雪を溶かすように

春野ひつじ

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第一章

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 半年前、僕が人間国にやってきた時、明らかに人間たちは僕を歓迎していなかった。国王に挨拶をする場所には王族や貴族などたくさんの人がいたが僕と関わりたくないという思いが伝わってきた。国王も例に漏れず、あからさまに迷惑そうな顔をした。そして、

「王子たちの中で、この者の世話をする役割を買って出る者はおらぬか?」

と尋ねた。みんなの視線を痛いくらいに感じながら、僕はそんな面倒事を引き受ける人なんていないはずだ、と考えていた。当然、王子たちは自分にその役目が回ってこないよう、無関係を装っていた。しかし、突然静かだが、よく響く声が聞こえた。

「父上、私がその役目を引き受けてもよろしいでしょうか?」

僕は驚きながら、声のする方向を見やった。国王は嬉しそうに、

「そうか、ではふゆ頼んだぞ。」

と言った。そして、そそくさと部屋を出て行った。ふゆ、と呼ばれた銀色の髪と瞳を持った彼は、物静かな雰囲気を纏っていた。彼は僕に、

「はじめまして。」

と短く言った。
 
 僕は彼に連れられて僕がこれから過ごすことになる部屋へ行った。彼と僕の周りには数人の従者がいた。正直にいうと、僕の心の中は期待でいっぱいだった。僕の世話を見てくれるという人がいるなんて、人間の中にもみんなが思っているほど悪いやつじゃない人もいるんだ…と。しかし、その期待は、部屋についたことですぐに裏切られた。部屋は狭くて、窓がひとつしかなく、必要最小限のものしか置いていなかった。そして極め付けには、部屋の外には頑丈な鍵がついていて、窓にも鉄格子がはまっていた。

「本当にここが僕の部屋ですか?」

彼がタチの悪い冗談を言っていることを願いながら僕は恐る恐る聞いた。彼は微笑みを絶やすことなく言った。

「はい、そうです。早く入ってください。」

僕は逃げなきゃ、と思って人間たちの間を縫って助けを呼ぼうとした。今思えば、誰も助けてくれる人もいなかったのに。その時の僕は無我夢中でその場から逃れることだけを考えていたから、正常な判断ができていなかった。僕は、半獣化した。見た人に空を連想させるような青色で、先にいくにしたがって、次第に色が薄くなっている、大きいが同時に儚さを感じさせる翼が背中から出た。那とその従者たちは驚いた顔で僕を見ていたが、ハッとして僕を捕まえようとした。たぶん、僕が獣人国に戻り、父上に報告したならば、今度こそ人間は滅ぼされてしまうと考えたのだろう。僕は誰もいない廊下を全力で逃げたけど、王宮の構造を知っている人間たちの方が有利だった。ぼくが飛んでいると、天井から大きな壁が降りてきて廊下を塞いでしまった。慌てて後ろに逃げようとしたら、また、大きな壁が降りてきて、どちらへも進めなくなってしまった。どうしようもなくなってに廊下降りたら、どこから持ってきたのか、大きな網を従者たちが投げて僕は捕まった。
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