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10 人気の真相(義姉視点)
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「どうしてお茶会を開いたらいけないのっ!?」
「はぁ~。だから我が家には、そんな金はもうないと言っているではないか。夜会用のドレスはあるのだろう? それなら夜会まで我慢しなさい」
「お父様のわからずや!」
お兄様とお母様が、あの土臭い女を追い出してから、お父様は変わってしまったわ。
今までだったら、お茶会を開いても文句を言わず、新しいドレスを買ったら褒めてくれていたのに、あの日を境に小言ばかり。
お兄様やお母様にも辛く当たってばかりで……まったく、あんな女一人居なくなったくらいで何だっていうのよ!
「ジュリエット。また、お父様に無茶を言ったそうだね」
「お兄様! 無茶なんて言っていませんわ。わたくしはただ以前のようにお茶会を開きたいといっただけですわ」
「ジュリエット……いま、我が家は大変なんだよ。領主の座を下された俺までも、駆けずり回らなくてはならないくらいにね」
「知りませんわ! 殿方はお金を稼ぐのが楽しいのでしょう? だったら淑女はお茶会を開いて綺麗に着飾るのが楽しいのですわ!」
お兄様は残念なものを見るような眼で見てくるけれど、本当のことでしょう?
だって、お父様なんて商談があるといって一年の半分は家にいないし、お兄様だって王都に行ったきり戻ってこない時期があったじゃない。
だったら淑女である、わたくしやお母様がそのお金を使って着飾るのは正しいことでしょう?
「と、とにかく。我が家は以前のような状態ではないんだ。ジュリエットも大人しくしていてくれ」
そう話すと、お兄様はふらふらしながらも、わたくしの前から去っていった。
もう! お父様もお兄様も! お茶会がどれだけ大事かわかっていないわ!
近隣の令嬢や夫人を呼んで開催されるお茶会は、淑女にとっての戦い! これによって結婚相手が変わるっていうのに!
まあいいわ。夜会に出る確約はもらえたし、わたくしの魅力は夜会でみんなに知ってもらいましょう。
ふふふ、今から楽しみだわ。以前の夜会では伯爵令息や、侯爵令息がダンスに誘ってくれたのよね。
――――――
お兄様にエスコートされて夜会に来たけれど、この華やかな空気は本当に素晴らしいわ。
ドレスも製作したばかりのもので、わたくしにピッタリだし、今日の主役ね。
「……ほら、あれがペルヴィス家だぞ」
「……ああ、あれが降爵するって噂の?」
おかしいわね? いつもだったら、我が家が夜会に参上すれば、たちどころに人垣ができるっていうのに、今日はひそひそしてるだけ?
「みなさん、どうしたのかしら? いつものようにお喋りしていただけない?」
お兄様のエスコートから抜け出して、いつもお茶会をしている令嬢たちの輪に入っていく。
「……なにかしら? まさか私たちに話しかけているわけではないわよね」
「ふふ、あり得ませんわ。爵位が下の者が許しも得ずに話しかけるなど」
「そうですわよね」
なによなによ! いつもだったら、ジュリエット様って慌ててくるのに無視するってこと!?
それに爵位が下!? あなたたちだって子爵令嬢なのだから、同じでしょ!
