63 / 140
幼少期
63 ローズマリー嬢の初恋の行方
しおりを挟む
「マックス、私この方が気に入りましたわ。是非とも私にくださいな」
「ローズマリー嬢、クルトは物ではありません。下さいと言われて、そうホイホイとやってしまえば我が家は誰からも信頼されなくなってしまうでしょう」
「? 私は公爵令嬢よ? それでもダメなの?」
「はぁ……根本的に勘違いをしていますが、その辺を正すのは後でまとめてにしましょう。……クルトのことですが、彼には将来を誓い合った恋人がいるので引き抜きはダメです」
「「えっ!?」」
驚きの声を上げたのはクルトとレナだ。レナはクルトの恋人のことを知らなかったから、驚くのは無理ないが、なんでクルトが驚いているんだ?
「マ、マックス様! どうしてそれを!?」
「ん? 小隊の連中から聞いたぞ? 小隊長に恋人ができた~って」
「あ……あいつら!」
ん? なんかクルトが切れているが娯楽の少ない田舎の騎士団で、出世株の人間の色恋沙汰なんて噂になっていて当然だろ。
もちろん、父上にも母上にも報告済みで、相手の身辺調査も済んでいる。うんうん、クルトの選んだお嬢さんはゲルハルディ領への忠誠も篤い家の出身のようで非常に助かる。
「別れればいいじゃない? ねえ、貴方。貴方も公爵令嬢の婚約者になれたほうが幸せでしょう?」
「ローズマリー嬢、人の幸せはその人が決めるものです。権力をかさに着て、うんと言わせても後々につらくなるのは貴女ですよ」
「マックス、私はこの方に聞いているの」
「マックス様、よろしいでしょうか?」
「ああ、エルメライヒ公爵令嬢だ。失礼のないように自分の気持ちをお伝えしろ」
クルトが助けを求めるようにこちらを見つめてきたが、ここで俺がゲルハルディの名を出して強制的にこの話を終わらせてしまえば、こちらも権力をかさに着ていることになる。
面倒なことだとは思うが、クルト自身が自分の気持ちを伝えるしかない。
ま、俺にできることはクルトの選択を後押しすることと、後始末を請け負うことだな。
「エルメライヒ公爵令嬢。私のような非才な騎士にお声がけいただきありがとうございます。……ですが、私はゲルハルディ領の騎士です。エルメライヒ公爵令嬢の元に行くことは叶いません」
「私の婚約者になるのは嫌なの?」
「エルメライヒ公爵令嬢がお美しく、その婚約者になられる方はきっと幸せになることでしょう。ですが、私はゲルハルディ領に誓いを立てた騎士。守りたいものも、領地も、大事なものも、すべてゲルハルディ領にあるのです」
「マックス!」
「諦めてください、ローズマリー嬢。……これ以上なさるのなら、こちらもローズマリー嬢ではなく、エルメライヒ公爵令嬢とお呼びすることになります」
公爵令嬢と私の矜持が高すぎることと、世間を知らなすぎるところはあるものの、ローズマリー・フォン・エルメライヒはゲームのラスボス悪役令嬢ほどには傲慢ではない。
だからこそ、俺は友人になろうと思いローズマリー嬢と呼ぶことにしたが、これ以上権力を行使して誰かを困らせるのなら、友人になるという話もなしだ。
ただの伯爵令息、ただの公爵令嬢、そういう関係性として扱わざるを得なくなる。
「~~、レナ!」
「ローズマリー様、我儘を通されてクルトの将来を奪ってしまえば、後悔することになります。ここは引くのが良いかと」
「~~!!」
ローズマリー嬢はレナにも味方してもらえなかったことで、持ち歩いていた扇を強く握りしめてうつむいてしまった。
公爵令嬢として堂々とした振る舞いをしていたが、やはり7歳、感情のコントロールはまだまだのようだな。
「クルト、ローズマリー嬢に騎士団の見学をしてもらうつもりだったが、今日は体調が悪そうだ。皆にはいつも通り訓練に励むように伝えてくれ」
「はっ!」
とりあえず、クルトがここにいても話は進まないし、クルトも気まずいだろう。
今日の見学はキャンセルにして、ローズマリー嬢に現実を伝えるのを先にしよう。
「ローズマリー嬢、騎士団はいつでも見学できますので、本日のところは客室に戻り、私達とお茶をしましょう」
「……マックス。…………わかったわ、面倒をかけるわね」
「私たちは友人なのでしょう? 辛い思いをした時に寄り添うのも友人ですので」
「……ふふっ、お友達が出来るのは初めてですので、慰めてもらうのも初めてですわね」
「わ、私も友人としてローズマリー様に寄り添いますので」
「レナも、ありがとう」
多分、俺もレナに拒まれていたらこのくらい落ち込んでいたのだろう……そう思わせるほどにローズマリー嬢は落ち込んでいる。
ま、クルトに断らせた本人が慰めるのもどうかとは思うが、ローズマリー嬢の侍女たちだけにさせるのもどうかと思うし、お茶を飲みつつ話を聞くかな。
「ローズマリー嬢、クルトは物ではありません。下さいと言われて、そうホイホイとやってしまえば我が家は誰からも信頼されなくなってしまうでしょう」
「? 私は公爵令嬢よ? それでもダメなの?」
「はぁ……根本的に勘違いをしていますが、その辺を正すのは後でまとめてにしましょう。……クルトのことですが、彼には将来を誓い合った恋人がいるので引き抜きはダメです」
「「えっ!?」」
驚きの声を上げたのはクルトとレナだ。レナはクルトの恋人のことを知らなかったから、驚くのは無理ないが、なんでクルトが驚いているんだ?
