156 / 172
最終章:想いの力
会いたかった
しおりを挟む
できるだけ風の抵抗を減らすべく、うつ伏せになる形でブリュンヒルデの背にしがみつく。ブリュンヒルデはさっきの言葉通り、猛烈な速度で空を飛行する。眷属というだけあって、恐らくヴァージャがどこにいるのかハッキリわかるんだろう。その動きには一切の迷いがない。……そういや、スターブルに戻る時にも狂いなく迎えにきてくれたしな。
城のあちこちから火の手が上がり、どこも大騒ぎのようだ。王城の周りには、帝都の住民だろう連中が野次馬根性丸出しに集まってるのが見えた。
ブリュンヒルデが向かう先は、王城のちょうどド真ん中辺り。外観からして、その空間はかなり広く造られているように見える。謁見の間とか、そういう場所かな。
その時、両脇に建つ円柱型の塔の窓からデカい砲台が現れて、こちらに向けられた。それを見て、ブリュンヒルデはオレたちに直撃することを危惧してか慌てたように止まる。
「ま、待て! ユーディット様がいらっしゃる!」
「くそッ! 皇妃様を人質にするなんて卑怯だぞ!」
今まさに大砲を撃ち込もうとした兵士たちはブリュンヒルデの背にユーディットの姿を見つけたらしく、悔しそうな表情を浮かべた。……よかった、とんでもない誤解されてるけど、ユーディットは兵士たちにはちゃんと大事にされてるみたいだ。
でも、そんなやり取りを聞いて当のユーディットが黙っているわけもなく。彼女は伏せていた身を起こすなり、ブリュンヒルデの背に立ち上がって声を上げた。
「何を言っているの!? 私は望んでここにいます! 皆、他の者たちを纏めて強硬派を制圧なさい、これ以上あの者たちを調子づかせてはいけません!」
「ユーディット様、では……!」
「帝国の外の者たちとの戦いを避けるのも、変わり果てた帝国を変えるのも、今のこの瞬間しかないの。この機を逃せば、皇帝はもう誰にも止められない。本格的に戦争になってしまう。だから……お願い」
ユーディットのその懇願に対して、兵士たちは誰一人として目配せをして周りの顔色を窺うことはしなかった。その場に居合わせた全員がほとんど遅れも狂いもなく、同時に敬礼してみせる。その顔には弾けんばかりの笑みが浮かんでいた。とても嬉しそうな笑みが。そうして、次の瞬間には早々に砲台を塔の中へと引っ張り戻し、城の中に引っ込んでいった。
……帝国も一枚岩じゃないってわけだな。今まで見てきた帝国兵はロクでもないのばっかりだったけど、この帝都には話がわかるのも多そうだ。今まで外に出てきた帝国兵は、世界征服に賛成してる連中だけで構成されてたんだろう。そりゃそうか。
「ユーディット様……よかったですね、本当に……」
「ええ、まだ安心はできないけど、あの子たちならきっとやってくれるはず……帝国が先代の皇帝の世に戻るにはまだ時間がかかるけど、ここを乗り切れば大きな一歩になってくれるわ」
「先代の皇帝の世……?」
兵士たちが城に戻っていったのを確認して、再びブリュンヒルデは王城の中央へと向かい始める。オレたちは改めてその背に掴まりながら、ふと気になったことをユーディットとシファさんに聞いてみた。
「リーヴェも知ってる? 今の帝国は……天才と秀才しか住めないっていうこと。先代の皇帝の世ではそんなことなかったのよ、才能に関係なく誰でも住める場所だったの。シファさんには娘さんがいるんだけど、今の皇帝になってからその娘さんを追放されてしまって……今の帝国には、そういう人がたくさんいるわ」
ユーディットはシファさんをはじめとした他の者たちのことを想ってか、痛ましそうに表情を顰めながら教えてくれた。確か、初めてフィリアに会った時にそう言ってたな。フィリアは先代の皇帝の世に生まれたけど、その皇帝が崩御して今の皇帝になった時に追い出されたって。
……ん? フィリア?
