気づいたら美少女ゲーの悪役令息に転生していたのでサブヒロインを救うのに人生を賭けることにした

高坂ナツキ

文字の大きさ
93 / 140
幼少期

93 試食

しおりを挟む
「おおっ! 米、味噌、醤油!」

 ああ、夢にまで見た……いや、別にみてないが、和食が作れそうだな。
 ゴールディの特使団には代わりの食料を渡すということで、船に積んである食料の中から米も一部提供してもらった。
 俺は米の美味さを知っているが、美味いかどうかもわからんものを栽培しろと言われても、本気になる人間は少ないからな。

『マックス殿、こちらが米に合う調味料で、味噌と醤油です』

『固体と液体でちがうのですね。独特のにおいがしますが』

『加熱すると匂いも和らぐので、わが国ではスープにしたり野菜を煮たりといった場面で使われることが多いですね』

『なるほど。ソウタ殿の見せてくれた米という穀物といい、知らない調味料でワクワクしますね』

 知らない体で話を合わせているが、みそ汁や煮物なら確かに味噌や醤油が必須だろうな。
 本当は日本酒や米酢なんかも欲しいところだが、どうやら船にはその辺は積んでいないらしい。
 ま、特使であるソウタ殿が13歳くらいだし、酒関連は積まなかったんだろう。

「マックス、取り急ぎジャンバリ語を話せる人間と、小麦粉、ウイスキー、ピクルスなんかの保存のきく食料を持ってきたわよ」

「おおっ、ありがとうユリア姉さん。新しい食料を貰ったけど、取り急ぎ代わりの食料が必要だったから助かるよ」

「まったく……で、そのコメとやらは美味しいんでしょうね?」

「人の味覚はそれぞれだから確約はできないけど、向こうじゃ主食として食べられてるって話だし、美味しいと思うよ」

「ま、主食になるくらいなら、こっちで麦が不作の時には救荒作物になるかもしれないしね」

「坊ちゃん、ユリア様も、向こうの料理人と協力して、料理がいくつかできましたぜ」

「料理長、ありがとう」

 ヨーゼフと一緒にきた料理人がだれか気になってたけど、どうも料理長がやってきてたらしい。
 ま、他国の要人を歓待するなら料理長クラスの腕が必要だけど、料理長もフットワークが軽いよね。

『ソウタ殿、料理が完成しましたので一緒に食べましょう。そちらの皿に乗っているのが、お好み焼きとパンケーキです。お好み焼きにはこちらの国の調味料をかけ、パンケーキにはハムとチーズを入れてあります』

『小麦粉でこのような料理が……。お恥ずかしながら、小麦粉といえば麺や饅頭くらいしか使ったことがなくて』

『そちらの料理人にカトラリー……箸でしたか、そちらも用意させましたので好きに食べてみてください』

『ありがとうございます』

「で、こっち側は、皿に盛ってあるのが米ね。あとはスープが味噌っていう固体調味料を使ってて、野菜は醤油って調味料で味付けしてあるよ」

「ほほう。麦とは違って粉にはしないのだな」

「オートミールとは違って、べちゃべちゃにはなってないんですね」

「ふうん、野菜もスープも独特のにおいがするわね」

 臨席してるのは爺様にレナ、それについたばかりのユリア叔母さんだ。
 ま、特使と一緒の席に座るってなると貴族か、それなりの教育を受けてないと難しいってことだな。

「ふむ……米は単体で食べると味気ない感じがするが、スープや野菜が濃い目だから一緒に食べると合うか」

「頼りない食べ応えだの」

「思ったよりもお腹にたまりますね」

「うん、スープや野菜は匂いになれれば美味しいわね。調味料は売れそう」

『ソウタ殿達はどうですか?』

『マックス殿、すごいですよ! 小麦粉で作った料理なのに美味しいです! 特にこのお好み焼きというのものにかかっている調味料……欲しいですね』

『ソースですね。こちらの国ではスープに入れたり揚げ物にかけたりもする万能調味料ですよ。販売品の中にソースも入れておきますね』

 ヴァイセンベルク王国ではウスターソースと中濃ソース、どちらも作っているが特に区分けはされてなくてソースで統一されている。
 使い分けるときはサラッとしてるのとか、ドロッとしてるのとか言い分けている感じだ。
 ま、慣れれば不便でもないしな。

『パンケーキの方はどうです?』

『こちらも美味しいです。ただ、ハムやチーズがそこまで備蓄がないので……』

『こちらでは目玉焼きやベーコンを乗せることも多いですね。ま、工夫次第で色々使えますから』

『そう……ですね。国に帰ったら魚や野菜で試してみます』

 ちなみに、今回教えたのは食事用のパンケーキで砂糖はほとんど使っていない。
 ま、前世のホットケーキに比べたらって話で、若干は使っているから交易品の中には砂糖も入れてある。
 南大陸からの横流しにはなるが、南大陸側もウチの国との交易品を他の国に流しているからお互い様だろう。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

俺に王太子の側近なんて無理です!

クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。 そう、ここは剣と魔法の世界! 友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。 ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

【完結】魅了の魔法にかけられて全てを失った俺は、最強の魔法剣士になり時を巻き戻す

金峯蓮華
ファンタジー
戦に負け、国が滅び、俺ひとりだけ生き残った。愛する女を失い、俺は死に場所を求め、傭兵となり各地を漂っていた。そんな時、ある男に声をかけられた。 「よぉ、にいちゃん。お前、魅了魔法がかかってるぜ。それも強烈に強いヤツだ。解いてやろうか?」 魅了魔法? なんだそれは? その男との出会いが俺の人生を変えた。俺は時間をもどし、未来を変える。 R15は死のシーンがあるための保険です。 独自の異世界の物語です。

兄がやらかしてくれました 何をやってくれてんの!?

志位斗 茂家波
ファンタジー
モッチ王国の第2王子であった僕は、将来の国王は兄になると思って、王弟となるための勉学に励んでいた。 そんなある日、兄の卒業式があり、祝うために家族の枠で出席したのだが‥‥‥婚約破棄? え、なにをやってんの兄よ!? …‥‥月に1度ぐらいでやりたくなる婚約破棄物。 今回は悪役令嬢でも、ヒロインでもない視点です。 ※ご指摘により、少々追加ですが、名前の呼び方などの決まりはゆるめです。そのあたりは稚拙な部分もあるので、どうかご理解いただけるようにお願いしマス。

悪役令息の継母に転生したからには、息子を悪役になんてさせません!

水都(みなと)
ファンタジー
伯爵夫人であるロゼッタ・シルヴァリーは夫の死後、ここが前世で読んでいたラノベの世界だと気づく。 ロゼッタはラノベで悪役令息だったリゼルの継母だ。金と地位が目当てで結婚したロゼッタは、夫の連れ子であるリゼルに無関心だった。 しかし、前世ではリゼルは推しキャラ。リゼルが断罪されると思い出したロゼッタは、リゼルが悪役令息にならないよう母として奮闘していく。 ★ファンタジー小説大賞エントリー中です。 ※完結しました!

悪役令息に転生したけど、静かな老後を送りたい!

えながゆうき
ファンタジー
 妹がやっていた乙女ゲームの世界に転生し、自分がゲームの中の悪役令息であり、魔王フラグ持ちであることに気がついたシリウス。しかし、乙女ゲームに興味がなかった事が仇となり、断片的にしかゲームの内容が分からない!わずかな記憶を頼りに魔王フラグをへし折って、静かな老後を送りたい!  剣と魔法のファンタジー世界で、精一杯、悪足搔きさせていただきます!

異世界に転生したので幸せに暮らします、多分

かのこkanoko
ファンタジー
物心ついたら、異世界に転生していた事を思い出した。 前世の分も幸せに暮らします! 平成30年3月26日完結しました。 番外編、書くかもです。 5月9日、番外編追加しました。 小説家になろう様でも公開してます。 エブリスタ様でも公開してます。

悪徳領主の息子に転生しました

アルト
ファンタジー
 悪徳領主。その息子として現代っ子であった一人の青年が転生を果たす。  領民からは嫌われ、私腹を肥やす為にと過分過ぎる税を搾り取った結果、家の外に出た瞬間にその息子である『ナガレ』が領民にデカイ石を投げつけられ、意識不明の重体に。  そんな折に転生を果たすという不遇っぷり。 「ちょ、ま、死亡フラグ立ち過ぎだろおおおおお?!」  こんな状態ではいつ死ぬか分かったもんじゃない。  一刻も早い改善を……!と四苦八苦するも、転生前の人格からは末期過ぎる口調だけは受け継いでる始末。  これなんて無理ゲー??

処理中です...