98 / 140
幼少期
98 ゲルハルディ領への帰還
しおりを挟む
「あー、やっと家に帰れる」
爺様は後始末があるらしくメーリング領に残ったが、俺とレナ、それにメーリング領から預かる若手20人、あと護衛を務めてくれていた騎士たちはゲルハルディ領に帰ることになった。
道中、事情を伝えるためにカレンベルク、エンケ、バルディ、ヒッペの各領に寄ったので、結局なんだかんだで旅を始めてから1年が経過してしまった。
ま、予定通りといえば予定通りで、俺は8歳の間ゲルハルディ領で全く過ごすことが出来なかったというわけだ。
「マックス様、これだけの人数を急に連れて帰ったらお義父様とお義母様が驚きませんか?」
「爺様が連絡を入れているはずだし、こっちからも定期連絡は送ってるから大丈夫……だと思う」
この世界の連絡方法は単純で、町と町を行き来する商人や冒険者、あるいは騎士に手紙を託すことなんだが、当然ながら移動中の人間には連絡が取れない。
バルディ領から連絡にきた騎士が俺たちと落ち合えたのは奇跡に近い確率で、他の主要街道にも騎士を派遣していたからこそ連絡が取れたというわけだ。
流石にゲルハルディ領から俺たち宛てにそれだけの騎士を派遣できるわけもなく、こちらから連絡はしているものの向こうからの連絡はないという状況だな。
「……あれ? 坊ちゃん?」
「あ、本当だ。マックス様、いつの間に帰ってきたんですか!?」
「ああ、今帰ってきたところだよ」
「領主様や騎士様から旅に出たって聞いたけど帰ってきたんですね?」
「あ、領主様たちに伝えてきますよっ!」
前回の旅の焼き直しというか、ゲルハルディ家が治める街に入ると住民たちが俺たちを取り囲んで、一部の有志が館まで伝令に出てくれるらしい。
父上や母上も出迎えの準備があるし、住民たちに挨拶をしつつ、ゆっくりと帰還することにするか。
正直な話としては野宿も多かったし、早く館でゆっくりしたいんだが、住民たちの歓迎を無下にするのもなんだしな。
「マックス様ー、お土産はー?」
「あ? 土産? なんかあったかな?」
子供たち……といっても俺やレナとそう年齢は変わらないが……が絡んでくるが、今回の旅の目的は俺の顔見せだから、土産とかは考えてないんだよな。
旅の途中で入手した品物といえば、ヒッペ領の新しいビールやゴールディ国からの輸入品があるが、どちらも数が少ないからなぁ。
「こら、あんたたち! 坊ちゃんは遊びに行ってたわけじゃないんだからねっ!」
「そうだ! 無事の帰還を祝う時に土産をねだるなんて卑しいぞ!」
「まあまあ、今回の旅で新しく得られたものもある。まだまだ数が少ないから直ぐにとはいかないがこの街でもそのうち食べられるようになるぞ」
「食べられるって食べ物?」
「おかし?」
「ヒッペ領では新しいビールが出来ていた。その他にも海の外から布や食品がやってきている」
「おおっ、新しいビール!」
「ちぇっ、お酒かぁ」
大人と子供で反応が違うのは仕方がないな。ヴァイセンベルク王国では18歳で成人とみなされるが、飲酒自体は15歳から可能だ。
だからまあ、15歳以上ならビールに反応するが、それ以下の子供たちには何の土産にもならないからな。
「海外からの食品に関しては輸入物であるが、カレンベルク領での栽培も視野に入れているから、落ち着いて待つように」
「「はいっ」」
他の領ならともかく、ゲルハルディ領では友好領から王都に物を運ぶことも多く、新商品に立ち会うことも多い。
輸入品など数が少ないものは領主館で品定め、その後王都に送られ、最後に街から町、村に送られると知っているから混乱は少ない。
まあ、一部の酒好きは新しいビールって話からどんな味なのかや、つまみを何にするかで盛り上がっているがな。
領民たちの歓迎を受けつつ、領主館へと向かうが、俺やレナ、騎士たちはこういうムードに慣れているが、メーリング領の若手たちは戸惑っているようだ。
あんまり悪く言いたくはないが、メーリング領では領主一族が王のようにふるまい、それ以外は下賤の民と扱われているらしかった。
だから、領主一族が街を歩けば領民はひれ伏すのが日常で、こういう風に街を上げて歓迎する光景は信じられないのだろう。
「父上、母上、ただいま戻りました」
「無事に戻ってなによりだ。マックスには話したいことがあるから後で応接室に来るように」
「マックス! またやってくれましたね!」
おかしい。かわいい息子が無事に旅から戻ってきたというのに、父上も母上もお冠だ。
ま、原因は分かっている。ダンジョン攻略に続いて、またしても俺が旅に出た時に問題を起こしたからだろう。
だが、一応言い訳を言うならダンジョン攻略は俺のやらかしだが、今回のことは南大陸が攻めてきただけで、俺は巻き込まれただけなんだがな。
