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第五十二話……穿て! 巨獣サーペント
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「どうしたの? ブリュンヒルデ?」
晴信の明るい返事が、彼女を安心させる。
「……えっと、お願いがあってね……。なんとか、あのサーペントを倒せないかしら? ……思って。やっぱり無理かな?」
「やってみるよ」
彼女の心配とは裏腹に、晴信は即答した。
「……でも、倒したら戦争が酷くならない?」
晴信の心配事はむしろこちら側であった。
「その後は、私に任しちゃって。すぐに私が戦争を終わらせてみせるから……。でね……、あのね……、それから……」
彼女は胸のつかえがとれたように次々と話し出した。
反ゼノン王連合が結成されたこと。
自分が次の王位につけるかもしれないかと。
それから、昨日の夕食のことから、果ては、昨日の愛犬の様子まで次々に堰を切ったように喋った。
……それだけ、サーペントを何とかしてくれるかもしれない晴信の返事が嬉しかったのである。
「じゃあ、お休み」
「おやすみなさい」
二人は、夜遅くまで楽しく話したのであった。
☆★☆★☆
――翌日。
準惑星ディーハウスの食堂。
「ねぇ、ケツアルコアトルの艤装ってどこまで終わった?」
晴信はディーに聞く。
「えっと、98%くらいですね。明日には終わると思います」
「ブリュンヒルデがサーペントを倒せるかって聞いてきたよ」
「倒すのは正直無理ですよね。でも、いなくなってしまえばいいんですよね?」
「そう思うよね。多分、いなくなってしまえばいいと思うんだ」
最近は、ケツアルコアトルの食堂でご飯を食べることが多いが、あの船で食べると決まってメニューが中華なのだ。
和食や洋食が食べたいときは下船して食事をとるしかない。
「あと、話は変わるけど、ケツアルコアトルの中に養殖施設を作る話はどうなったの?」
「あれはアールがあまり良い顔しないんだよね。どうしたもんだか……」
ケツアルコアトルは800mの巨艦に改造中。
しかし、ほとんどの残る案件は、余った区画に何を作るかということで、大した用件は無かったのであった。
☆★☆★☆
「出航用意!」
『了解!』
ケツアルコアトルの改修が終わり、遂に発進の時を迎える。
ドック内が注水され、艦がゆっくりと水上に浮かび上がった。
もちろん宇宙船なので、これから外洋にでるという運びではないが、発進の際の衝撃から工場施設を守るために、注水は行われたのである。
「メインエンジン始動!」
『始動開始!』
けたたましい音が艦内に鳴り響く。
乗員は艦橋内には、晴信とディー、晴信の副官のエリーの三人だけ。
他には、格納庫に整備要員と艦載機のパイロットなどドワーフ兵500名が乗り込んでいる。
その他多くの仕事は、艦橋システム電算機のアールが行うのであった。
「続いて、超高光速航行へと移れ!」
『了解!』
発進後、わずか3分で重力圏を離脱。
ワープ航法へと入った。
目標は、この世界最大の巨獣であるサーペントであった。
☆★☆★☆
三度のワープの後。
晴信たちは有視界にサーペントの姿を捉えた。
その姿は中世のドラゴンに似て、無意味に大きな翼をもつ。
首は長く、尻尾まで含めると、ゆうに100kmを超える大きさであった。
爪も鋭く、その手足は宇宙戦艦を容易く切り裂く。
主要な餌は宇宙船の生み出すエネルギー。
移動にはワープ航法まで使うといった理解不可解な生物であった。
更には口から高出力のガンマ線を吐き出すのだ。
極めて対処が難しい。
「艦首主砲用意!」
『艦首主砲にエネルギー充填!』
ケツアルコアトルの船首は二股の槍のような形状であり、船首の裂け目は艦体の中央部までに達する。
そして、その中央部に巨大な艦首主砲の砲身が鎮座していた。
『……エネルギー注入率86%』
ケツアルコアトルの最大の武器は、異次元潜航である。
亜空間への入り口を作り出し、その中へ潜ってしまうのである。
もちろん、任意で浮上。
……もとい、現世界へと帰って来るのだ。
『……エネルギー充填98%』
もちろん、それは装備武装にも波及した。
この艦の艦首主砲は、その技術を応用したものであった。
『エネルギー充填完了』
充填と同時に敵にも気づかれた。
サーペントは口を開き、真白い高エネルギー体を発射しようとした。
「次元断裂砲発射!」
晴信の号令一下、艦首から青白い光線が放たる。
そして摩訶不思議なことに、その光軸上の空間に、紫色の次元の裂け目が現れた。
そして、光軸上の物体は全て亜空間に吸い込まれる。
質量をもつ岩石やガスのみならず、質量をもたない電磁波の類まで……。
当然に、巨獣サーペントも次元の狭間に落ち込み、この世から消えてしまった。
もちろん亜空間で生き延びているであろうが……。
光軸が発生して0.1秒。
次元の裂け目は消え去る。
まさに一瞬の出来事であった。
……サーペント消え去る!
