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08 ポーションの販売
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「中級ポーション……ですか?」
「はい」
学校の実習で作ったポーションを商業ギルドに売りに来たんだけど、そんな私に告げられた言葉がコレだ。
確かに先生には褒められたし、私自身そこそこの出来だと確信はしていたけれど、それでも初級ポーションの材料で作られたものなのよね。
「でも、これ初級ポーションですよ?」
「まあ、そうやって、こちらの鑑定に異を唱える人が多いからポーションの買取はこうして別室で行われるんですけどね」
そういえば、商業ギルドでポーションの販売を頼んだら、カウンターから別室に連れていかれたけれど、特例だったのか。
「やっぱり、異を唱える人が多いんですか?」
「ええ、中級の判定に初級だっていう人は珍しいですけどね。初級ポーションの材料で作ったんだから、初級ポーションの値段で買い取れと言ってくる学生は多いですよ」
「ええと」
「薬師の方に言っても仕方がないですが、購入者にとってはどんな材料で作られたかよりも、どんな効果があるかが重要なんですよ。ですから、中級の効果があれば初級の材料でも中級ポーションとして買い取ります」
「でも……それじゃ、あまりにも値段が」
「ええ、初級ポーションとして持ってくる人もそう言いますよ。初級の材料を使ったのに低級として買い取られたら、生活ができないとね」
それはそうだ。初級ポーションの材料で作ったポーションを初級の値段で売れば、一本当たりの利益は大銅貨数枚だから、何本か売れば生きていくのに支障はない。
だけど、それを低級ポーションとして売れば、利益は良くても小銅貨数枚……それじゃ、一日に作れるだけ作っても生活は成り立たない。
「今回のポーションを中級ポーションとして売れば、こっちの利益が小銀貨を超えますよ?」
「ええ、こちらも鑑定の手数料として大銅貨数枚を得ますから問題ありません。クレームが入るようなモノならともかく、こちらは中級ポーションとして販売しても問題ない出来ですからな」
「うーん」
私も薬師見習いの端くれだから、ポーションは効果が一番で、不当に低く買い取られるならともかく、高く買い取られて文句を言うなんて筋違いだってわかってる。
だけどさ、だけど、それだったら、お父様はどれだけ儲けてたのって話しになるじゃない?
私がペルヴィス領にいた時に作っていたポーションの量は1日に数本から十数本、それに加えて美容品も作っていたから、1日に小銀貨どころか大銀貨の儲けじゃない?
それに対して、私に支払われていたのは年に小銀貨数枚……それでも十年以上も働いていたから、こうして旅暮らしができているけれど、もっと貰わないとおかしいじゃない!
「まあ、こちらとしては中級ポーションの印を押しましたので、中級ポーションとして販売してください。あと、これからはカウンターの方で鑑定をしますから」
「カウンターでいいんですか?」
「初回は説明も兼ねて文句も聞きますが、次回からは文句を言わないということでカウンターで鑑定を行うんですよ。商業ギルドも暇じゃないですからね」
まあ、この扱いはわかる。ポーションの鑑定をして、指定の瓶に移すだけなのに、毎回のように応接室に通されていたのでは時間がかかって仕方がない。
そんな説明をしながらも鑑定士さんは、私が持ってきたポーションを商業ギルドの印が入った指定の瓶に移していく。
私が持ってきたポーションの瓶にも保存の魔術が施されているが、商業ギルドの印が入ったものは更に強力な保存の魔術がかかっていて、封を開けなければ永久に保存できるのだとか。
「そういえば、冒険者ギルドで鑑定は受けられないんですか?」
「受けられないことはないですが、オススメはしませんね。冒険者ギルドは商業ギルドとは違って、鑑定士が常駐していないので、待たされることもザラですからね」
