20 / 140
幼少期
20 甥っ子の奇行(ユリア視点)
しおりを挟む
ウチの甥っ子がおかしくなった。
いやいや、この言い方だとよくないね、元々おかしかった甥っ子の奇行に磨きがかかった……あんまり変わらないか。
いつものように港に輸出物を運んで、輸入物の買い付けを終え、商会に帰ってくると愛しいトーマスからマックスが商品の売込みに来たと聞かされた。
持ち込まれたものは調味料に辛みを付けたソーセージで、特に目新しいって程の物じゃない。
この国には胡椒が出回っているし、ウスターソースや中濃ソース、オイスターソースなんかの調味料がそれなりの値段がついているとはいえ、簡単に手に入る。
でも、味見させてもらって分かった。これほどの鮮烈な辛さを持った調味料は、この国にはないって。
しかも、調味料の原料は誰も見向きもしなかった……畑の虫除けに使われている赤い実だというじゃないの。
「貴方、これを本当にマックスが?」
「ああ、持ち込まれたときは冷静に対処したが、これはかなりの商機になるぞ」
「虫除けの実って名前が印象が良くないから、商品名もきちんと考えなきゃいけないけど、これがあれば貴族の腰巾着なんて言われなくて済むわよね」
そう、ゲルハルディ家から出てトーマスに嫁いだ私は、今や平民でアンドレ商会の副会長だけれど、アンドレ商会には目新しい商品がないことから他の商会から一段低く見られている。
それこそ、実家のゲルハルディ家に商品を売り込むだけ、貴族の腰巾着と呼ばれることも少なくはない。
「今は商会の商品制作部門で試作しているだけだけど、本格的に製造するとなったら工房を買い取らないといけないかもしれないな」
「そこまで売れる? ウチの部門を増やすだけではダメなの?」
「試しにウチで経営している酒場に試してみるように言ったら、売り上げが1.5倍になったらしい」
「1.5倍? 目新しい商品だし、他にはない辛みもあるけどそこまで?」
「ユリアも感じたんじゃないか? この調味料を使った料理、特にソーセージはビールやウイスキーの炭酸割が欲しくなるって」
う、流石は私の旦那様。確かに私は今、猛烈にビールが欲しくなっている。
「このソーセージを焼いて、フライドポテトを添えて出したところ、ビールの注文がひっきりなしにきたらしいよ」
「うっ、確かにビールが飛ぶように売れそう」
「僕の見立てだと、マックスはまだ何か隠してそうだし、実家に様子を見に行ってもらえないかな? マックスからはチョコレートが欲しいとも言われているし」
「チョコレート? マックスってそんなに甘いものが好きだったっけ?」
「チョコレートの中にウイスキーを入れたら良いかも……と」
「ウイスキー? 漏れて出てこない?」
「僕もそう聞いたけど、試してみたいと」
「ふぅん。……うん、そうね。搬入物を捌いて、仕事がある程度片付いたら様子を見に行こうかしら」
「そうだね。流石に旅から帰ってきて早々に見に行ってほしいとは言わないよ。酒場に出すレシピの相談もしたいし」
「そうそう、この調味料とソーセージだけど、絶対ピザとかパスタに合うと思うのよ」
酒場では軽い食べ物としてピザやパスタも出しているけれど、甘味があるのが大半で、正直お酒に合っているとは言いづらいのよね。
塩胡椒を効かせた野菜炒めや、ステーキなんかが人気なんだけど、まずはピザとかパスタって人も多いし、そこでお酒を注文してもらえれば大儲けよ!
「ピザはマルゲリータのソーセージをこれに変えてもらったけど、美味しかったよ。パスタは考えてなかったな」
「確か、キャベツとソーセージのパスタがあったでしょ? あれをこのソーセージに変えて、この調味料をかければ」
「うん、お酒が絶対に欲しくなるね」
輸入品を捌きつつも、新しいレシピを考えて試食していたらあっという間に2週間が経っていて、マックスが商会に来た日から1ヶ月が過ぎていたわ。
本当に、どうして時間ってこんなに早く過ぎてしまうのよ。
「マックス! 何か新しい商品を作ったんだって!?」
そう言って、実家の調理室に顔を出すと、マックスと料理長が何やら小瓶を前に話し合いをしていた。
まあ、私のことをオバさん呼ばわりしたマックスにはお仕置きをしたけどね。
2人に聞いてみたら、虫除けの実を使った新しい調味料だとか……なんで、この前一緒に持ってこなかったのかねぇ。
これまた、辛味と酸味が絶妙なもので、ついついお酒が進んでしまう調味料。
マックスに言って、このレシピも契約することになったけど、このままだとマックス小金持ちになるんじゃ?
