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第五十三話……艦隊戦
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反ゼノン軍連合軍。
旗艦タテナシ艦橋。
「敵艦との距離、約30万キロに到達しました!」
「了解!」
「砲雷撃戦用意!」
艦橋部の司令席に座るのはブリュンヒルデ。
形上の補佐官はザムエルが務めたが、彼は実際は総司令の役職にあった。、
反ゼノン連合軍は勝利後の利権を求め、各地の有力者や商人、それにまつわる傭兵団が集まり、宇宙船の数は大小34000隻となった。
勿論、駆逐艦以下の大きさであるミサイル艦やビーム艦が約半数を占める。
対してゲルマー王国軍。
此方は正規軍のみ8000隻である。
数では劣るが、歴戦を潜り抜けた王家の親衛隊であった。
――標準宇宙時間、午前八時。
「攻撃開始!」
ザムエルはブリュンヒルデの下命を受け、全艦に攻撃命令を発した。
まずは戦艦や巡洋艦が長射程の荷電粒子砲を発射。
続いて、新型の中性子砲や長距離ミサイルが放たれた。
この時、長射程兵器を持たない小型のミサイル艦、ビーム艦や駆逐艦などは撃たれるだけとなり、あっという間に防御シールドが飽和、艦体ごと次々に蒸発してしまう。
昔から戦争は一将功成りて万骨枯る。
遠距離砲戦はまさに、小型艦は大型艦の餌となるだけの戦いであった。
この宙域での戦いでは、寄せ集め間の強い反ゼノン王軍が小型艦の比率が高かった。
しかも、命令系統はズタズタで、総司令部の命令なく交戦距離を詰めようとやっきになっていたのだった。
――標準宇宙時間、午前11時。
「味方艦列崩れます」
「なんだと?」
反ゼノン連合軍艦隊司令ザムエルは狼狽した。
数に勝る味方が、総司令部の命令を無視して前進。
命令を守ろうとする艦との激突など、大いに艦列を崩したのだ。
「味方各艦に伝達。命令あるまで前進するな!」
「了解!」
3万4000対8000である。
数で上回る側は手柄を立てることに妄執したのだ。
この世界における最大の恩賞は宇宙船。
もはや失われた技術であるワープ機関を作ることは出来ないのだ。
ワープ機関を搭載した船は、富豪や冒険家などに望外の高値で売れた。
よって我先にと敵艦へと殺到したのであった。
――標準宇宙時間、午後13時。
反ゼノン軍の小規模艦は雪崩を打って突撃。
為し崩すように近接戦闘を開始した。
『これは俺の船だ!』
『いや俺のだ!』
反ゼノン連合軍の艦艇が、継続戦闘能力を奪われたゲルマー王国軍艦に殺到する。
傭兵と言えば聞こえはいいが、実際には普段は宇宙海賊であったり、没落した商隊などであることが多かった。
つまり彼等にとっては軍としての勝利より、目先の財であったのだ。
「よおし、上手くいった。そのまま旧式艦を囮に距離をとりながら砲撃せよ!」
「了解!」
ゲルマー王国軍の司令官はアルキメデス元帥。
彼は旧式艦を前面に出して囮とすることで、見事に反ゼノン王連合艦隊の艦列を乱すことに成功した。
「よし、正面の雑魚どもには艦載機を充てろ。敵は味方が邪魔になって砲撃できぬ。その間に巡洋艦部隊は機動力を持って左右から回り込め!」
「了解!」
☆★☆★☆
――標準宇宙時間、午後14時。
鶴翼の両端を広げるように機動するゲルマー王国軍に対し、反ゼノン王連合軍は縦陣を展開するも後手後手を踏んでいた。
「両翼を広げよ!」
「了解!」
司令官であるザムエルが両翼を広げように命令しても、返事が返ってくるのは通信担当士官たちの返事のみ。
この時、ゲルマー帝国軍が生み出した餌により混乱、更には混成編成が仇となり、全く命令系統が機能していなかった。
実際には、この命令は混乱を引き起こし、前へ進む艦や横に広がる艦などお互いに衝突。
