異世界宇宙SFの建艦記 ――最強の宇宙戦艦を建造せよ――

黒鯛の刺身♪

文字の大きさ
50 / 55

第五十話……ドワーフの王

しおりを挟む
「……ふう、さて次に移ろう」

「了解!」

 晴信とディーは準惑星ディーハウスに移っていた。
 ちなみに、この星の設備は全く売却しておらず健在である。

 晴信は傷病者の病院施設を惑星コローナの都市部近郊に建造。
 そこの責任者にカンスケをあてた。

 さらに、惑星コローナの工場を売却した費用で、晴信は多数の医療用マイコンを買い集めていた。
 そのマイコンを材料に、この準惑星の工場で高性能な義手や義足へと加工。

 それを惑星コローナの病院へと輸送。
 戦傷に傷ついたドワーフたちの社会復帰へ向けて、強力にサポートしたのだった。



☆★☆★☆

「この度のこと、本当にお礼の言いようがありません」

「いえいえ」

 晴信が惑星コローナへと視察した際。
 ドワーフの長老に御礼を言われ、大いに歓待された。
 そこには若いドワーフたちも集い、喧騒としていた。

「俺たちもう働けるぞ! 良い職場ないものか?」

 ドワーフの若い元兵士たちに詰め寄られる晴信。

「まぁまぁ、焦りなさんな」

「いや、長老。俺たち早く働きたいんだ!」

 元気になったドワーフたちは勤労意欲が旺盛。
 もともと、その種族の真面目さが認められ、優秀な外国人兵士のような存在で光を浴びていたが、元はと言うと鉱山労働者に特化した種族だった。


「晴信様、彼等若い者に働く場所をくれてやるわけにはいきませんかな?」

「……ふむう」

 晴信は悩んだ。
 準惑星ディーハウスで、鉱石の採鉱に励んでもらってもいいのだが、その存在の秘匿性が損なわれるのではないかと危惧していたのだ。

「あの星は広いから、工場の裏側に住んでもらったら?」

 ディーがそう晴信に助言した。
 準惑星ディーは直径が三千キロ以上ある。
 ちなみに晴信の工場は、その地表に占める大きさはほんのわずかであった。

 そう考えると、工場の秘匿性を維持したまま、ドワーフたちの居住区を作れるのではないか……。
 晴信はそう判断。
 傷の治ったドワーフたちの惑星ディーへの移住政策がスタートしたのだった。



☆★☆★☆

 惑星コローナ政府から10万トン級の大型輸送艦を借りてきて、ドワーフたちを準惑星ディーへと運ぶ。
 そこは工場がある地からかなり離れており、石ころが転がる荒野であった。
 さらに言えば、この天体には大気もなかった。
 ゲルマー王国にありながら、現地の獣人たちにこの天体が放置されていたのはそれなりの理由があったのだ。

「よし、テントを張るぞ!」

「簡易コロニーを持ってこい!」

 輸送艦からクレーンなどの建機を運び出す。
 惑星コローナの病院には1万名ものドワーフたちが残ったが、逆を言えば、この地に2万名もの
ドワーフが移住してきたのであった。

 ドワーフたちの勤労意欲は凄まじく、僅か二十日でドーム状の居住区が完成。
 さらに十日で地下へと行動が掘られ、移住から1か月で資源鉱山が開業したのであった。



☆★☆★☆

――二か月後。
 ドワーフたちの生活は安定した。

 ドワーフの長老は晴信の工場へとやって来ていた。

「晴信様、この施設はすさまじいですな。全く見たことが無い!」

「……ええ、内緒でお願いしますね」

 ドワーフたちが採鉱した鉱石を使って、晴信は再び宇宙船を造っていた。
 造った良質な宇宙船は、惑星コローナの企業へと売却される予定であった。
 つまり、再びの金策である。


「晴信様、お願いがあるのです」

「なんでしょう?」

 ドワーフの長老は晴信に向き直り、襟を正した。

「貴方は我がドワーフという民族を、私財をなげうって助けて下さった。それに加えて安住の地もくださった。我々はそれに大変に感謝しているのです」

「……あはは」

 晴信は照れ笑いをする。
 地球にいたころ、晴信は人助けをしたいと思っていたが、特に力なく強い意思もなく、実行することができないでいたのだ。
 ドワーフ民族の復興は、晴信のちょっとした夢でもあった。

「……でな、晴信様に我が民族の王になってほしいのだ」

「……ぇ!?」

 ゲルマー王国は封建主義であり、様々な民族の首長の集まりであった。
 長老の言うことは、そういう面においては現実に即した言葉であった。
 だが、封建主義とは上のものが絶対的な力を持つということである。

「私は、獣人でもドワーフでもありませんよ。勤まるわけがないと思いますが……」

 晴信は断った。
 ゲルマー王国の主民族である獣人でもなければ、ドワーフでもないのが理由だった。
 晴信の姿は、この世界の誰もが忘れ去ってしまった人間の姿なのである。

