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第一章
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部屋のベッドに腰かけた私はとっと手を前に突き出す。
「《騎士(リッター)》」
私の言葉に応えるように現れたのは一振りの剣。
この剣は彼の力そのもの、そして、彼がセイヤだった以前から使われていた力。
剣は鞘に入っておらず剥き出しの為、危険のはずなのだが、私は躊躇なくその刃に触れる。
本当ならば私の指は裂けるだろう、しかし、彼の剣が私を傷つける事は決してない。
「騎士(リッター)、もうすぐしたら、あなたの本来の主の元に帰してあげるわね。」
もの申すはずがない剣に対し私は話しかける。
「それにしても……《光(リヒト)》。」
私は空いた手で私の本来の力を呼び出そうとするが、何故か発動されない。
私の本来の力は二つ、《光(リヒト)》と《生命(レーベン)》の二つです。
その二つはどんな形で今現れてくれるのか分からない、光(リヒト)は弓の時もあれば槍、細剣(レイピア)、短刀の時もあった。
そして、生命(レーベン)はランタンだったり、水瓶の形をしていた。
それが今この私が呼べばどの形をするのか分からない。
そもそも、生命(レーベン)の力を出せる発動条件というものがあって、これを出せたのは四代前の私と一つ前の私しか使えなかった。
その条件はセイヤを愛するという事。
セイヤはそもそも私や彼の弟と違って純粋なる吸血鬼の魂ではありません。
あっ、吸血鬼と言ってもむやみやたらと人の血を吸う存在ではありませんでした。
私たちの種族は不老長寿の種族で命を保つために少量の血を必要としました。それは自分以外ならば何でも構いません、鳥でも豚でも牛でも、つまりは普通の人間の食事で済みます。
でも、純潔のごくごく一部の人間はそれで足らない人がいました、私もその一握りの一人でした。
私の魂は十六を過ぎれば渇きを覚え、そして、他人の血を求めました。
でも、私はそれを嫌い、血を飲もうとしなかった、または誤魔化すように自分の血を啜りました。
でも満たされる事もなく、何度転生をしたのか覚えていません。
そして、とうとう私は運命と出会いました。
四代前の私が十六の時、一人の少年と出会いました。
彼は戦争で家族や帰る家を失いました。一人の少年と孤独の「私」、どこか似ていた。
だから、「私」は彼に手を差し伸べてしまった、飢えで死ぬ瞬間まで彼の傍に居ようと決意しました。
少年が青年となった時、彼は「私」の秘密を知りました。
そして、「私」は彼に選択を迫りました。
人のまま「私」と離別するか。
「狩人」として「私」を殺すか。
「狩人」それは人や仲間を傷つけた者を殺す組織に認められた者が名乗れる名称、彼はその資格を持っていました。
それは彼が「私」を守る為に取ったもの、でも、「私」はその時はそんな事とは露も知らず、そう言ったのです。
彼は激怒しました。そして、「私」が言った選択肢を無視して第三の答えを申し出ました。
しかし、私はそれを拒んだ。
そんなある日、「私」は薔薇の棘で指に怪我を負いました、この時「私」はうかつだった。
傍に控えていた彼が「私」の手を掴み、あろうことか、指を舐めました。
「私」は真っ青になって逃げようとしましたが、その手はあまりにも強く、彼に「私」は地を与えてしまったのです。呪われた種族の血を。
もし、「私」の気が動転していなければ、何も起こらなかった、でも、「私」は彼の名を叫んでしまったのです。
「血」と「名前」それが彼を人から吸血鬼に変えてしまった。
今思えば彼はわざとやったのでしょう、そうしてまでも、彼は「私」の傍に居たかったのだと今では分かります。
でも、その時の「私」は分からなかった。
だから、「私」が死ぬまで歪な関係が結ばれ、そして、それは彼の魂を縛り付けてしまった。
それから転生するたびに彼は記憶を継承し、「私」の傍に居てくれました、しかし、元は人間の魂、三度の転生でもうすでに擦切ってしまいました。
このままいけば彼の魂は粉々になってしまう、それを知った「前」の「私」は彼と一緒に「均衡者」になる道を選びました。
もう二度と彼に悲しい思いをさせたくなかったから、いえ、折角気づいた気持ちが黒く私を染めてしまったのでしょう。
彼は私の「モノ」。
私は彼の「モノ」。
私の命は彼の「モノ」。
そして、彼の命は私の「モノ」。
そう身勝手な思いがこの道を選ばせた、後悔はしておりません、でも、彼を巻き込んだ事に少し申し訳なく思いつつも、それよりも、喜びの方が勝ってしまっています。
と、回想はここまでにしないといけませんね。
騎士(リッター)を消し、ドアの向こうを見つめる。
「ミナ。」
「はい。」
私は小さな声で侍女を呼び、彼女は静かに室内に入り込む。
「着替えるわ。」
「畏まりました。」
頭を下げる彼女は漆黒の髪に金に似た茶色の瞳を持った少女。それは前の「私」と瓜二つの少女。
彼女はそっと私に差し出すのは彼女が今着ているメイド服。
私は彼女の手伝いを借りず、そして、彼女は瞬く間に私の姿に変わる。
「さて、彼の為に情報収集といきましょうか。」
「わたくしはこちらでお待ちしておりますね。」
「ええ、頼んだわ。」
私は指を鳴らし、先ほどの侍女と同じ姿に変わる。
「いってらっしゃいませ。」
「大丈夫だと思うけど、誰も通さないようにしておくわ。」
