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花音ルート
花音エピローグ
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「ごめんね? 強引に決めちゃって」
「…いや、いいんだけどさ。……でもなんで?」
「なんでって言うと?」
「えっと……、どうしてよりによってこの部屋なのかなって。偶然じゃ……ないよな?」
「うん、偶然じゃないよ」
「だよな……」
その日、俺と花音はこれから二人が同棲を始める予定の部屋の内見に訪れていた。とはいってもずいぶん前に契約済みで、すでに家賃まで支払っているらしいから厳密な意味では「内見」ではないけど。
「ちょっと過激なこと言ってもいい?」
「……う、うん」
すでに俺は戸惑いを隠せていない状態だったが、ここからさらに過激なことを言われるらしい。心の準備はできて…いるような、いないような。
か、可能な限りオブラートに包んでもらえるとありがたいな……。
「私、許せないんだよね」
「許せ…ない?」
残念ながら花音の表情と口調からは、次に彼女の口から飛び出す言葉からオブラートのほんのり甘い味がしてくる可能性は低いことが垣間見えていた。
「そう、許せないの。颯太の中にほんの少しでも他の人の思い出が残ってることがね」
「……」
「だからね、全部上書きしたいの」
なるほど、そういうことか。だから俺と彩華さんがデートした場所には一緒に行って、俺のバイト先の常連客というポジションも自分のものにして……。
しまいには二人で同棲を始める部屋まで彩華さんが暮らしていたマンションの一室にしたってことか。
「……聞かないの?」
「何を?」
「どうして私が全部知ってるのか。颯太とあの人が一緒に訪れた場所とか、あの人が暮らしてた部屋とか……」
ああ、それね……。
「うん、世の中には知らない方が幸せなこともたくさんあると思うんだよね」
「……そういう優しいところ、大好き」
そう言って俺の懐に飛び込んできた花音を抱きしめる。
……今の俺の言葉、優しいのかな。単にビビってるだけのような気もするけど。
「そういうことだからさ」
「……?」
しばらく無言で俺のことを強く抱きしめていた花音は、そう言いながら顔をあげて上目遣いで俺の目を見つめてきた。
「…して」
「……えっ?」
「この部屋であの人にしたこと、全部私にもして」
花音の顔はとても妖艶で、美しかった。俺に対する深い愛情が伝わってくる、この世界で一番魅力的な表情だった。
でも彼女の美しい瞳には、俺に対する愛情の深さに負けないほど激しい嫉妬と執着の色が宿っていた。
「…いや、いいんだけどさ。……でもなんで?」
「なんでって言うと?」
「えっと……、どうしてよりによってこの部屋なのかなって。偶然じゃ……ないよな?」
「うん、偶然じゃないよ」
「だよな……」
その日、俺と花音はこれから二人が同棲を始める予定の部屋の内見に訪れていた。とはいってもずいぶん前に契約済みで、すでに家賃まで支払っているらしいから厳密な意味では「内見」ではないけど。
「ちょっと過激なこと言ってもいい?」
「……う、うん」
すでに俺は戸惑いを隠せていない状態だったが、ここからさらに過激なことを言われるらしい。心の準備はできて…いるような、いないような。
か、可能な限りオブラートに包んでもらえるとありがたいな……。
「私、許せないんだよね」
「許せ…ない?」
残念ながら花音の表情と口調からは、次に彼女の口から飛び出す言葉からオブラートのほんのり甘い味がしてくる可能性は低いことが垣間見えていた。
「そう、許せないの。颯太の中にほんの少しでも他の人の思い出が残ってることがね」
「……」
「だからね、全部上書きしたいの」
なるほど、そういうことか。だから俺と彩華さんがデートした場所には一緒に行って、俺のバイト先の常連客というポジションも自分のものにして……。
しまいには二人で同棲を始める部屋まで彩華さんが暮らしていたマンションの一室にしたってことか。
「……聞かないの?」
「何を?」
「どうして私が全部知ってるのか。颯太とあの人が一緒に訪れた場所とか、あの人が暮らしてた部屋とか……」
ああ、それね……。
「うん、世の中には知らない方が幸せなこともたくさんあると思うんだよね」
「……そういう優しいところ、大好き」
そう言って俺の懐に飛び込んできた花音を抱きしめる。
……今の俺の言葉、優しいのかな。単にビビってるだけのような気もするけど。
「そういうことだからさ」
「……?」
しばらく無言で俺のことを強く抱きしめていた花音は、そう言いながら顔をあげて上目遣いで俺の目を見つめてきた。
「…して」
「……えっ?」
「この部屋であの人にしたこと、全部私にもして」
花音の顔はとても妖艶で、美しかった。俺に対する深い愛情が伝わってくる、この世界で一番魅力的な表情だった。
でも彼女の美しい瞳には、俺に対する愛情の深さに負けないほど激しい嫉妬と執着の色が宿っていた。
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