爺様は後始末があるらしくメーリング領に残ったが、俺とレナ、それにメーリング領から預かる若手20人、あと護衛を務めてくれていた騎士たちはゲルハルディ領に帰ることになった。
道中、事情を伝えるためにカレンベルク、エンケ、バルディ、ヒッペの各領に寄ったので、結局なんだかんだで旅を始めてから1年が経過してしまった。
ま、予定通りといえば予定通りで、俺は8歳の間ゲルハルディ領で全く過ごすことが出来なかったというわけだ。
「マックス様、これだけの人数を急に連れて帰ったらお義父様とお義母様が驚きませんか?」
「爺様が連絡を入れているはずだし、こっちからも定期連絡は送ってるから大丈夫……だと思う」
この世界の連絡方法は単純で、町と町を行き来する商人や冒険者、あるいは騎士に手紙を託すことなんだが、当然ながら移動中の人間には連絡が取れない。
バルディ領から連絡にきた騎士が俺たちと落ち合えたのは奇跡に近い確率で、他の主要街道にも騎士を派遣していたからこそ連絡が取れたというわけだ。
流石にゲルハルディ領から俺たち宛てにそれだけの騎士を派遣できるわけもなく、こちらから連絡はしているものの向こうからの連絡はないという状況だな。
「……あれ? 坊ちゃん?」
「あ、本当だ。マックス様、いつの間に帰ってきたんですか!?」
「ああ、今帰ってきたところだよ」
「領主様や騎士様から旅に出たって聞いたけど帰ってきたんですね?」
「あ、領主様たちに伝えてきますよっ!」
前回の旅の焼き直しというか、ゲルハルディ家が治める街に入ると住民たちが俺たちを取り囲んで、一部の有志が館まで伝令に出てくれるらしい。
父上や母上も出迎えの準備があるし、住民たちに挨拶をしつつ、ゆっくりと帰還することにするか。
正直な話としては野宿も多かったし、早く館でゆっくりしたいんだが、住民たちの歓迎を無下にするのもなんだしな。
「マックス様ー、お土産はー?」
「あ? 土産? なんかあったかな?」
子供たち……といっても俺やレナとそう年齢は変わらないが……が絡んでくるが、今回の旅の目的は俺の顔見せだから、土産とかは考えてないんだよな。
旅の途中で入手した品物といえば、ヒッペ領の新しいビールやゴールディ国からの輸入品があるが、どちらも数が少ないからなぁ。
「こら、あんたたち! 坊ちゃんは遊びに行ってたわけじゃないんだからねっ!」
「そうだ! 無事の帰還を祝う時に土産をねだるなんて卑しいぞ!」
「まあまあ、今回の旅で新しく得られたものもある。まだまだ数が少ないから直ぐにとはいかないがこの街でもそのうち食べられるようになるぞ」
「食べられるって食べ物?」
「おかし?」
「ヒッペ領では新しいビールが出来ていた。その他にも海の外から布や食品がやってきている」
「おおっ、新しいビール!」
「ちぇっ、お酒かぁ」
大人と子供で反応が違うのは仕方がないな。ヴァイセンベルク王国では18歳で成人とみなされるが、飲酒自体は15歳から可能だ。
だからまあ、15歳以上ならビールに反応するが、それ以下の子供たちには何の土産にもならないからな。
「海外からの食品に関しては輸入物であるが、カレンベルク領での栽培も視野に入れているから、落ち着いて待つように」
「「はいっ」」
他の領ならともかく、ゲルハルディ領では友好領から王都に物を運ぶことも多く、新商品に立ち会うことも多い。
輸入品など数が少ないものは領主館で品定め、その後王都に送られ、最後に街から町、村に送られると知っているから混乱は少ない。
まあ、一部の酒好きは新しいビールって話からどんな味なのかや、つまみを何にするかで盛り上がっているがな。
領民たちの歓迎を受けつつ、領主館へと向かうが、俺やレナ、騎士たちはこういうムードに慣れているが、メーリング領の若手たちは戸惑っているようだ。
あんまり悪く言いたくはないが、メーリング領では領主一族が王のようにふるまい、それ以外は下賤の民と扱われているらしかった。
だから、領主一族が街を歩けば領民はひれ伏すのが日常で、こういう風に街を上げて歓迎する光景は信じられないのだろう。
「父上、母上、ただいま戻りました」
「無事に戻ってなによりだ。マックスには話したいことがあるから後で応接室に来るように」
「マックス! またやってくれましたね!」
おかしい。かわいい息子が無事に旅から戻ってきたというのに、父上も母上もお冠だ。
ま、原因は分かっている。ダンジョン攻略に続いて、またしても俺が旅に出た時に問題を起こしたからだろう。
だが、一応言い訳を言うならダンジョン攻略は俺のやらかしだが、今回のことは南大陸が攻めてきただけで、俺は巻き込まれただけなんだがな。
127
あなたにおすすめの小説
俺に王太子の側近なんて無理です!
クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。
そう、ここは剣と魔法の世界!
友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。
ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
【完結】魅了の魔法にかけられて全てを失った俺は、最強の魔法剣士になり時を巻き戻す
金峯蓮華
ファンタジー
戦に負け、国が滅び、俺ひとりだけ生き残った。愛する女を失い、俺は死に場所を求め、傭兵となり各地を漂っていた。そんな時、ある男に声をかけられた。
「よぉ、にいちゃん。お前、魅了魔法がかかってるぜ。それも強烈に強いヤツだ。解いてやろうか?」
魅了魔法? なんだそれは?
その男との出会いが俺の人生を変えた。俺は時間をもどし、未来を変える。
R15は死のシーンがあるための保険です。
独自の異世界の物語です。
兄がやらかしてくれました 何をやってくれてんの!?
志位斗 茂家波
ファンタジー
モッチ王国の第2王子であった僕は、将来の国王は兄になると思って、王弟となるための勉学に励んでいた。
そんなある日、兄の卒業式があり、祝うために家族の枠で出席したのだが‥‥‥婚約破棄?
え、なにをやってんの兄よ!?
…‥‥月に1度ぐらいでやりたくなる婚約破棄物。
今回は悪役令嬢でも、ヒロインでもない視点です。
※ご指摘により、少々追加ですが、名前の呼び方などの決まりはゆるめです。そのあたりは稚拙な部分もあるので、どうかご理解いただけるようにお願いしマス。
悪役令息の継母に転生したからには、息子を悪役になんてさせません!
水都(みなと)
ファンタジー
伯爵夫人であるロゼッタ・シルヴァリーは夫の死後、ここが前世で読んでいたラノベの世界だと気づく。
ロゼッタはラノベで悪役令息だったリゼルの継母だ。金と地位が目当てで結婚したロゼッタは、夫の連れ子であるリゼルに無関心だった。
しかし、前世ではリゼルは推しキャラ。リゼルが断罪されると思い出したロゼッタは、リゼルが悪役令息にならないよう母として奮闘していく。
★ファンタジー小説大賞エントリー中です。
※完結しました!
悪役令息に転生したけど、静かな老後を送りたい!
えながゆうき
ファンタジー
妹がやっていた乙女ゲームの世界に転生し、自分がゲームの中の悪役令息であり、魔王フラグ持ちであることに気がついたシリウス。しかし、乙女ゲームに興味がなかった事が仇となり、断片的にしかゲームの内容が分からない!わずかな記憶を頼りに魔王フラグをへし折って、静かな老後を送りたい!
剣と魔法のファンタジー世界で、精一杯、悪足搔きさせていただきます!
異世界に転生したので幸せに暮らします、多分
かのこkanoko
ファンタジー
物心ついたら、異世界に転生していた事を思い出した。
前世の分も幸せに暮らします!
平成30年3月26日完結しました。
番外編、書くかもです。
5月9日、番外編追加しました。
小説家になろう様でも公開してます。
エブリスタ様でも公開してます。
悪徳領主の息子に転生しました
アルト
ファンタジー
悪徳領主。その息子として現代っ子であった一人の青年が転生を果たす。
領民からは嫌われ、私腹を肥やす為にと過分過ぎる税を搾り取った結果、家の外に出た瞬間にその息子である『ナガレ』が領民にデカイ石を投げつけられ、意識不明の重体に。
そんな折に転生を果たすという不遇っぷり。
「ちょ、ま、死亡フラグ立ち過ぎだろおおおおお?!」
こんな状態ではいつ死ぬか分かったもんじゃない。
一刻も早い改善を……!と四苦八苦するも、転生前の人格からは末期過ぎる口調だけは受け継いでる始末。
これなんて無理ゲー??
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる