雪を溶かすように

春野ひつじ

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第三章

20 side悠

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「どうやって飲ませればいいんだ?」

 俺は今浮かんできた疑問を問いかける。

「確かに。飲ませるって言ったって、薫の意識がないからなぁ」

 うんうん唸りながら、皆で考える。暖が、ポンッと手を叩き、突拍子もないことを言い出す。

「口移しがいいんじゃないか?」

 口移しぃー?俺と他の三人の声が重なる。

「おいおい、口移しだって?どうしてそんなこと考えたんだ?」

 凱が口を開く。

「だって、昔からきまってるじゃないか。王子様の口付けでお姫様は目覚めるだろ?」

「まあ、そうだが……」

 暖のいうことも一理ある。

「それで、誰がするんだ?」

 俺が聞くと、皆の視線が一気に俺に集まる。

「これだから鈍感は」

「まだ薫様の好意に気づいてないようですね」

 暖と葉がボソボソと言う。

「何か言ったか?」

 よく聞き取れなかった。

「いいえ何も」

 しれっとした様子の暖。

「では、私が」

 意外な人物の声に、俺は目を見張る。

「那っ、お前、どうして?」

「兄上、それはもちろん薫が好きだからに決まっています」

「えぇー?!」

 皆もびっくりしているかと思いきや、さも当然のことのように振る舞っている。

「みんな知っていたのか?」

 恐る恐る尋ねると、当たり前だ、と言うふうに葉が言う。

「そうでもなければ、あの那様があのように涙を流されたりはしないはずです」

「とりあえず、悠の鈍感さは置いといて、」

 俺って鈍感だったのか?

「俺がその役、したい」

 凱の言葉に、そうか凱も薫のことが好きだったんだと思い出す。しかし、俺じゃない誰かが薫に口付けるとなると、なんだか心がモヤモヤする。

「俺も、したい」

 色々考える前に言葉が先に口をついて出てきた。
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