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「ニーナ、ありがとう。そう言ってもらえて勇気が湧いてきたわ」
パルティアとニーナのやり取りを黙って見ていたゾロアは、不思議と胸が熱くなる気がした。
自分は貴族として平民たちに何が必要かなど考えたことがなかった。領地もないし、考えてやらねばならない民などいないからだ。
しかしパルティアは自領地ではない所の民を思い、心を砕いている。
─恥ずかしいことだ、私も貴族の一人であるというのに─
パルティアたちのために何かしたい。
それが地元の平民たちに還元されるならなお良いと、頼まれなくても協力したいという気持ちになって申し出る。
「私にも何かさせてください」
「ええ、ありがとう!もちろんたっくさん手伝ってもらいたいことがありますわ。びっくりしないでね」
くすりと笑って言うと、
「では一度エルシドに戻りましょう。ゾロア、貴方はあとからでも私の施設にいらしてね。会ってほしい方もおりますし、それから具体的な話を致しましょう。あ、一つ調べておいてほしいことがありましたわ。温泉!温泉が湧くところを探しておいて」
嵐のように現れ、また去っていく。
パルティアが乗る馬車を見送ると、ゾロアは胸のうちから興奮の波が沸き起こるのを感じていた。
「よし、やってやる!面白いことになってきたぞ」
エルシドに戻るとすぐ、パルティアはアレクシオスを訪ねて、メンシアの事業をやると回答した。
「ああ、よかった!父も喜ぶ」
「メンシアで良い者を見つけましたの。明日こちらに参りますからお目にかけたいのですが、ご予定は?」
「もちろんそれが最優先だよ!空けて待っていよう」
パルティアは、ニーナたちに思いを吐露したことでより強く事業を成功させたいと思うようになっていた。
アレクシオスを見ると、柔和な笑みを浮かべてパルティアを見つめている。
「ええっと、何か?」
「あ、いや。久しぶりだなと思って」
何がだろうと小首を傾げる。
「こうしてパルティア様がやる気に燃えている姿を見るのが」
「え?最近私、やる気なさそうでしたの?本人はやる気に満ちておりましたのに」
「うん、やる気はいつもあるけれど、今は初めてエルシドで事業を始めると話してくれたときのように輝いている」
・・・・・
ボッ!
どちらかが、いや、どちらもだ。
アレクシオスは自分の口からうっかり漏れた言葉に焦り、パルティアはアレクシオスを意識してしまって。
ニーナとコーズは笑いを堪えているが、小さく肩が揺れている。
「くっついてしまえばよろしいのに」
ニーナのそれはとても小さな声だったが、隣りに控えていたコーズには聞こえた。
「ええ、まったく。パルティア様ならこちらも大歓迎でございますよ」
侍女と侍従は、何かを企むように視線を交わすとほくそ笑んだ。
パルティアとニーナのやり取りを黙って見ていたゾロアは、不思議と胸が熱くなる気がした。
自分は貴族として平民たちに何が必要かなど考えたことがなかった。領地もないし、考えてやらねばならない民などいないからだ。
しかしパルティアは自領地ではない所の民を思い、心を砕いている。
─恥ずかしいことだ、私も貴族の一人であるというのに─
パルティアたちのために何かしたい。
それが地元の平民たちに還元されるならなお良いと、頼まれなくても協力したいという気持ちになって申し出る。
「私にも何かさせてください」
「ええ、ありがとう!もちろんたっくさん手伝ってもらいたいことがありますわ。びっくりしないでね」
くすりと笑って言うと、
「では一度エルシドに戻りましょう。ゾロア、貴方はあとからでも私の施設にいらしてね。会ってほしい方もおりますし、それから具体的な話を致しましょう。あ、一つ調べておいてほしいことがありましたわ。温泉!温泉が湧くところを探しておいて」
嵐のように現れ、また去っていく。
パルティアが乗る馬車を見送ると、ゾロアは胸のうちから興奮の波が沸き起こるのを感じていた。
「よし、やってやる!面白いことになってきたぞ」
エルシドに戻るとすぐ、パルティアはアレクシオスを訪ねて、メンシアの事業をやると回答した。
「ああ、よかった!父も喜ぶ」
「メンシアで良い者を見つけましたの。明日こちらに参りますからお目にかけたいのですが、ご予定は?」
「もちろんそれが最優先だよ!空けて待っていよう」
パルティアは、ニーナたちに思いを吐露したことでより強く事業を成功させたいと思うようになっていた。
アレクシオスを見ると、柔和な笑みを浮かべてパルティアを見つめている。
「ええっと、何か?」
「あ、いや。久しぶりだなと思って」
何がだろうと小首を傾げる。
「こうしてパルティア様がやる気に燃えている姿を見るのが」
「え?最近私、やる気なさそうでしたの?本人はやる気に満ちておりましたのに」
「うん、やる気はいつもあるけれど、今は初めてエルシドで事業を始めると話してくれたときのように輝いている」
・・・・・
ボッ!
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「くっついてしまえばよろしいのに」
ニーナのそれはとても小さな声だったが、隣りに控えていたコーズには聞こえた。
「ええ、まったく。パルティア様ならこちらも大歓迎でございますよ」
侍女と侍従は、何かを企むように視線を交わすとほくそ笑んだ。
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