「マ、マックス様! どうしてそれを!?」
「ん? 小隊の連中から聞いたぞ? 小隊長に恋人ができた~って」
「あ……あいつら!」
ん? なんかクルトが切れているが娯楽の少ない田舎の騎士団で、出世株の人間の色恋沙汰なんて噂になっていて当然だろ。
もちろん、父上にも母上にも報告済みで、相手の身辺調査も済んでいる。うんうん、クルトの選んだお嬢さんはゲルハルディ領への忠誠も篤い家の出身のようで非常に助かる。
「別れればいいじゃない? ねえ、貴方。貴方も公爵令嬢の婚約者になれたほうが幸せでしょう?」
「ローズマリー嬢、人の幸せはその人が決めるものです。権力をかさに着て、うんと言わせても後々につらくなるのは貴女ですよ」
「マックス、私はこの方に聞いているの」
「マックス様、よろしいでしょうか?」
「ああ、エルメライヒ公爵令嬢だ。失礼のないように自分の気持ちをお伝えしろ」
クルトが助けを求めるようにこちらを見つめてきたが、ここで俺がゲルハルディの名を出して強制的にこの話を終わらせてしまえば、こちらも権力をかさに着ていることになる。
面倒なことだとは思うが、クルト自身が自分の気持ちを伝えるしかない。
ま、俺にできることはクルトの選択を後押しすることと、後始末を請け負うことだな。
「エルメライヒ公爵令嬢。私のような非才な騎士にお声がけいただきありがとうございます。……ですが、私はゲルハルディ領の騎士です。エルメライヒ公爵令嬢の元に行くことは叶いません」
「私の婚約者になるのは嫌なの?」
「エルメライヒ公爵令嬢がお美しく、その婚約者になられる方はきっと幸せになることでしょう。ですが、私はゲルハルディ領に誓いを立てた騎士。守りたいものも、領地も、大事なものも、すべてゲルハルディ領にあるのです」
「マックス!」
「諦めてください、ローズマリー嬢。……これ以上なさるのなら、こちらもローズマリー嬢ではなく、エルメライヒ公爵令嬢とお呼びすることになります」
公爵令嬢と私の矜持が高すぎることと、世間を知らなすぎるところはあるものの、ローズマリー・フォン・エルメライヒはゲームのラスボス悪役令嬢ほどには傲慢ではない。
だからこそ、俺は友人になろうと思いローズマリー嬢と呼ぶことにしたが、これ以上権力を行使して誰かを困らせるのなら、友人になるという話もなしだ。
ただの伯爵令息、ただの公爵令嬢、そういう関係性として扱わざるを得なくなる。
「~~、レナ!」
「ローズマリー様、我儘を通されてクルトの将来を奪ってしまえば、後悔することになります。ここは引くのが良いかと」
「~~!!」
ローズマリー嬢はレナにも味方してもらえなかったことで、持ち歩いていた扇を強く握りしめてうつむいてしまった。
公爵令嬢として堂々とした振る舞いをしていたが、やはり7歳、感情のコントロールはまだまだのようだな。
「クルト、ローズマリー嬢に騎士団の見学をしてもらうつもりだったが、今日は体調が悪そうだ。皆にはいつも通り訓練に励むように伝えてくれ」
「はっ!」
とりあえず、クルトがここにいても話は進まないし、クルトも気まずいだろう。
今日の見学はキャンセルにして、ローズマリー嬢に現実を伝えるのを先にしよう。
「ローズマリー嬢、騎士団はいつでも見学できますので、本日のところは客室に戻り、私達とお茶をしましょう」
「……マックス。…………わかったわ、面倒をかけるわね」
「私たちは友人なのでしょう? 辛い思いをした時に寄り添うのも友人ですので」
「……ふふっ、お友達が出来るのは初めてですので、慰めてもらうのも初めてですわね」
「わ、私も友人としてローズマリー様に寄り添いますので」
「レナも、ありがとう」
多分、俺もレナに拒まれていたらこのくらい落ち込んでいたのだろう……そう思わせるほどにローズマリー嬢は落ち込んでいる。
ま、クルトに断らせた本人が慰めるのもどうかとは思うが、ローズマリー嬢の侍女たちだけにさせるのもどうかと思うし、お茶を飲みつつ話を聞くかな。
158
あなたにおすすめの小説
俺に王太子の側近なんて無理です!
クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。
そう、ここは剣と魔法の世界!
友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。
ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
【完結】魅了の魔法にかけられて全てを失った俺は、最強の魔法剣士になり時を巻き戻す
金峯蓮華
ファンタジー
戦に負け、国が滅び、俺ひとりだけ生き残った。愛する女を失い、俺は死に場所を求め、傭兵となり各地を漂っていた。そんな時、ある男に声をかけられた。
「よぉ、にいちゃん。お前、魅了魔法がかかってるぜ。それも強烈に強いヤツだ。解いてやろうか?」
魅了魔法? なんだそれは?
その男との出会いが俺の人生を変えた。俺は時間をもどし、未来を変える。
R15は死のシーンがあるための保険です。
独自の異世界の物語です。
兄がやらかしてくれました 何をやってくれてんの!?
志位斗 茂家波
ファンタジー
モッチ王国の第2王子であった僕は、将来の国王は兄になると思って、王弟となるための勉学に励んでいた。
そんなある日、兄の卒業式があり、祝うために家族の枠で出席したのだが‥‥‥婚約破棄?
え、なにをやってんの兄よ!?
…‥‥月に1度ぐらいでやりたくなる婚約破棄物。
今回は悪役令嬢でも、ヒロインでもない視点です。
※ご指摘により、少々追加ですが、名前の呼び方などの決まりはゆるめです。そのあたりは稚拙な部分もあるので、どうかご理解いただけるようにお願いしマス。
悪役令息の継母に転生したからには、息子を悪役になんてさせません!
水都(みなと)
ファンタジー
伯爵夫人であるロゼッタ・シルヴァリーは夫の死後、ここが前世で読んでいたラノベの世界だと気づく。
ロゼッタはラノベで悪役令息だったリゼルの継母だ。金と地位が目当てで結婚したロゼッタは、夫の連れ子であるリゼルに無関心だった。
しかし、前世ではリゼルは推しキャラ。リゼルが断罪されると思い出したロゼッタは、リゼルが悪役令息にならないよう母として奮闘していく。
★ファンタジー小説大賞エントリー中です。
※完結しました!
悪役令息に転生したけど、静かな老後を送りたい!
えながゆうき
ファンタジー
妹がやっていた乙女ゲームの世界に転生し、自分がゲームの中の悪役令息であり、魔王フラグ持ちであることに気がついたシリウス。しかし、乙女ゲームに興味がなかった事が仇となり、断片的にしかゲームの内容が分からない!わずかな記憶を頼りに魔王フラグをへし折って、静かな老後を送りたい!
剣と魔法のファンタジー世界で、精一杯、悪足搔きさせていただきます!
異世界に転生したので幸せに暮らします、多分
かのこkanoko
ファンタジー
物心ついたら、異世界に転生していた事を思い出した。
前世の分も幸せに暮らします!
平成30年3月26日完結しました。
番外編、書くかもです。
5月9日、番外編追加しました。
小説家になろう様でも公開してます。
エブリスタ様でも公開してます。
悪徳領主の息子に転生しました
アルト
ファンタジー
悪徳領主。その息子として現代っ子であった一人の青年が転生を果たす。
領民からは嫌われ、私腹を肥やす為にと過分過ぎる税を搾り取った結果、家の外に出た瞬間にその息子である『ナガレ』が領民にデカイ石を投げつけられ、意識不明の重体に。
そんな折に転生を果たすという不遇っぷり。
「ちょ、ま、死亡フラグ立ち過ぎだろおおおおお?!」
こんな状態ではいつ死ぬか分かったもんじゃない。
一刻も早い改善を……!と四苦八苦するも、転生前の人格からは末期過ぎる口調だけは受け継いでる始末。
これなんて無理ゲー??
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる