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ランバルディが楽しそうにオートリアスを追い詰めた日、パルティアは何故かぐっすりと眠ることができた。
目が覚めた時、可笑しくて自分で笑ってしまったほど。眠るまではオートリアスに投げつけられた言葉を思い出して多少苛立ったりしていたのだが。
「パルティア様?」
笑い声に気づいたニーナが不思議そうに声をかけた。
「昨夜私、ものすごくよく眠れて、今とってもすっきりしているの。ねえ、おかしいと思わない?」
「そ、そうですか?おかしくはないかと思いますが」
「昨日オートリアス様にいろいろ言われて、眠る直前までは目が冴えてなかなか寝付けなかったのよ」
「まあ!それは存じ上げませんでしたわ、温めたミルクでもお持ちすればよろしかったですね、申し訳ございませんでした」
「いいの。これほどすっきりした気分はいつ以来かしら。お義父様のおかげだわ」
「おとう様?ランバルディ卿のことですわよね?そうお呼びすることに?」
「ええ、お義父様にそろそろと言われて」
恥ずかしそうにそう漏らしたが、幸せそうだ。
「左様でございましたか、それは良うございましたわ」
アレクシオスとランバルディがいることで、パルティアの心が安定するようになったとニーナは考えている。
オートリアスが現れパルティアに罵声を浴びせたと聞いたとき、ニーナは心臓を掴まれたような気がして、何もかも忘れてエントランスへと全力で駆け出していた。
ランバルディにオートリアスを任せたパルティアが、護衛に囲まれて無事戻った姿を見て涙を浮かべたほどだったが。
今寝起きのパルティアを目にすると、心配は雲散霧消した。
「あのあとオートリアス様はどうなったのかしらね」
「さあ、私も詳しくは存じ上げませんのですけど、今ベンベローの方から迎えの馬車が来るのをお待ちになっているのではございませんか?」
「今どこにいるのかしら」
「さあ?」
ニーナはとぼけたが本当は知っている。
ランバルディの書状は早馬でエンダラインとベンベロー両家へ届けられ、どちらの侯爵も今エルシドに向かっているところである。
オートリアスはエルシドのセリアズ公爵別邸にある地下牢へ、昨夜のうちに運び込まれているが、ランバルディ自身は朝食後にエルシドに戻る予定にしている。
「ランバルディ様、そろそろ御出になりますか?」
メニアが支度を整えた鞄をベイツが馬車に運んでいくのを見て、ランバルディも頷く。
「一戦終えたら戻ってくるので、明日の夜は鴨を用意しておいてくれるとうれしいのだがな」
「はいはい、料理長に伝えておきますわ。オレンジソースがよろしいですか?」
「ああ、そうだな。では行くとするか」
その姿は長年連れ添った老夫婦のようなのだが、ふたりにはそういう気はさらさらない。
「ランバルディ様も再婚なさっても良いと思うのですがね」
エルシドに着いてから、ランバルディとメニアの話になってベイツがぽろりと零すと、すでに到着していたコーズが笑った。
「いや、あれは仲良し親子みたいなものだろう、養女にするならわかるが」
「年の差のせいかな?」
「いや。そもそもそういう相手とは見ていないのでは?
それに最近のランバルディ様はいつも楽しそうだから、おひとりでも心配はいらんと思うがな。そのうちお孫様も生まれるだろうし、さすればもっと賑やかにもなる」
ランバルディとアレクシオス、カーライルがオートリアスとの対峙を控えており、なんとはなしに緊張感が漂う中、ベイツたち使用人はランバルディの少し先の未来を思ってほころんだ。
目が覚めた時、可笑しくて自分で笑ってしまったほど。眠るまではオートリアスに投げつけられた言葉を思い出して多少苛立ったりしていたのだが。
「パルティア様?」
笑い声に気づいたニーナが不思議そうに声をかけた。
「昨夜私、ものすごくよく眠れて、今とってもすっきりしているの。ねえ、おかしいと思わない?」
「そ、そうですか?おかしくはないかと思いますが」
「昨日オートリアス様にいろいろ言われて、眠る直前までは目が冴えてなかなか寝付けなかったのよ」
「まあ!それは存じ上げませんでしたわ、温めたミルクでもお持ちすればよろしかったですね、申し訳ございませんでした」
「いいの。これほどすっきりした気分はいつ以来かしら。お義父様のおかげだわ」
「おとう様?ランバルディ卿のことですわよね?そうお呼びすることに?」
「ええ、お義父様にそろそろと言われて」
恥ずかしそうにそう漏らしたが、幸せそうだ。
「左様でございましたか、それは良うございましたわ」
アレクシオスとランバルディがいることで、パルティアの心が安定するようになったとニーナは考えている。
オートリアスが現れパルティアに罵声を浴びせたと聞いたとき、ニーナは心臓を掴まれたような気がして、何もかも忘れてエントランスへと全力で駆け出していた。
ランバルディにオートリアスを任せたパルティアが、護衛に囲まれて無事戻った姿を見て涙を浮かべたほどだったが。
今寝起きのパルティアを目にすると、心配は雲散霧消した。
「あのあとオートリアス様はどうなったのかしらね」
「さあ、私も詳しくは存じ上げませんのですけど、今ベンベローの方から迎えの馬車が来るのをお待ちになっているのではございませんか?」
「今どこにいるのかしら」
「さあ?」
ニーナはとぼけたが本当は知っている。
ランバルディの書状は早馬でエンダラインとベンベロー両家へ届けられ、どちらの侯爵も今エルシドに向かっているところである。
オートリアスはエルシドのセリアズ公爵別邸にある地下牢へ、昨夜のうちに運び込まれているが、ランバルディ自身は朝食後にエルシドに戻る予定にしている。
「ランバルディ様、そろそろ御出になりますか?」
メニアが支度を整えた鞄をベイツが馬車に運んでいくのを見て、ランバルディも頷く。
「一戦終えたら戻ってくるので、明日の夜は鴨を用意しておいてくれるとうれしいのだがな」
「はいはい、料理長に伝えておきますわ。オレンジソースがよろしいですか?」
「ああ、そうだな。では行くとするか」
その姿は長年連れ添った老夫婦のようなのだが、ふたりにはそういう気はさらさらない。
「ランバルディ様も再婚なさっても良いと思うのですがね」
エルシドに着いてから、ランバルディとメニアの話になってベイツがぽろりと零すと、すでに到着していたコーズが笑った。
「いや、あれは仲良し親子みたいなものだろう、養女にするならわかるが」
「年の差のせいかな?」
「いや。そもそもそういう相手とは見ていないのでは?
それに最近のランバルディ様はいつも楽しそうだから、おひとりでも心配はいらんと思うがな。そのうちお孫様も生まれるだろうし、さすればもっと賑やかにもなる」
ランバルディとアレクシオス、カーライルがオートリアスとの対峙を控えており、なんとはなしに緊張感が漂う中、ベイツたち使用人はランバルディの少し先の未来を思ってほころんだ。
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