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第一章
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「……姉さん。」
「キース?」
さっさと席を外したと思っていたキースは私の部屋の前で立っていた。
「どうしたのですか?」
「……姉さんは強いんですね。」
「……キース?」
私はキースの言いたい意味が分からなかった。
「先日も、今日も魔族が現れたのに、何もできませんでした。」
「当たり前よ、ただの学生にそこまで誰も望んではいませんから。」
「でも、姉さんも殿下も…。」
「わたくしたちは別です。」
「どこがですか、姉さんたちは、確かに魔力量は多く、そのコントロールも皆が褒めるほどなのはわかります、ですが、姉さんもただの学生です。」
「……。」
「悔しいです…。」
俯くキースに私は微笑を浮かべる。
「悔しいと思うのはいい事ですね。」
「えっ?」
「わたくしも正直に申しますと、自分の未熟さに悔しいと常々思っています。」
「姉さんが?」
「貴方はいつもわたくしを神のように扱いますが、わたくしも人の子ですよ。」
「そ、それはそうですけど。」
身に覚えがあるのかキースはたじろぐ。
「ですが、わたくしはそれを他人に見せるのは負けだと思って挑んでいるのですよ。」
「負け…。」
「ええ、キース貴方は先ほどたじろぎましたよね?」
「は、はい。」
「それは見るものが見れば、頼りない、未熟だと判断いたします、ですが、それを表情に出すことなく背筋を伸ばせばそれだけで、人はころりと騙されるものですよ。」
「……姉さんはそれを心がけておいでなんですか?」
「勿論です、わたくしの一動、一言、それでこの家の将来を左右いたします。」
「……。」
「それはどの方にも言える事です。幸いにもわたくしたちは学生という身分がありますので、多少は目を瞑っていただけますでしょうが、それでも、限度というものがあります。」
「あの女の事でしょうか?」
「ヒース。」
私は嗜めるように言えば彼は肩を竦める。
「あの者は自業自得、姉さんに何度言われても態度を改めません。」
「あの方には困ったものですが、それをどうにかしなければならない立場でもありますから。」
「……。」
「でも、他の方から見ればわたくしも同じように映るものもあります。」
「そんな事はっ!」
「わたくしのこの態度を傲慢ととる方もいます。」
「……。」
私の言葉にキースは絶句する。
「キース、貴方はいい子だと思います。」
「ね、姉さん?」
「ですが、それはあくまでも家族としての目、これからの貴方は別の目で見られます。」
「……。」
「今はわたくしも、父も、母も、兄も、姉も手を差し伸べることが出来るでしょう、ですが、それもいずれ出来なくなります。」
「……。」
「本来ならば貴方にはゆっくりと育っていって欲しいと思っておりましたが、こう魔族が多いと、いつ何が起こっても可笑しくありません。」
「姉さん?」
「わたくしはきっとあの方と一緒に矢面に立つと思います、その時、あの方に万が一があればわたくしはお供いたします。」
「――っ!」
「だから、あの時に言っておけばと後悔しないためにも、今言っておきます。」
「……。」
「自分の目だけでなく、多くの目を持ちなさい、そして、自分の意見だけではなく、他の意見も聞きなさい。
貴方は自分の事だけで視野が狭くなるから、多くの信の置ける者を作りなさい。
それが、わたくしが言えることです。」
「……。」
「キース、ゆっくりと考えなさい。」
「はい。」
私には彼が何を思っているのか分からなかった、だけど、前と違って彼はちゃんと考えようとしている。
皮肉にもそれは魔族というイレギュラーが現れた所為でもあったけれども。
それでも、彼は一皮を剥こうとしていた。
「キース?」
さっさと席を外したと思っていたキースは私の部屋の前で立っていた。
「どうしたのですか?」
「……姉さんは強いんですね。」
「……キース?」
私はキースの言いたい意味が分からなかった。
「先日も、今日も魔族が現れたのに、何もできませんでした。」
「当たり前よ、ただの学生にそこまで誰も望んではいませんから。」
「でも、姉さんも殿下も…。」
「わたくしたちは別です。」
「どこがですか、姉さんたちは、確かに魔力量は多く、そのコントロールも皆が褒めるほどなのはわかります、ですが、姉さんもただの学生です。」
「……。」
「悔しいです…。」
俯くキースに私は微笑を浮かべる。
「悔しいと思うのはいい事ですね。」
「えっ?」
「わたくしも正直に申しますと、自分の未熟さに悔しいと常々思っています。」
「姉さんが?」
「貴方はいつもわたくしを神のように扱いますが、わたくしも人の子ですよ。」
「そ、それはそうですけど。」
身に覚えがあるのかキースはたじろぐ。
「ですが、わたくしはそれを他人に見せるのは負けだと思って挑んでいるのですよ。」
「負け…。」
「ええ、キース貴方は先ほどたじろぎましたよね?」
「は、はい。」
「それは見るものが見れば、頼りない、未熟だと判断いたします、ですが、それを表情に出すことなく背筋を伸ばせばそれだけで、人はころりと騙されるものですよ。」
「……姉さんはそれを心がけておいでなんですか?」
「勿論です、わたくしの一動、一言、それでこの家の将来を左右いたします。」
「……。」
「それはどの方にも言える事です。幸いにもわたくしたちは学生という身分がありますので、多少は目を瞑っていただけますでしょうが、それでも、限度というものがあります。」
「あの女の事でしょうか?」
「ヒース。」
私は嗜めるように言えば彼は肩を竦める。
「あの者は自業自得、姉さんに何度言われても態度を改めません。」
「あの方には困ったものですが、それをどうにかしなければならない立場でもありますから。」
「……。」
「でも、他の方から見ればわたくしも同じように映るものもあります。」
「そんな事はっ!」
「わたくしのこの態度を傲慢ととる方もいます。」
「……。」
私の言葉にキースは絶句する。
「キース、貴方はいい子だと思います。」
「ね、姉さん?」
「ですが、それはあくまでも家族としての目、これからの貴方は別の目で見られます。」
「……。」
「今はわたくしも、父も、母も、兄も、姉も手を差し伸べることが出来るでしょう、ですが、それもいずれ出来なくなります。」
「……。」
「本来ならば貴方にはゆっくりと育っていって欲しいと思っておりましたが、こう魔族が多いと、いつ何が起こっても可笑しくありません。」
「姉さん?」
「わたくしはきっとあの方と一緒に矢面に立つと思います、その時、あの方に万が一があればわたくしはお供いたします。」
「――っ!」
「だから、あの時に言っておけばと後悔しないためにも、今言っておきます。」
「……。」
「自分の目だけでなく、多くの目を持ちなさい、そして、自分の意見だけではなく、他の意見も聞きなさい。
貴方は自分の事だけで視野が狭くなるから、多くの信の置ける者を作りなさい。
それが、わたくしが言えることです。」
「……。」
「キース、ゆっくりと考えなさい。」
「はい。」
私には彼が何を思っているのか分からなかった、だけど、前と違って彼はちゃんと考えようとしている。
皮肉にもそれは魔族というイレギュラーが現れた所為でもあったけれども。
それでも、彼は一皮を剥こうとしていた。
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