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ダルディーンの細かい修正は何度かあったが、七ヶ月後、施設がとうとう建ちあがり、開業前のプレオープンを数名のお客様を呼んで試してみることにした。
エンダライン侯爵家からカーライルとスーラが。セリアズ公爵家からはもちろんランバルディが。
他にパルティアの友人ニーチェル・メルテ伯爵令嬢たちも五人ほど。ニーチェルたちはオートリアスに激怒し、パルティアの身を真に案じ続けていた友人で、久しぶりの再会だ。
アレクシオスの友人たちは留学、または遠征中で、今回は間に合いそうにないと少し遅れて頼りが届けられた。
「パーチィ!も~っ心配していたのよ!手紙を貰っても全然会えないし、やっと会えると思ったら何よこれ!っていうか、いつの間にセリアズ公爵様のご令息と知り合ったの?」
気のおけない友人との会話は気安くて楽しい。
もちろん、ニーチェルたちもアレクシオスがパルティアと元婚約者オートリアスにとってどんな関係性かは理解している。
互いの婚約者だった者が恋故に逃げたという複雑な立ち位置にあったのだから。
「アレクシオス様は」
すぅっと潮が引いたように静けさを取り戻し、パルティアの声に耳を傾けた。
「私よりもずっと深く傷ついて、命の危険に晒されているところを偶然お助けしたの。でもお互いに同志を見つけて共同事業を起こすことになって、乗り越えられた気がするわ。私もアレクシオス様もね」
「それって、新しい恋を見つけたからじゃないの?」
ニーチェルとルア・ノートが目配せをしている。
「ちっ、違うわ!そんなんじゃないのよ私たちは」
一生懸命に否定しても、友人たちはただニヤニヤとしている。
「んっもう!違うんだってば!」
「そんなお言葉遣い、ご令嬢に相応しくございませんわよ、パーチィさまぁ」
ニーチェルの仰々しい言葉に、皆で笑い出した。もちろんパルティアも。
「とにかく、ここは私とアレクシオス様の静養からヒントを得て思いついたものなの。例えば気持ちが疲れてしまったときや体調は回復したけど元気が出ないようなときに来て、ここでゆっくり休んでほしいと思っているの」
「でも別荘でもいいのではなくて?」
「もちろんそれでもいいわ。でも、家族や侍女たちに心配されながら過ごすのが辛かったり、良くないときもあるのよ。私はここの使用人に雇い入れた平民たちと親しくなって、やっとオートリアスさま以外のことを考えられるようになったけれど、そうでなければずーっとうちの侍女に愚痴愚痴と言い続けて心を病んでいたと思う。まったく知らない人にさり気なく気遣われる程度が心地よかったりすることがあると気づいたのよ」
─ここまでパーチィが追い詰められていたなんて─
ニーチェルは腕を伸ばしてパルティアを抱き寄せながら、奥歯を噛み締めた。
─あの男、私が見つけたらただじゃおかないのに─
せいぜい熱い茶をかけてやるくらいしかできそうにないが、それでも大切な友をそこまで傷つけたオートリアスに怒りが沸騰するニーチェルであった。
エンダライン侯爵家からカーライルとスーラが。セリアズ公爵家からはもちろんランバルディが。
他にパルティアの友人ニーチェル・メルテ伯爵令嬢たちも五人ほど。ニーチェルたちはオートリアスに激怒し、パルティアの身を真に案じ続けていた友人で、久しぶりの再会だ。
アレクシオスの友人たちは留学、または遠征中で、今回は間に合いそうにないと少し遅れて頼りが届けられた。
「パーチィ!も~っ心配していたのよ!手紙を貰っても全然会えないし、やっと会えると思ったら何よこれ!っていうか、いつの間にセリアズ公爵様のご令息と知り合ったの?」
気のおけない友人との会話は気安くて楽しい。
もちろん、ニーチェルたちもアレクシオスがパルティアと元婚約者オートリアスにとってどんな関係性かは理解している。
互いの婚約者だった者が恋故に逃げたという複雑な立ち位置にあったのだから。
「アレクシオス様は」
すぅっと潮が引いたように静けさを取り戻し、パルティアの声に耳を傾けた。
「私よりもずっと深く傷ついて、命の危険に晒されているところを偶然お助けしたの。でもお互いに同志を見つけて共同事業を起こすことになって、乗り越えられた気がするわ。私もアレクシオス様もね」
「それって、新しい恋を見つけたからじゃないの?」
ニーチェルとルア・ノートが目配せをしている。
「ちっ、違うわ!そんなんじゃないのよ私たちは」
一生懸命に否定しても、友人たちはただニヤニヤとしている。
「んっもう!違うんだってば!」
「そんなお言葉遣い、ご令嬢に相応しくございませんわよ、パーチィさまぁ」
ニーチェルの仰々しい言葉に、皆で笑い出した。もちろんパルティアも。
「とにかく、ここは私とアレクシオス様の静養からヒントを得て思いついたものなの。例えば気持ちが疲れてしまったときや体調は回復したけど元気が出ないようなときに来て、ここでゆっくり休んでほしいと思っているの」
「でも別荘でもいいのではなくて?」
「もちろんそれでもいいわ。でも、家族や侍女たちに心配されながら過ごすのが辛かったり、良くないときもあるのよ。私はここの使用人に雇い入れた平民たちと親しくなって、やっとオートリアスさま以外のことを考えられるようになったけれど、そうでなければずーっとうちの侍女に愚痴愚痴と言い続けて心を病んでいたと思う。まったく知らない人にさり気なく気遣われる程度が心地よかったりすることがあると気づいたのよ」
─ここまでパーチィが追い詰められていたなんて─
ニーチェルは腕を伸ばしてパルティアを抱き寄せながら、奥歯を噛み締めた。
─あの男、私が見つけたらただじゃおかないのに─
せいぜい熱い茶をかけてやるくらいしかできそうにないが、それでも大切な友をそこまで傷つけたオートリアスに怒りが沸騰するニーチェルであった。
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