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パルティアが懐妊して以来、アレクシオスは大事を取り、ニーナを張り付けて休ませている。
「暇よ!暇すぎるわ。働いてはダメと言うなら情報の分析でもするから資料を持ってきて」
「何をおっしゃっているのですか!もう」
ニーナは呆れ顔だ。
「そんなわからずやなこと仰ってはなりませんわ!情報分析?それだって仕事ではありませんか。のんびりお過ごしくださいませ。ちょうどよろしいてはございませんか。静養する方のお気持ちがよくおわかりになって」
何の気なく言ったニーナの言葉に、パルティアは閃いた。
まったくそのとおりだ!
この暇で退屈な時間、でも体調が悪いから何かをやる気にはなれないとしたら、どんなサービスがあればいいだろう?
─読書?
目が疲れるのは嫌がるかもしれないし、本が嫌いな人もいる。
カードゲームは?そこまでは元気ではないかもしれないけれど、相手がいればやりたい人もいるかも。どうやって相手を探す?使用人に声をかける?仕事をサボってまでも付き合わせるのはおかしい!
そうだ!お客様同士で使うレクリエーションルームを作ったらどうか!但し賭事禁止は忘れずに。
おしゃべりの相手・・はちょっとムリか。
いろいろと考えた挙げ句、静養施設に図書室とレクリエーションルームを作ることをアレクシオスに相談すると決めた。
それから、男性用にはプールがあるが、女性用にはそれに代わるものとして足湯があるだけ。
庭園の散歩では物足りない方のために軽く運動ができるよう、小さな乗馬コースでも作ってみたらどうだろうか。
「パーチィ!ただいま。体調はどうだい?」
帰宅すると最初に一度顔を見にくるのがアレクシオスの日課である。
「大丈夫、安定しているわ。今日はどんなでした?」
最近アレクシオスは遠方の視察はメラロニアスかデリスに任せ、自分はエンダライン家に最も近いルミザの施設に通っている。
エンダライン家には領政を司る施設が置かれ、カーライルとその補佐を務めるパルティアの執務室があるが、どんどん拡大していく宿泊関連事業の執務室を置くには少々手狭。
ルミザは広い土地を持つ施設なので、アレクシオスやパルティア、メラロニアスなどの執務室を置いて、中央集権体制が敷かれた施設にしてあるのだ。
「それでね」
ぼんやり聞いていたアレクシオスだが、パルティアの声に意識が引き戻された。
「うん、聞いてるよ」
「静養施設に図書室とレクリエーションルームを作ってみてはどうかしら。
それから庭園の散歩では物足りない方のために、軽く運動ができるよう小さな乗馬コースでも作ってみるのはいかが?」
「へえ、いいね。私はすごく良いと思うから、あとはメラルーたちにイエスと言わせよう」
パルティアはアレクシオスの賛同が何よりうれしい。特に、慎重な性格なので、このように聞いてすぐにいいと言うことはあまりないのだ。
「ええ、言わせてみせるわ」
翌日アレクシオスからの連絡でメラロニアスとデリス、ゾロアが屋敷に集まった。
パルティアから話を聞くと、特にゾロアがそれはいい!と乗り気だ。
ゾロアは静養中、静かに過ごすだけで手持ち無沙汰に散歩をくり返す客を見ていて、何かできないものかと考えていたところだった。
「いいですね、すぐやりましょう」
「ありがとうゾロア!デリスは?」
「すべての施設に一気に作るのですか?」
「いいえ、それはさすがに費用もかかるからまずは長逗留の静養型のところからどうかしら」
デリスは紙に試算した金額を書き出していく。
「図書室の本によって予算が変わりますが」
「学校ではないのだし、最初にある程度万遍なく準備しておけば、あとは買い足していけばいいのではなくて?」
「それが無難ですね」
「では、これで進めてもよいかしら?」
珍しくメラロニアスが何も言わないので覗き込むと、居眠りをしている。
「もうっ!メラルーってば!」
「まあこれならメラロニアス様も駄目とはおっしゃらないでしょう」
デリスがくすっと笑いながらパルティアを宥めた。
「暇よ!暇すぎるわ。働いてはダメと言うなら情報の分析でもするから資料を持ってきて」
「何をおっしゃっているのですか!もう」
ニーナは呆れ顔だ。
「そんなわからずやなこと仰ってはなりませんわ!情報分析?それだって仕事ではありませんか。のんびりお過ごしくださいませ。ちょうどよろしいてはございませんか。静養する方のお気持ちがよくおわかりになって」
何の気なく言ったニーナの言葉に、パルティアは閃いた。
まったくそのとおりだ!