「ジュリエット、みなさまの邪魔をしてはいけないよ」
「ちょっと! お兄様! 邪魔をしないでちょうだい!」
「ジュリエット……屋敷でも説明したが、我が家は男爵家になったのだ。今までと同じようにしてはいけないよ」
「だからと言って、あんな失礼を許すの!?」
「ジュリエット……そろそろ黙れ! お前もマリーを追い出すのに加担しただろう? その報いを受けているのだと、なぜわからない!?」
それまで優しかったお兄様が、急にあの出来損ないのマリーに話しかけるような口調になった。
なぜ? どうして? という感情よりも先に怖いと感じてしまった。
それにマリーを追い出すのに加担した? それはお兄様が考えて実行したことで、わたくしは関係ないじゃない。
「いやっ!」
怖いお兄様から逃げるように、会場を早足で歩き続ける。
足はお兄様の方が早いから、てっきり追いかけてくるかと思ったけど、お兄様は失望したような顔でこちらを睨むばかり。
「伯爵令息様、侯爵令息様、助けてください」
このお二人は以前の夜会でダンスを誘ってくださった令息……だったら、助けてといえば、お兄様からわたくしを助けてくれるはずだわ。
「ははっ、助けてだって」
「助けて差し上げたらよろしいのでは?」
「いやだよ。マリー嬢のいない……もとい、ポーションのないペルヴィス家なんて何の価値もないじゃないか」
「まあ、そうですね。でも、私はポーションだけでなくマリー嬢にも興味はありましたよ」
「ほう?」
「だって、あのラージュ家の血筋ですよ? ポーション以外にも素晴らしい知識を有しているかもしれないじゃないですか」
「なるほど。確かにペルヴィス領では美容品なんかも特産だと聞いたな。令嬢たちが噂してた」
「ですよ。母もお気に入りでしたが、マリー嬢がいなくなった時期から手に入らなくなったって嘆いていますよ」
「伯爵夫人が? あの美しいご婦人が褒めるのなら相当だね。マリー嬢がいなくなる前に粉をかけておけば良かったかな」
「無理ですよ。マリー嬢はお茶会はおろか夜会にも出てきませんでしたし、ペルヴィス家もラージュ家も取り合わなかったですからね」
「そうだそうだ」
なにを……何を言っているの? どうして、わたくしが困っているのに助けるよ、の一言もないの?
「お……お二方」
「……ああ、まだいたんだ。平民のお嬢さんが来るところじゃないよ。とっとと帰りな」
「まだ男爵令嬢ですよ」
「ははっ、どっちにしたって俺や伯爵令息に気軽に話しかけていい立場じゃないね」
「まあ、それには同意しますね。ペルヴィス家のお嬢さん、今回の無礼は見逃しますから、早めに帰宅なさい」
「そ……そんな」
「私たちは関わりがないのでペルヴィス家に対して思うところはありません。ですが、夜会に参加している人全員がそうではないのですよ」
「マリー嬢を逃がしたことは恨んでいるけどな」
「まぜっかえさないで下さい」
「う……恨みって。商売の話ならわたくしは関係ないじゃない!」
「おいおい、マジで言ってる? ペルヴィス家の令嬢といえばお茶会をメチャクチャにすることで有名だぜ?」
「お茶会をメチャクチャになんてしていないわ! わたくしの美貌に嫉妬した方の勝手な噂ですわ」
確かに十代中頃には、わたくしの酷い噂が出回って、お茶会に呼ばれなくなったこともあったわ。
でも、すぐに噂は解消されたもの。
「私も聞いたことありますよ。曰く、ペルヴィス家の令嬢はお茶会で商談もせず、人脈も作らず、ドレスや宝石の自慢ばかりしていたと」
「お茶会よ! 綺麗なことを自慢して何が悪いの!?」
「ははっ……マジで言ってる?」
「お嬢さん。お茶会というのは商談と人脈形成の場です。自領の特産品を紹介し、他領の特産品の話を聞く。ペルヴィス家は美容品が特産品でしたから、美貌をみせつけることは間違っていません。ですが、それなら他領に美容品を販売したり、原材料を仕入れる話をしなければなりません」
「まるでガキだな。こんな基礎中の基礎を知らないで、貴族を名乗ってるなんて、陛下が知ったらブチ切れるんじゃないか?」
「本当に、陛下がやってくる前でよかったですよ。……ああ、そこの給仕。こちらのお嬢さんが、体調を崩しています。休憩室に案内して、ご家族……ペルヴィス男爵を呼んで差し上げなさい」
「はっ」
「おっ、使用人を呼んでやるなんて優しいじゃん」
「一応、前回の夜会では人脈形成のためとはいえ、ダンスに誘いましたからね。そちらも、義理はあるのでは?」
「結局、身になる話はなかったし、ノーカンだね。知ってるかい、お嬢さん。あんたが嫌われてるのは夜会でも身になる話ができていないからだぜ?」
伯爵令息と侯爵令息の笑い声がする中、わたくしは給仕に引きずられるようにして休憩室へと案内された。
商談って……人脈形成って……なによ、そんなの知らないわよ! だって、お母様は美しさを自慢すれば良いって……お父様もお茶会に出席すれば、それだけで良いって。
その後やってきたお父様にもお兄様にも叱られたけれど、お母様だけはわたくしをかばってくれた。
でも、伯爵令息と侯爵令息の話していた言葉ばかりが、わたくしの頭の中をぐるぐると回り、それしか考えられなくなっていたの。
わたくしがこれまでしていたことって? 他の人もわたくしではなく、マリーなんかの影を追っていたってこと?
「はぁ~。だから我が家には、そんな金はもうないと言っているではないか。夜会用のドレスはあるのだろう? それなら夜会まで我慢しなさい」
「お父様のわからずや!」
お兄様とお母様が、あの土臭い女を追い出してから、お父様は変わってしまったわ。
今までだったら、お茶会を開いても文句を言わず、新しいドレスを買ったら褒めてくれていたのに、あの日を境に小言ばかり。
お兄様やお母様にも辛く当たってばかりで……まったく、あんな女一人居なくなったくらいで何だっていうのよ!
「ジュリエット。また、お父様に無茶を言ったそうだね」
「お兄様! 無茶なんて言っていませんわ。わたくしはただ以前のようにお茶会を開きたいといっただけですわ」
「ジュリエット……いま、我が家は大変なんだよ。領主の座を下された俺までも、駆けずり回らなくてはならないくらいにね」
「知りませんわ! 殿方はお金を稼ぐのが楽しいのでしょう? だったら淑女はお茶会を開いて綺麗に着飾るのが楽しいのですわ!」
お兄様は残念なものを見るような眼で見てくるけれど、本当のことでしょう?
だって、お父様なんて商談があるといって一年の半分は家にいないし、お兄様だって王都に行ったきり戻ってこない時期があったじゃない。
だったら淑女である、わたくしやお母様がそのお金を使って着飾るのは正しいことでしょう?
「と、とにかく。我が家は以前のような状態ではないんだ。ジュリエットも大人しくしていてくれ」
そう話すと、お兄様はふらふらしながらも、わたくしの前から去っていった。
もう! お父様もお兄様も! お茶会がどれだけ大事かわかっていないわ!
近隣の令嬢や夫人を呼んで開催されるお茶会は、淑女にとっての戦い! これによって結婚相手が変わるっていうのに!
まあいいわ。夜会に出る確約はもらえたし、わたくしの魅力は夜会でみんなに知ってもらいましょう。
ふふふ、今から楽しみだわ。以前の夜会では伯爵令息や、侯爵令息がダンスに誘ってくれたのよね。
――――――
お兄様にエスコートされて夜会に来たけれど、この華やかな空気は本当に素晴らしいわ。
ドレスも製作したばかりのもので、わたくしにピッタリだし、今日の主役ね。
「……ほら、あれがペルヴィス家だぞ」
「……ああ、あれが降爵するって噂の?」
おかしいわね? いつもだったら、我が家が夜会に参上すれば、たちどころに人垣ができるっていうのに、今日はひそひそしてるだけ?
「みなさん、どうしたのかしら? いつものようにお喋りしていただけない?」
お兄様のエスコートから抜け出して、いつもお茶会をしている令嬢たちの輪に入っていく。
「……なにかしら? まさか私たちに話しかけているわけではないわよね」
「ふふ、あり得ませんわ。爵位が下の者が許しも得ずに話しかけるなど」
「そうですわよね」
なによなによ! いつもだったら、ジュリエット様って慌ててくるのに無視するってこと!?
それに爵位が下!? あなたたちだって子爵令嬢なのだから、同じでしょ!
