Two of a kind 絶対に知られたくない【僕】の秘密…

むらさきおいも

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重なり合う心

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俺の上で、今にも泣きそうな顔で必死に何かを堪える遥香。

何をそんなに我慢してるの?

俺は遥香の綺麗な白い頬に手を伸ばし、耐えきれず溢れ出してくる涙を指で拭いながら、優しく問いかけた。


「どぉした…?」

「お、俺っ…本当はさ…?ずっと前から…多分…お前の事っ…」


遥香の瞳はずっと揺れてて、この先の言葉をなかなか口に出せず、下唇をかみ締めている。

でも…俺には遥香が言いたい事が何となくわかってる。

だって多分俺も同じだから…

あの日、遥香が部屋でシてるのを見て思わず抜いた時、前にも同じような事があったのを思い出したんだ。

あの時は単に、あの特殊な状況に興奮してるんだって思って疑わなかったけど、俺は間違いなく彼女の下で善がりながら、俺を見つめてくるお前に欲情してたんだって事…

でも、そんなの有り得ないだろ?

だから俺はずっと、ずっと気付かないフリをしてたんだ。

遥香のずっと前がいつの事だかは分からないけど、俺も結構前から遥の事、多分…
好きだったんだと思う。

だから―――


「俺の事…好きだった…?」

「…っ////気付いてたのかよっ…!」

「んーや?全然。ただ俺も…そうだったかもしんねぇなぁって、最近気付いたからさ…」

「…どぉゆー事だよ」

「ん?あー、覚えてる?はるん家でさ…彼女と…」

「覚えてるよ…覚えてるに決まってんじゃん…っだって…あん時っ…俺…っ///」


遥香の揺れる瞳は俺を捉えて離さない…

食い気味に答えた遥香のその先の言葉は、俺が思ってる事と多分同じで、何も言わずとも通じ合えてると思えた。

だって俺らは、小さい頃からずーっと一緒にいたんだから…

お前が考えてる事なんて、言わなくたって全部わかんだよ。
なのに…なんで気が付けなかったんだろう…


「俺も…多分あん時」

「嘘だろ…っ!?」

「や、あの時は勘違いだって思いこんでて…だから今になって、やっぱりそうだったのかもって…」

「俺も…っ、勘違いだって思いたかった…だからずっと違うって思い込まなきゃって…ずっと閉じ込めてた」

「あぁ…そっか。それじゃあ気が付けねぇ訳だ」

「へ…?」

「はるの考えてる事なら、何でもわかるって思ってたからさ?何で今まで気が付けなかったのかなぁって…」

「き、気付かれたらヤバいだろっ…こんなのっ…///だからお前を家に入れたくなかった、色々バレたくない事もあったし…ずっと…親友でいたかったから…」

「そっか…そうだよな…もしかして、ずっと
    苦しめてた…?」

「えっ…いや、そんな事…ないよ…」

「なら良かった…」


俺は遥香を引き寄せると、ぎゅっと抱きしめた。

大事な人を抱きしめるって…こんなに落ち着くんだな。

でも遥香は恥ずかしいのか、控えめに俺の胸の辺りに手を置いたまま、固まって動かない…


「なぁ…」

「ん?」

「これからも…親友でいてくれる…?」

「無理だな」

「えっ…」


この遥香の絶望的な顔ったら無い…

からかっちゃいけないと思いつつも、ついつい反応が可愛くてやってしまう。


「だって俺、はるの事好きだから…友達になんか戻れねぇよ?」

「…元には…戻れないの…?」

「あーうん、だから付き合おっか?」

「つ…っ///付き合うの…!?」

「えっ?違うの?」

「…やっ…だって…っ////」


大きく目を見開いたかと思えば、今度は恥ずかしそうにモジモジしちゃってさ。

考えてみれば、昔からずっとこんな遥香を見てきたのに、好きにならなかった事の方が不思議なくらいだな。


「じゃあ…付き合ってくださいっ♡」

「ん、うん…///」


そんな真っ赤な顔して、上目遣いで見られたら堪んないんですけど。

さて、しかしこうなったって事は、暫くここにいてもいいって事なんだろうか…


「あの…ところで家の事なんだけどさ…」

「家?」

「このまま…置いてもらっていいって事だよね?ほら、もう全部バレちゃってるし!?」


さっきまで可愛かった遥香が、急に俺と距離を取りじっと睨みつけてくる。

あれ?…なんか思ってたのと違う…


「さてはお前…謀ったな…」

「ばっ、そんなわけないだろっ!?」

「俺の純粋な気持ちを利用して…全部この為か…!」

「違う違うっっ!!そんな事に利用するわけないだろっ!?だいたい行かないでって言ったのはるちゃんじゃーんっ!」

「…っ、そうだけど///」

「ダメ?」

「…まぁ…いいけど…ずっとソファーで寝るつもり?」

「え、一緒に寝ていいの!?」

「…っ、やだよっ、恥ずいじゃんっ…///」

「素っ裸で引っ付いてた癖に、今更何言ってんだよ!」

「うっ///うっさいっ!!」
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