それによる利害関係により、味方同士で砲撃戦が起こる場面もあった。
「敵、更に迂回してきます!」
「なんだと!?」
ゲルマー王国軍の最先鋒は、ザムエル率いる本隊をも迂回。
後方で反ゼノン王連合艦隊の兵站を担う補給船団に襲い掛かった。
「敵襲! 敵襲!」
「援軍を乞う!」
ザムエルも司令部直衛部隊を割いて援軍に回すが、相手は百戦錬磨の王国親衛隊である巡洋艦部隊。
優れた練度と機動性で、あっという間にザムエルが差し向けた部隊を追い散らした。
「後方部隊が壊滅的打撃を受けております!」
「前方戦線は?」
「敵艦載機の攻撃により、膠着状態です!」
ザムエルは焦った。
現状は、後方をかく乱され、前方の戦域も掌握できていない。
未だ、味方の数は優勢であるも、劣勢は誰から見ても明白であった。
――標準宇宙時間、午後16時。
「味方艦、戦列を離れるものが多数!」
「前方戦域、更に混乱中!」
「……ううむ」
結局、ザムエルは後方部隊の援軍に予備兵力の全てを投入した。
その分、前方部隊の統制が更に効かなくなっていく。
味方の前衛部隊の中には、鹵獲した敵艦を確保したら、曳航してそのまま戦域を脱出しようとするものが続出した。
さらに、曳航中に速度が落ちたところを、王国軍の長距離砲や艦載機に狙い撃ちに遭った。
まさに、ザムエルの前方で味方が行っているのは、戦闘ではなく追剥行為である。
それを止めようと正規軍が躍起になっていることが、更に戦線の混乱に拍車をかけていた。
逃げる味方に、それを追う味方。
戦う味方に、邪魔する味方。
歴史的に見れば、こちらの方が正しい戦いの在り方と言えよう。
……我々は、規則正しい軍法に依りかかり過ぎていたのだ。
もっと机上の軍法ではなく、人間の本質を図らねばならなかったか……。
ザムエルは後悔したが、後悔したところで戦局は良くなりはしなかった。
戦線は更に二時間も混乱した。
「……負けたか」
ザムエルはそう呟き。
同時に、
「……勝ったか」
アルキメデス元帥はそう呟いた。
旗艦タテナシ艦橋。
「敵艦との距離、約30万キロに到達しました!」
「了解!」
「砲雷撃戦用意!」
艦橋部の司令席に座るのはブリュンヒルデ。
形上の補佐官はザムエルが務めたが、彼は実際は総司令の役職にあった。、
反ゼノン連合軍は勝利後の利権を求め、各地の有力者や商人、それにまつわる傭兵団が集まり、宇宙船の数は大小34000隻となった。
勿論、駆逐艦以下の大きさであるミサイル艦やビーム艦が約半数を占める。
対してゲルマー王国軍。
此方は正規軍のみ8000隻である。
数では劣るが、歴戦を潜り抜けた王家の親衛隊であった。
――標準宇宙時間、午前八時。
「攻撃開始!」
ザムエルはブリュンヒルデの下命を受け、全艦に攻撃命令を発した。
まずは戦艦や巡洋艦が長射程の荷電粒子砲を発射。
続いて、新型の中性子砲や長距離ミサイルが放たれた。
この時、長射程兵器を持たない小型のミサイル艦、ビーム艦や駆逐艦などは撃たれるだけとなり、あっという間に防御シールドが飽和、艦体ごと次々に蒸発してしまう。
昔から戦争は一将功成りて万骨枯る。
遠距離砲戦はまさに、小型艦は大型艦の餌となるだけの戦いであった。
この宙域での戦いでは、寄せ集め間の強い反ゼノン王軍が小型艦の比率が高かった。
しかも、命令系統はズタズタで、総司令部の命令なく交戦距離を詰めようとやっきになっていたのだった。
――標準宇宙時間、午前11時。
「味方艦列崩れます」
「なんだと?」
反ゼノン連合軍艦隊司令ザムエルは狼狽した。
数に勝る味方が、総司令部の命令を無視して前進。
命令を守ろうとする艦との激突など、大いに艦列を崩したのだ。
「味方各艦に伝達。命令あるまで前進するな!」
「了解!」
3万4000対8000である。
数で上回る側は手柄を立てることに妄執したのだ。
この世界における最大の恩賞は宇宙船。