「なるほど」
私みたいにお店を持っていない人は販売先が冒険者ギルドになりがちだから、冒険者ギルドで鑑定してもらったほうが楽だと思ったけど、そうはいかないらしい。
まあ、ルグラン領にあるこの街は商業ギルドと冒険者ギルドが近くにあるからそこまで手間じゃないし、これからも商業ギルドで鑑定してもらうことにしよう。
「では、こちらが商業ギルドの身分証です。次回からはこちらをカウンターに出していただければ、鑑定料の値引きを行いますので忘れないように。で、こちらのポーションはどうしますか?」
「? ポーションは自分で冒険者ギルドに販売するのでは?」
「それでもいいですし、商業ギルドに預けていただければ、こちらで販売先を探しますよ。中級ポーションなら販売先も多いですしね」
「うーん、とりあえず今回は三本しかないので自分で売ってみます。もっと多く作れたら商業ギルドに販売をお願いするかもしれませんが」
「ええ、それで大丈夫ですよ。こちらとしても10本以上あるほうが売れやすいですからね」
そんなわけで、商業ギルドから離れて冒険者ギルドにポーションを売りに来た。
商業ギルドは扉は開いているものの、建物も職員も綺麗で清潔だったけど、冒険者ギルドはスイングドアで中は見えず、建物は無骨といった印象だ。
冒険者ギルドの中に入ってみると、昼を過ぎた時間だからか、数人の大人がテーブルを囲んでお酒を飲んでいるのが見える。
「おいおい、嬢ちゃん。ココはガキの遊び場じゃねーぞ」
「ギャハハハ。あんまり絡むなよ、依頼人かなんかだろ?」
うーん、ダメな大人だなぁ。お酒を飲んで絡んできた方も、依頼だと思ってるのにバカ笑いしている方も、とてもじゃないけど仕事ができるようには見えない。
うん。万が一、冒険者ギルドに依頼ができても、彼らには仕事をお願いしないようにしよう。
「すみません、ポーションの買取をお願いしたいのですが?」
「はいはい。では、ポーションを出してくださいね」
冒険者の絡みを無視して、カウンターに行くとお姉さんが慣れた手つきで受付をしてくれる。
お姉さんも絡んできた冒険者は無視しているから、これが冒険者ギルドの日常なんだろうなぁ。
「この三本です。……少なくて申し訳ないですけど」
「この時期なら薬草学校の実習で作ったものですよね。冒険者ギルドでは慢性的にポーション不足なので、少なくても大歓迎ですよ!……ええと、中級ポーションが三本ですね」
「はい」
「一本分で小銀貨四枚なので大銀貨一枚と小銀貨二枚です」
実習で作っただけあって、このポーションの材料費はゼロ。商業ギルドの鑑定料を入れても大銀貨一枚の儲け……良いのかなぁ?
本来なら中級ポーションを作るのには材料費だけ、少なくても小銀貨一枚はかかるから、この値段でいいんだろうけどさ。
「おいおい中級ポーションだぁ!? フカシじゃねえだろうなぁ?」
「ギャハハハ、こんなガキが中級ポーションなんて作れるわきゃねーだろ。どっかから盗んできたんじゃねーのか?」
まあ、確かに二十歳そこそこの女が……しかも薬草学校に通っている学生が中級ポーションなんて持ってきたら、疑いたくなるのはわかるけど、それでもあの態度はない。
「お二人とも黙ってください。酔いがひどいようなら家に帰るのを推奨しますよ。こちらのポーションは商業ギルドが鑑定しています。それを疑うのですか?」
「「うっ!」」
「すみませんね。冒険者というのは粗野な人が多くて」
「大丈夫ですよ、お姉さんが悪いわけではないですし。……ただ、何か依頼があっても、あの人たちに頼もうとは思いませんが」
「ふふっ、そうですね。私も依頼があっても、昼間からお酒を飲んでいる人になんて頼みません」
不思議なところで受け付けのお姉さんと意気投合してしまったが、その間にも例の二人組の冒険者は隅でお酒を飲み続けている。
ここまで言われているのだから、お酒を飲むのをやめて帰ればいいのに。
「では、私はこれで」