このことは各惑星から、望遠鏡で観測できた。
「やったぞ!」
様々な者たちが叫ぶ。
この二日後から、反ゼノン王連合は正式に宇宙空間へと軍を発した。
各惑星やコロニーから、ゲルマー王国の王都、惑星アレクサンドルへと向けて、大艦隊が発進したのである。
それを迎え撃つゲルマー王国艦隊。
未だ宇宙空間は、大質量のエネルギーと血を欲しているようであった……。
晴信の明るい返事が、彼女を安心させる。
「……えっと、お願いがあってね……。なんとか、あのサーペントを倒せないかしら? ……思って。やっぱり無理かな?」
「やってみるよ」
彼女の心配とは裏腹に、晴信は即答した。
「……でも、倒したら戦争が酷くならない?」
晴信の心配事はむしろこちら側であった。
「その後は、私に任しちゃって。すぐに私が戦争を終わらせてみせるから……。でね……、あのね……、それから……」
彼女は胸のつかえがとれたように次々と話し出した。
反ゼノン王連合が結成されたこと。
自分が次の王位につけるかもしれないかと。
それから、昨日の夕食のことから、果ては、昨日の愛犬の様子まで次々に堰を切ったように喋った。
……それだけ、サーペントを何とかしてくれるかもしれない晴信の返事が嬉しかったのである。
「じゃあ、お休み」
「おやすみなさい」
二人は、夜遅くまで楽しく話したのであった。
☆★☆★☆
――翌日。
準惑星ディーハウスの食堂。
「ねぇ、ケツアルコアトルの艤装ってどこまで終わった?」
晴信はディーに聞く。
「えっと、98%くらいですね。明日には終わると思います」
「ブリュンヒルデがサーペントを倒せるかって聞いてきたよ」
「倒すのは正直無理ですよね。でも、いなくなってしまえばいいんですよね?」
「そう思うよね。多分、いなくなってしまえばいいと思うんだ」
最近は、ケツアルコアトルの食堂でご飯を食べることが多いが、あの船で食べると決まってメニューが中華なのだ。
和食や洋食が食べたいときは下船して食事をとるしかない。
「あと、話は変わるけど、ケツアルコアトルの中に養殖施設を作る話はどうなったの?」
「あれはアールがあまり良い顔しないんだよね。どうしたもんだか……」
ケツアルコアトルは800mの巨艦に改造中。
しかし、ほとんどの残る案件は、余った区画に何を作るかということで、大した用件は無かったのであった。
☆★☆★☆
「出航用意!」
『了解!』
ケツアルコアトルの改修が終わり、遂に発進の時を迎える。
ドック内が注水され、艦がゆっくりと水上に浮かび上がった。
もちろん宇宙船なので、これから外洋にでるという運びではないが、発進の際の衝撃から工場施設を守るために、注水は行われたのである。
「メインエンジン始動!」
『始動開始!』
けたたましい音が艦内に鳴り響く。
乗員は艦橋内には、晴信とディー、晴信の副官のエリーの三人だけ。
他には、格納庫に整備要員と艦載機のパイロットなどドワーフ兵500名が乗り込んでいる。
その他多くの仕事は、艦橋システム電算機のアールが行うのであった。
「続いて、超高光速航行へと移れ!」
『了解!』
発進後、わずか3分で重力圏を離脱。
ワープ航法へと入った。
目標は、この世界最大の巨獣であるサーペントであった。
☆★☆★☆
三度のワープの後。
晴信たちは有視界にサーペントの姿を捉えた。
その姿は中世のドラゴンに似て、無意味に大きな翼をもつ。
首は長く、尻尾まで含めると、ゆうに100kmを超える大きさであった。
爪も鋭く、その手足は宇宙戦艦を容易く切り裂く。
主要な餌は宇宙船の生み出すエネルギー。
移動にはワープ航法まで使うといった理解不可解な生物であった。
更には口から高出力のガンマ線を吐き出すのだ。
極めて対処が難しい。
「艦首主砲用意!」
『艦首主砲にエネルギー充填!』
ケツアルコアトルの船首は二股の槍のような形状であり、船首の裂け目は艦体の中央部までに達する。
そして、その中央部に巨大な艦首主砲の砲身が鎮座していた。
『……エネルギー注入率86%』
ケツアルコアトルの最大の武器は、異次元潜航である。
亜空間への入り口を作り出し、その中へ潜ってしまうのである。
もちろん、任意で浮上。
……もとい、現世界へと帰って来るのだ。
『……エネルギー充填98%』
もちろん、それは装備武装にも波及した。
この艦の艦首主砲は、その技術を応用したものであった。
『エネルギー充填完了』
充填と同時に敵にも気づかれた。
サーペントは口を開き、真白い高エネルギー体を発射しようとした。
「次元断裂砲発射!」
晴信の号令一下、艦首から青白い光線が放たる。
そして摩訶不思議なことに、その光軸上の空間に、紫色の次元の裂け目が現れた。
そして、光軸上の物体は全て亜空間に吸い込まれる。
質量をもつ岩石やガスのみならず、質量をもたない電磁波の類まで……。
当然に、巨獣サーペントも次元の狭間に落ち込み、この世から消えてしまった。
もちろん亜空間で生き延びているであろうが……。
光軸が発生して0.1秒。
次元の裂け目は消え去る。
まさに一瞬の出来事であった。
……サーペント消え去る!
このことは各惑星から、望遠鏡で観測できた。
「やったぞ!」
様々な者たちが叫ぶ。
この二日後から、反ゼノン王連合は正式に宇宙空間へと軍を発した。
各惑星やコロニーから、ゲルマー王国の王都、惑星アレクサンドルへと向けて、大艦隊が発進したのである。
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未だ宇宙空間は、大質量のエネルギーと血を欲しているようであった……。
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