「御姿など、なんでもいいではありませんか? 貴方はわが民族を助けて下さった。それは誰にもできなかったこと。王に相応しいのは晴信様をおいてほかにいないのです」

「う、うん……」

 晴信はこういうことに優柔不断である。
 あまり責任ある立場になりたくないというのがあったのだ。


「この老人の経っての頼みじゃ、この通り……」

 晴信はついに長老に拝まれてしまう。
 流石にこうなると晴信は承諾を決意した。

「わかりました。でも、あまり自信がありませんよ」

「いえいえ、晴信様は立派な王になられます。私もめいっぱい補佐させていただきますゆえ」

 長老は眼に涙を浮かべた。
 長い歴史の中。
 ドワーフたちは少数民族そして立場が弱かった。
 そんな少数民族であるドワーフたちに、温かい手を差し伸べてくれた晴信はそれだけ大きな存在であったのだった。


――その晩。

「晴信、通信だよ!」

「誰から?」
「ブリュンヒルデさんだよ」

 ディーにそう言われ、晴信は通信室へと向かった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

銀河太平記

武者走走九郎or大橋むつお
SF
 いまから二百年の未来。  前世紀から移住の始まった火星は地球のしがらみから離れようとしていた。火星の中緯度カルディア平原の大半を領域とする扶桑公国は国民の大半が日本からの移民で構成されていて、臣籍降下した扶桑宮が征夷大将軍として幕府を開いていた。  その扶桑幕府も代を重ねて五代目になろうとしている。  折しも地球では二千年紀に入って三度目のグローバリズムが破綻して、東アジア発の動乱期に入ろうとしている。  火星と地球を舞台として、銀河規模の争乱の時代が始まろうとしている。

航空自衛隊奮闘記

北条戦壱
SF
百年後の世界でロシアや中国が自衛隊に対して戦争を挑み,,, 第三次世界大戦勃発100年後の世界はどうなっているのだろうか ※本小説は仮想の話となっています

蒼穹の裏方

Flight_kj
SF
日本海軍のエンジンを中心とする航空技術開発のやり直し 未来の知識を有する主人公が、海軍機の開発のメッカ、空技廠でエンジンを中心として、武装や防弾にも口出しして航空機の開発をやり直す。性能の良いエンジンができれば、必然的に航空機も優れた機体となる。加えて、日本が遅れていた電子機器も知識を生かして開発を加速してゆく。それらを利用して如何に海軍は戦ってゆくのか?未来の知識を基にして、どのような戦いが可能になるのか?航空機に関連する開発を中心とした物語。カクヨムにも投稿しています。

メトロポリス社へようこそ! ~「役立たずだ」とクビにされたおっさんの就職先は大企業の宇宙船を守る護衛官でした~

アンジェロ岩井
SF
「えっ、クビですか?」 中企業アナハイニム社の事務課に勤める大津修也(おおつしゅうや)は会社の都合によってクビを切られてしまう。 ろくなスキルも身に付けていない修也にとって再転職は絶望的だと思われたが、大企業『メトロポリス』からの使者が現れた。 『メトロポリス』からの使者によれば自身の商品を宇宙の植民星に運ぶ際に宇宙生物に襲われるという事態が幾度も発生しており、そのための護衛役として会社の顧問役である人工頭脳『マリア』が護衛役を務める適任者として選び出したのだという。 宇宙生物との戦いに用いるロトワングというパワードスーツには適性があり、その適性が見出されたのが大津修也だ。 大津にとっては他に就職の選択肢がなかったので『メトロポリス』からの選択肢を受けざるを得なかった。 『メトロポリス』の宇宙船に乗り込み、宇宙生物との戦いに明け暮れる中で、彼は護衛アンドロイドであるシュウジとサヤカと共に過ごし、絆を育んでいくうちに地球上にてアンドロイドが使用人としての扱いしか受けていないことを思い出す。 修也は戦いの中でアンドロイドと人間が対等な関係を築き、共存を行うことができればいいと考えたが、『メトロポリス』では修也とは対照的に人類との共存ではなく支配という名目で動き出そうとしていた。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ

ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。 見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は? 異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。 鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

英雄召喚〜帝国貴族の異世界統一戦記〜

駄作ハル
ファンタジー
異世界の大貴族レオ=ウィルフリードとして転生した平凡サラリーマン。 しかし、待っていたのは平和な日常などではなかった。急速な領土拡大を目論む帝国の貴族としての日々は、戦いの連続であった─── そんなレオに与えられたスキル『英雄召喚』。それは現世で英雄と呼ばれる人々を呼び出す能力。『鬼の副長』土方歳三、『臥龍』所轄孔明、『空の魔王』ハンス=ウルリッヒ・ルーデル、『革命の申し子』ナポレオン・ボナパルト、『万能人』レオナルド・ダ・ヴィンチ。 前世からの知識と英雄たちの逸話にまつわる能力を使い、大切な人を守るべく争いにまみれた異世界に平和をもたらす為の戦いが幕を開ける! 完結まで毎日投稿!

処理中です...