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外伝 リリアンジェラ
可愛いらしい王女はニヤリと笑う12 リリアンジェラ─
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リリアンジェラが、大嫌いなメンジャー侯爵令嬢セラを叩き潰す日は、思いの外早くやってきた。
エルロール王子にメンジャー侯爵夫人ドレーンの誕生祝いパーティーの招待状が届き、そのパートナーにとエルロールがリリアンジェラを誘ったのだ。
「まだ凝りもせずにエル兄様を狙っているのね。彼女がエル兄様の婚約者になれるわけがないのに。カテナもそう思うでしょ?」
「もちろんですわ!」
イルスラはハァとため息を漏らす。
ふたりが目をキラッキラさせながら、ニヤリと笑ったから。
「止めても無駄でしょうから、せめてやり過ぎないように自重なさいませ」
ふたりがシンクロしてくるりと振り返り、またニヤアと悪いことを企んでいそうな顔で笑った。
メンジャー侯爵夫人の誕生祝いのパーティーの日。
エルロールはリリアンジェラを伴い、メンジャー家へ足を運んだ。
「エルロール王子殿下、リリアンジェラ王女殿下!本日は態々お運び下さいまして、誠にありがとうございます」
「ドレーン夫人、本日はおめでとうございます」
エルロールとリリアンジェラがとびきりの愛想笑いを浮かべたまま、棒読みで祝いの言葉を述べる。来たくなかったのに、しつこく誘うから仕方なく来たのだ。
「まさかリリアンジェラ王女殿下までいらしてくださるとは」
メンジャー侯爵夫人の何気ない言葉に、リリアンジェラが応酬する。
「招待状のない私は来てはいけなかったかしら?でもお兄様がひとりでこちらに伺うのはいろいろと心配だったのですもの。私が言いたいこと、おわかりですわよねえ?」
相手が年長の侯爵夫人であろうと、リリアンジェラが臆することはない。
ほんの少しだって怯むことなく、その視線は夫人の背後にいたセラを睨みつけた。
メンジャー侯爵夫人は慌てて、セラを自分の陰に隠す。
「も、勿論王女殿下にいらして頂けて、光栄の至りに存じます!
ああ、あちらに新しい菓子をご用意しておりますの。よろしければお目にかけたいのですが」
「いいえ。夫人はまだご挨拶もお有りでしょう?あとはご令嬢とお話し致しますわ」
それこそを避けたかった夫人に強い圧をかけて追い払い、逃げ腰だったセラを掴まえる。
「ご機嫌よう、メンジャー令嬢」
「よ、ようこそいらして下さいました、リリアンジェラ王女殿下」
「来たくなかったわよ」
小さな低い声でセラにだけ聞こえるように囁く。
「え・・」
「え、じゃなくてよ。貴女がしつこくお兄様に纏わりつかなければ、態々私が来る必要はなかったと言っているの」
セラは俯いて目を反らしたが、それがリリアンジェラの燻っていた怒りに火をつけた。
「あら!私に少し小言を言われたくらいで俯くなんて、貴女らしくなくてよ?私、知っていますのよ」
セラに顔を寄せたリリアンジェラは、さらに小さな、さらに低い声で耳元に囁いた。
「婚約者候補の令嬢たちを見つけては、片っ端から苛めて歩いているのを。まさかお兄様の婚約者になるのは自分だなんて、思っているのではないでしょうね?
はっきり言って、貴女なんかお兄様に相応しくないわ。まったく何様のつもりなのかしら!お兄様ご自身がお選びになるなら、例え子爵や男爵の令嬢だって応援するけど、貴女はダメ絶対に!」
一呼吸したリリアンジェラは獲物を追い詰めていく。
「私は姑息で下の者を見下す貴女が大嫌い!お兄様を諦めないというなら、このわたくしが、とこっとん邪魔をしてみせるわ、なんなら貴女の・・・を・・・・・。ふふふ」
ヒッ!
セラの口から小さく震えた声を上げて、中途半端なカーテシーのあと、逃げるように姿を消した。
エルロール王子にメンジャー侯爵夫人ドレーンの誕生祝いパーティーの招待状が届き、そのパートナーにとエルロールがリリアンジェラを誘ったのだ。
「まだ凝りもせずにエル兄様を狙っているのね。彼女がエル兄様の婚約者になれるわけがないのに。カテナもそう思うでしょ?」
「もちろんですわ!」
イルスラはハァとため息を漏らす。
ふたりが目をキラッキラさせながら、ニヤリと笑ったから。
「止めても無駄でしょうから、せめてやり過ぎないように自重なさいませ」
ふたりがシンクロしてくるりと振り返り、またニヤアと悪いことを企んでいそうな顔で笑った。
メンジャー侯爵夫人の誕生祝いのパーティーの日。
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「エルロール王子殿下、リリアンジェラ王女殿下!本日は態々お運び下さいまして、誠にありがとうございます」
「ドレーン夫人、本日はおめでとうございます」
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「まさかリリアンジェラ王女殿下までいらしてくださるとは」
メンジャー侯爵夫人の何気ない言葉に、リリアンジェラが応酬する。
「招待状のない私は来てはいけなかったかしら?でもお兄様がひとりでこちらに伺うのはいろいろと心配だったのですもの。私が言いたいこと、おわかりですわよねえ?」
相手が年長の侯爵夫人であろうと、リリアンジェラが臆することはない。
ほんの少しだって怯むことなく、その視線は夫人の背後にいたセラを睨みつけた。
メンジャー侯爵夫人は慌てて、セラを自分の陰に隠す。
「も、勿論王女殿下にいらして頂けて、光栄の至りに存じます!
ああ、あちらに新しい菓子をご用意しておりますの。よろしければお目にかけたいのですが」
「いいえ。夫人はまだご挨拶もお有りでしょう?あとはご令嬢とお話し致しますわ」
それこそを避けたかった夫人に強い圧をかけて追い払い、逃げ腰だったセラを掴まえる。
「ご機嫌よう、メンジャー令嬢」
「よ、ようこそいらして下さいました、リリアンジェラ王女殿下」
「来たくなかったわよ」
小さな低い声でセラにだけ聞こえるように囁く。
「え・・」
「え、じゃなくてよ。貴女がしつこくお兄様に纏わりつかなければ、態々私が来る必要はなかったと言っているの」
セラは俯いて目を反らしたが、それがリリアンジェラの燻っていた怒りに火をつけた。
「あら!私に少し小言を言われたくらいで俯くなんて、貴女らしくなくてよ?私、知っていますのよ」
セラに顔を寄せたリリアンジェラは、さらに小さな、さらに低い声で耳元に囁いた。
「婚約者候補の令嬢たちを見つけては、片っ端から苛めて歩いているのを。まさかお兄様の婚約者になるのは自分だなんて、思っているのではないでしょうね?
はっきり言って、貴女なんかお兄様に相応しくないわ。まったく何様のつもりなのかしら!お兄様ご自身がお選びになるなら、例え子爵や男爵の令嬢だって応援するけど、貴女はダメ絶対に!」
一呼吸したリリアンジェラは獲物を追い詰めていく。
「私は姑息で下の者を見下す貴女が大嫌い!お兄様を諦めないというなら、このわたくしが、とこっとん邪魔をしてみせるわ、なんなら貴女の・・・を・・・・・。ふふふ」
ヒッ!
セラの口から小さく震えた声を上げて、中途半端なカーテシーのあと、逃げるように姿を消した。
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