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01 家から捨てられる!?ありがとうございます!
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「おい、ワシはこれから王都に商談へ行く。帰ってくるまでに、ポーションを作り終えておけよ!」
そう言って、お父様は部屋を出ていったけれど……噓でしょ?
部屋の中央にある大テーブルには山と……文字通り本当に山となっている薬草の数々。
これを全部ポーションに? いくら私がポーションづくりが得意といっても、これだけの材料を全部ポーションにしようと思えば、ちょっとやそっとの時間じゃ終わらない。
それもお父様が王都で商談をして帰ってくるまでなんて、食事や睡眠の時間を最低限にしてもできるかどうか……。
私はマリー・ド・ペルヴィス。ペルヴィス子爵家の娘で、ポーションづくりの才能がある。
自慢に思われるかもしれないけれど、ポーションづくりの才能は今は亡き私の母から譲り受けた才能なので、誰に何と言われても声を大にして言うことにしている。
お父様は昔から苦労をしていたらしく、母や私にポーションづくりの才能があるとわかると、それを商材として王都にいるほかの貴族と商談を重ねてきた。
ポーションといっても治療用の物から、美容・虫除け・魔物除けなど多岐にわたる。
私や母は、ほぼすべてのポーションが作れるうえに、材料の魔力を引き出すことで上位のポーションに匹敵する効果を生み出す。
初級治療ポーションが中級治療ポーション並みの回復を起こし、美容ポーションでは肌が実際に2、3歳若返るほどだそう。
それはお父様も目を輝かせて商談に行くわよね。だって、安い材料で大金が手に入るのだもの。
ここまで語ると、家から逃げ出して自分でポーションを売り歩けば良いと思われるかもしれないけど、貴族に生まれた者は生まれた瞬間に当主と魔法契約が結ばれる。
その魔法契約によって当主の許可がなければ、国はおろか自領から出ることもできないの。
だから、私がお父様の目を盗んで家から出ていったとしても、この狭い子爵領の中で息をひそめて暮らすことになる……だったら、衣食住が最低限保証されている家で働いていたほうがマシでしょう?
「はあっ、はあっ」
お父様が王都に旅立ってからすでに3日は経っているけれど、テーブルの上の山のような薬草は一向に減る気配がない……本当に終わるのかしら?
「本当にアランは帰ってこないのでしょうね?」
「大丈夫だよ、母上。お父様は王都へ商談へ行ったから、一か月は帰ってこないよ」
「それよりも、こんな臭いところ少しも居たくないわ。やるなら、早くして頂戴」
「まったくジュリエットはわがままだなぁ」
この声は義母と義兄、それに義姉ね。お父様は母が亡くなった後に後妻をとったのだけれど、二人の子持ち。
それも子供はお父様の血を引いているっていうのだから、呆れてしまうわ。だって、それって母と結婚する前から浮気していたってことでしょう?
「おい! 出来損ない!」
義兄は私のポーションづくりを道楽だと思っているので、家に引きこもっている穀潰しとして接してくる。
自分が食べている食事も、傅いている使用人もポーションの利益で得たものだというのに、滑稽だこと。
「クロードが話しかけているのよ。手を止めてひれ伏すのが当然でしょう?」
「それより、こんな臭いところに引きこもっているなんて、鼻が曲がっているんじゃなくて?」
義兄の後から入ってきたのは、義母と義姉。二人とも屋敷の中にいるというのに、ドレスを着ている。
貴族といってもお茶会や夜会ならいざ知らず、日常生活では事務作業や領を回ったりするので、ドレスなんて着ていられない。
ま、義母も義姉も元々は平民でお金が降って湧いてくると思っているタイプだから、貴族がお金を稼ぐために仕事をしているなんて思ってもみないのでしょうね。
「私はお父様から言いつかった仕事中です。何か用事があるのなら、このまま聞きます。どうしても向かい合って対応してほしいのなら、お父様のいる時にお願いします」
「まあっ、なんて生意気な!」
「ふんっ! そんな態度でいられるのも今のうちだ。さあ、これにサインしろ!」
義母の叫びと同時に義兄が差し出してきたのは、一通の書類。
「これは魔法契約書? 私がこれにサインしたところで効力は発揮されませんよ?」
「契約主の名前が俺になっているからだろ? 大丈夫だ」
義兄の言っていることがわからない。さっきも言ったが、魔法契約は貴族が生まれた瞬間に当主と交わされるもの。
いくら義兄にお父様の血が受け継がれていたとしても、義兄のサインと名前では意味がないこともわからないのだろうか?
「はっ! これだからバカは困る。俺が魔法契約書を持ってきたんだ、当主が俺に代わったことくらいすぐにわかるだろう?」
「…………え?」
「ククク。父上が商談に専念するために俺に爵位を譲ったのだよ。だから、俺がペルヴィス子爵だ!」
確かにお父様は以前から領主の仕事よりも商談の方を優先していたりしていたけれど、まさか義兄に爵位を譲るなんて。
……でも待って。じゃあ、あの魔法契約書は有効? じゃあ、これってチャンス?
