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居眠りをしている間に粗方決まってしまったとボヤくメラロニアスを放り、パルティアは実務的な予算や買い揃えたい本などの相談を始めた。
デリスとゾロアは、同じ支配人でも方向性が違う。
金勘定が大得意で予算管理ならお任せのデリス、土地選定に力を発揮するゾロア、ふたりが揃えば施設の滑り出しは間違いないと言えた。
足りなかったと気づいた図書室は静養施設に随時設置されていった。
「評判がとても良いのですわ、さすがパルティア様です」
総メイド長のテーミアが、パルティアを褒める。
「本を選んだメラロニアスにもそう教えてあげて」
貴族の静養施設に、まず図書室が作られた。
体調が悪くて歩いたり馬に乗れない者でも、小さな散歩用の馬車を仕立て、ゆっくりと庭園や乗馬コースを移動できるよう誘導路も作り上げる。
「なんと牧歌的な愛らしさだ!」
メラロニアスは庭園の中を蹄の音をパカパカと長閑に響かせながら、小型の馬車がゆっくり行き交う景色をたいそう気に入った。
「静養でなくとも、これは人の心を和ませると思うな。他の施設にも設えたいなあ」
すべてには無理だが、それはメラロニアスの熱望によって広げられていく。
貴族向けの広い庭園を持つ施設は、園路を広げて馬車を動かせるように手直しした。
玉突きなどが出来るレクリエーションルームも順次整えられていき、特に静養施設では賑やかな王都から離れて静養に訪れたものの、静か過ぎる環境に馴染みきれない貴族たちの心を慰める。
一度訪れた者は必ず、所謂口コミで評判を広めてくれるだけでなく、リピートするようになり、エンダライン宿泊商会と名をつけたパルティアとアレクシオスの事業は、発展の途を辿っていった。
「お腹が重いわ」
産み月に入ったパルティアのお腹はぱんぱんに膨らんでいる。医師の見立てではどうやら双子ではないかとのこと。
「一度にふたり生まれたら、何度も仕事を休まなくていいから助かるわ」
そう笑うパルティアを見て、いつからこんなにさっぱりした性格になったのだろうとアレクシオスが首を捻った。
「一度に二人の子を持てるとしたら、喜ばしいことだが、その分危険も伴うのだから私はむしろ心配なのだが」
眉を寄せて不安そうな顔を見せるアレクシオスに、からからと笑い飛ばして
「大丈夫よ!なんとなくだけど、大丈夫って思えるの!」
そんなことを言うパルティアは、子を生む前から肝っ玉母さんに変貌していたのだ。
陣痛が始まると、そんな明るいパルティアはどこかに消し飛び、部屋から出されたアレクシオスやカーライル、駆けつけたランバルディらは中から聞こえる罵声と思しきパルティアの叫び声をなるべく聞かないように、握りしめた拳で耳を塞いで待ち続けて。
ぽんぽんと肩を叩かれて目を開けると、ニーナが笑っていた。
「お生まれになりましたわ」
「パーチィは無事か」
「もちろんでこざいます」
「こどもは?」
「お坊ちゃまがおふたり」
「おおっ!!」
カーライルとランバルディが手を握り合う。
アレクシオスの兄、セリアズ公爵の嫡男夫妻には未だ子がいないのだ。
ランバルディはそろそろ養子を考えたほうがよいのではと密かに考え始めていた。
男子がふたりいればいろいろ安心だと、皮算用を始めかけたとき。
「それとお嬢さまがおひとり」
皆、顔を見合わせた。
「何?なんと言った?」
「はい、ですからお坊ちゃまおふたりとお嬢様がおひとりで、三つ子でいらしたのでございます」
「はっ、ははは」
みんな、一斉に笑い出した。
「どおりで腹がぱんぱんだった!三人も入っていたのか」
「これはめでたい!二家の後継者と姫も同時に授かるとは、さすが私が見込んだパルティアだ」
「彼女を見初めたのは私ですよ父上!」
「そんなパルティアを生み育てたのは我が妻スーラだ!」
「では皆が偉かったということでよろしくて?」
いつまでたっても止めそうにない男性陣が面倒くさくなったスーラが、吐き捨てるように言うと、潮が引くように静かになった。
「スーラ、そんな言い方しなくとも」
「本当のことですわ、でも一番えらくて頑張ったのはパルティアです。褒めて差し上げてね」