「ジュリエット、みなさまの邪魔をしてはいけないよ」
「ちょっと! お兄様! 邪魔をしないでちょうだい!」
「ジュリエット……屋敷でも説明したが、我が家は男爵家になったのだ。今までと同じようにしてはいけないよ」
「だからと言って、あんな失礼を許すの!?」
「ジュリエット……そろそろ黙れ! お前もマリーを追い出すのに加担しただろう? その報いを受けているのだと、なぜわからない!?」
それまで優しかったお兄様が、急にあの出来損ないのマリーに話しかけるような口調になった。
なぜ? どうして? という感情よりも先に怖いと感じてしまった。
それにマリーを追い出すのに加担した? それはお兄様が考えて実行したことで、わたくしは関係ないじゃない。
「いやっ!」
怖いお兄様から逃げるように、会場を早足で歩き続ける。
足はお兄様の方が早いから、てっきり追いかけてくるかと思ったけど、お兄様は失望したような顔でこちらを睨むばかり。
「伯爵令息様、侯爵令息様、助けてください」
このお二人は以前の夜会でダンスを誘ってくださった令息……だったら、助けてといえば、お兄様からわたくしを助けてくれるはずだわ。
「ははっ、助けてだって」
「助けて差し上げたらよろしいのでは?」
「いやだよ。マリー嬢のいない……もとい、ポーションのないペルヴィス家なんて何の価値もないじゃないか」
「まあ、そうですね。でも、私はポーションだけでなくマリー嬢にも興味はありましたよ」
「ほう?」
「だって、あのラージュ家の血筋ですよ? ポーション以外にも素晴らしい知識を有しているかもしれないじゃないですか」
「なるほど。確かにペルヴィス領では美容品なんかも特産だと聞いたな。令嬢たちが噂してた」
「ですよ。母もお気に入りでしたが、マリー嬢がいなくなった時期から手に入らなくなったって嘆いていますよ」
「伯爵夫人が? あの美しいご婦人が褒めるのなら相当だね。マリー嬢がいなくなる前に粉をかけておけば良かったかな」
「無理ですよ。マリー嬢はお茶会はおろか夜会にも出てきませんでしたし、ペルヴィス家もラージュ家も取り合わなかったですからね」
「そうだそうだ」
なにを……何を言っているの? どうして、わたくしが困っているのに助けるよ、の一言もないの?
「お……お二方」
「……ああ、まだいたんだ。平民のお嬢さんが来るところじゃないよ。とっとと帰りな」
「まだ男爵令嬢ですよ」
「ははっ、どっちにしたって俺や伯爵令息に気軽に話しかけていい立場じゃないね」
「まあ、それには同意しますね。ペルヴィス家のお嬢さん、今回の無礼は見逃しますから、早めに帰宅なさい」
「そ……そんな」
「私たちは関わりがないのでペルヴィス家に対して思うところはありません。ですが、夜会に参加している人全員がそうではないのですよ」
「マリー嬢を逃がしたことは恨んでいるけどな」
「まぜっかえさないで下さい」
「う……恨みって。商売の話ならわたくしは関係ないじゃない!」
「おいおい、マジで言ってる? ペルヴィス家の令嬢といえばお茶会をメチャクチャにすることで有名だぜ?」
「お茶会をメチャクチャになんてしていないわ! わたくしの美貌に嫉妬した方の勝手な噂ですわ」
確かに十代中頃には、わたくしの酷い噂が出回って、お茶会に呼ばれなくなったこともあったわ。
でも、すぐに噂は解消されたもの。
「私も聞いたことありますよ。曰く、ペルヴィス家の令嬢はお茶会で商談もせず、人脈も作らず、ドレスや宝石の自慢ばかりしていたと」
「お茶会よ! 綺麗なことを自慢して何が悪いの!?」
「ははっ……マジで言ってる?」
「お嬢さん。お茶会というのは商談と人脈形成の場です。自領の特産品を紹介し、他領の特産品の話を聞く。ペルヴィス家は美容品が特産品でしたから、美貌をみせつけることは間違っていません。ですが、それなら他領に美容品を販売したり、原材料を仕入れる話をしなければなりません」
「まるでガキだな。こんな基礎中の基礎を知らないで、貴族を名乗ってるなんて、陛下が知ったらブチ切れるんじゃないか?」
「本当に、陛下がやってくる前でよかったですよ。……ああ、そこの給仕。こちらのお嬢さんが、体調を崩しています。休憩室に案内して、ご家族……ペルヴィス男爵を呼んで差し上げなさい」
「はっ」
「おっ、使用人を呼んでやるなんて優しいじゃん」
「一応、前回の夜会では人脈形成のためとはいえ、ダンスに誘いましたからね。そちらも、義理はあるのでは?」
「結局、身になる話はなかったし、ノーカンだね。知ってるかい、お嬢さん。あんたが嫌われてるのは夜会でも身になる話ができていないからだぜ?」
伯爵令息と侯爵令息の笑い声がする中、わたくしは給仕に引きずられるようにして休憩室へと案内された。
商談って……人脈形成って……なによ、そんなの知らないわよ! だって、お母様は美しさを自慢すれば良いって……お父様もお茶会に出席すれば、それだけで良いって。
その後やってきたお父様にもお兄様にも叱られたけれど、お母様だけはわたくしをかばってくれた。
でも、伯爵令息と侯爵令息の話していた言葉ばかりが、わたくしの頭の中をぐるぐると回り、それしか考えられなくなっていたの。
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