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〖第48話〗
しおりを挟む「真波。朝御飯作ってみた。真波はハムサンドのレタス嫌いだから抜いて作っておいたよ。ババアの家のご飯じゃどうせ足らないんでしょ?漬け物とか、味噌汁とかって正直うんざりって顔してるもんね。てかさ、何でわざわざババアの家にいるの? 金目の物なんてろくなものないよ。きっと。好きだからとか笑えないから無しね。家のタワマンに来なよ。眺め最高だよ。絶対真波も気にいるって。写メにあったカメオのバレッタはパクって質屋にでも売ろう?ま、ババアの装飾品なんか高く売れないか」
そう言い彼女は私を見て笑った。ふわりと香った、嗅いだことのある香水。真波は私が会社に行ってる時、彼はここに帰り、多分この子を抱き、この子を描いたのではないか。一生懸命用意したお弁当は雑に食べられ、センスが悪いとこの子と一緒に私をババア扱いして笑ってたのではないか。
恵理子の言葉と、無言の真波。私が思うようなことがあったことは、思い違いではないはずだ。
真波の胃袋に合わせて買ったお弁当箱が、早起きして、真波の喜ぶ顔が見たくて作った料理が、憐れに思えた。私との関係、生活は、真波にとってただのアクシデントであり、スパイス。それ以外に何もない。真波は、震えながら言葉を探しているだけで、私に何も言い訳も弁解もしなかった。
ねえ真波。私と暮らすうえで、あらかじめ反応も、質問も、笑顔の形も考えてあったの?愛してるの言葉も、私の名前を呼ぶ湿度も。きっと、質疑応答のマニュアルくらい頭の中に出来ていたんだね。悲しい家族の過去も、切なさも、やるせない感情も、全部が虚構だった。
全てが整っていた、舞台の幕が降りた。年増の女と遊んでみて、振ったらどう出るか、彼女と賭けてたのだろうか。今日、本命と鉢合わせさせて、怒るか、泣くか、最後まで年上ぶって格好をつけるか見たかったのか。カメオのバレッタは母さんのだ。写真の横に飾られている。
死ぬまで手放さなかった。クスリ漬けにされてもお布施にしなかった、禁断症状が出てもクスリに替えなかった。父さんとの初めての結婚記念日に買って貰ったと言っていた。そのことを私は真波に話した。それを写メに映してたなんて信じられなかった。恵理子と相談して、売る気だったのかと考えると、悔しさと、怒りと悲しみで仕方がなくなる。
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