その時、これまでバラバラだったいくつもの線が一本に繋がったような気がした。
「……あのさ、シファさんのその娘さんって……十歳の女の子? フィリアって言わない?」
「――!? あの子をご存知なんですか!?」
「は……はは、ヴァージャがいるなら多分フィリアもここに来てると……思います。自分を追放した皇帝を今の座から引きずり下ろしてやるのが目的って言ってたから」
「まあ……! たくましくなって……!」
いや、愛娘がこんな危険な場所にいるかもって時に出てくる感想が「たくましい」なの? フィリアのやつ、昔からお転婆なお嬢様だったんだろうな。普通の淑やかな女の子だったなら真っ青になって心配するよ。
それにしても、誰かに似てると思ったんだよなぁ、なるほど。じゃあ、このシファさんがフィリアの……母さんか。不思議な縁もあるもんだ。こりゃ余計に早くみんなと合流しないと。
『――リーヴェ様! 緊急回避します! 掴まってください!』
「えっ」
袖口で涙を拭うシファさんをユーディットと一緒に微笑ましそうに眺めていた矢先、不意にブリュンヒルデが焦ったように声を上げた。慌ててそのふわふわの毛を片手で掴んだけど、ユーディットとシファさんにはブリュンヒルデの声は届いてない。
次の瞬間、ブリュンヒルデが大きく右に逸れると、二人は宙に投げ出されてしまった。慌てて手を伸ばした直後――轟音と共に脳が揺れるような衝撃を受けた。
何が起きたのかわからなかったけど、ブリュンヒルデの回避が完全には間に合わず、下から何らかの攻撃を受けたようだった。その拍子にオレも背から投げ出されたらしく、一瞬感じた浮遊感の次には落下する独特の感覚を受ける。胃が引き攣るような、ヘルムバラドのアトラクションで何回も経験したやつだ。
攻撃を仕掛けてきただろう方を見てみると、そこは今まさに向かっていた王城の中央部分だった。内部からの攻撃が屋根を突き破ったらしく、大きくて立派なその屋根はド真ん中にデカい穴が空いていた。さっきの轟音はあの屋根が突き破れた音か。
辛うじて見えた内部には――あの忌々しい皇帝の姿がある。それに、エルやディーアの姿も。どうやら、あの内部でもう皇帝と激突してるようだ。
「ブリュンヒルデ! 二人を!」
こっちに来ようとするブリュンヒルデに声を上げると、当のブリュンヒルデは軽く惑った後、先に投げ出されたユーディットとシファさんの方に猛烈な勢いで飛んでいった。
あの中央部分では、エルたちが既に皇帝と戦ってる。
こういう状況でも、相手がどんなやつでも、どんな時だって、目の届く場所にオレがいて――
「――っ!」
……ヴァージャが、オレを放っておくわけないんだよ。
落下する身が何かに抱き留められるような感覚に、詰めていた息が勝手に洩れる。脇腹を抱く形で受け止めてくれたのは、やっぱり今日も顔面偏差値が高すぎる相棒だった。……会ったばかりの頃も、こうやって落っこちるのを助けてくれたっけ。
「……無事か、リーヴェ」
「ああ……なんとか」
地下にカースたちがいるとか、フィリアの母さんと偶然会ったとか、会ったら話すことはたくさんあったはずなのに、出てきたのはそんな一言だけで、他は上手く言葉にならなかった。
会いたかった。会いたかったんだ、こいつに。でも、会ったらそれだけで胸がいっぱいになっちまった。
