異世界宇宙SFの建艦記 ――最強の宇宙戦艦を建造せよ――

黒鯛の刺身♪

文字の大きさ
49 / 55

第四十九話……晴信の説得

しおりを挟む
……ううん?

 晴信は洞窟のような所で目を覚ます。
 周囲は暗かったが、ドワーフの老人らしき姿があった。
 薄暗い中、彼は煙管で煙をふかしていた。

「ここはどこですか?」

「起きなさったかお若いの、ここはな、魔窟じゃよ……」

「魔窟?」

「そう……、社会から捨てられた者たちの魔窟じゃ。ワシが吸っている煙管も麻薬じゃよ」


 ……ぇ!?

 晴信は慌てて口に手を当てた。

「アンタ、戦傷の痕がないな? どこをやられなすった?」

「……え? どこもやられてませんよ」

「不思議じゃのう……。ここはな、社会に受け入れられて貰えぬ戦傷者の終の棲家じゃてな」

 そう言われ、辺りを見回すと、ここにいる多くのドワーフたちの多くが、足が無かったり手が無かったりと悲惨な状況であった。


「……皆さん、どうして?」

 そう晴信が驚くと、ドワーフの老人は冷たく笑った。

「我々は獣人ではないのだ。いわゆる少数民族という奴だ。であるからにゲルマー王国の福祉政策の恩恵には与れんのだよ……」

 ドワーフの老人が言うにはゲルマー王国の主要民族は獣人。
 それに含まれない民族が兵隊になり、使い物にならなくなったものはこの星に収監されるのだという。

 全ての傷病者に福利厚生を施すには経費が掛かりすぎるとのことだった。
 この星では麻薬は合法。
 残された寿命を楽に過ごさせようという施策であった。


「あんたも吸うかね?」

「いえ、いりません! ここの責任者と話をします」

 晴信はそういい、立ち上がり足早に洞窟をでた。


 ……こ、これは?

 晴信が外にでると一面が麻薬畑。
 砂漠の惑星の僅かなオアシスが麻薬畑といった態であった。
 畑の周りには鉄条網が張られ、見張り棟には兵士が詰めているようであった。

 晴信は見張り棟に近寄り、兵士に声を掛けた。

「僕は傷病兵じゃない。早く外へ出してくれ!」

「誰だ!? お前は?」

「僕はミハタ社の社長だ。助けてくれたら沢山の御礼をする」

「……ほ、本当か!?」

 ミハタ社と言えば、ゲルマー王国において造船の大手。
 軍関係者で知らない者は少なかった。


 晴信は兵士に連れられ、この施設の責任者の詰める建物へと向かった。

「君かね? この施設から出たいというのは?」

「はい、そうです。必要ならば金品の御礼も致します」

 晴信は自分がミハタ社の社長であるということ、なんなら多くの釈放費用を払うと伝えた。


「駄目だな」

「なんでなのですか? 私はこの施設に無関係ですよ」

「見知った時点で関係者だ。生きて出すわけにはいかん!」

 責任者であろう将校は厳しい口調で説明した。
 その内容は、この施設は明らかな違法施設であるということ。
 よって見知ったものは全て殺すということであった……。


「そ、そんな……」

 晴信は絶望感から片膝をついた。
 だが、一縷の希望を掛けて弁をふるった。

「この施設、わが社が買い取りましょう。運営も継続してやらしていただきます」

「なに? 正気か? この施設だけで3万もの傷病兵がいるのだぞ!」

「何とかしてみます。いえ、必ず実行いたします」

 晴信は更に説明を加えた。

「皆さんもやりたくない仕事だったでしょう? 皆さん全員を僕が私兵として雇います! 今は兵士が貴重なご時世なのです。お互いに利がある話でしょう?」

 晴信はそう畳みかけてみた。
 責任者はそれを聞いて少し考え、ゆっくりと返事をした。

「念のため、お前の部下にも聞いてみるぞ!」

「どうぞ!」

 責任者は部屋を出て、超高速通信システムでミハタ社に連絡を取った。
 その通信にはカンスケが応じた。

 カンスケとしては、3万もの傷病者を養うのは気が進まなかった。
 下手をすればミハタ社が潰れてしまいかねないのだ。
 ……であるが、晴信の身柄が抑えられているのでは、条件を飲むしかなかった。