「はい。またポーションが出来たら冒険者ギルドに売りに来てください」
さーて、思わぬところで大金が手に入ったけど、これはきちんと貯金しておかないとなぁ。
「はい」
学校の実習で作ったポーションを商業ギルドに売りに来たんだけど、そんな私に告げられた言葉がコレだ。
確かに先生には褒められたし、私自身そこそこの出来だと確信はしていたけれど、それでも初級ポーションの材料で作られたものなのよね。
「でも、これ初級ポーションですよ?」
「まあ、そうやって、こちらの鑑定に異を唱える人が多いからポーションの買取はこうして別室で行われるんですけどね」
そういえば、商業ギルドでポーションの販売を頼んだら、カウンターから別室に連れていかれたけれど、特例だったのか。
「やっぱり、異を唱える人が多いんですか?」
「ええ、中級の判定に初級だっていう人は珍しいですけどね。初級ポーションの材料で作ったんだから、初級ポーションの値段で買い取れと言ってくる学生は多いですよ」
「ええと」
「薬師の方に言っても仕方がないですが、購入者にとってはどんな材料で作られたかよりも、どんな効果があるかが重要なんですよ。ですから、中級の効果があれば初級の材料でも中級ポーションとして買い取ります」
「でも……それじゃ、あまりにも値段が」
「ええ、初級ポーションとして持ってくる人もそう言いますよ。初級の材料を使ったのに低級として買い取られたら、生活ができないとね」
それはそうだ。初級ポーションの材料で作ったポーションを初級の値段で売れば、一本当たりの利益は大銅貨数枚だから、何本か売れば生きていくのに支障はない。
だけど、それを低級ポーションとして売れば、利益は良くても小銅貨数枚……それじゃ、一日に作れるだけ作っても生活は成り立たない。
「今回のポーションを中級ポーションとして売れば、こっちの利益が小銀貨を超えますよ?」
「ええ、こちらも鑑定の手数料として大銅貨数枚を得ますから問題ありません。クレームが入るようなモノならともかく、こちらは中級ポーションとして販売しても問題ない出来ですからな」
「うーん」
私も薬師見習いの端くれだから、ポーションは効果が一番で、不当に低く買い取られるならともかく、高く買い取られて文句を言うなんて筋違いだってわかってる。
だけどさ、だけど、それだったら、お父様はどれだけ儲けてたのって話しになるじゃない?
私がペルヴィス領にいた時に作っていたポーションの量は1日に数本から十数本、それに加えて美容品も作っていたから、1日に小銀貨どころか大銀貨の儲けじゃない?
それに対して、私に支払われていたのは年に小銀貨数枚……それでも十年以上も働いていたから、こうして旅暮らしができているけれど、もっと貰わないとおかしいじゃない!
「まあ、こちらとしては中級ポーションの印を押しましたので、中級ポーションとして販売してください。あと、これからはカウンターの方で鑑定をしますから」
「カウンターでいいんですか?」
「初回は説明も兼ねて文句も聞きますが、次回からは文句を言わないということでカウンターで鑑定を行うんですよ。商業ギルドも暇じゃないですからね」
まあ、この扱いはわかる。ポーションの鑑定をして、指定の瓶に移すだけなのに、毎回のように応接室に通されていたのでは時間がかかって仕方がない。
そんな説明をしながらも鑑定士さんは、私が持ってきたポーションを商業ギルドの印が入った指定の瓶に移していく。
私が持ってきたポーションの瓶にも保存の魔術が施されているが、商業ギルドの印が入ったものは更に強力な保存の魔術がかかっていて、封を開けなければ永久に保存できるのだとか。
「そういえば、冒険者ギルドで鑑定は受けられないんですか?」
「受けられないことはないですが、オススメはしませんね。冒険者ギルドは商業ギルドとは違って、鑑定士が常駐していないので、待たされることもザラですからね」
「なるほど」