まあ、その辺の金銭感覚の教育は兄さんと義姉さんの仕事か……私はこれでアンドレ商会をゲルハルディ領で1番の商会にさせるんだからね!
いやいや、この言い方だとよくないね、元々おかしかった甥っ子の奇行に磨きがかかった……あんまり変わらないか。
いつものように港に輸出物を運んで、輸入物の買い付けを終え、商会に帰ってくると愛しいトーマスからマックスが商品の売込みに来たと聞かされた。
持ち込まれたものは調味料に辛みを付けたソーセージで、特に目新しいって程の物じゃない。
この国には胡椒が出回っているし、ウスターソースや中濃ソース、オイスターソースなんかの調味料がそれなりの値段がついているとはいえ、簡単に手に入る。
でも、味見させてもらって分かった。これほどの鮮烈な辛さを持った調味料は、この国にはないって。
しかも、調味料の原料は誰も見向きもしなかった……畑の虫除けに使われている赤い実だというじゃないの。
「貴方、これを本当にマックスが?」
「ああ、持ち込まれたときは冷静に対処したが、これはかなりの商機になるぞ」
「虫除けの実って名前が印象が良くないから、商品名もきちんと考えなきゃいけないけど、これがあれば貴族の腰巾着なんて言われなくて済むわよね」
そう、ゲルハルディ家から出てトーマスに嫁いだ私は、今や平民でアンドレ商会の副会長だけれど、アンドレ商会には目新しい商品がないことから他の商会から一段低く見られている。
それこそ、実家のゲルハルディ家に商品を売り込むだけ、貴族の腰巾着と呼ばれることも少なくはない。
「今は商会の商品制作部門で試作しているだけだけど、本格的に製造するとなったら工房を買い取らないといけないかもしれないな」
「そこまで売れる? ウチの部門を増やすだけではダメなの?」
「試しにウチで経営している酒場に試してみるように言ったら、売り上げが1.5倍になったらしい」
「1.5倍? 目新しい商品だし、他にはない辛みもあるけどそこまで?」
「ユリアも感じたんじゃないか? この調味料を使った料理、特にソーセージはビールやウイスキーの炭酸割が欲しくなるって」
う、流石は私の旦那様。確かに私は今、猛烈にビールが欲しくなっている。
「このソーセージを焼いて、フライドポテトを添えて出したところ、ビールの注文がひっきりなしにきたらしいよ」
「うっ、確かにビールが飛ぶように売れそう」
「僕の見立てだと、マックスはまだ何か隠してそうだし、実家に様子を見に行ってもらえないかな? マックスからはチョコレートが欲しいとも言われているし」
「チョコレート? マックスってそんなに甘いものが好きだったっけ?」
「チョコレートの中にウイスキーを入れたら良いかも……と」
「ウイスキー? 漏れて出てこない?」
「僕もそう聞いたけど、試してみたいと」
「ふぅん。……うん、そうね。搬入物を捌いて、仕事がある程度片付いたら様子を見に行こうかしら」
「そうだね。流石に旅から帰ってきて早々に見に行ってほしいとは言わないよ。酒場に出すレシピの相談もしたいし」
「そうそう、この調味料とソーセージだけど、絶対ピザとかパスタに合うと思うのよ」
酒場では軽い食べ物としてピザやパスタも出しているけれど、甘味があるのが大半で、正直お酒に合っているとは言いづらいのよね。
塩胡椒を効かせた野菜炒めや、ステーキなんかが人気なんだけど、まずはピザとかパスタって人も多いし、そこでお酒を注文してもらえれば大儲けよ!
「ピザはマルゲリータのソーセージをこれに変えてもらったけど、美味しかったよ。パスタは考えてなかったな」
「確か、キャベツとソーセージのパスタがあったでしょ? あれをこのソーセージに変えて、この調味料をかければ」
「うん、お酒が絶対に欲しくなるね」
輸入品を捌きつつも、新しいレシピを考えて試食していたらあっという間に2週間が経っていて、マックスが商会に来た日から1ヶ月が過ぎていたわ。
本当に、どうして時間ってこんなに早く過ぎてしまうのよ。
「マックス! 何か新しい商品を作ったんだって!?」
そう言って、実家の調理室に顔を出すと、マックスと料理長が何やら小瓶を前に話し合いをしていた。
まあ、私のことをオバさん呼ばわりしたマックスにはお仕置きをしたけどね。
2人に聞いてみたら、虫除けの実を使った新しい調味料だとか……なんで、この前一緒に持ってこなかったのかねぇ。
これまた、辛味と酸味が絶妙なもので、ついついお酒が進んでしまう調味料。
マックスに言って、このレシピも契約することになったけど、このままだとマックス小金持ちになるんじゃ?