城のあちこちから火の手が上がり、どこも大騒ぎのようだ。王城の周りには、帝都の住民だろう連中が野次馬根性丸出しに集まってるのが見えた。
ブリュンヒルデが向かう先は、王城のちょうどド真ん中辺り。外観からして、その空間はかなり広く造られているように見える。謁見の間とか、そういう場所かな。
その時、両脇に建つ円柱型の塔の窓からデカい砲台が現れて、こちらに向けられた。それを見て、ブリュンヒルデはオレたちに直撃することを危惧してか慌てたように止まる。
「ま、待て! ユーディット様がいらっしゃる!」
「くそッ! 皇妃様を人質にするなんて卑怯だぞ!」
今まさに大砲を撃ち込もうとした兵士たちはブリュンヒルデの背にユーディットの姿を見つけたらしく、悔しそうな表情を浮かべた。……よかった、とんでもない誤解されてるけど、ユーディットは兵士たちにはちゃんと大事にされてるみたいだ。
でも、そんなやり取りを聞いて当のユーディットが黙っているわけもなく。彼女は伏せていた身を起こすなり、ブリュンヒルデの背に立ち上がって声を上げた。
「何を言っているの!? 私は望んでここにいます! 皆、他の者たちを纏めて強硬派を制圧なさい、これ以上あの者たちを調子づかせてはいけません!」
「ユーディット様、では……!」
「帝国の外の者たちとの戦いを避けるのも、変わり果てた帝国を変えるのも、今のこの瞬間しかないの。この機を逃せば、皇帝はもう誰にも止められない。本格的に戦争になってしまう。だから……お願い」
ユーディットのその懇願に対して、兵士たちは誰一人として目配せをして周りの顔色を窺うことはしなかった。その場に居合わせた全員がほとんど遅れも狂いもなく、同時に敬礼してみせる。その顔には弾けんばかりの笑みが浮かんでいた。とても嬉しそうな笑みが。そうして、次の瞬間には早々に砲台を塔の中へと引っ張り戻し、城の中に引っ込んでいった。
……帝国も一枚岩じゃないってわけだな。今まで見てきた帝国兵はロクでもないのばっかりだったけど、この帝都には話がわかるのも多そうだ。今まで外に出てきた帝国兵は、世界征服に賛成してる連中だけで構成されてたんだろう。そりゃそうか。
「ユーディット様……よかったですね、本当に……」
「ええ、まだ安心はできないけど、あの子たちならきっとやってくれるはず……帝国が先代の皇帝の世に戻るにはまだ時間がかかるけど、ここを乗り切れば大きな一歩になってくれるわ」
「先代の皇帝の世……?」
兵士たちが城に戻っていったのを確認して、再びブリュンヒルデは王城の中央へと向かい始める。オレたちは改めてその背に掴まりながら、ふと気になったことをユーディットとシファさんに聞いてみた。
「リーヴェも知ってる? 今の帝国は……天才と秀才しか住めないっていうこと。先代の皇帝の世ではそんなことなかったのよ、才能に関係なく誰でも住める場所だったの。シファさんには娘さんがいるんだけど、今の皇帝になってからその娘さんを追放されてしまって……今の帝国には、そういう人がたくさんいるわ」
ユーディットはシファさんをはじめとした他の者たちのことを想ってか、痛ましそうに表情を顰めながら教えてくれた。確か、初めてフィリアに会った時にそう言ってたな。フィリアは先代の皇帝の世に生まれたけど、その皇帝が崩御して今の皇帝になった時に追い出されたって。
……ん? フィリア?