「そちらの魔法契約書がまともなことはわかりました。ですが、お父様の了承はとっているのですか?」
「はっ! お前とは違って俺には自分で考える頭があるんだよ。お前のような穀潰しが居なくなるんだ。父上だって賛成するに決まってるだろ!」
本当なら今すぐにでもサインをして、この家から去ってしまいたい。
だけど、簡単にサインをしてしまえば悪知恵の働く義家族のことだ。怪しむに決まっている。
だから、ここは慎重に行動しなければならない。
「ですが、私もお父様からのお仕事をしている最中ですし」
「仕事だと!? バカなお前がやれることなんてたかが知れてるだろ! いいから早くサインするんだよ!」
「わ、わかりました」
にやけるのを必死に抑えていたら、バカな義兄は私が怖がって震えているのかと勘違いして、さらに声を荒げてきた。
乱暴に差し出された魔法契約書に、震える手で自分の欄にサインを入れていく。
「ふんっ! バカでも自分の名前くらいは書けたか。では今すぐにでも屋敷から出ていけ!荷物などないだろうから、そのままでいいだろう!」
「もう二度とペルヴィス家の敷居をまたぐんじゃないよ! 平民のマリー!」
「あら、もう終わってしまったの? ブスがペルヴィス家からいなくなるなんて今日は記念日ね」
三人は思い思いのことを言っているけれど、私の胸には何も響かない。
今はただ、これ以上ペルヴィス家のためにポーションを作らなくてもいいということと、これからの自由に夢を馳せるだけだ。
幸い義兄の言うように一番大切な母の形見であるペンダントは持ち歩いているし、雀の涙ほどとはいえ払われていた給金は魔力契約している銀行に預けてあるので、お金も問題ない。
「わかりました。一時とはいえ、家族だった皆様のこれからのご健勝をお祈りしています」
「はっ! 気持ち悪い! さっさと出ていけ穀潰しが!」
「血も繋がらない貴女なんて家族と思ったこともないわ」
「自分のことでも心配したら? 何もとりえのない貴女なんて体を売ることくらいしかできないでしょうから? ああ、間違えたわね。鶏ガラみたいな貴女なんて体を売ることもできないでしょうから」
義姉だったジュリエットの言葉に元・義兄、元・義母も爆笑しているが、私には何も響かない。
こんなバカな義家族にかかわっている暇があったら、さっさと銀行で全財産を下して遠くに行かなければ。
どこに行こうかしら? 薬草学が盛んなバルシュ王国? それとも冒険者の多いラット帝国かしら?
今から胸が躍るわね。
そう言って、お父様は部屋を出ていったけれど……噓でしょ?
部屋の中央にある大テーブルには山と……文字通り本当に山となっている薬草の数々。
これを全部ポーションに? いくら私がポーションづくりが得意といっても、これだけの材料を全部ポーションにしようと思えば、ちょっとやそっとの時間じゃ終わらない。
それもお父様が王都で商談をして帰ってくるまでなんて、食事や睡眠の時間を最低限にしてもできるかどうか……。
私はマリー・ド・ペルヴィス。ペルヴィス子爵家の娘で、ポーションづくりの才能がある。
自慢に思われるかもしれないけれど、ポーションづくりの才能は今は亡き私の母から譲り受けた才能なので、誰に何と言われても声を大にして言うことにしている。
お父様は昔から苦労をしていたらしく、母や私にポーションづくりの才能があるとわかると、それを商材として王都にいるほかの貴族と商談を重ねてきた。
ポーションといっても治療用の物から、美容・虫除け・魔物除けなど多岐にわたる。
私や母は、ほぼすべてのポーションが作れるうえに、材料の魔力を引き出すことで上位のポーションに匹敵する効果を生み出す。
初級治療ポーションが中級治療ポーション並みの回復を起こし、美容ポーションでは肌が実際に2、3歳若返るほどだそう。
それはお父様も目を輝かせて商談に行くわよね。だって、安い材料で大金が手に入るのだもの。
ここまで語ると、家から逃げ出して自分でポーションを売り歩けば良いと思われるかもしれないけど、貴族に生まれた者は生まれた瞬間に当主と魔法契約が結ばれる。
その魔法契約によって当主の許可がなければ、国はおろか自領から出ることもできないの。
だから、私がお父様の目を盗んで家から出ていったとしても、この狭い子爵領の中で息をひそめて暮らすことになる……だったら、衣食住が最低限保証されている家で働いていたほうがマシでしょう?
「はあっ、はあっ」
お父様が王都に旅立ってからすでに3日は経っているけれど、テーブルの上の山のような薬草は一向に減る気配がない……本当に終わるのかしら?
