42 / 140
幼少期
42 エルメライヒ公爵との会談
しおりを挟む
「これはこれは、急な訪問に応えて頂いて恐縮ですな」
俺と父上の目の前には、エルメライヒ公爵と名乗る人物が座っている。
基本的には爵位持ち同士で会合をすればいいので、俺はいなくてもいいのだが、エルメライヒ公爵がアポイントメントを求めた時に父上の名前と連名で俺が指名されていた。
こうなってくると、7歳だからとか、貴族学園入学前だからとか、爵位持ちではないからとか、いろいろと言い訳を連ねて断るわけにもいかない。
そもそも、陛下に謁見している時点で貴族としての最低限は出来ているということになるので、陛下に次ぐ公爵位の人間相手にそんな言い訳は通用しなくなるんだよな。
「辺境の一伯爵に公爵閣下がアポイントメントを求めてくださったのです。無下には致しませんよ」
「まあ、そう固くならないでほしいな。こちらとしては友誼を結びたくての訪問だ」
エルメライヒ公爵が一見友好的に見える笑顔で話しかけてくるが、貴族である以上それを簡単に信じるわけにはいかない。
友好的に握手を求めて、笑顔で殴ってくるのが貴族というものだからな。
「それはそれは。ですが、エルメライヒ公爵とは派閥も違いますし、商取引もない。友誼を結ぶメリットはないのでは?」
「なに、ゲルハルディ伯爵家は我が家が伯爵に任命したミネッティ伯爵家に婚約の打診をしたとか」
「打診……で終わりましたがな。ミネッティ伯爵家内で情報共有が出来ていなかったようで、顔合わせが始まる前に婚約の話は無くなりましたよ」
「ほう、それは。流石にそこまでの阿呆を伯爵に任命したつもりはないのですが」
「ですが、それが事実ですよ。それは伯爵家に仕えていた者たちも、我が家に仕えている者たちも目撃しています」
ま、あれは流石に擁護のしようがない。
顔合わせのために領地まで訪問した相手に対して、顔を合わせるなり婚約するわけがないなんて同格相手としても失礼すぎる。
「ま、ミネッティ伯爵のことは後々考えさせてもらうが、ウチにもマックス君と同い年の娘がいてね」
「エルメライヒ公爵、発言をお許しいただけますか?」
「ああ、もちろんだよ。こうして同席しているんだ、気になることがあったらどんどん発言してくれたまえ」
「ありがとうございます。……私は先日、婚約者との婚約が陛下に承認されたばかりです。もちろんエルメライヒ公爵閣下はご存じとは思いますが、それを踏まえてお話をお願いします」
「はっはっは、確かにそれは重要だ。いくら王族に連なる公爵家とは言え、陛下の承認なさった婚約に異を唱えるなど愚の骨頂だからな。ま、話はそうではなくマックス君には娘の友人になってほしいのだよ」
「……友人、ですか?」
「うむ。ミネッティ伯爵には期待していたのだが、令嬢があの様子では娘の友人にはふさわしくないのでな。何もわざわざ出向いてくれとは言わんが、王都に来た際や貴族学園入学時には仲良くしてほしいのだよ」
「ですが、私は貴族学園では領主経営科に進みますよ? エルメライヒ公爵令嬢は家政科では?」
貴族学園にもいくつかの科があり、領主を育成する領主経営科、領主夫人を育成する家政科、騎士を育成する騎士科、文官を育成する文官科、貴族夫人を育成する淑女科などがある。
ゲルハルディ伯爵を継ぐ俺はもちろん領主経営科、領主夫人になるレナは家政科、ラスボス悪役令嬢のローズマリー・フォン・エルメライヒも家政科のはずだ。
「家政科に進ませるつもりだが、まだわからんな」
「……まだ? エルメライヒ公爵令嬢は既に貴族学園に通っているのでは?」
ゲームだとそうだ。主人公を伴ってローズマリーは初等部から学園に通っているはずなので、7歳なら既に学園に通っている。
「ああ、実は初等部から通わせようとしていたのだが、嫌がってな。初等部に通っているのは王都住まいの子爵令嬢ばかりだから嫌だと」
「……侯爵令息や伯爵令息もいるのでは?」
「男と女では違うだろう。それに、侯爵家は中央貴族ではなく王都貴族だし、伯爵令息はウチの傘下にはいないからな」
なるほど、確かに初等部に通える子供を持つ侯爵家は王宮に仕えている侯爵家ばかりだし、エルメライヒ公爵家の傘下ではミネッティ伯爵令嬢くらいしか初等部に通える年齢はいないはず。
だからといって、派閥も違えば中央にもいない辺境の伯爵令息に頼むことか?
