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第685話 哀れ憐れ
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備蓄程度の回復術など、もう終わったに等しい。わざわざ魔力をガキから掻き集め、研究の一環として回復術の改良をしてきただけだったが。
「それももう、あの錬金術師を引き込めば必要はない」
研究の方向性を変えるだけでいい。食べ物そのものが回復薬になるなど、前代未聞の事態ではあったが。その錬金術師をこちらへ引っ捕らえれば……我々、魔法薬師の時代がさらに明るみになるだろう。
王侯貴族から、役立たずな末の子を引き取るのもなかなかに金のかかるものでしかない。おまけに、魔力の質が悪いだけでなく少ないときた。
なら、錬金術師をこの国に引き込むことが決まれば……限界まで吸引した以外は用無しだ。
「暗部の派遣も進めなくては。一度だけ食べたが、あのパンはうまい……」
食事としてもいいが、テーブルパンですらポーションとなるのであれば王家への献上品としてはまず良いだろう。我々の日常を彩りよくするためにも、一日でも早く引き込みたいものだが……焦ってはいかん。
慎重に動かねば、長年秘匿にしてきた所業が明るみに出てしまう。
ガキらは全員処分したし、あとは証拠を順に焼き捨てておくだけだ。
「……パンを独り占め? バカじゃない?」
書類を焼こうとした途端、首筋に短剣が当てられた。いつでも喉笛を掻っ切るくらい可能な力加減。侵入者の警報はどうしたと思ったが、下手な言い訳をすれば殺される手前。
ぐっと息を殺していても、侵入者はまた言葉を発した。
「お前たちの所業はすべてこちらが把握している。何もないように思ってただろうが……証拠からすべて、こちら側が引き取っていたんだよ。バカだね? 子どもの生命力を舐め切ってて」
とんでもない言い分は、こちらを卑下する物言いとともに真実を告げていることくらい断言出来そうなもの。
どこだ? あいつらは全員溺死させたはず。ガキらは体力が限界の時点で湖に投げ捨てたのでは? まさか、ひとりでも生きててこれまでのこちらの事情を伝えた??
なんて落ち度。
「馬鹿だよなあ? 完全に証拠隠滅するんなら、ガキの息の根を止めてから捨てるもんだろ? あいにくと、ほとんどのガキは生きてたぜ」
残りは蘇生に力を入れている、などと。別の方向からも呆れた声が聞こえてきた……。
たしかにその通りだが……まさか、引き上げる力が残っていたなどと、あの時点で思うか? こちらに抵抗してこなかった代わりに、温存していただと?
どのガキがしやがったんだ!!? 畜生!!
「お前たちの所業はもう国を越えて、他国にも露見となった。ここの王家も腐り切っていたからな? 投獄程度で済むと思うなよ」
「が!?」
剣が離れたかと思えば、頭に酷い鈍痛が襲いかかり。意識が遠退くのを倒れながら受け入れるしか出来なかった。不覚だが、爪が甘かったのはこちらの落ち度。
あの錬金術師のパンは食いたかったが、二度と口に出来ないことへの落胆しか最後はもうなかった。
「それももう、あの錬金術師を引き込めば必要はない」
研究の方向性を変えるだけでいい。食べ物そのものが回復薬になるなど、前代未聞の事態ではあったが。その錬金術師をこちらへ引っ捕らえれば……我々、魔法薬師の時代がさらに明るみになるだろう。
王侯貴族から、役立たずな末の子を引き取るのもなかなかに金のかかるものでしかない。おまけに、魔力の質が悪いだけでなく少ないときた。
なら、錬金術師をこの国に引き込むことが決まれば……限界まで吸引した以外は用無しだ。
「暗部の派遣も進めなくては。一度だけ食べたが、あのパンはうまい……」
食事としてもいいが、テーブルパンですらポーションとなるのであれば王家への献上品としてはまず良いだろう。我々の日常を彩りよくするためにも、一日でも早く引き込みたいものだが……焦ってはいかん。
慎重に動かねば、長年秘匿にしてきた所業が明るみに出てしまう。
ガキらは全員処分したし、あとは証拠を順に焼き捨てておくだけだ。
「……パンを独り占め? バカじゃない?」
書類を焼こうとした途端、首筋に短剣が当てられた。いつでも喉笛を掻っ切るくらい可能な力加減。侵入者の警報はどうしたと思ったが、下手な言い訳をすれば殺される手前。
ぐっと息を殺していても、侵入者はまた言葉を発した。
「お前たちの所業はすべてこちらが把握している。何もないように思ってただろうが……証拠からすべて、こちら側が引き取っていたんだよ。バカだね? 子どもの生命力を舐め切ってて」
とんでもない言い分は、こちらを卑下する物言いとともに真実を告げていることくらい断言出来そうなもの。
どこだ? あいつらは全員溺死させたはず。ガキらは体力が限界の時点で湖に投げ捨てたのでは? まさか、ひとりでも生きててこれまでのこちらの事情を伝えた??
なんて落ち度。
「馬鹿だよなあ? 完全に証拠隠滅するんなら、ガキの息の根を止めてから捨てるもんだろ? あいにくと、ほとんどのガキは生きてたぜ」
残りは蘇生に力を入れている、などと。別の方向からも呆れた声が聞こえてきた……。
たしかにその通りだが……まさか、引き上げる力が残っていたなどと、あの時点で思うか? こちらに抵抗してこなかった代わりに、温存していただと?
どのガキがしやがったんだ!!? 畜生!!
「お前たちの所業はもう国を越えて、他国にも露見となった。ここの王家も腐り切っていたからな? 投獄程度で済むと思うなよ」
「が!?」
剣が離れたかと思えば、頭に酷い鈍痛が襲いかかり。意識が遠退くのを倒れながら受け入れるしか出来なかった。不覚だが、爪が甘かったのはこちらの落ち度。
あの錬金術師のパンは食いたかったが、二度と口に出来ないことへの落胆しか最後はもうなかった。
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