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幼少期
67 ゲルハルディ領へ向かう・後編(ローズマリー視点)
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「使者殿、お嬢様にはきちんと言い含めますので、ゲルハルディ伯爵様には使者殿の方から向かう旨をお伝え願えますか?」
「このまま、向かうつもりですか?」
「お嬢様の仰ることも尤もですので。ゲルハルディ伯爵領までは、あと数日。ここから引き返すことになると、私達も護衛も馬も保たないでしょう」
「……わかりました。受け入れてくださるかどうかはわかりませんが、お嬢様が向かう旨は誠心誠意、ゲルハルディ伯爵様へ奏上いたしましょう」
私が伝令と侍女の言葉に衝撃を受けて押し黙っていると、侍女と伝令の間で今後どうするかを決めてしまっていた。
2人の言い分から、私が間違っていたことは分かったけれど、どうすればいいかなんてわからず黙っていたのだけど、侍女の言葉を聞いてさらに衝撃を受けたわ。
そうよ。私は自分が辛いことばかり考えていたけれど、侍女たちも護衛も、馬だってここまで来るのに相当辛い思いをしているのよ。
どうして気づかなかったのかしら。お父様からは常々、上に立つものは下にいるものを常に気にかけなければならない。それが上に立つ者の責任というものだと教えられていたというのに。
この度は私の我儘から始まっているのだから、付き合ってくれている侍女や護衛達を守るのは私の責任。
だというのに……私はみんなに甘えて、旅に出たらどうなるかなんて何も考えていなかった。
「ロッテ、ごめんなさい。私の我儘でみんなにも辛い思いをさせているわよね」
「……お嬢様、私達はお嬢様のためにあるのです。謝罪は不要ですよ」
「でも!」
「お嬢様はまだまだ子供なのですから間違うことがあってもよいのです。……でも、次があったら私たちの言葉をもう少し聞き入れてくださると助かります。私たちは常にお嬢様のためを思っていますので」
私の専属侍女のロッテの言葉に、私はまた押し黙ってしまったわ。
そうよね。ここ最近はみんなの小言が増えていて嫌な気分になっていたけれど、みんなは私のためを思っていろいろ言ってくれていたのよね。
「ロッテ、私はこれからどうしたらいいと思う?」
「とりあえず、使者殿にはゲルハルディ家に向かっていただいたので、このままゲルハルディ家に向かうべきでしょう」
「そうよね、みんなも疲れているし、このまま向かうしかないわよね」
「先方の出方がわかりませんが、もし先方がお怒りになっていた場合には真摯に謝罪すべきでしょう」
「うん」
うん、それはわかる。お父様も公爵家としての矜持は大切にすべきだけど、謝罪すべき時にはためらいなく謝罪すべきと言っていたし。
「それと、ゲルハルディ家についても伯爵夫妻が傍にいてくださる保証はありません」
「公爵令嬢が訪れたのに?」
「王都周辺とは違い、辺境では領主夫妻にかかる仕事の量が多いと聞いております。あらかじめ来訪の報せを伝えていたのならともかく、このように急な訪問では都合がつかないことも考えられます」
「……そうなの」
全然考えていなかったわ。言い訳をするわけではないけれど、公爵領にある伯爵家に行くと家を上げて歓待してくれて、伯爵が治める街の案内も伯爵自身がしてくださるの。
だから、公爵令嬢である私が訪れれば、誰もが率先して案内してくれるものだと思っていたわ。
「ですから、伯爵夫妻が案内できないと言われても怒りをあらわにしてはなりません。失礼なことをしているのはこちらなのですから」
「……そうね、わかったわ」
「最低でも1週間お世話になれれば、こちらも疲れも癒えるので公爵領に帰れるでしょう」
そうよね。みんなの疲れが癒えるまではお世話にならなければならないのだし、あんまり尊大な態度をとって相手をを怒らせたらだめよね。
怒らないように、相手を怒らせないように、無難に過ごしてみせましょう……まあ、経験がないから自信はないけれど。
「あの伝令もまた会ったら労わないとね」
「そうですね。おそらく公爵領に帰るときに遭遇するでしょう。その時には労って差し上げてください」
「そうね」
「はい」
ロッテとの会話はそれっきり終わってしまった、というか、馬車が動き出して揺れが激しくなってきたのでそれ以上は会話が続けられなかった。