「本当にアランは帰ってこないのでしょうね?」
「大丈夫だよ、母上。お父様は王都へ商談へ行ったから、一か月は帰ってこないよ」
「それよりも、こんな臭いところ少しも居たくないわ。やるなら、早くして頂戴」
「まったくジュリエットはわがままだなぁ」
この声は義母と義兄、それに義姉ね。お父様は母が亡くなった後に後妻をとったのだけれど、二人の子持ち。
それも子供はお父様の血を引いているっていうのだから、呆れてしまうわ。だって、それって母と結婚する前から浮気していたってことでしょう?
「おい! 出来損ない!」
義兄は私のポーションづくりを道楽だと思っているので、家に引きこもっている穀潰しとして接してくる。
自分が食べている食事も、傅いている使用人もポーションの利益で得たものだというのに、滑稽だこと。
「クロードが話しかけているのよ。手を止めてひれ伏すのが当然でしょう?」
「それより、こんな臭いところに引きこもっているなんて、鼻が曲がっているんじゃなくて?」
義兄の後から入ってきたのは、義母と義姉。二人とも屋敷の中にいるというのに、ドレスを着ている。
貴族といってもお茶会や夜会ならいざ知らず、日常生活では事務作業や領を回ったりするので、ドレスなんて着ていられない。
ま、義母も義姉も元々は平民でお金が降って湧いてくると思っているタイプだから、貴族がお金を稼ぐために仕事をしているなんて思ってもみないのでしょうね。
「私はお父様から言いつかった仕事中です。何か用事があるのなら、このまま聞きます。どうしても向かい合って対応してほしいのなら、お父様のいる時にお願いします」
「まあっ、なんて生意気な!」
「ふんっ! そんな態度でいられるのも今のうちだ。さあ、これにサインしろ!」
義母の叫びと同時に義兄が差し出してきたのは、一通の書類。
「これは魔法契約書? 私がこれにサインしたところで効力は発揮されませんよ?」
「契約主の名前が俺になっているからだろ? 大丈夫だ」
義兄の言っていることがわからない。さっきも言ったが、魔法契約は貴族が生まれた瞬間に当主と交わされるもの。
いくら義兄にお父様の血が受け継がれていたとしても、義兄のサインと名前では意味がないこともわからないのだろうか?
「はっ! これだからバカは困る。俺が魔法契約書を持ってきたんだ、当主が俺に代わったことくらいすぐにわかるだろう?」
「…………え?」
「ククク。父上が商談に専念するために俺に爵位を譲ったのだよ。だから、俺がペルヴィス子爵だ!」
確かにお父様は以前から領主の仕事よりも商談の方を優先していたりしていたけれど、まさか義兄に爵位を譲るなんて。
……でも待って。じゃあ、あの魔法契約書は有効? じゃあ、これってチャンス?
「そちらの魔法契約書がまともなことはわかりました。ですが、お父様の了承はとっているのですか?」
「はっ! お前とは違って俺には自分で考える頭があるんだよ。お前のような穀潰しが居なくなるんだ。父上だって賛成するに決まってるだろ!」
本当なら今すぐにでもサインをして、この家から去ってしまいたい。
だけど、簡単にサインをしてしまえば悪知恵の働く義家族のことだ。怪しむに決まっている。
だから、ここは慎重に行動しなければならない。
「ですが、私もお父様からのお仕事をしている最中ですし」
「仕事だと!? バカなお前がやれることなんてたかが知れてるだろ! いいから早くサインするんだよ!」
「わ、わかりました」
にやけるのを必死に抑えていたら、バカな義兄は私が怖がって震えているのかと勘違いして、さらに声を荒げてきた。
乱暴に差し出された魔法契約書に、震える手で自分の欄にサインを入れていく。
「ふんっ! バカでも自分の名前くらいは書けたか。では今すぐにでも屋敷から出ていけ!荷物などないだろうから、そのままでいいだろう!」
「もう二度とペルヴィス家の敷居をまたぐんじゃないよ! 平民のマリー!」
「あら、もう終わってしまったの? ブスがペルヴィス家からいなくなるなんて今日は記念日ね」
三人は思い思いのことを言っているけれど、私の胸には何も響かない。
今はただ、これ以上ペルヴィス家のためにポーションを作らなくてもいいということと、これからの自由に夢を馳せるだけだ。
幸い義兄の言うように一番大切な母の形見であるペンダントは持ち歩いているし、雀の涙ほどとはいえ払われていた給金は魔力契約している銀行に預けてあるので、お金も問題ない。
「わかりました。一時とはいえ、家族だった皆様のこれからのご健勝をお祈りしています」
「はっ! 気持ち悪い! さっさと出ていけ穀潰しが!」
「血も繋がらない貴女なんて家族と思ったこともないわ」
「自分のことでも心配したら? 何もとりえのない貴女なんて体を売ることくらいしかできないでしょうから? ああ、間違えたわね。鶏ガラみたいな貴女なんて体を売ることもできないでしょうから」
義姉だったジュリエットの言葉に元・義兄、元・義母も爆笑しているが、私には何も響かない。
こんなバカな義家族にかかわっている暇があったら、さっさと銀行で全財産を下して遠くに行かなければ。
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