もはや失われた技術であるワープ機関を作ることは出来ないのだ。
ワープ機関を搭載した船は、富豪や冒険家などに望外の高値で売れた。
よって我先にと敵艦へと殺到したのであった。
――標準宇宙時間、午後13時。
反ゼノン軍の小規模艦は雪崩を打って突撃。
為し崩すように近接戦闘を開始した。
『これは俺の船だ!』
『いや俺のだ!』
反ゼノン連合軍の艦艇が、継続戦闘能力を奪われたゲルマー王国軍艦に殺到する。
傭兵と言えば聞こえはいいが、実際には普段は宇宙海賊であったり、没落した商隊などであることが多かった。
つまり彼等にとっては軍としての勝利より、目先の財であったのだ。
「よおし、上手くいった。そのまま旧式艦を囮に距離をとりながら砲撃せよ!」
「了解!」
ゲルマー王国軍の司令官はアルキメデス元帥。
彼は旧式艦を前面に出して囮とすることで、見事に反ゼノン王連合艦隊の艦列を乱すことに成功した。
「よし、正面の雑魚どもには艦載機を充てろ。敵は味方が邪魔になって砲撃できぬ。その間に巡洋艦部隊は機動力を持って左右から回り込め!」
「了解!」
☆★☆★☆
――標準宇宙時間、午後14時。
鶴翼の両端を広げるように機動するゲルマー王国軍に対し、反ゼノン王連合軍は縦陣を展開するも後手後手を踏んでいた。
「両翼を広げよ!」
「了解!」
司令官であるザムエルが両翼を広げように命令しても、返事が返ってくるのは通信担当士官たちの返事のみ。
この時、ゲルマー帝国軍が生み出した餌により混乱、更には混成編成が仇となり、全く命令系統が機能していなかった。
実際には、この命令は混乱を引き起こし、前へ進む艦や横に広がる艦などお互いに衝突。
それによる利害関係により、味方同士で砲撃戦が起こる場面もあった。
「敵、更に迂回してきます!」
「なんだと!?」
ゲルマー王国軍の最先鋒は、ザムエル率いる本隊をも迂回。
後方で反ゼノン王連合艦隊の兵站を担う補給船団に襲い掛かった。
「敵襲! 敵襲!」
「援軍を乞う!」
ザムエルも司令部直衛部隊を割いて援軍に回すが、相手は百戦錬磨の王国親衛隊である巡洋艦部隊。
優れた練度と機動性で、あっという間にザムエルが差し向けた部隊を追い散らした。
「後方部隊が壊滅的打撃を受けております!」
「前方戦線は?」
「敵艦載機の攻撃により、膠着状態です!」
ザムエルは焦った。
現状は、後方をかく乱され、前方の戦域も掌握できていない。
未だ、味方の数は優勢であるも、劣勢は誰から見ても明白であった。
――標準宇宙時間、午後16時。
「味方艦、戦列を離れるものが多数!」
「前方戦域、更に混乱中!」
「……ううむ」
結局、ザムエルは後方部隊の援軍に予備兵力の全てを投入した。
その分、前方部隊の統制が更に効かなくなっていく。
味方の前衛部隊の中には、鹵獲した敵艦を確保したら、曳航してそのまま戦域を脱出しようとするものが続出した。
さらに、曳航中に速度が落ちたところを、王国軍の長距離砲や艦載機に狙い撃ちに遭った。
まさに、ザムエルの前方で味方が行っているのは、戦闘ではなく追剥行為である。
それを止めようと正規軍が躍起になっていることが、更に戦線の混乱に拍車をかけていた。
逃げる味方に、それを追う味方。
戦う味方に、邪魔する味方。
歴史的に見れば、こちらの方が正しい戦いの在り方と言えよう。
……我々は、規則正しい軍法に依りかかり過ぎていたのだ。
もっと机上の軍法ではなく、人間の本質を図らねばならなかったか……。
ザムエルは後悔したが、後悔したところで戦局は良くなりはしなかった。
戦線は更に二時間も混乱した。
「……負けたか」
ザムエルはそう呟き。
同時に、
「……勝ったか」
アルキメデス元帥はそう呟いた。
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