まあ、その辺の金銭感覚の教育は兄さんと義姉さんの仕事か……私はこれでアンドレ商会をゲルハルディ領で1番の商会にさせるんだからね!
194
あなたにおすすめの小説
俺に王太子の側近なんて無理です!
クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。
そう、ここは剣と魔法の世界!
友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。
ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
【完結】魅了の魔法にかけられて全てを失った俺は、最強の魔法剣士になり時を巻き戻す
金峯蓮華
ファンタジー
戦に負け、国が滅び、俺ひとりだけ生き残った。愛する女を失い、俺は死に場所を求め、傭兵となり各地を漂っていた。そんな時、ある男に声をかけられた。
「よぉ、にいちゃん。お前、魅了魔法がかかってるぜ。それも強烈に強いヤツだ。解いてやろうか?」
魅了魔法? なんだそれは?
その男との出会いが俺の人生を変えた。俺は時間をもどし、未来を変える。
R15は死のシーンがあるための保険です。
独自の異世界の物語です。
兄がやらかしてくれました 何をやってくれてんの!?
志位斗 茂家波
ファンタジー
モッチ王国の第2王子であった僕は、将来の国王は兄になると思って、王弟となるための勉学に励んでいた。
そんなある日、兄の卒業式があり、祝うために家族の枠で出席したのだが‥‥‥婚約破棄?
え、なにをやってんの兄よ!?
…‥‥月に1度ぐらいでやりたくなる婚約破棄物。
今回は悪役令嬢でも、ヒロインでもない視点です。
※ご指摘により、少々追加ですが、名前の呼び方などの決まりはゆるめです。そのあたりは稚拙な部分もあるので、どうかご理解いただけるようにお願いしマス。
悪役令息の継母に転生したからには、息子を悪役になんてさせません!
水都(みなと)
ファンタジー
伯爵夫人であるロゼッタ・シルヴァリーは夫の死後、ここが前世で読んでいたラノベの世界だと気づく。
ロゼッタはラノベで悪役令息だったリゼルの継母だ。金と地位が目当てで結婚したロゼッタは、夫の連れ子であるリゼルに無関心だった。
しかし、前世ではリゼルは推しキャラ。リゼルが断罪されると思い出したロゼッタは、リゼルが悪役令息にならないよう母として奮闘していく。
★ファンタジー小説大賞エントリー中です。
※完結しました!
悪役令息に転生したけど、静かな老後を送りたい!
えながゆうき
ファンタジー
妹がやっていた乙女ゲームの世界に転生し、自分がゲームの中の悪役令息であり、魔王フラグ持ちであることに気がついたシリウス。しかし、乙女ゲームに興味がなかった事が仇となり、断片的にしかゲームの内容が分からない!わずかな記憶を頼りに魔王フラグをへし折って、静かな老後を送りたい!
剣と魔法のファンタジー世界で、精一杯、悪足搔きさせていただきます!
異世界に転生したので幸せに暮らします、多分
かのこkanoko
ファンタジー
物心ついたら、異世界に転生していた事を思い出した。
前世の分も幸せに暮らします!
平成30年3月26日完結しました。
番外編、書くかもです。
5月9日、番外編追加しました。
小説家になろう様でも公開してます。
エブリスタ様でも公開してます。
悪徳領主の息子に転生しました
アルト
ファンタジー
悪徳領主。その息子として現代っ子であった一人の青年が転生を果たす。
領民からは嫌われ、私腹を肥やす為にと過分過ぎる税を搾り取った結果、家の外に出た瞬間にその息子である『ナガレ』が領民にデカイ石を投げつけられ、意識不明の重体に。
そんな折に転生を果たすという不遇っぷり。
「ちょ、ま、死亡フラグ立ち過ぎだろおおおおお?!」
こんな状態ではいつ死ぬか分かったもんじゃない。
一刻も早い改善を……!と四苦八苦するも、転生前の人格からは末期過ぎる口調だけは受け継いでる始末。
これなんて無理ゲー??
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる