怖を抱かない俺達を見て、二人は「信じられない」という顔をしていた。
「それじゃマリア、一発試しに撃って見てくれ。魔法の弾丸は効果がないという可能性もあるからな」
「ううう、うん。分かったわ」
振るえながら銃口を向けると、引き金を引いた。無属性の魔法の弾丸が勢い良く発射された。
「ゴアアアァア!」
かなりのダメージが入ったようである。魔物は叫び声を上げた。それを聞いたリリアとマリアは口をパクパクさせて、ますます俺にしがみついてきた。動けねぇ!
滅多矢鱈に腕のようなものを振り回すお化け。これ以上長引かせるのは良くなさそうだ。主にレディー二人にとって。
「ダナイ忍法、光遁、悪霊退散の術!」
次の瞬間、眩い光がお化けを包み込んだ。そしてそのまま、お化けは光のかなたへと消えていった。成仏しろよ。
光が収まると、辺りは再び静けさに包まれた。口を開けて三人がこちらを見ている。何だろう、何だか、また俺が何かやってしまったような雰囲気になっている。ここは一つ、リーダーとして、この場の空気を和らげなければ。
「無事に終わったな。どうしたマリア? まさか、お漏らしでもしたか?」
冗談まじりに言った。俺の言葉にハッと正気に戻ったマリア。すぐに口をフグのように膨らませた。
「まさ! ……か?」
え、何そのマリアの反応。何で下を見てるの? ほら、アベルがギョッとした顔して見てるぞ。なあリリ……リリアさん? 下を見つめてどうしたんですか? もしかしてリリア、お前もか!
ゴブリン退治だけではなく、少し固めのゴーレム退治や、固い甲羅を持った亀の討伐なども行った。そしてその全てで、新しい剣が刃こぼれすることはなかった。
こうして剣の性能が本物であることを実感したアベルは、随分と機嫌を良くしていたようである。あの事件が起こるまでは。
その日、俺達はいつもの様に冒険者ギルドに向かった。この辺りでは、Bランク相当の依頼は滅多に来ない。そのため、いつも受けているのはCランクの依頼である。
そのため、Cランクの依頼が張り出されて言えるボードの前で、みんなでどの依頼にするかを決めていると、副ギルドマスターのミランダから声がかかった。
「ダナイさん、あなた方に依頼したいことがあるのですが」
「何でしょうか? 依頼内容にもよりますが……」
一応、このパーティーのリーダーは俺である。俺はアベルをリーダーにするべく、推しに推したのだが、三人からはまったく聞き入れてもらえなかった。解せぬ。
そのため、このように俺達のパーティーに話があるときは、俺が窓口になる必要があるのだ。超面倒くさい。それに最近では、アランがパーティー名を考えろとうるさいのだ。俺に名前のセンスがあると思うか? 俺は思わないね。誰か代わりに考えてくれ。え? チーム名「モフモフ、ナデナデ」だって? 却下だ、そんなもん。
「お願いしたい依頼というのはですね、街外れの墓地にゴーストタイプの魔物が目撃されているみたい何ですよ」
この言葉を聞いた途端、マリアが青い顔をして、「ヒュッ」と小さな声を上げた。そうだよな。マリアはお化けが苦手だもんな。
それに気がついているのか、いないのか、ミランダは話を続けた。
「初めはそのうちいなくなるだろうと思って放置していたのですが、どうも住み着いたみたいなんです」
うーん、ゴーストタイプの魔物を討伐するのは初めてだ。今の言い方だと、普通なら放置しておけば、そのうちどこかにいなくなるってことなのか? 良く分からん。怨念がこびりついていないと、この世界に存在し続けることが難しいのかも知れないな。
「それで、ミランダ。私達にわざわざ依頼するってことは、それなりに強力なゴーストになっているのよね?」
「さすがはリリア。鋭いですね。そうなのです。どうやら力をつけ始めているようで、魔法使いが複数いるパーティーでないと、討伐できないという判断になりました」
それを聞いたリリアは、俺とマリアを見た。マリアはビクッと震えると、アベルにしがみついた。
「そうね。私のパーティーには魔法が使えるのが三人もいるからね。他のパーティーよりかは適任ということね」
実は一つのパーティーに二人も魔法使いがいるのは珍しかった。俺の作った魔法銃によってマリアも魔法使いとしてカウントされているため、三人ということになっているが。
「え? わたしも? わたしはお留守番……」
「ダメよ、マリア。私達はパーティーでしょう。みんなで行くの」
どうやら本当はリリアもお化けが怖いようだ。お前だけ逃げるのは許さん、という強い意志を感じる。妹分に対して、なかなか酷いな。
「ダナイ、どうする?」
マリアを心配したアベルが聞いてきた。
「今なら俺達のパーティーで倒せるとミランダが判断したんだろ? それじゃ、やるしかないな。何だかどんどん強くなっているみたいだし、大きな被害が出る前に、倒してしまおう」
「さすがダナイさん! そう言ってくれると思ってましたわ」
ミランダは良い笑顔をしている。その笑顔が、何だが不気味に思えるのは俺の気のせいだろうか。
そんなわけで、俺達は墓場のゴーストタイプの魔物を退治しに向かった。
ゴーストタイプの魔物が出るのはもちろん夜だ。俺達は時間が来るまで、家でのんびりと待つことにした。だがしかし、レディー二人は気が気でない様子であり、リリアは俺にしがみついていた。
「リリア、そんなに怯えることはないと思うんだけどな。お化けと言っても、魔物の一種だろう? いつもの何も変わらないさ」
「そそそ、そんなこと言われても、怖いものは怖いのよ」