男たちはぶんぶんと頭を振った。
「これから忙しくなりますわよ。まずはもうひとり乳母を見つけなくては!」
デリスとゾロアは、同じ支配人でも方向性が違う。
金勘定が大得意で予算管理ならお任せのデリス、土地選定に力を発揮するゾロア、ふたりが揃えば施設の滑り出しは間違いないと言えた。
足りなかったと気づいた図書室は静養施設に随時設置されていった。
「評判がとても良いのですわ、さすがパルティア様です」
総メイド長のテーミアが、パルティアを褒める。
「本を選んだメラロニアスにもそう教えてあげて」
貴族の静養施設に、まず図書室が作られた。
体調が悪くて歩いたり馬に乗れない者でも、小さな散歩用の馬車を仕立て、ゆっくりと庭園や乗馬コースを移動できるよう誘導路も作り上げる。
「なんと牧歌的な愛らしさだ!」
メラロニアスは庭園の中を蹄の音をパカパカと長閑に響かせながら、小型の馬車がゆっくり行き交う景色をたいそう気に入った。
「静養でなくとも、これは人の心を和ませると思うな。他の施設にも設えたいなあ」
すべてには無理だが、それはメラロニアスの熱望によって広げられていく。
貴族向けの広い庭園を持つ施設は、園路を広げて馬車を動かせるように手直しした。
玉突きなどが出来るレクリエーションルームも順次整えられていき、特に静養施設では賑やかな王都から離れて静養に訪れたものの、静か過ぎる環境に馴染みきれない貴族たちの心を慰める。
一度訪れた者は必ず、所謂口コミで評判を広めてくれるだけでなく、リピートするようになり、エンダライン宿泊商会と名をつけたパルティアとアレクシオスの事業は、発展の途を辿っていった。
「お腹が重いわ」
産み月に入ったパルティアのお腹はぱんぱんに膨らんでいる。医師の見立てではどうやら双子ではないかとのこと。
「一度にふたり生まれたら、何度も仕事を休まなくていいから助かるわ」
そう笑うパルティアを見て、いつからこんなにさっぱりした性格になったのだろうとアレクシオスが首を捻った。
「一度に二人の子を持てるとしたら、喜ばしいことだが、その分危険も伴うのだから私はむしろ心配なのだが」
眉を寄せて不安そうな顔を見せるアレクシオスに、からからと笑い飛ばして
「大丈夫よ!なんとなくだけど、大丈夫って思えるの!」
そんなことを言うパルティアは、子を生む前から肝っ玉母さんに変貌していたのだ。
陣痛が始まると、そんな明るいパルティアはどこかに消し飛び、部屋から出されたアレクシオスやカーライル、駆けつけたランバルディらは中から聞こえる罵声と思しきパルティアの叫び声をなるべく聞かないように、握りしめた拳で耳を塞いで待ち続けて。
ぽんぽんと肩を叩かれて目を開けると、ニーナが笑っていた。
「お生まれになりましたわ」
「パーチィは無事か」
「もちろんでこざいます」
「こどもは?」
「お坊ちゃまがおふたり」
「おおっ!!」
カーライルとランバルディが手を握り合う。
アレクシオスの兄、セリアズ公爵の嫡男夫妻には未だ子がいないのだ。
ランバルディはそろそろ養子を考えたほうがよいのではと密かに考え始めていた。
男子がふたりいればいろいろ安心だと、皮算用を始めかけたとき。
「それとお嬢さまがおひとり」
皆、顔を見合わせた。
「何?なんと言った?」
「はい、ですからお坊ちゃまおふたりとお嬢様がおひとりで、三つ子でいらしたのでございます」
「はっ、ははは」
みんな、一斉に笑い出した。
「どおりで腹がぱんぱんだった!三人も入っていたのか」
「これはめでたい!二家の後継者と姫も同時に授かるとは、さすが私が見込んだパルティアだ」
「彼女を見初めたのは私ですよ父上!」
「そんなパルティアを生み育てたのは我が妻スーラだ!」
「では皆が偉かったということでよろしくて?」
いつまでたっても止めそうにない男性陣が面倒くさくなったスーラが、吐き捨てるように言うと、潮が引くように静かになった。
「スーラ、そんな言い方しなくとも」
「本当のことですわ、でも一番えらくて頑張ったのはパルティアです。褒めて差し上げてね」
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