私みたいにお店を持っていない人は販売先が冒険者ギルドになりがちだから、冒険者ギルドで鑑定してもらったほうが楽だと思ったけど、そうはいかないらしい。
まあ、ルグラン領にあるこの街は商業ギルドと冒険者ギルドが近くにあるからそこまで手間じゃないし、これからも商業ギルドで鑑定してもらうことにしよう。
「では、こちらが商業ギルドの身分証です。次回からはこちらをカウンターに出していただければ、鑑定料の値引きを行いますので忘れないように。で、こちらのポーションはどうしますか?」
「? ポーションは自分で冒険者ギルドに販売するのでは?」
「それでもいいですし、商業ギルドに預けていただければ、こちらで販売先を探しますよ。中級ポーションなら販売先も多いですしね」
「うーん、とりあえず今回は三本しかないので自分で売ってみます。もっと多く作れたら商業ギルドに販売をお願いするかもしれませんが」
「ええ、それで大丈夫ですよ。こちらとしても10本以上あるほうが売れやすいですからね」
そんなわけで、商業ギルドから離れて冒険者ギルドにポーションを売りに来た。
商業ギルドは扉は開いているものの、建物も職員も綺麗で清潔だったけど、冒険者ギルドはスイングドアで中は見えず、建物は無骨といった印象だ。
冒険者ギルドの中に入ってみると、昼を過ぎた時間だからか、数人の大人がテーブルを囲んでお酒を飲んでいるのが見える。
「おいおい、嬢ちゃん。ココはガキの遊び場じゃねーぞ」
「ギャハハハ。あんまり絡むなよ、依頼人かなんかだろ?」
うーん、ダメな大人だなぁ。お酒を飲んで絡んできた方も、依頼だと思ってるのにバカ笑いしている方も、とてもじゃないけど仕事ができるようには見えない。
うん。万が一、冒険者ギルドに依頼ができても、彼らには仕事をお願いしないようにしよう。
「すみません、ポーションの買取をお願いしたいのですが?」
「はいはい。では、ポーションを出してくださいね」
冒険者の絡みを無視して、カウンターに行くとお姉さんが慣れた手つきで受付をしてくれる。
お姉さんも絡んできた冒険者は無視しているから、これが冒険者ギルドの日常なんだろうなぁ。
「この三本です。……少なくて申し訳ないですけど」
「この時期なら薬草学校の実習で作ったものですよね。冒険者ギルドでは慢性的にポーション不足なので、少なくても大歓迎ですよ!……ええと、中級ポーションが三本ですね」
「はい」
「一本分で小銀貨四枚なので大銀貨一枚と小銀貨二枚です」
実習で作っただけあって、このポーションの材料費はゼロ。商業ギルドの鑑定料を入れても大銀貨一枚の儲け……良いのかなぁ?
本来なら中級ポーションを作るのには材料費だけ、少なくても小銀貨一枚はかかるから、この値段でいいんだろうけどさ。
「おいおい中級ポーションだぁ!? フカシじゃねえだろうなぁ?」
「ギャハハハ、こんなガキが中級ポーションなんて作れるわきゃねーだろ。どっかから盗んできたんじゃねーのか?」
まあ、確かに二十歳そこそこの女が……しかも薬草学校に通っている学生が中級ポーションなんて持ってきたら、疑いたくなるのはわかるけど、それでもあの態度はない。
「お二人とも黙ってください。酔いがひどいようなら家に帰るのを推奨しますよ。こちらのポーションは商業ギルドが鑑定しています。それを疑うのですか?」
「「うっ!」」
「すみませんね。冒険者というのは粗野な人が多くて」
「大丈夫ですよ、お姉さんが悪いわけではないですし。……ただ、何か依頼があっても、あの人たちに頼もうとは思いませんが」
「ふふっ、そうですね。私も依頼があっても、昼間からお酒を飲んでいる人になんて頼みません」
不思議なところで受け付けのお姉さんと意気投合してしまったが、その間にも例の二人組の冒険者は隅でお酒を飲み続けている。
ここまで言われているのだから、お酒を飲むのをやめて帰ればいいのに。
「では、私はこれで」
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