気づいたら美少女ゲーの悪役令息に転生していたのでサブヒロインを救うのに人生を賭けることにした

高坂ナツキ

文字の大きさ
35 / 140
幼少期

35 再びの旅立ち

しおりを挟む
「では、母上、レナ、またとなりますが行ってまいります」

「ええ、今回は騒動を起こさないように」

「お待ちしておりますね、マックス様」

 母上に報告をした2日後には父上から即刻、王都に来るようにとの早馬が来て、翌日には旅立つことになった。
 こっちとしても騒動を起こすつもりなどさらさらないが、俺が旅立つと婚約が取りやめになったり、ダンジョンを攻略したりと騒動が起きているので何も言い返せない。
 レナは健気に俺の旅立ちを見送ってくれているので、レナには笑顔を返しておこう。

「……はあ……お前ら、行くぞ」

「はい、マックス様」

 騎士団長は父上に付き添って王都にいるし、流石に旅から帰ってきたばかりのクルトたちを連れまわすこともできないので、俺の護衛は騎士団の副団長が務める。
 もちろん、副団長だけでなく小隊も選りすぐりのメンバーがそろっていて、王都の騎士団相手でもそれなりの戦いができるメンツとなっている。
 ま、別に喧嘩を売るつもりはないし、ここまでの戦力は必要ないと思うがな。

「あ~、売りに出される子牛の気分~」

 小隊に見守られた馬車に乗せられ、旅をしていると、まさにこの気分になるんだよな。
 前世の記憶を取り戻した時は父上とレナが居たし、クルトたちとは馬車ではなく馬での移動だったからあまり思わなかったが、1人で馬車に乗せられているとまるで民謡の世界なんだよな。

「マックス様、農村でも子牛を売りに出すことなどありませんよ」

「そういう話じゃない。これからのことを思うと憂鬱って話だ」

「ご自身が招いたことですので」

「わかっちゃいても面倒だと思うことはあるってことだよ」

「ま、わからなくもないですね」

「だろ? あ~あ、ダンジョン攻略程度で王都に呼びつけることはね~よな?」

「100年ぶりの快挙ですよ? それは呼びますよ」

「……7歳のガキが攻略できる程度のことに大げさなんだよ」

「ま、辺境の領の者が本気を出していたらもっとダンジョンは攻略されていたでしょうね」

 この国の昔話になるが、100年ほど前にこの国を囲む周辺国が同時に侵攻してきた時代があった。
 それに対抗するために各辺境伯領は緊張を強いられ、ダンジョン攻略どころではなくなった。
 辺境伯領の代わりに、中央貴族がダンジョンの攻略を担うことになったが、うまくは行かず、冒険者組合の誘致や傭兵団設立の緩和など行ったという経緯がある。
 ま、その辺もうまくいかずダンジョン攻略は侵攻以来、全くと言ってこの国に無縁のものとなり、すでに攻略済みだったダンジョンだけがこの国の資源となっていたんだな。

「その辺も国王陛下に伝えておくかな」

「辺境の者ならということですか?」

「というか、中央貴族の横領に関わる問題だろ。中央貴族にはダンジョン攻略用として補助金が出ているのに、成果が出ていない」

「……即座に横領とつなげることは出来ませんが怪しいのは確かですね」

「調査するのは俺たちの仕事ではないが、つつく位はしといた方が良いだろ。俺たちの納めた税が不当に使われている可能性があるってことだからな」

「つつき方は慎重にしてくださいよ」

「わかってるって。父上もいるしゲルハルディ領が不利になる様にはしないよ」

 副団長はそこまで俺と関りがあるわけではないから、俺に対する信用度が低いが、それが今回は助かるな。
 面倒とは思っているが、ダンジョン攻略が快挙なのは確かなことで、それに対する慢心がないとは言えないからな。
 とにかく、王都についたら父上との打ち合わせ、陛下との謁見では勇者制度の撤廃を申し出るか。

 この国ではダンジョン攻略者を勇者に任命し、準貴族の地位を授ける制度があり、主人公もそれを利用するからな。
 主人公がダンジョンを攻略しても勇者として任命されなければ、行動を縛ることが可能だろう。
 勇者となれば他領への通行許可、他領の未発見ダンジョンの攻略権、軍事行動の追認が行われるからな。
 主人公が勇者でなければ、ゲームのように行動するのはまず不可能となる……というか、ゲーム通りに行動すれば貴族への反逆、あるいは国家反逆罪になるだろうな。

「マックス様、王都まではまだまだ、かかります。少しでもお身体をお休めください」

「わかっているよ。父上だけならともかく、国王陛下に謁見するのに寝不足、疲れ気味の身体で、というわけにはいかないからな。旅の最中の雑事は任せるぞ」

「わかっております。道中の宿も先触れを出しておりますので、馬車内でもお休みください」

「助かる」

 ま、信頼度は低くても優秀なのは優秀だからな。任せられるところは、どんどん任せていくか。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

俺に王太子の側近なんて無理です!

クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。 そう、ここは剣と魔法の世界! 友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。 ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

【完結】魅了の魔法にかけられて全てを失った俺は、最強の魔法剣士になり時を巻き戻す

金峯蓮華
ファンタジー
戦に負け、国が滅び、俺ひとりだけ生き残った。愛する女を失い、俺は死に場所を求め、傭兵となり各地を漂っていた。そんな時、ある男に声をかけられた。 「よぉ、にいちゃん。お前、魅了魔法がかかってるぜ。それも強烈に強いヤツだ。解いてやろうか?」 魅了魔法? なんだそれは? その男との出会いが俺の人生を変えた。俺は時間をもどし、未来を変える。 R15は死のシーンがあるための保険です。 独自の異世界の物語です。

兄がやらかしてくれました 何をやってくれてんの!?

志位斗 茂家波
ファンタジー
モッチ王国の第2王子であった僕は、将来の国王は兄になると思って、王弟となるための勉学に励んでいた。 そんなある日、兄の卒業式があり、祝うために家族の枠で出席したのだが‥‥‥婚約破棄? え、なにをやってんの兄よ!? …‥‥月に1度ぐらいでやりたくなる婚約破棄物。 今回は悪役令嬢でも、ヒロインでもない視点です。 ※ご指摘により、少々追加ですが、名前の呼び方などの決まりはゆるめです。そのあたりは稚拙な部分もあるので、どうかご理解いただけるようにお願いしマス。

悪役令息の継母に転生したからには、息子を悪役になんてさせません!

水都(みなと)
ファンタジー
伯爵夫人であるロゼッタ・シルヴァリーは夫の死後、ここが前世で読んでいたラノベの世界だと気づく。 ロゼッタはラノベで悪役令息だったリゼルの継母だ。金と地位が目当てで結婚したロゼッタは、夫の連れ子であるリゼルに無関心だった。 しかし、前世ではリゼルは推しキャラ。リゼルが断罪されると思い出したロゼッタは、リゼルが悪役令息にならないよう母として奮闘していく。 ★ファンタジー小説大賞エントリー中です。 ※完結しました!

悪役令息に転生したけど、静かな老後を送りたい!

えながゆうき
ファンタジー
 妹がやっていた乙女ゲームの世界に転生し、自分がゲームの中の悪役令息であり、魔王フラグ持ちであることに気がついたシリウス。しかし、乙女ゲームに興味がなかった事が仇となり、断片的にしかゲームの内容が分からない!わずかな記憶を頼りに魔王フラグをへし折って、静かな老後を送りたい!  剣と魔法のファンタジー世界で、精一杯、悪足搔きさせていただきます!

異世界に転生したので幸せに暮らします、多分

かのこkanoko
ファンタジー
物心ついたら、異世界に転生していた事を思い出した。 前世の分も幸せに暮らします! 平成30年3月26日完結しました。 番外編、書くかもです。 5月9日、番外編追加しました。 小説家になろう様でも公開してます。 エブリスタ様でも公開してます。

悪徳領主の息子に転生しました

アルト
ファンタジー
 悪徳領主。その息子として現代っ子であった一人の青年が転生を果たす。  領民からは嫌われ、私腹を肥やす為にと過分過ぎる税を搾り取った結果、家の外に出た瞬間にその息子である『ナガレ』が領民にデカイ石を投げつけられ、意識不明の重体に。  そんな折に転生を果たすという不遇っぷり。 「ちょ、ま、死亡フラグ立ち過ぎだろおおおおお?!」  こんな状態ではいつ死ぬか分かったもんじゃない。  一刻も早い改善を……!と四苦八苦するも、転生前の人格からは末期過ぎる口調だけは受け継いでる始末。  これなんて無理ゲー??

処理中です...