『わかりました』

「……では、電子約款にサインを頼む」

 責任者はカンスケに電子約款にサインを求めた。
 それは紙での約款と同じ効力がある重要なものであった。


「お前の部下は応じたぞ! 商談は成立だな」

「有難うございます」

 こうして晴信とディーの釈放は決まったのであった。



☆★☆★☆

――三日後。
 惑星コローナから、大型の輸送艦3隻が到着。
 傷病者であるドワーフたちを収容した。


「火を掛けろ!」

「はっ!」

 続いて、この惑星にある麻薬畑に火が放たれた。
 乾燥した惑星に似つかわしく、勢いよく火が回る。

 あとで聞くところによると、この麻薬の売り上げは、傷病者の治療費にも充てられていたとのことだった……。

 輸送艦のあとから、ほぼ改修を終えたケツアルコアトルが到着した。
 そこに晴信やディー、施設の職員500名が乗艦。
 多くのカルテや医療機器も載せられていった。

「発進せよ!」

「了解!」

 輸送艦とケツアルコアトルは惑星コローナへ出発した。


――その後。
 晴信は惑星コローナに所有する工場や鉱山、港湾施設を全て売却。
 更には宇宙戦艦であるタテナシをも惑星コローナ政府に売却した。

 その売却で得た多大な資金で、傷病兵の為の巨大な病院施設を建設、初期運営を開始したのであった……。

 それと同時に、ミハタ社は事実上の倒産。
 ゲルマー王国が誇る巨大造船会社は、その歴史を閉じたのであった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

銀河太平記

武者走走九郎or大橋むつお
SF
 いまから二百年の未来。  前世紀から移住の始まった火星は地球のしがらみから離れようとしていた。火星の中緯度カルディア平原の大半を領域とする扶桑公国は国民の大半が日本からの移民で構成されていて、臣籍降下した扶桑宮が征夷大将軍として幕府を開いていた。  その扶桑幕府も代を重ねて五代目になろうとしている。  折しも地球では二千年紀に入って三度目のグローバリズムが破綻して、東アジア発の動乱期に入ろうとしている。  火星と地球を舞台として、銀河規模の争乱の時代が始まろうとしている。

航空自衛隊奮闘記

北条戦壱
SF
百年後の世界でロシアや中国が自衛隊に対して戦争を挑み,,, 第三次世界大戦勃発100年後の世界はどうなっているのだろうか ※本小説は仮想の話となっています

蒼穹の裏方

Flight_kj
SF
日本海軍のエンジンを中心とする航空技術開発のやり直し 未来の知識を有する主人公が、海軍機の開発のメッカ、空技廠でエンジンを中心として、武装や防弾にも口出しして航空機の開発をやり直す。性能の良いエンジンができれば、必然的に航空機も優れた機体となる。加えて、日本が遅れていた電子機器も知識を生かして開発を加速してゆく。それらを利用して如何に海軍は戦ってゆくのか?未来の知識を基にして、どのような戦いが可能になるのか?航空機に関連する開発を中心とした物語。カクヨムにも投稿しています。

メトロポリス社へようこそ! ~「役立たずだ」とクビにされたおっさんの就職先は大企業の宇宙船を守る護衛官でした~

アンジェロ岩井
SF
「えっ、クビですか?」 中企業アナハイニム社の事務課に勤める大津修也(おおつしゅうや)は会社の都合によってクビを切られてしまう。 ろくなスキルも身に付けていない修也にとって再転職は絶望的だと思われたが、大企業『メトロポリス』からの使者が現れた。 『メトロポリス』からの使者によれば自身の商品を宇宙の植民星に運ぶ際に宇宙生物に襲われるという事態が幾度も発生しており、そのための護衛役として会社の顧問役である人工頭脳『マリア』が護衛役を務める適任者として選び出したのだという。 宇宙生物との戦いに用いるロトワングというパワードスーツには適性があり、その適性が見出されたのが大津修也だ。 大津にとっては他に就職の選択肢がなかったので『メトロポリス』からの選択肢を受けざるを得なかった。 『メトロポリス』の宇宙船に乗り込み、宇宙生物との戦いに明け暮れる中で、彼は護衛アンドロイドであるシュウジとサヤカと共に過ごし、絆を育んでいくうちに地球上にてアンドロイドが使用人としての扱いしか受けていないことを思い出す。 修也は戦いの中でアンドロイドと人間が対等な関係を築き、共存を行うことができればいいと考えたが、『メトロポリス』では修也とは対照的に人類との共存ではなく支配という名目で動き出そうとしていた。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ

ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。 見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は? 異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。 鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

英雄召喚〜帝国貴族の異世界統一戦記〜

駄作ハル
ファンタジー
異世界の大貴族レオ=ウィルフリードとして転生した平凡サラリーマン。 しかし、待っていたのは平和な日常などではなかった。急速な領土拡大を目論む帝国の貴族としての日々は、戦いの連続であった─── そんなレオに与えられたスキル『英雄召喚』。それは現世で英雄と呼ばれる人々を呼び出す能力。『鬼の副長』土方歳三、『臥龍』所轄孔明、『空の魔王』ハンス=ウルリッヒ・ルーデル、『革命の申し子』ナポレオン・ボナパルト、『万能人』レオナルド・ダ・ヴィンチ。 前世からの知識と英雄たちの逸話にまつわる能力を使い、大切な人を守るべく争いにまみれた異世界に平和をもたらす為の戦いが幕を開ける! 完結まで毎日投稿!

処理中です...