でも、そうよね。あの伝令もお父様も私のことを心配してくださっていたのに、そのことを不快に思うだなんて失礼よね。
次に会ったらきちんと労ってあげないと。
「このまま、向かうつもりですか?」
「お嬢様の仰ることも尤もですので。ゲルハルディ伯爵領までは、あと数日。ここから引き返すことになると、私達も護衛も馬も保たないでしょう」
「……わかりました。受け入れてくださるかどうかはわかりませんが、お嬢様が向かう旨は誠心誠意、ゲルハルディ伯爵様へ奏上いたしましょう」
私が伝令と侍女の言葉に衝撃を受けて押し黙っていると、侍女と伝令の間で今後どうするかを決めてしまっていた。
2人の言い分から、私が間違っていたことは分かったけれど、どうすればいいかなんてわからず黙っていたのだけど、侍女の言葉を聞いてさらに衝撃を受けたわ。
そうよ。私は自分が辛いことばかり考えていたけれど、侍女たちも護衛も、馬だってここまで来るのに相当辛い思いをしているのよ。
どうして気づかなかったのかしら。お父様からは常々、上に立つものは下にいるものを常に気にかけなければならない。それが上に立つ者の責任というものだと教えられていたというのに。
この度は私の我儘から始まっているのだから、付き合ってくれている侍女や護衛達を守るのは私の責任。
だというのに……私はみんなに甘えて、旅に出たらどうなるかなんて何も考えていなかった。
「ロッテ、ごめんなさい。私の我儘でみんなにも辛い思いをさせているわよね」
「……お嬢様、私達はお嬢様のためにあるのです。謝罪は不要ですよ」
「でも!」
「お嬢様はまだまだ子供なのですから間違うことがあってもよいのです。……でも、次があったら私たちの言葉をもう少し聞き入れてくださると助かります。私たちは常にお嬢様のためを思っていますので」
私の専属侍女のロッテの言葉に、私はまた押し黙ってしまったわ。
そうよね。ここ最近はみんなの小言が増えていて嫌な気分になっていたけれど、みんなは私のためを思っていろいろ言ってくれていたのよね。
「ロッテ、私はこれからどうしたらいいと思う?」
「とりあえず、使者殿にはゲルハルディ家に向かっていただいたので、このままゲルハルディ家に向かうべきでしょう」
「そうよね、みんなも疲れているし、このまま向かうしかないわよね」
「先方の出方がわかりませんが、もし先方がお怒りになっていた場合には真摯に謝罪すべきでしょう」
「うん」
うん、それはわかる。お父様も公爵家としての矜持は大切にすべきだけど、謝罪すべき時にはためらいなく謝罪すべきと言っていたし。
「それと、ゲルハルディ家についても伯爵夫妻が傍にいてくださる保証はありません」
「公爵令嬢が訪れたのに?」
「王都周辺とは違い、辺境では領主夫妻にかかる仕事の量が多いと聞いております。あらかじめ来訪の報せを伝えていたのならともかく、このように急な訪問では都合がつかないことも考えられます」
「……そうなの」
全然考えていなかったわ。言い訳をするわけではないけれど、公爵領にある伯爵家に行くと家を上げて歓待してくれて、伯爵が治める街の案内も伯爵自身がしてくださるの。
だから、公爵令嬢である私が訪れれば、誰もが率先して案内してくれるものだと思っていたわ。
「ですから、伯爵夫妻が案内できないと言われても怒りをあらわにしてはなりません。失礼なことをしているのはこちらなのですから」
「……そうね、わかったわ」
「最低でも1週間お世話になれれば、こちらも疲れも癒えるので公爵領に帰れるでしょう」
そうよね。みんなの疲れが癒えるまではお世話にならなければならないのだし、あんまり尊大な態度をとって相手をを怒らせたらだめよね。
怒らないように、相手を怒らせないように、無難に過ごしてみせましょう……まあ、経験がないから自信はないけれど。
「あの伝令もまた会ったら労わないとね」
「そうですね。おそらく公爵領に帰るときに遭遇するでしょう。その時には労って差し上げてください」
「そうね」
「はい」
ロッテとの会話はそれっきり終わってしまった、というか、馬車が動き出して揺れが激しくなってきたのでそれ以上は会話が続けられなかった。
でも、そうよね。あの伝令もお父様も私のことを心配してくださっていたのに、そのことを不快に思うだなんて失礼よね。
次に会ったらきちんと労ってあげないと。
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