「エルメライヒ公爵は王家派から離れるおつもりか?」
「……是とも否とも言えんな。我が家は子供がローズマリー1人、そしてローズマリーで4代目になるので公爵を名乗るのは難しいだろう。婿を取れば伯爵家、嫁に行けば公爵家はなくなる」
この国の公爵家は王宮から離れた王族が名乗るものだが、公爵を名乗れるのは3代目まで、4代目以降は功績次第だが伯爵か男爵になる。
エルメライヒ公爵家はそれなりに国に尽くしているから伯爵になるだろうけど、それでも今までの生活とはかけ離れたことになるだろうな。
俺と父上の目の前には、エルメライヒ公爵と名乗る人物が座っている。
基本的には爵位持ち同士で会合をすればいいので、俺はいなくてもいいのだが、エルメライヒ公爵がアポイントメントを求めた時に父上の名前と連名で俺が指名されていた。
こうなってくると、7歳だからとか、貴族学園入学前だからとか、爵位持ちではないからとか、いろいろと言い訳を連ねて断るわけにもいかない。
そもそも、陛下に謁見している時点で貴族としての最低限は出来ているということになるので、陛下に次ぐ公爵位の人間相手にそんな言い訳は通用しなくなるんだよな。
「辺境の一伯爵に公爵閣下がアポイントメントを求めてくださったのです。無下には致しませんよ」
「まあ、そう固くならないでほしいな。こちらとしては友誼を結びたくての訪問だ」
エルメライヒ公爵が一見友好的に見える笑顔で話しかけてくるが、貴族である以上それを簡単に信じるわけにはいかない。
友好的に握手を求めて、笑顔で殴ってくるのが貴族というものだからな。
「それはそれは。ですが、エルメライヒ公爵とは派閥も違いますし、商取引もない。友誼を結ぶメリットはないのでは?」
「なに、ゲルハルディ伯爵家は我が家が伯爵に任命したミネッティ伯爵家に婚約の打診をしたとか」
「打診……で終わりましたがな。ミネッティ伯爵家内で情報共有が出来ていなかったようで、顔合わせが始まる前に婚約の話は無くなりましたよ」
「ほう、それは。流石にそこまでの阿呆を伯爵に任命したつもりはないのですが」
「ですが、それが事実ですよ。それは伯爵家に仕えていた者たちも、我が家に仕えている者たちも目撃しています」
ま、あれは流石に擁護のしようがない。
顔合わせのために領地まで訪問した相手に対して、顔を合わせるなり婚約するわけがないなんて同格相手としても失礼すぎる。
「ま、ミネッティ伯爵のことは後々考えさせてもらうが、ウチにもマックス君と同い年の娘がいてね」
「エルメライヒ公爵、発言をお許しいただけますか?」
「ああ、もちろんだよ。こうして同席しているんだ、気になることがあったらどんどん発言してくれたまえ」
「ありがとうございます。……私は先日、婚約者との婚約が陛下に承認されたばかりです。もちろんエルメライヒ公爵閣下はご存じとは思いますが、それを踏まえてお話をお願いします」
「はっはっは、確かにそれは重要だ。いくら王族に連なる公爵家とは言え、陛下の承認なさった婚約に異を唱えるなど愚の骨頂だからな。ま、話はそうではなくマックス君には娘の友人になってほしいのだよ」
「……友人、ですか?」
「うむ。ミネッティ伯爵には期待していたのだが、令嬢があの様子では娘の友人にはふさわしくないのでな。何もわざわざ出向いてくれとは言わんが、王都に来た際や貴族学園入学時には仲良くしてほしいのだよ」
「ですが、私は貴族学園では領主経営科に進みますよ? エルメライヒ公爵令嬢は家政科では?」
貴族学園にもいくつかの科があり、領主を育成する領主経営科、領主夫人を育成する家政科、騎士を育成する騎士科、文官を育成する文官科、貴族夫人を育成する淑女科などがある。
ゲルハルディ伯爵を継ぐ俺はもちろん領主経営科、領主夫人になるレナは家政科、ラスボス悪役令嬢のローズマリー・フォン・エルメライヒも家政科のはずだ。
「家政科に進ませるつもりだが、まだわからんな」
「……まだ? エルメライヒ公爵令嬢は既に貴族学園に通っているのでは?」
ゲームだとそうだ。主人公を伴ってローズマリーは初等部から学園に通っているはずなので、7歳なら既に学園に通っている。
「ああ、実は初等部から通わせようとしていたのだが、嫌がってな。初等部に通っているのは王都住まいの子爵令嬢ばかりだから嫌だと」
「……侯爵令息や伯爵令息もいるのでは?」
「男と女では違うだろう。それに、侯爵家は中央貴族ではなく王都貴族だし、伯爵令息はウチの傘下にはいないからな」
なるほど、確かに初等部に通える子供を持つ侯爵家は王宮に仕えている侯爵家ばかりだし、エルメライヒ公爵家の傘下ではミネッティ伯爵令嬢くらいしか初等部に通える年齢はいないはず。
だからといって、派閥も違えば中央にもいない辺境の伯爵令息に頼むことか?
「エルメライヒ公爵は王家派から離れるおつもりか?」
「……是とも否とも言えんな。我が家は子供がローズマリー1人、そしてローズマリーで4代目になるので公爵を名乗るのは難しいだろう。婿を取れば伯爵家、嫁に行けば公爵家はなくなる」
この国の公爵家は王宮から離れた王族が名乗るものだが、公爵を名乗れるのは3代目まで、4代目以降は功績次第だが伯爵か男爵になる。
エルメライヒ公爵家はそれなりに国に尽くしているから伯爵になるだろうけど、それでも今までの生活とはかけ離れたことになるだろうな。
209
あなたにおすすめの小説
俺に王太子の側近なんて無理です!
クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。
そう、ここは剣と魔法の世界!
友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。
ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
【完結】魅了の魔法にかけられて全てを失った俺は、最強の魔法剣士になり時を巻き戻す
金峯蓮華
ファンタジー
戦に負け、国が滅び、俺ひとりだけ生き残った。愛する女を失い、俺は死に場所を求め、傭兵となり各地を漂っていた。そんな時、ある男に声をかけられた。
「よぉ、にいちゃん。お前、魅了魔法がかかってるぜ。それも強烈に強いヤツだ。解いてやろうか?」
魅了魔法? なんだそれは?
その男との出会いが俺の人生を変えた。俺は時間をもどし、未来を変える。
R15は死のシーンがあるための保険です。
独自の異世界の物語です。
兄がやらかしてくれました 何をやってくれてんの!?
志位斗 茂家波
ファンタジー
モッチ王国の第2王子であった僕は、将来の国王は兄になると思って、王弟となるための勉学に励んでいた。
そんなある日、兄の卒業式があり、祝うために家族の枠で出席したのだが‥‥‥婚約破棄?
え、なにをやってんの兄よ!?
…‥‥月に1度ぐらいでやりたくなる婚約破棄物。
今回は悪役令嬢でも、ヒロインでもない視点です。
※ご指摘により、少々追加ですが、名前の呼び方などの決まりはゆるめです。そのあたりは稚拙な部分もあるので、どうかご理解いただけるようにお願いしマス。
悪役令息の継母に転生したからには、息子を悪役になんてさせません!
水都(みなと)
ファンタジー
伯爵夫人であるロゼッタ・シルヴァリーは夫の死後、ここが前世で読んでいたラノベの世界だと気づく。
ロゼッタはラノベで悪役令息だったリゼルの継母だ。金と地位が目当てで結婚したロゼッタは、夫の連れ子であるリゼルに無関心だった。
しかし、前世ではリゼルは推しキャラ。リゼルが断罪されると思い出したロゼッタは、リゼルが悪役令息にならないよう母として奮闘していく。
★ファンタジー小説大賞エントリー中です。
※完結しました!
悪役令息に転生したけど、静かな老後を送りたい!
えながゆうき
ファンタジー
妹がやっていた乙女ゲームの世界に転生し、自分がゲームの中の悪役令息であり、魔王フラグ持ちであることに気がついたシリウス。しかし、乙女ゲームに興味がなかった事が仇となり、断片的にしかゲームの内容が分からない!わずかな記憶を頼りに魔王フラグをへし折って、静かな老後を送りたい!
剣と魔法のファンタジー世界で、精一杯、悪足搔きさせていただきます!
異世界に転生したので幸せに暮らします、多分
かのこkanoko
ファンタジー
物心ついたら、異世界に転生していた事を思い出した。
前世の分も幸せに暮らします!
平成30年3月26日完結しました。
番外編、書くかもです。
5月9日、番外編追加しました。
小説家になろう様でも公開してます。
エブリスタ様でも公開してます。
悪徳領主の息子に転生しました
アルト
ファンタジー
悪徳領主。その息子として現代っ子であった一人の青年が転生を果たす。
領民からは嫌われ、私腹を肥やす為にと過分過ぎる税を搾り取った結果、家の外に出た瞬間にその息子である『ナガレ』が領民にデカイ石を投げつけられ、意識不明の重体に。
そんな折に転生を果たすという不遇っぷり。
「ちょ、ま、死亡フラグ立ち過ぎだろおおおおお?!」
こんな状態ではいつ死ぬか分かったもんじゃない。
一刻も早い改善を……!と四苦八苦するも、転生前の人格からは末期過ぎる口調だけは受け継いでる始末。
これなんて無理ゲー??
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる