雪を溶かすように

春野ひつじ

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第一章

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 目を覚ますと、チョーカーをつけられた直後よりは体を動かせるようになっていた。僕は、チョーカーを引っ張って外そうとしたけど、強い材料でできているのか、全く外れなかった。部屋の中を眺めていると、隅に何か置いてあることに気がついた。パンだった。僕はお腹が空いていることに気がついて、冷えて硬いパンを頬張った。パンが美味しくて、そして自分の置かれた状態が悲しくて、僕は泣きながら食べた。

 次の日もその次の日も、狭い部屋の中で一人で過ごした。一日に与えられるのは硬いパンと少しの水が二回。ご飯が少ないせいか、チョーカーに力を吸い取られているせいか、動くことも出来ずにただぼんやりと毎日を過ごすことしか出来なかった。そうして、もう何日人間国にきて立ったのかもわからなくなった頃に、部屋の外で言い争う声が聞こえた。

「ー様の使いだ。彼に会わせて。」

「那様から誰も入れるな、と言われているので…。」

部屋の前にいる見張りの人が困ったように言っている。

「じゃあ、君は那様に聞かれたら、僕が勝手に入ったと言っておいて。」

そう声が聞こえたと思ったら、ガチャンと音をたてて鍵があいた。入ってきたのは、金髪に琥珀色の瞳をもつ、美青年だった。那といい、この青年といい、この国は美しい人が多いなと思った。

「こんにちは。薫様で間違いはありませんか?」

僕は、声が出せなかったから頷いた。

「第一王子の使いでやってまいりました。だんと申します。」

そう言って彼が話したことをまとめると、那は第二王子で、王位継承権がどうしてもほしいと思っていた。そこで、国王からの評価が上がるように僕の世話を引き受けたらしい。暖の主人である第一王子は、僕がこの国に来る前くらいから最近まで風邪をひいていて、ぼくが国王に会っていた時も寝込んでいたそうだ。風邪が治って僕に挨拶をしようとしたら、僕がこの部屋に閉じ込められているのを知って、急いで那へ、自分が僕を預かると説得している、ということだった。話が終わると、彼は僕に温かいスープとふわふわのパンを渡しながら、

「人間に閉じ込められているのに、私の話を信じてください、というのは無理があるかもしれません。しかし、どうか私の主人を信じて待っていてください。必ず助けに来ます。」

と言った。そして、僕を心配そうに見ながら部屋を出て行った。
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