気づいたら美少女ゲーの悪役令息に転生していたのでサブヒロインを救うのに人生を賭けることにした

高坂ナツキ

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閑話

110 暗礁のダンジョン

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「ここが暗礁のダンジョンか」

 俺たち……俺とレナ、それにクルトたち騎士の面々はダンジョンの前にやってきている。
 ここは以前に俺が攻略したダンジョンとは違い、すでに発見されているものの誰も攻略が出来ていない未踏破ダンジョン。
 ゲーム内では主人公がヒロインとの合体強力攻撃を行使するために必須なアーティファクトが配置されているため、あらかじめ攻略してそのアーティファクトを奪取しようとしている。

「マックス様、なぜ私を連れてきたのですか?」

「レナの力が必要だからだよ。レナも知っているだろう? このダンジョンは暗闇に閉ざされ、一切の灯りが効力を発揮しない」

 暗礁の名の通り、このダンジョンでは物理であろうと魔法であろうと灯りが一切つかず、手探りで攻略をしなければならない。
 だが、俺はこのダンジョンの攻略法を知っている。
 ゲーム内ではレナを仲間にしているとダンジョン内のマップが自動的に埋められ、攻略をするまでもなく目的地が分かるようになる。

 レナは闇と風の2属性持ちだが、魔法の射程が自身から50cmの範囲しかない。
 だからというわけでもないが、自身へのバフは得意でモンスターに見つからずにマップを埋めることが可能になるわけだ。
 ゲームと同じようにレナをマップ係のようにするのは主義に反するが、このダンジョンは俺たちの手で攻略しなけらばならないし、これ以上の策は俺には思いつかなかった。

「レナ、このダンジョンを攻略するために先行してマップを埋めてきてくれないか?」

「? はい、いいですよ。マックス様に頼られるのは久しぶりですね」

 あっけらかんとして言うレナ。
 結婚のときとか、今回のこととか、ゲームでの出来事を俺が意識しすぎてるのは分かる。
 だけどゲームでもこの現実でも、レナは俺への忠誠心が強すぎて俺が頼んだことは何でもしてしまう。
 だからこそ、俺はレナに頼りすぎないようにしなければならないんだ。

「うん。レナだけが頼みだよ」

「嬉しいです!」

 暗礁のダンジョンは未踏破でありながら攻略法が確立されていないので、見回りの騎士以外は冒険者でも入らないので、ダンジョン内は閑散としていた。
 1階は外の光が入ってくる構造なので明るいが、進むにつれて地下に潜っていく構造なので、地下1階からは目の前がかろうじて見えるくらいの暗さになる。
 このダンジョンでは出現モンスターが一種類しかおらず、ダンジョン内に隠されている宝物なども一切ない。

「さ、ここからが本番だ。レナ、さっきも言ったけどマップは頼む。他のみんなは壁に近づきすぎるなよ」

「「はいっ」」

 このダンジョンで出現する唯一のモンスターはダンジョンストーカー……いわゆる壁から突如出現する類のモンスターで、ランダムエンカウントではなく壁に近づくとエンカウントするモンスターだ。
 だから、このダンジョンを攻略するためにはマップを完璧に把握するか、ダンジョンストーカーを一蹴できるだけの実力がいる。
 ダンジョンストーカーはレベル25のモンスターで、レナやクルト、騎士団員もレベルを上げているとはいえ、まだまだ敵うものじゃない。

 ……俺? 俺は確かに前回のダンジョンでレベル30になっているが、ダンジョンストーカーは物理防御が高いので、1人で倒すのは時間がかかる。
 ちなみに合成魔法はダンジョン内で使用すると、確実に周りに被害が出るのでご法度だ。
 ゲーム内の強力攻撃は敵にしかダメージやデバフがかからないんだが、合成魔法が悪いのか現実だからかはわからないが、どうも範囲にいると誰でも効果を受けるみたいなんだよな。

「マックス様、出ました!」

「だから、壁に近づきすぎるなって言っただろ! 総員、戦闘準備!」

 レナがマップ作製に出て直ぐに騎士団員の1人が壁に近づきすぎて、ダンジョンストーカーを呼び寄せてしまった。
 ダンジョンストーカーは大きな爪を生やした巨大なトカゲが、ダンジョンの壁から上半身を突き出しているようなモンスターで長い腕はダンジョンの通路の大半が射程距離だ。
 一度出現すると、同時に2体以上は出現しないのが救いだが、逃走しても余程の速度を出さない限り逃走できないのが厄介だ。

「前衛は爪に警戒しつつ盾を構えろ! 毒はないが気を付けろよ。俺とクルトがとどめを刺したら全員、通路の中心に戻れよ!」

「「「「「はいっ!」」」」」

 人数がそろっていて攻略法が分かっていれば、そう恐くはないダンジョンストーカーだが、やはりある程度のレベルがないととどめを刺すのは難しい。
 なので、俺やクルトなどレベルの高い人間が攻略に直接向かう必要があったわけだ。
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