転生夫婦～乙女ゲーム編～

第一章

４２

「イザベラ様、お待ちください。」
「……ごめんなさい、ミナ。」
「いえ、はやる気持ちは分かります。」
「……。」

　真夜中の森の中私はミナを連れて走っていた。
　だけど、いつの間にか私はミナを随分と引き離しており、少し立ち止まって彼女を待つ。

「それにしても、あの方は何を考えているのでしょうか。」
「仕方ないわ、私（ルナ）として会うのは一目のある場所ではまず難しいから。」
「だからと言ってこんな深夜。」
「………不思議ね。」
「何がですか？」
「私と貴女は同じはずなのに、彼（アルファード）に対しては辛辣ね。」
「………そうですね、順位の位置づけが違うからでしょうか。」
「どう違うの？」
「イザベラ様はまずあの方を中心として考えますが、わたしは貴女様を中心として考えます、あの人は確かに好ましくは思いますが…。」

　とても言いにくそうにするミナに私は不思議そうな顔をする。

「順位は多分三番目くらいかと。」
「……。」

　恥ずかしそうに顔を背けるミナに私は可愛いな、と思ってしまう。

「そうなのね、三番目なのね。」
「……は、はい…。」
「という事は、二番目はオレか？」
「め、メイカっ！」
「あら。」
「イザベラ様、主が奥で待っております。」
「分かったわ、ミナ、ゆっくりで構わないわよ。」
「ちょっと、待ってください。」

　いつの間にかミナはガシリとメイカに捕まっていた。
　これは確実に当分引き離す事は出来ないだろう。

「メイカ、離してっ！」
「駄目だ、充電だ。」
「充電って何ですか、お願いだから、離してください。」
「……はぁ、落ち着く。」
「……。」

　身に覚えのある言葉の数々にミナだけではなく私まで顔が赤くなりそうです。
　流石、彼（メイヤ）の分身です…。