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11話 タイミング
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「ごめん、もう俺、他に好きな人がいるんだ……」
俺は素直に自分の気持ちを花音に伝えることにした。
あれだけ好きだった花音から「付き合ってほしい」と言われた時に真っ先に出てきた感想が「困ったな」だった時点で、答えはもう出ていた。
花音には申し訳ないけど、逆に花音に告白されたことによって自分がもう過去の恋愛からは完全に立ち直っていて、今、好きなのは花音ではなく彩華さんであることを再確認できてしまった。
「……そっか。そうなんだ。もう好きな人、できちゃったか」
俺の言葉を聞いた花音は、これ以上なく悲しそうな表情で、目に涙を溜めてそんなことをつぶやいていた。
……ああ、もう、罪悪感がすごいな。
というかこうなってしまったのが本当に残念。つくづく花音とは縁がなかったなと思う。結局はお互いがお互いのことを好きになった訳なのに、そのタイミングに時間差があったことで二人とも失恋する結果になってしまったんだから。
「その好きな人ってさ、あの日一緒にいた人?」
正直、それを花音に言わないといけない理由はないとは思うんだけど……。ま、いいか。別に隠す必要もないし。
「……そうだよ」
「そっか。やっぱりそうだったんだ……。あはは、そりゃ私のことなんかどうでも良くなっちゃうね。あんなに綺麗な人が現れたら」
「いや、そういう訳では……」
「……ごめん、今の言い方はないよね。本当にごめん。性格悪いな、私」
そう言って花音は俺から視線を外して海を眺め、必死に涙を我慢していた。あーもう、気まずいな。居心地悪いな。針のむしろってこういう状況のことを言うんだろうな。
「でもさ」
しばらくしてから少し落ち着いたのか、花音が改めて俺の方に視線を向けながら声をかけてきた。
「まだ付き合ってはないんでしょ? その人と」
「まあな……」
「だったらさ、私にしとかない? ほら、私のこと、三年間ずっと好きだったんでしょ? 彼女にしたいってずっと思ってくれてたんでしょ?」
困り果てている俺を見上げながら、花音は言葉を続けた。
「今なら一言『いいよ』って言うだけで、ずっと好きだった私のこと、颯太のものにできるよ? 私に一目惚れしてくれた瞬間を思い出してみて? その子が颯太の彼女になるんだよ? しかも颯太にベタ惚れの彼女に」
「……ごめん」
重苦しい空気の中、俺が花音に伝えられる言葉は「ごめん」という一言だけだった。
俺は素直に自分の気持ちを花音に伝えることにした。
あれだけ好きだった花音から「付き合ってほしい」と言われた時に真っ先に出てきた感想が「困ったな」だった時点で、答えはもう出ていた。
花音には申し訳ないけど、逆に花音に告白されたことによって自分がもう過去の恋愛からは完全に立ち直っていて、今、好きなのは花音ではなく彩華さんであることを再確認できてしまった。
「……そっか。そうなんだ。もう好きな人、できちゃったか」
俺の言葉を聞いた花音は、これ以上なく悲しそうな表情で、目に涙を溜めてそんなことをつぶやいていた。
……ああ、もう、罪悪感がすごいな。
というかこうなってしまったのが本当に残念。つくづく花音とは縁がなかったなと思う。結局はお互いがお互いのことを好きになった訳なのに、そのタイミングに時間差があったことで二人とも失恋する結果になってしまったんだから。
「その好きな人ってさ、あの日一緒にいた人?」
正直、それを花音に言わないといけない理由はないとは思うんだけど……。ま、いいか。別に隠す必要もないし。
「……そうだよ」
「そっか。やっぱりそうだったんだ……。あはは、そりゃ私のことなんかどうでも良くなっちゃうね。あんなに綺麗な人が現れたら」
「いや、そういう訳では……」
「……ごめん、今の言い方はないよね。本当にごめん。性格悪いな、私」
そう言って花音は俺から視線を外して海を眺め、必死に涙を我慢していた。あーもう、気まずいな。居心地悪いな。針のむしろってこういう状況のことを言うんだろうな。
「でもさ」
しばらくしてから少し落ち着いたのか、花音が改めて俺の方に視線を向けながら声をかけてきた。
「まだ付き合ってはないんでしょ? その人と」
「まあな……」
「だったらさ、私にしとかない? ほら、私のこと、三年間ずっと好きだったんでしょ? 彼女にしたいってずっと思ってくれてたんでしょ?」
困り果てている俺を見上げながら、花音は言葉を続けた。
「今なら一言『いいよ』って言うだけで、ずっと好きだった私のこと、颯太のものにできるよ? 私に一目惚れしてくれた瞬間を思い出してみて? その子が颯太の彼女になるんだよ? しかも颯太にベタ惚れの彼女に」
「……ごめん」
重苦しい空気の中、俺が花音に伝えられる言葉は「ごめん」という一言だけだった。
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