この暇で退屈な時間、でも体調が悪いから何かをやる気にはなれないとしたら、どんなサービスがあればいいだろう?
─読書?
目が疲れるのは嫌がるかもしれないし、本が嫌いな人もいる。
カードゲームは?そこまでは元気ではないかもしれないけれど、相手がいればやりたい人もいるかも。どうやって相手を探す?使用人に声をかける?仕事をサボってまでも付き合わせるのはおかしい!
そうだ!お客様同士で使うレクリエーションルームを作ったらどうか!但し賭事禁止は忘れずに。
おしゃべりの相手・・はちょっとムリか。
いろいろと考えた挙げ句、静養施設に図書室とレクリエーションルームを作ることをアレクシオスに相談すると決めた。
それから、男性用にはプールがあるが、女性用にはそれに代わるものとして足湯があるだけ。
庭園の散歩では物足りない方のために軽く運動ができるよう、小さな乗馬コースでも作ってみたらどうだろうか。
「パーチィ!ただいま。体調はどうだい?」
帰宅すると最初に一度顔を見にくるのがアレクシオスの日課である。
「大丈夫、安定しているわ。今日はどんなでした?」
最近アレクシオスは遠方の視察はメラロニアスかデリスに任せ、自分はエンダライン家に最も近いルミザの施設に通っている。
エンダライン家には領政を司る施設が置かれ、カーライルとその補佐を務めるパルティアの執務室があるが、どんどん拡大していく宿泊関連事業の執務室を置くには少々手狭。
ルミザは広い土地を持つ施設なので、アレクシオスやパルティア、メラロニアスなどの執務室を置いて、中央集権体制が敷かれた施設にしてあるのだ。
「それでね」
ぼんやり聞いていたアレクシオスだが、パルティアの声に意識が引き戻された。
「うん、聞いてるよ」
「静養施設に図書室とレクリエーションルームを作ってみてはどうかしら。
それから庭園の散歩では物足りない方のために、軽く運動ができるよう小さな乗馬コースでも作ってみるのはいかが?」
「へえ、いいね。私はすごく良いと思うから、あとはメラルーたちにイエスと言わせよう」
パルティアはアレクシオスの賛同が何よりうれしい。特に、慎重な性格なので、このように聞いてすぐにいいと言うことはあまりないのだ。
「ええ、言わせてみせるわ」
翌日アレクシオスからの連絡でメラロニアスとデリス、ゾロアが屋敷に集まった。
パルティアから話を聞くと、特にゾロアがそれはいい!と乗り気だ。
ゾロアは静養中、静かに過ごすだけで手持ち無沙汰に散歩をくり返す客を見ていて、何かできないものかと考えていたところだった。
「いいですね、すぐやりましょう」
「ありがとうゾロア!デリスは?」
「すべての施設に一気に作るのですか?」
「いいえ、それはさすがに費用もかかるからまずは長逗留の静養型のところからどうかしら」
デリスは紙に試算した金額を書き出していく。
「図書室の本によって予算が変わりますが」
「学校ではないのだし、最初にある程度万遍なく準備しておけば、あとは買い足していけばいいのではなくて?」
「それが無難ですね」
「では、これで進めてもよいかしら?」
珍しくメラロニアスが何も言わないので覗き込むと、居眠りをしている。
「もうっ!メラルーってば!」
「まあこれならメラロニアス様も駄目とはおっしゃらないでしょう」
デリスがくすっと笑いながらパルティアを宥めた。
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