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幼少期
99 父上と母上との話し合い
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「で、何がどうなって陛下から手紙が来ることになったんだ?」
応接室へと入り、父上と母上の正面に座るとおもむろに父上が切り出した。
「父上にもお伝えしましたが、バルディ領に南大陸からの侵略者がやってきたので、それを撃退したまでです」
「はぁ……バルディ領を守ったことは素晴らしい、見事だ。……だが、なぜ私に辺境伯になれと言われる?」
「それは父上が現伯爵だからでしょう。伯爵家の人間が功を成せば、それは伯爵の功績となりますゆえ」
「息子の功績で陞爵しろと? くだらん」
「それを決めるのは私ではなく、陛下ですので」
父上が俺に文句を言ってくるが、お門違いだし俺に言われても困る。
俺としても辺境伯になるなんて思ってなかったし、そもそもこんなに早く陞爵の手紙が届くなんてわかるはずがない。
というか、陛下は父上に辺境伯になるように言っているのか……これは、継承までは辺境伯子息で通じるか?
継承時期ならバルディ家も伯爵位になっているし、そしたら伯爵令嬢になったレナと結婚すればいいわけだ。
「……マックス。我が家の継承の仕方は知っているな?」
「爵位の継承ですか? 候補者が十分に爵位を継げると当代が判断したら……ですよね?」
「そうだ。今回の件で領地の防衛力、対応力、判断力、全てにおいて爵位を継ぐに値すると判断する」
「は!?」
「もちろん成人するまでは私やペトラが補佐を行う。故に、この時よりお前が伯爵だ」
「父上!! 自分が辺境伯になりたくないからって!」
「当り前だっ! ただでさえ陛下に呼び出されるというのに、辺境伯同士の話し合いなどに参加したら領地にほとんどいられないではないかっ!」
「父上がいなくとも、爺様が周辺領を見回ってくださっているので問題はありませんよ」
「体が鈍る!」
「鈍っているくらいがちょうどいいのでは?」
父上が情けないことを言っているが、ゲルハルディ領が辺境伯領になれば周辺の友好領……少なくともバルディ、カレンベルク、ヒッペ、エンケは傘下に置かれる。
現在では領境の街道には関が置かれて審査が入るわけだが、傘下に置かれればまとめてゲルハルディ辺境伯領となるので騎士団はフリーパスで通れるようになる。
それだけでも手間は減るし、俺や爺様が居れば正直父上は王都に出ずっぱりでも問題はない。……どうせ領主としての仕事も母上がしているし。
「マックス。領主としての仕事をしているものとしても、マックスが初代辺境伯になるのが良いと思いますよ」
「ペトラ! そうだよな!」
「貴方は黙っててください」
母上のフォローに父上が喜ぶが、その母上自身に一蹴されるという珍事が起きている。
「母上、なぜ私が初代のほうがよいのですか?」
「信頼度の違いです。ゲルハルディ領内、あるいは友好領はなんとかなりますが、王都や中央に対しては功績を上げた本人が辺境伯となる方が印象が良いでしょう」
「まだ8歳……いや、9歳なんですが?」
そうだそうだ。旅に出てからちょうど1年が経っているから、俺も9歳になってるんだった。
「陛下も貴族学園在学中に王位に就いています。それ以外にも様々な事情で成人より前に爵位を継ぐこともあります」
「それはそうですが……」
それにしたって9歳での爵位継承は異常では? しかも、父上も母上も健在なんですが?
「と・に・か・く! マックスが初代辺境伯。これは譲れません」
ふむ、領主としての仕事を一任されている母上が言うならその方が良いんだろうけど。
なんか、母上の顔が女になってるのが気になるんだよな。まさかとは思うが、未だにラブラブだからって父上が辺境伯になったら会えなくなるのが寂しい……とかじゃないよな?
「……父上、母上。そこまで言うのなら、初代辺境伯となるのもやぶさかではありません」
「うむ!」
「ホッとしましたよ」
まあ、俺の身から出た錆というか……破滅回避のために行動した結果だからな、仕方がないか。
「ですが! 条件があります!」
「む?」
「まずは私とレナの婚姻についてです。辺境伯となれば男爵令嬢のレナとの婚約は継続できないでしょう」
「それならば、心配は無用ですよ、マックス。お義父様からの手紙で、仮婚姻式の準備は済んでいますからね」
おおっ! 流石は母上。俺の心配を察知して、婚姻の準備を進めてくれていたのか……いや、待てよ。ってことは、母上の中では俺が辺境伯になるのは確定だったってこと?
