転生夫婦～乙女ゲーム編～

第一章

４１

「……少大きくなりましたね。」
「……。」

　私は自分の胸を見る年配のお針子さんに苦笑する。

「そうですか？」
「はい、一回り程。」
「……。」
「順調に愛を育まれていらっしゃるんですね。」
「いえ、まだ、何もありませんよ。」
「ふふふ。」

　笑う彼女に私は少し遠い目をする。

「さて、今回でお嬢様はデビューとなりますので、白のドレスですが、どのような形がいいかとかありますか？」
「そうですね。」

　いつも作っていただくものはお任せしてたが、今回は少しは考えてもいいかと思った。

「そうですね、Ａライン…。」
「Ａラインのドレスですね。」

　真っ白のドレスと言えば「前」の時のウエディングドレスを訪仏させた。
　そして、その時彼の隣に立った時に来ていたのは真っ白なＡラインのウエディングドレスだった。

「畏まりました、でしたら、いくつかデザインを描かせていただきますので、後日うちのものがお持ちいたしますので、その中からお選びいただけますでしょうか？」
「分かりました、楽しみにしております。」

　お針子さんは何か使命に燃えているようで、私は苦笑して見送るしか出来なかった。