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〖第8話〗
しおりを挟むそう言えば、私は泊まりに行く度に家事をしていた。
タッパーに常備菜まで作っていた。今思えば、私は好きでやっていたけど、恋人の域を超えていた。これじゃ『恋人』じゃなくて『家政婦さん』だ。
***
会社では後輩から頼りにされる先輩。裏を返せば、面倒な仕事を押し付けてもなんとかなるというお仕事おばさん。世間一般では、そう言うものなんだろうな、と私でも解る。解りすぎるほど、自分自身が解っているのだ。
それでも、私は今『使われる』役職ではない。通勤の靴も、ブランド物を背伸びして買い、足を痛ませる時期は過ぎ、同じブランドでも足に合い、気に入ったデザインの靴を選ぶか、弁護士のアヤに教えてもらった店のオーダーメイドの靴を履いている。
上司のパワハラ、モラハラ、セクハラも笑顔でいなす、明るい真面目な私を、私なりに心がけてきた。直属の部下は、一から育て、ハラスメントから極力守ってきた。
仕事に有益な資格も取った。役職は順調に出世街道に乗った。年齢を、性別を、仕事のマイナス要素にされたくなかったから、見た目も身綺麗に、髪から爪まで清潔なイメージに。体型も維持して、服は品良く。時事ネタも─年寄り扱いされたくなくて─家に帰り調べた。仕事もやりがいがあって毎日が充実していた。
充実させてきた。そうじゃないと何か大きなものに押しつぶされてしまいそうだった。
オートロックのマンションに帰ると、どちらも、とても大きくてふっくらした、毛が長めの黒猫の『おはぎ』と、やはり毛が長い白猫の『だいふく』、二匹の可愛い愛猫は玄関でお出迎えする。
「ちょっと待っててね。着替えるから」
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