まあ、いいか。
「次に正式に辺境伯となるのは成人以後ということです。辺境伯同士の会合には出ますが、父上や母上も隠居できるとは思わないでください」
「まあ、それはわかっておるよ」
「最後に……私が成人するまでに死んだ場合はアンナを次期辺境伯に……それとレナの身柄の安全もお願いします」
「マックス、それは!」
「父上もわかっているでしょう? 辺境伯になれば悪意にさらされる。私としても自身の命を軽んじるつもりはありませんが、何が起こるかわかりません」
なにより、貴族学園に入学すればゲームの主人公やヒロインたちと嫌でもかかわることになる。
悪役令息となり破滅する未来は回避できているつもりでいるが、本当にそうならないという保証は今のところ全くないからな。
「……わかった。ゲルハルディ伯爵として、マックスの父として確かに請け負った」
応接室へと入り、父上と母上の正面に座るとおもむろに父上が切り出した。
「父上にもお伝えしましたが、バルディ領に南大陸からの侵略者がやってきたので、それを撃退したまでです」
「はぁ……バルディ領を守ったことは素晴らしい、見事だ。……だが、なぜ私に辺境伯になれと言われる?」
「それは父上が現伯爵だからでしょう。伯爵家の人間が功を成せば、それは伯爵の功績となりますゆえ」
「息子の功績で陞爵しろと? くだらん」
「それを決めるのは私ではなく、陛下ですので」
父上が俺に文句を言ってくるが、お門違いだし俺に言われても困る。
俺としても辺境伯になるなんて思ってなかったし、そもそもこんなに早く陞爵の手紙が届くなんてわかるはずがない。
というか、陛下は父上に辺境伯になるように言っているのか……これは、継承までは辺境伯子息で通じるか?
継承時期ならバルディ家も伯爵位になっているし、そしたら伯爵令嬢になったレナと結婚すればいいわけだ。
「……マックス。我が家の継承の仕方は知っているな?」
「爵位の継承ですか? 候補者が十分に爵位を継げると当代が判断したら……ですよね?」
「そうだ。今回の件で領地の防衛力、対応力、判断力、全てにおいて爵位を継ぐに値すると判断する」
「は!?」
「もちろん成人するまでは私やペトラが補佐を行う。故に、この時よりお前が伯爵だ」
「父上!! 自分が辺境伯になりたくないからって!」
「当り前だっ! ただでさえ陛下に呼び出されるというのに、辺境伯同士の話し合いなどに参加したら領地にほとんどいられないではないかっ!」
「父上がいなくとも、爺様が周辺領を見回ってくださっているので問題はありませんよ」
「体が鈍る!」
「鈍っているくらいがちょうどいいのでは?」
父上が情けないことを言っているが、ゲルハルディ領が辺境伯領になれば周辺の友好領……少なくともバルディ、カレンベルク、ヒッペ、エンケは傘下に置かれる。
現在では領境の街道には関が置かれて審査が入るわけだが、傘下に置かれればまとめてゲルハルディ辺境伯領となるので騎士団はフリーパスで通れるようになる。
それだけでも手間は減るし、俺や爺様が居れば正直父上は王都に出ずっぱりでも問題はない。……どうせ領主としての仕事も母上がしているし。
「マックス。領主としての仕事をしているものとしても、マックスが初代辺境伯になるのが良いと思いますよ」
「ペトラ! そうだよな!」
「貴方は黙っててください」
母上のフォローに父上が喜ぶが、その母上自身に一蹴されるという珍事が起きている。
「母上、なぜ私が初代のほうがよいのですか?」
「信頼度の違いです。ゲルハルディ領内、あるいは友好領はなんとかなりますが、王都や中央に対しては功績を上げた本人が辺境伯となる方が印象が良いでしょう」
「まだ8歳……いや、9歳なんですが?」
そうだそうだ。旅に出てからちょうど1年が経っているから、俺も9歳になってるんだった。
「陛下も貴族学園在学中に王位に就いています。それ以外にも様々な事情で成人より前に爵位を継ぐこともあります」
「それはそうですが……」
それにしたって9歳での爵位継承は異常では? しかも、父上も母上も健在なんですが?
「と・に・か・く! マックスが初代辺境伯。これは譲れません」
ふむ、領主としての仕事を一任されている母上が言うならその方が良いんだろうけど。
なんか、母上の顔が女になってるのが気になるんだよな。まさかとは思うが、未だにラブラブだからって父上が辺境伯になったら会えなくなるのが寂しい……とかじゃないよな?
「……父上、母上。そこまで言うのなら、初代辺境伯となるのもやぶさかではありません」
「うむ!」
「ホッとしましたよ」
まあ、俺の身から出た錆というか……破滅回避のために行動した結果だからな、仕方がないか。
「ですが! 条件があります!」
「む?」
「まずは私とレナの婚姻についてです。辺境伯となれば男爵令嬢のレナとの婚約は継続できないでしょう」
「それならば、心配は無用ですよ、マックス。お義父様からの手紙で、仮婚姻式の準備は済んでいますからね」
おおっ! 流石は母上。俺の心配を察知して、婚姻の準備を進めてくれていたのか……いや、待てよ。ってことは、母上の中では俺が辺境伯になるのは確定だったってこと?
まあ、いいか。
「次に正式に辺境伯となるのは成人以後ということです。辺境伯同士の会合には出ますが、父上や母上も隠居できるとは思わないでください」
「まあ、それはわかっておるよ」
「最後に……私が成人するまでに死んだ場合はアンナを次期辺境伯に……それとレナの身柄の安全もお願いします」
「マックス、それは!」
「父上もわかっているでしょう? 辺境伯になれば悪意にさらされる。私としても自身の命を軽んじるつもりはありませんが、何が起こるかわかりません」
なにより、貴族学園に入学すればゲームの主人公やヒロインたちと嫌でもかかわることになる。
悪役令息となり破滅する未来は回避できているつもりでいるが、本当にそうならないという保証は今のところ全くないからな。
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