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9話 確認
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彩華さんとのデートの数日後、俺は自宅の近くにある公園に来ていた。
地元民しか知らない小さい公園でだけど、高台にあって海を眺めることができる、割と素敵な場所である。ただ、見えている海は主に工業地帯だから美しいオーシャンビューかと言われるとちょっと違うけど。
……そう、俺が訪れているのは数か月前に花音に二回目の告白をして、無事振られてしまった思い出の公園だった。なぜそんな場所に来ているかというと、花音に呼び出されてしまったから。
正直、俺は花音に会うことにあまり乗り気ではなかった。だって高校を卒業してからは一度も会ってないし、連絡もとってなかったからね。その前の最後の会話は俺からの告白とその告白に対する花音からのノーの返事だった訳だし。普通に考えてものすごく気まずいじゃん?
でも花音がどうしても直接会って話したいことがあるというので、断ることもできずに俺は彼女が指定した公園に来ることになった。なってしまった。
そして案の定、俺たちの間には微妙な空気が流れていた。最初はお互い「久しぶり」と挨拶をして、元気だったかとかお互い大学には慣れたのかとか他愛もない話をしたんだけど、その後は全く会話が続かず、大変気まずい沈黙の時間が訪れた。
「……あのさ、ちょっと聞きたいことがあるんだけど」
しばらく無言で海を眺めていた花音は、意を決した様子で俺の方に振り向いて声をかけてきた。
「何?」
「火曜日の夜さ、もしかして上大井のエクセルシアにいた?」
「えっ?」
花音の言葉に驚いた俺は、思わず変な声を出してしまった。なぜなら火曜日の夜、俺は確かに彼女が言っている通りの場所にいたから。
ちなみに「上大井」というのは俺のバイト先や彩華さんの自宅マンションがある地域の名前で、「エクセルシア」は俺と彩華さんが閉店時間まで居座っていたカフェの名前である。そして上大井エリアにあるエクセルシア・カフェは俺が知っている限りその一店舗のみ。
だから花音が言っている「上大井のエクセルシア」は、間違いなく火曜日の夜に俺がいた場所だった。でもどうして花音がそれを?
……いや、別に花音が偶然見ちゃったとしても不思議ではないか。自宅から多少離れているとは言っても上大井は普通に生活圏内だからな。それこそ俺は毎日自転車で上大井に通勤している訳だし。
ちなみに俺と花音は高校の同級生なだけでなく、ご近所さんでもある。俺たちの地元は複数の中低層マンションが立ち並ぶ高台の住宅街で、俺の家から花音の家までは徒歩五分の距離だった。つまり俺にとって生活圏内ということは、花音にとっても生活圏内である。
なお、俺の自宅はその地域の平均的なマンションの標準的な部屋であるが、花音の家は地域でもっとも高級とされているマンションで、しかもどうやら最上階にある特別仕様の部屋らしい。
たぶんあれだよ、部屋自体が異常に広いうえに低層マンションのくせに眺めも良くて、意味不明なくらい巨大なルーフバルコニーまでついているやつ。たぶん6LDKとか7LDKじゃないかな。
そう、神戸花音はガチお嬢様なんです。
……今はそんなことはどうでも良いか。
「あー、うん。いたね」
花音が黙って俺の回答を待っていることに気づいた俺は、なんとなく彼女から視線をそらしながらそう答えた。別にやましいことは何もないけどな。
「……そっか。やっぱりそうだったんだ」
俺の回答を聞いた花音は、なぜかショックを受けたような、ひどくがっかりしたような様子でそんな言葉をつぶやいていた。そして次の瞬間、またしても俺を困らせるような質問をぶつけてきた。
「彼女なの? 一緒にいた人は」
地元民しか知らない小さい公園でだけど、高台にあって海を眺めることができる、割と素敵な場所である。ただ、見えている海は主に工業地帯だから美しいオーシャンビューかと言われるとちょっと違うけど。
……そう、俺が訪れているのは数か月前に花音に二回目の告白をして、無事振られてしまった思い出の公園だった。なぜそんな場所に来ているかというと、花音に呼び出されてしまったから。
正直、俺は花音に会うことにあまり乗り気ではなかった。だって高校を卒業してからは一度も会ってないし、連絡もとってなかったからね。その前の最後の会話は俺からの告白とその告白に対する花音からのノーの返事だった訳だし。普通に考えてものすごく気まずいじゃん?
でも花音がどうしても直接会って話したいことがあるというので、断ることもできずに俺は彼女が指定した公園に来ることになった。なってしまった。
そして案の定、俺たちの間には微妙な空気が流れていた。最初はお互い「久しぶり」と挨拶をして、元気だったかとかお互い大学には慣れたのかとか他愛もない話をしたんだけど、その後は全く会話が続かず、大変気まずい沈黙の時間が訪れた。
「……あのさ、ちょっと聞きたいことがあるんだけど」
しばらく無言で海を眺めていた花音は、意を決した様子で俺の方に振り向いて声をかけてきた。
「何?」
「火曜日の夜さ、もしかして上大井のエクセルシアにいた?」
「えっ?」
花音の言葉に驚いた俺は、思わず変な声を出してしまった。なぜなら火曜日の夜、俺は確かに彼女が言っている通りの場所にいたから。
ちなみに「上大井」というのは俺のバイト先や彩華さんの自宅マンションがある地域の名前で、「エクセルシア」は俺と彩華さんが閉店時間まで居座っていたカフェの名前である。そして上大井エリアにあるエクセルシア・カフェは俺が知っている限りその一店舗のみ。
だから花音が言っている「上大井のエクセルシア」は、間違いなく火曜日の夜に俺がいた場所だった。でもどうして花音がそれを?
……いや、別に花音が偶然見ちゃったとしても不思議ではないか。自宅から多少離れているとは言っても上大井は普通に生活圏内だからな。それこそ俺は毎日自転車で上大井に通勤している訳だし。
ちなみに俺と花音は高校の同級生なだけでなく、ご近所さんでもある。俺たちの地元は複数の中低層マンションが立ち並ぶ高台の住宅街で、俺の家から花音の家までは徒歩五分の距離だった。つまり俺にとって生活圏内ということは、花音にとっても生活圏内である。
なお、俺の自宅はその地域の平均的なマンションの標準的な部屋であるが、花音の家は地域でもっとも高級とされているマンションで、しかもどうやら最上階にある特別仕様の部屋らしい。
たぶんあれだよ、部屋自体が異常に広いうえに低層マンションのくせに眺めも良くて、意味不明なくらい巨大なルーフバルコニーまでついているやつ。たぶん6LDKとか7LDKじゃないかな。
そう、神戸花音はガチお嬢様なんです。
……今はそんなことはどうでも良いか。
「あー、うん。いたね」
花音が黙って俺の回答を待っていることに気づいた俺は、なんとなく彼女から視線をそらしながらそう答えた。別にやましいことは何もないけどな。
「……そっか。やっぱりそうだったんだ」
俺の回答を聞いた花音は、なぜかショックを受けたような、ひどくがっかりしたような様子でそんな言葉をつぶやいていた。そして次の瞬間、またしても俺を困らせるような質問をぶつけてきた。
「彼女なの? 一緒にいた人は」
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