その時、これまでバラバラだったいくつもの線が一本に繋がったような気がした。
「……あのさ、シファさんのその娘さんって……十歳の女の子? フィリアって言わない?」
「――!? あの子をご存知なんですか!?」
「は……はは、ヴァージャがいるなら多分フィリアもここに来てると……思います。自分を追放した皇帝を今の座から引きずり下ろしてやるのが目的って言ってたから」
「まあ……! たくましくなって……!」
いや、愛娘がこんな危険な場所にいるかもって時に出てくる感想が「たくましい」なの? フィリアのやつ、昔からお転婆なお嬢様だったんだろうな。普通の淑やかな女の子だったなら真っ青になって心配するよ。
それにしても、誰かに似てると思ったんだよなぁ、なるほど。じゃあ、このシファさんがフィリアの……母さんか。不思議な縁もあるもんだ。こりゃ余計に早くみんなと合流しないと。
『――リーヴェ様! 緊急回避します! 掴まってください!』
「えっ」
袖口で涙を拭うシファさんをユーディットと一緒に微笑ましそうに眺めていた矢先、不意にブリュンヒルデが焦ったように声を上げた。慌ててそのふわふわの毛を片手で掴んだけど、ユーディットとシファさんにはブリュンヒルデの声は届いてない。
次の瞬間、ブリュンヒルデが大きく右に逸れると、二人は宙に投げ出されてしまった。慌てて手を伸ばした直後――轟音と共に脳が揺れるような衝撃を受けた。
何が起きたのかわからなかったけど、ブリュンヒルデの回避が完全には間に合わず、下から何らかの攻撃を受けたようだった。その拍子にオレも背から投げ出されたらしく、一瞬感じた浮遊感の次には落下する独特の感覚を受ける。胃が引き攣るような、ヘルムバラドのアトラクションで何回も経験したやつだ。
攻撃を仕掛けてきただろう方を見てみると、そこは今まさに向かっていた王城の中央部分だった。内部からの攻撃が屋根を突き破ったらしく、大きくて立派なその屋根はド真ん中にデカい穴が空いていた。さっきの轟音はあの屋根が突き破れた音か。
辛うじて見えた内部には――あの忌々しい皇帝の姿がある。それに、エルやディーアの姿も。どうやら、あの内部でもう皇帝と激突してるようだ。
「ブリュンヒルデ! 二人を!」
こっちに来ようとするブリュンヒルデに声を上げると、当のブリュンヒルデは軽く惑った後、先に投げ出されたユーディットとシファさんの方に猛烈な勢いで飛んでいった。
あの中央部分では、エルたちが既に皇帝と戦ってる。
こういう状況でも、相手がどんなやつでも、どんな時だって、目の届く場所にオレがいて――
「――っ!」
……ヴァージャが、オレを放っておくわけないんだよ。
落下する身が何かに抱き留められるような感覚に、詰めていた息が勝手に洩れる。脇腹を抱く形で受け止めてくれたのは、やっぱり今日も顔面偏差値が高すぎる相棒だった。……会ったばかりの頃も、こうやって落っこちるのを助けてくれたっけ。
「……無事か、リーヴェ」
「ああ……なんとか」
地下にカースたちがいるとか、フィリアの母さんと偶然会ったとか、会ったら話すことはたくさんあったはずなのに、出てきたのはそんな一言だけで、他は上手く言葉にならなかった。
会いたかった。会いたかったんだ、こいつに。でも、会ったらそれだけで胸がいっぱいになっちまった。
0
あなたにおすすめの小説
異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします
み馬下諒
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。
わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!?
これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。
おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。
※ 造語、出産描写あり。前置き長め。第21話に登場人物紹介を載せました。
★お試し読みは第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★
★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★
【完結】テルの異世界転換紀?!転がり落ちたら世界が変わっていた。
カヨワイさつき
BL
小学生の頃両親が蒸発、その後親戚中をたらいまわしにされ住むところも失った田辺輝(たなべ てる)は毎日切り詰めた生活をしていた。複数のバイトしていたある日、コスプレ?した男と出会った。
異世界ファンタジー、そしてちょっぴりすれ違いの恋愛。
ドワーフ族に助けられ家族として過ごす"テル"。本当の両親は……。
そして、コスプレと思っていた男性は……。
【完結済】虚な森の主と、世界から逃げた僕〜転生したら甘すぎる独占欲に囚われました〜
キノア9g
BL
「貴族の僕が異世界で出会ったのは、愛が重すぎる“森の主”でした。」
平凡なサラリーマンだった蓮は、気づけばひ弱で美しい貴族の青年として異世界に転生していた。しかし、待ち受けていたのは窮屈な貴族社会と、政略結婚という重すぎる現実。
そんな日常から逃げ出すように迷い込んだ「禁忌の森」で、蓮が出会ったのは──全てが虚ろで無感情な“森の主”ゼルフィードだった。
彼の周囲は生命を吸い尽くし、あらゆるものを枯らすという。だけど、蓮だけはなぜかゼルフィードの影響を受けない、唯一の存在。
「お前だけが、俺の世界に色をくれた」
蓮の存在が、ゼルフィードにとってかけがえのない「特異点」だと気づいた瞬間、無感情だった主の瞳に、激しいまでの独占欲と溺愛が宿る。
甘く、そしてどこまでも深い溺愛に包まれる、異世界ファンタジー
ワケありくんの愛され転生
鬼塚ベジータ
BL
彼は”勇敢な魂"として、彼が望むままに男同士の恋愛が当たり前の世界に転生させてもらえることになった。しかし彼が宿った体は、婚活をバリバリにしていた平凡なベータの伯爵家の次男。さらにお見合いの直前に転生してしまい、やけに顔のいい執事に連れられて3人の男(イケメン)と顔合わせをさせられた。見合いは辞退してイケメン同士の恋愛を拝もうと思っていたのだが、なぜかそれが上手くいかず……。
アルファ4人とオメガ1人に愛される、かなり変わった世界から来た彼のお話。
※オメガバース設定です。
十二年付き合った彼氏を人気清純派アイドルに盗られて絶望してたら、幼馴染のポンコツ御曹司に溺愛されたので、奴らを見返してやりたいと思います
塔原 槇
BL
会社員、兎山俊太郎(とやま しゅんたろう)はある日、「やっぱり女の子が好きだわ」と言われ別れを切り出される。彼氏の売れないバンドマン、熊井雄介(くまい ゆうすけ)は人気上昇中の清純派アイドル、桃澤久留美(ももざわ くるみ)と付き合うのだと言う。ショックの中で俊太郎が出社すると、幼馴染の有栖川麗音(ありすがわ れおん)が中途採用で入社してきて……?
ちっちゃな婚約者に婚約破棄されたので気が触れた振りをして近衛騎士に告白してみた
風
BL
第3王子の俺(5歳)を振ったのは同じく5歳の隣国のお姫様。
「だって、お義兄様の方がずっと素敵なんですもの!」
俺は彼女を応援しつつ、ここぞとばかりに片思いの相手、近衛騎士のナハトに告白するのだった……。
不幸体質っすけど、大好きなボス達とずっと一緒にいられるよう頑張るっす!
タッター
BL
ボスは悲しく一人閉じ込められていた俺を助け、たくさんの仲間達に出会わせてくれた俺の大切な人だ。
自分だけでなく、他者にまでその不幸を撒き散らすような体質を持つ厄病神な俺を、みんな側に置いてくれて仲間だと笑顔を向けてくれる。とても毎日が楽しい。ずっとずっとみんなと一緒にいたい。
――だから俺はそれ以上を求めない。不幸は幸せが好きだから。この幸せが崩れてしまわないためにも。
そうやって俺は今日も仲間達――家族達の、そして大好きなボスの役に立てるように――
「頑張るっす!! ……から置いてかないで下さいっす!! 寂しいっすよ!!」
「無理。邪魔」
「ガーン!」
とした日常の中で俺達は美少年君を助けた。
「……その子、生きてるっすか?」
「……ああ」
◆◆◆
溺愛攻め
×
明るいが不幸体質を持つが故に想いを受け入れることが怖く、役に立てなければ捨てられるかもと内心怯えている受け
伯爵令息アルロの魔法学園生活
あさざきゆずき
BL
ハーフエルフのアルロは、人間とエルフの両方から嫌われている。だから、アルロは魔法学園へ入学しても孤独だった。そんなとき、口は悪いけれど妙に優しい優等生が現れた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる