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第1章
第22話 ユートリー倒れる
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ソイスト侯爵家、令嬢ユートリーの部屋では異変が起きていた。
「トリー、どうしたの?医者を呼びなさい早くっ!」
リラ夫人が取り乱しているのは、ユートリーが目を覚ますことなく、滾々と眠り続けているからだ。
大声で呼んでも揺すっても、その目を開くことはなかった。
「お母様、お姉様のお加減は」
「わからないわ。いくら何でもこんなに目を覚まさないなんておかしい・・」
「心配ですわ、私今日の茶会はおやすみしてお姉様についていて差し上げます」
ミイヤが両手をぎゅっと握り、祈るような仕草をしながらそう言うと、リラ夫人は首を横に振る。
「いいえ、大丈夫。私とタラがついています。今日は城での茶会でしょう?貴女は貴女の社交を優先なさい」
そう言ってミイヤの侍女に目配せを送る。
「でも」
「じきに医者も来るわ。私に任せなさい。ありがとうねミイヤ」
娘の頬に落ちた後れ毛をそっと掬って耳にかけてやると、リラはミイヤたちを部屋から送り出した。
「はあ・・・トリーは一体どうしたというのかしら」
呼ばれたマベル医師はリラ夫人の視線を背に、ユートリーを診察しながら「まさか、いや、そんな」などと独り言ちている。
「マベル様!ユートリーは、娘は一体どうしたのでしょうかっ」
いつまでも結論を口にしないマベル医師に焦れたリラが、怒りを滲ませて促した。
「侯爵夫人・・・。検査をしてみなければはっきりと申し上げることができないのです」
「今わかること、可能性だけでも教えてくださらない?」
「確証がございません、誤診となるかも知れぬのに」
「それでもいいから、さあ」
マベルが口籠り迷っていると、ソイスト侯爵マーカスがユートリーの部屋に現れた。
「おお、マベル!来てくれたのだな、ありがたい!して娘の容態はどうなのだろう?」
ずずっとマーカスが顔を寄せた。
「あ、あの・・・」
「マベル様、いいから貴方様のお考えを聞かせてくださいっ」
リラが悲痛な声で詰め寄ると、漸く観念したようにマベル医師が口を開いた。
「今の時点で、間違いなくそれとは断定できませんが、伝染る病かもしれません」
「た、たすかるの?娘は助かるの?」
「わかりません」
リラが意識を手放したのは、医師が言葉を終えたか終えないかというタイミングだった。
「リラ、大丈夫か?しっかりしろ」
マーカスが飛びつくように妻を抱きとめ、マベル医師は罪悪感から顔を顰めてリラの診察を開始する。
「リラは大丈夫か?」
「ええ、ショックで失神なさっただけ。気の毒に・・・」
「しかたないのだ、いつかは知らねばならんのだから」
「しかしもっとやりようがあったはずでは
?」
責めるマベル医師に、マーカスは目をそらした。
「トリー、どうしたの?医者を呼びなさい早くっ!」
リラ夫人が取り乱しているのは、ユートリーが目を覚ますことなく、滾々と眠り続けているからだ。
大声で呼んでも揺すっても、その目を開くことはなかった。
「お母様、お姉様のお加減は」
「わからないわ。いくら何でもこんなに目を覚まさないなんておかしい・・」
「心配ですわ、私今日の茶会はおやすみしてお姉様についていて差し上げます」
ミイヤが両手をぎゅっと握り、祈るような仕草をしながらそう言うと、リラ夫人は首を横に振る。
「いいえ、大丈夫。私とタラがついています。今日は城での茶会でしょう?貴女は貴女の社交を優先なさい」
そう言ってミイヤの侍女に目配せを送る。
「でも」
「じきに医者も来るわ。私に任せなさい。ありがとうねミイヤ」
娘の頬に落ちた後れ毛をそっと掬って耳にかけてやると、リラはミイヤたちを部屋から送り出した。
「はあ・・・トリーは一体どうしたというのかしら」
呼ばれたマベル医師はリラ夫人の視線を背に、ユートリーを診察しながら「まさか、いや、そんな」などと独り言ちている。
「マベル様!ユートリーは、娘は一体どうしたのでしょうかっ」
いつまでも結論を口にしないマベル医師に焦れたリラが、怒りを滲ませて促した。
「侯爵夫人・・・。検査をしてみなければはっきりと申し上げることができないのです」
「今わかること、可能性だけでも教えてくださらない?」
「確証がございません、誤診となるかも知れぬのに」
「それでもいいから、さあ」
マベルが口籠り迷っていると、ソイスト侯爵マーカスがユートリーの部屋に現れた。
「おお、マベル!来てくれたのだな、ありがたい!して娘の容態はどうなのだろう?」
ずずっとマーカスが顔を寄せた。
「あ、あの・・・」
「マベル様、いいから貴方様のお考えを聞かせてくださいっ」
リラが悲痛な声で詰め寄ると、漸く観念したようにマベル医師が口を開いた。
「今の時点で、間違いなくそれとは断定できませんが、伝染る病かもしれません」
「た、たすかるの?娘は助かるの?」
「わかりません」
リラが意識を手放したのは、医師が言葉を終えたか終えないかというタイミングだった。
「リラ、大丈夫か?しっかりしろ」
マーカスが飛びつくように妻を抱きとめ、マベル医師は罪悪感から顔を顰めてリラの診察を開始する。
「リラは大丈夫か?」
「ええ、ショックで失神なさっただけ。気の毒に・・・」
「しかたないのだ、いつかは知らねばならんのだから」
「しかしもっとやりようがあったはずでは
?」
責めるマベル医師に、マーカスは目をそらした。
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