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第四十六話……潜航開始!?
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異次元潜航艇ケツアルコアトルは、ゲルマー星系に向かう途上、異次元への潜航訓練も並行して行っていた。
「異次元空間へ潜航用意!」
『了解!』
「メインタンクへダークエネルギー注入」
『了解』
ケツアルコアトルは自身の両舷にあるタンクに、虚数の値を示すエネルギーを注入することで、今いる次元を突破する力を得る機関を持っていた。
もちろん晴信のみならず、ディーに至っても詳しい仕組みは理解していない。
「タンク注入率100%」
『各員に通達、潜航開始シマス!』
こうして、ケツアルコアトルによる初めての潜航訓練は開始された。
かの船は、次元の境界線に大穴を形成。
沈むというより、渦に引き込まれるような形で沈下した。
……凄い不快感だ。
晴信はそう思った。
違う世界に入り込む感触。
それは相手の空間に歓迎されているのではなく、拒否されているという感じがひしひしと全身に伝わってくるものであった。
あえてそれを説明するならば、数万匹の虫が全身を這い上がってくるような言いようのない不快感である。
「うがぁぁ!」
晴信は伝わってくる不快感に、思わず大きな声を上げてしまう。
それを聞いたケツアルコアトルの主要電算機であるアールが緊急浮上を決断した。
『緊急浮上! メインタンクブロー!』
元の世界へ、飛び上がるように現れるケツアルコアトル。
それに伴い、晴信の体から不快感は遠ざかった。
「はぁはぁはぁ……」
「大丈夫ですか?」
冷や汗をかく晴信に、ディーが近寄ってきて、タオルで顔の汗を拭いてくれた。
だが、晴信は言いようもない悪夢から目覚めたように青い顔をしていた。
「これはきついね」
一息ついて、オレンジジュースを飲みながら晴信はぼやく。
「お疲れ様」
「これって僕が乗ってないと駄目なの? ディーだけで航行とかできないの?」
晴信は恨めしそうにアールに問う。
「人間ノ貴方ガ乗ッテイナイト、主要ナ命令ハ下セマセン」
「そっかぁ」
「デハ、モウ一度、訓練シマスカ?」
「……いや、ちょっと勘弁。また今度にするね」
晴信はたじろぎながら、アールに返事をする。
それくらい、異次元潜航は晴信の精神に負担のかかる航行であったのだった。
☆★☆★☆
――航行する事、一か月。
「速度減速! 着陸用意!」
『了解! 逆噴射開始シマス!』
準惑星ディーに近づいたケツアルコアトルは、艦首の逆噴射ノズルを開放。
青白い逆噴射の炎を展開した。
「姿勢制御装置スタート! 管制システムにリンク開始!」
『了解!』
晴信はケツアルコアトルの操艦を、着陸予定の準惑星ディーの管制システムに任せた。
同時に、準惑星から放たれた赤い誘導ビームが艦を包み、埠頭まで牽引していった。
『着陸完了』
「お疲れ様、またしばらくしたら会いに来るね」
そう晴信はアールに挨拶する。
アールは艦に設置された制御電算機であるがゆえに、晴信やディーと共に艦を降りることが出来なかったのだ。
久々に準惑星ディーの工場に入る晴信とディー。
中には人がいないと思ったのだが、思わぬ人物が晴信を出迎えた。
「社長、おかえりなさい」
カンスケであった。
「あ、ただいま。こんなところで会うなんて珍しいね。惑星コローナの状態は落ち着いたの?」
晴信たちはメイン制御室に向かう通路で、歩きながら会話する。
「統治は上手く言っています、今のところは……。ですが、気圏戦闘艦のアリーナが軍に接収されました」
「え? あれってミハタ社の私有物じゃないの?」
「そうなのです。ですが、軍の強硬派であるマエダ少将に取り上げられてしまいました……」
「えー!? なんで?」
「あの船は、政府の軍としての行動下での戦果であるために、その所有権は軍にあるとの見解だそうです。そのほか……」
さらに、カンスケが言うには、アリーマーだけでなく、様々なミハタ社の設備や物品が、コローナ臨時政府の軍に収奪されたとのことだった。
すべては臨時政府の為との理由であったらしい。
「ヴリュンヒルデはなんて言ってるの?」
「政府より軍の発言力は大きくなっており、あまり強いことは言えないようなのです」
幾らかは晴信の功績とは言え、地方軍閥の掃討やゼノン王が派遣してきた軍の制圧などに、軍は大きな功績を上げてきた。
その軍の実質上のトップがマエダ少将であった。
少将と聞くと、補助的な将軍の位置と聞こえてしまいそうだが、それはゲルマー星系全体での階級が少将なのであって、惑星規模では最上位に近い階級であった。
「……もうさ、彼らに味方するの辞めない?」
「いい考えだとおもいますが、サーペントの件はどうします?」
「あれもさ、考えたんだけど、エネルギー絞って航行したら何とかなるじゃん。あれを変にやっつけたりすると宇宙空間で大規模な戦闘になるんだよね……」
「なるほど……」
晴信の考え方は面白かった。
宇宙海獣であるサーペントのおかげで、エネルギーの消費量の大きい最新鋭の宇宙船は運用できない。
逆を言えば、性能の良い宇宙用の軍艦も使えない。
ということは、宇宙空間で大きな戦闘は起きない。
ある程度は交易による経済発展が望めなくなるが、それも大規模な戦争が起こるよりは絶対ましなはずであった。
「……というか、カンスケ。良いコックを雇ったんだ。こっちへ来てくれないか?」
「それは楽しみですな!」
……なんのことはない。
彼等にとって最重要なことは、星系全体の平和でもなく、文明の発展でもなく、今日の美味しい晩御飯であった。
「異次元空間へ潜航用意!」
『了解!』
「メインタンクへダークエネルギー注入」
『了解』
ケツアルコアトルは自身の両舷にあるタンクに、虚数の値を示すエネルギーを注入することで、今いる次元を突破する力を得る機関を持っていた。
もちろん晴信のみならず、ディーに至っても詳しい仕組みは理解していない。
「タンク注入率100%」
『各員に通達、潜航開始シマス!』
こうして、ケツアルコアトルによる初めての潜航訓練は開始された。
かの船は、次元の境界線に大穴を形成。
沈むというより、渦に引き込まれるような形で沈下した。
……凄い不快感だ。
晴信はそう思った。
違う世界に入り込む感触。
それは相手の空間に歓迎されているのではなく、拒否されているという感じがひしひしと全身に伝わってくるものであった。
あえてそれを説明するならば、数万匹の虫が全身を這い上がってくるような言いようのない不快感である。
「うがぁぁ!」
晴信は伝わってくる不快感に、思わず大きな声を上げてしまう。
それを聞いたケツアルコアトルの主要電算機であるアールが緊急浮上を決断した。
『緊急浮上! メインタンクブロー!』
元の世界へ、飛び上がるように現れるケツアルコアトル。
それに伴い、晴信の体から不快感は遠ざかった。
「はぁはぁはぁ……」
「大丈夫ですか?」
冷や汗をかく晴信に、ディーが近寄ってきて、タオルで顔の汗を拭いてくれた。
だが、晴信は言いようもない悪夢から目覚めたように青い顔をしていた。
「これはきついね」
一息ついて、オレンジジュースを飲みながら晴信はぼやく。
「お疲れ様」
「これって僕が乗ってないと駄目なの? ディーだけで航行とかできないの?」
晴信は恨めしそうにアールに問う。
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「そっかぁ」
「デハ、モウ一度、訓練シマスカ?」
「……いや、ちょっと勘弁。また今度にするね」
晴信はたじろぎながら、アールに返事をする。
それくらい、異次元潜航は晴信の精神に負担のかかる航行であったのだった。
☆★☆★☆
――航行する事、一か月。
「速度減速! 着陸用意!」
『了解! 逆噴射開始シマス!』
準惑星ディーに近づいたケツアルコアトルは、艦首の逆噴射ノズルを開放。
青白い逆噴射の炎を展開した。
「姿勢制御装置スタート! 管制システムにリンク開始!」
『了解!』
晴信はケツアルコアトルの操艦を、着陸予定の準惑星ディーの管制システムに任せた。
同時に、準惑星から放たれた赤い誘導ビームが艦を包み、埠頭まで牽引していった。
『着陸完了』
「お疲れ様、またしばらくしたら会いに来るね」
そう晴信はアールに挨拶する。
アールは艦に設置された制御電算機であるがゆえに、晴信やディーと共に艦を降りることが出来なかったのだ。
久々に準惑星ディーの工場に入る晴信とディー。
中には人がいないと思ったのだが、思わぬ人物が晴信を出迎えた。
「社長、おかえりなさい」
カンスケであった。
「あ、ただいま。こんなところで会うなんて珍しいね。惑星コローナの状態は落ち着いたの?」
晴信たちはメイン制御室に向かう通路で、歩きながら会話する。
「統治は上手く言っています、今のところは……。ですが、気圏戦闘艦のアリーナが軍に接収されました」
「え? あれってミハタ社の私有物じゃないの?」
「そうなのです。ですが、軍の強硬派であるマエダ少将に取り上げられてしまいました……」
「えー!? なんで?」
「あの船は、政府の軍としての行動下での戦果であるために、その所有権は軍にあるとの見解だそうです。そのほか……」
さらに、カンスケが言うには、アリーマーだけでなく、様々なミハタ社の設備や物品が、コローナ臨時政府の軍に収奪されたとのことだった。
すべては臨時政府の為との理由であったらしい。
「ヴリュンヒルデはなんて言ってるの?」
「政府より軍の発言力は大きくなっており、あまり強いことは言えないようなのです」
幾らかは晴信の功績とは言え、地方軍閥の掃討やゼノン王が派遣してきた軍の制圧などに、軍は大きな功績を上げてきた。
その軍の実質上のトップがマエダ少将であった。
少将と聞くと、補助的な将軍の位置と聞こえてしまいそうだが、それはゲルマー星系全体での階級が少将なのであって、惑星規模では最上位に近い階級であった。
「……もうさ、彼らに味方するの辞めない?」
「いい考えだとおもいますが、サーペントの件はどうします?」
「あれもさ、考えたんだけど、エネルギー絞って航行したら何とかなるじゃん。あれを変にやっつけたりすると宇宙空間で大規模な戦闘になるんだよね……」
「なるほど……」
晴信の考え方は面白かった。
宇宙海獣であるサーペントのおかげで、エネルギーの消費量の大きい最新鋭の宇宙船は運用できない。
逆を言えば、性能の良い宇宙用の軍艦も使えない。
ということは、宇宙空間で大きな戦闘は起きない。
ある程度は交易による経済発展が望めなくなるが、それも大規模な戦争が起こるよりは絶対ましなはずであった。
「……というか、カンスケ。良いコックを雇ったんだ。こっちへ来てくれないか?」
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