その姿を想像したのか、ブルブルと震えるリリア。これは今晩のトイレには付き合わされるな。もしかしたら、トイレの中まで連れ込まれるかも知れん。チラリとアベルの方を見ると、そちらも以下同文であった。お互い苦労することになりそうだ。
「何でダナイは平気なのよ?」
「そりゃ俺は……伊達にあの世は見てないからな」
後半はリリアだけに聞こえるように言った。それを聞いたリリアは、どこか納得した表情をしていた。
「さて、そろそろ行くとするか」
「え? もう行くの? わたし、お留守番じゃ、ダメ?」
上目遣いでマリアが見てきたが、ここは心を鬼にするべきだろう。これから先、ゴーストタイプの魔物と戦うこともあるだろう。そのときに備えて、一度経験しておくことは必要だと判断した。
恐らくミランダはそれを見越して、俺達にこの依頼を持ち込んだのだろう。俺達はBランク冒険者で、魔法使いが三人もいる。今後もこのような依頼が来る可能性は非常に高い。Aランク冒険者にでもなれば、なおさらだ。
「そうかそうか。マリアだけ、一人で、留守番するか。この家もそれほど新しくもないからなぁ。ひょっとしたら、ひょっこりと出るかも知れないなぁ?」
にやりとマリアに笑いかける。すでにマリアの顔から血の気が引いていた。
「イヤー!」
隣にいたリリアが悲鳴を上げて、もの凄い力でしがみついてきた。
これは予想外。リリアを驚かせるつもりじゃなかったんだが……。
アベルを見ると、リリアの悲鳴に驚いたマリアが首元にガッチリとしがみついている。首が絞まっているのか、アベルが必死にマリアの腕をタップしているが、どうやら気がついていないようである。急いでマリアを引き剥がした。危なかった。一瞬アベルが白目を剥いていた。
街外れの墓地にたどり着いた。当然のことながら、周囲に街灯などはなく、真っ暗である。光っているのは、手に持っているランタンだけである。
「見た感じ、まだ魔物は現れてないみたいだね」
腕にマリアをひっつけて、歩きにくそうにしているアベルが状況を確認している。
「そうみたいだな。魔物が現れるまで、しばらく待つとするか」
腕にリリアをひっつけて、返事する。非常に歩きにくい。大きなマシュマロがひっついているので我慢はいくらでもできるのだが、あちらはどうなのだろうか? そう言えば、最近マリアの胸が若干大きくなっているような気がするのだが……今度、アベルに、こっそりと確認してみようと思う。
待つこと数時間。時刻は恐らく丑三つ時、といったところだろう。ようやくお目当ての魔物が現れたようである。周囲の空気が、異常なまでに冷えてきた。
「どうやらお出ましのようだな。いつでも魔法を使えるようにしておいてくれよ。二人とも、いいな?」
無言でコクコクと頷く二人。杖と魔法銃を構える。ゴーストタイプの魔物は、物理攻撃はまったく効果がないが、なぜか魔法攻撃は効果がある。
ざっと調べた感じでは、どうやらゴーストタイプの魔物は、魔力が可視化したような存在であるらしい。そのため、同じ魔力の塊である魔法を当てることによって、ダメージを与えられるようだった。
動き出した俺達に、すぐに魔物は気がついたようである。真っ白な煙のようなものが、布を被った人間のような姿を形作った。顔の部分には黒いシミのようなものが、目や口のようについている。
「ヒッ!」
それを見た女性陣は、武器を構えてはいるものの、腰が抜けたようである。ゆっくりとこちらに向かってくる魔物に、マリアを俺に預けたアベルが斬りかかった。
「グウ!?」
「お、ちょっと当たった?」
魔物がどこから発したのかも分からない奇妙な声を上げた。対してアベルは、少しダメージを与えられたようで、ちょっと嬉しげな声を上げていた。
「フム、魔法剣を使えばダメージを与えることができるみたいだな。だが、それでも有効打にはほど遠いみたいだな」
「みたいだね。ひょっとしら、と思ったんだけど、魔法剣でも無理かぁ~」
とても残念そうなアベル。そんなお化けに対してまったく恐怖を抱かない俺達を見て、二人は「信じられない」という顔をしていた。
「それじゃマリア、一発試しに撃って見てくれ。魔法の弾丸は効果がないという可能性もあるからな」
「ううう、うん。分かったわ」
振るえながら銃口を向けると、引き金を引いた。無属性の魔法の弾丸が勢い良く発射された。
「ゴアアアァア!」
かなりのダメージが入ったようである。魔物は叫び声を上げた。それを聞いたリリアとマリアは口をパクパクさせて、ますます俺にしがみついてきた。動けねぇ!
滅多矢鱈に腕のようなものを振り回すお化け。これ以上長引かせるのは良くなさそうだ。主にレディー二人にとって。
「ダナイ忍法、光遁、悪霊退散の術!」
次の瞬間、眩い光がお化けを包み込んだ。そしてそのまま、お化けは光のかなたへと消えていった。成仏しろよ。
光が収まると、辺りは再び静けさに包まれた。口を開けて三人がこちらを見ている。何だろう、何だか、また俺が何かやってしまったような雰囲気になっている。ここは一つ、リーダーとして、この場の空気を和らげなければ。
「無事に終わったな。どうしたマリア? まさか、お漏らしでもしたか?」
冗談まじりに言った。俺の言葉にハッと正気に戻ったマリア。すぐに口をフグのように膨らませた。
「まさ! ……か?」
え、何そのマリアの反応。何で下を見てるの? ほら、アベルがギョッとした顔して見てるぞ。なあリリ……リリアさん? 下を見つめてどうしたんですか? もしかしてリリア、お前もか!
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