「はい。」
深々と頭を下げる彼女に私は苦笑して外に出ていく。
「《騎士(リッター)》」
私の言葉に応えるように現れたのは一振りの剣。
この剣は彼の力そのもの、そして、彼がセイヤだった以前から使われていた力。
剣は鞘に入っておらず剥き出しの為、危険のはずなのだが、私は躊躇なくその刃に触れる。
本当ならば私の指は裂けるだろう、しかし、彼の剣が私を傷つける事は決してない。
「騎士(リッター)、もうすぐしたら、あなたの本来の主の元に帰してあげるわね。」
もの申すはずがない剣に対し私は話しかける。
「それにしても……《光(リヒト)》。」
私は空いた手で私の本来の力を呼び出そうとするが、何故か発動されない。
私の本来の力は二つ、《光(リヒト)》と《生命(レーベン)》の二つです。
その二つはどんな形で今現れてくれるのか分からない、光(リヒト)は弓の時もあれば槍、細剣(レイピア)、短刀の時もあった。
そして、生命(レーベン)はランタンだったり、水瓶の形をしていた。
それが今この私が呼べばどの形をするのか分からない。
そもそも、生命(レーベン)の力を出せる発動条件というものがあって、これを出せたのは四代前の私と一つ前の私しか使えなかった。
その条件はセイヤを愛するという事。
セイヤはそもそも私や彼の弟と違って純粋なる吸血鬼の魂ではありません。
あっ、吸血鬼と言ってもむやみやたらと人の血を吸う存在ではありませんでした。
私たちの種族は不老長寿の種族で命を保つために少量の血を必要としました。それは自分以外ならば何でも構いません、鳥でも豚でも牛でも、つまりは普通の人間の食事で済みます。
でも、純潔のごくごく一部の人間はそれで足らない人がいました、私もその一握りの一人でした。
私の魂は十六を過ぎれば渇きを覚え、そして、他人の血を求めました。
でも、私はそれを嫌い、血を飲もうとしなかった、または誤魔化すように自分の血を啜りました。
でも満たされる事もなく、何度転生をしたのか覚えていません。
そして、とうとう私は運命と出会いました。
四代前の私が十六の時、一人の少年と出会いました。
彼は戦争で家族や帰る家を失いました。一人の少年と孤独の「私」、どこか似ていた。
だから、「私」は彼に手を差し伸べてしまった、飢えで死ぬ瞬間まで彼の傍に居ようと決意しました。
少年が青年となった時、彼は「私」の秘密を知りました。
そして、「私」は彼に選択を迫りました。
人のまま「私」と離別するか。
「狩人」として「私」を殺すか。
「狩人」それは人や仲間を傷つけた者を殺す組織に認められた者が名乗れる名称、彼はその資格を持っていました。
それは彼が「私」を守る為に取ったもの、でも、「私」はその時はそんな事とは露も知らず、そう言ったのです。
彼は激怒しました。そして、「私」が言った選択肢を無視して第三の答えを申し出ました。
しかし、私はそれを拒んだ。
そんなある日、「私」は薔薇の棘で指に怪我を負いました、この時「私」はうかつだった。
傍に控えていた彼が「私」の手を掴み、あろうことか、指を舐めました。
「私」は真っ青になって逃げようとしましたが、その手はあまりにも強く、彼に「私」は地を与えてしまったのです。呪われた種族の血を。
もし、「私」の気が動転していなければ、何も起こらなかった、でも、「私」は彼の名を叫んでしまったのです。
「血」と「名前」それが彼を人から吸血鬼に変えてしまった。
今思えば彼はわざとやったのでしょう、そうしてまでも、彼は「私」の傍に居たかったのだと今では分かります。
でも、その時の「私」は分からなかった。
だから、「私」が死ぬまで歪な関係が結ばれ、そして、それは彼の魂を縛り付けてしまった。
それから転生するたびに彼は記憶を継承し、「私」の傍に居てくれました、しかし、元は人間の魂、三度の転生でもうすでに擦切ってしまいました。
このままいけば彼の魂は粉々になってしまう、それを知った「前」の「私」は彼と一緒に「均衡者」になる道を選びました。
もう二度と彼に悲しい思いをさせたくなかったから、いえ、折角気づいた気持ちが黒く私を染めてしまったのでしょう。
彼は私の「モノ」。
私は彼の「モノ」。
私の命は彼の「モノ」。
そして、彼の命は私の「モノ」。
そう身勝手な思いがこの道を選ばせた、後悔はしておりません、でも、彼を巻き込んだ事に少し申し訳なく思いつつも、それよりも、喜びの方が勝ってしまっています。
と、回想はここまでにしないといけませんね。
騎士(リッター)を消し、ドアの向こうを見つめる。
「ミナ。」
「はい。」
私は小さな声で侍女を呼び、彼女は静かに室内に入り込む。
「着替えるわ。」
「畏まりました。」
頭を下げる彼女は漆黒の髪に金に似た茶色の瞳を持った少女。それは前の「私」と瓜二つの少女。
彼女はそっと私に差し出すのは彼女が今着ているメイド服。
私は彼女の手伝いを借りず、そして、彼女は瞬く間に私の姿に変わる。
「さて、彼の為に情報収集といきましょうか。」
「わたくしはこちらでお待ちしておりますね。」
「ええ、頼んだわ。」
私は指を鳴らし、先ほどの侍女と同じ姿に変わる。
「いってらっしゃいませ。」
「大丈夫だと思うけど、誰も通さないようにしておくわ。」
「はい。」
深々と頭を下げる彼女に私は苦笑して外に出ていく。
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